TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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暗躍編4

 

 ラリーさんを送り出してから数日、現在私は実家に帰ってきている。

 

 現在国は荒れに荒れています。国民の半数近くが財産を騙し取られた訳で各地で暴動が多発しています。民衆は国に保障を求めて大暴れし騎士団や各領地の私設の兵士が対応に当たっています。

 

 この現状をスキーム公爵はボーア公国による経済的侵略行為として国王に直訴しました。残念ながら私は身分が低くてその会議には参加出来ませんでしたが。

 実際、今回の詐欺で流れたお金は一旦ボーア公国に流れています。何せ詐欺グループの本拠地を態々そこに作ったのだから当然です。

 まぁ、その後また帰ってきて大半はスキーム公爵とマフィアに、一部が私とラリーさんにという流れですが。

 更に、証拠もバッチリ!ラリーさんの会社の書類にマフィア事務所の書類等の物的証拠、他にも金融機関や国境警備隊などの各種目撃証言などなど、疑う余地が無いくらいに完璧なラインナップ。態々苦労してわざと残してもらった甲斐があるというものです。

 更に更に、今回の件で戦争反対派である文官に責任を追求。国内の経済の安定を疎かにし現状を招いたとして弾劾しました。

 実際問題これはその通りだと思います。金融知識の不足と賄賂等流れてくる甘い汁とで油断した結果です。それにここまで大事になるとは思っていなかったのでしょう。こんな怪しい話にのっかる人はそんな多くないと甘く見ていたのでしょう。

 しかし此方らは私が前世から持ち込んだ、ネズミ講、ポンジスキーム、マルチ等々、詐欺のテンプレート満載で挑んだのだ。この世界は未だ前世に比べ詐欺の歴史は浅い。そう簡単には負けられない。

 

 そんな訳で国民の不満の矛先を向ける先として、また今回の件の報復行動としてボーア公国に宣戦布告する流れになりました。

 とは言えいきなりではありません。ボーア公国に責任追及と賠償を要求し、到底受け入れられずに破談。報復措置として宣戦布告となります。

 真っ当な戦争反対派の文官の方々は何とか回避しようとしているがまぁ無駄でしょう。こういった方々の家には必ず暴徒が押し寄せてそれどころじゃなくなるらしいですよ。フシギダナー。

 

 その間は国内のデモの鎮圧とボーア公国へのヘイトスピーチによる戦争ムードを作ることになります。国民の怒りを他国へ、戦争による賠償金で失った財産を取り返せ!ってな具合です。

 

 戦争も我が国の国力は今回の件で下がるがそれでもボーア公国より上です。ゴルビア王国には既に共闘の打診をしてあります。ボーア公国は元々持っているゴルビア王国との戦線との二面作戦になる訳です。

 勝ったな風呂入ってくる。ガハハ。

 

 さて、国が交渉と内乱の鎮圧をしている間、私はする事が無いので実家の様子を見に帰省しているわけです。貴族である我が家は当然戦争となれば参陣しなければなりません。今回の働きで参陣さえすれば最低でも子爵への昇進が既に内々で決まっています。なので徴兵や軍事物資の確認等をしに来たわけです。

 ところが…

 

「すまない、アンリ。金を貸してくれないか」

 

 実家に帰った私に兄が言った言葉がこれです。

 

「ハイィー⁈」

 

 何とこのお兄様、先日の詐欺事件で庶民の皆様よろしく財産を騙し取られていました。よって準備は何も出来ていません。

 

 流石の私もコレには頭を抱えました。家督を継ぎ、結婚をし、小さいながらも領地と領民を持つ身として、あまりにも不用心すぎます。善良なのも行き過ぎればタダの馬鹿です。

 

 しかし、よくよく考えれば我が家にはこうなる要因はありました。

 我が家は武功で成り上がった家です。領地は戦争で獲得した国の端っこ、言ってしまえば僻地の田舎貴族です。当然首都圏からは遠く、中央の権力闘争に巻き込まれにくい立地です。と言うか派閥の上位に丸投げです。

 領地も目立った特産品はなくとも、温暖で豊かな自然があり農業に向いた牧歌的な土地です。

 更に戦争の無い平和な時代が長く続き暴力とも距離がひらいていました。

 要するに何が言いたいかと言うと平和ボケしている訳です、この家は。

 

 コレは非常に不味い。こんな平和ボケした状態で昇爵しようものならあっと言う間に周囲に食い物にされて終わりです。

 動物園の動物ふれ合いコーナーの兎をサバンナの大自然に放す様な物です。兎とハイエナで握手は出来ません。

 

 駄目だこいつ…早く何とかしないと…

 

 と言うか訳で、荒療治ではありますが今回の戦争は良い機会かもしれません。厳しい戦場に送り鍛え直してもらいましょう。

 

 それだけではありません。更に御家騒動を併設して起こしましょう。

 兄には3人の息子と1人の娘がいます。この兄弟の仲は良く、長男が家を継ぎ次男はその補佐、三男は外で働き、末の娘は嫁ぐ事が決まっています。これで何の問題も無く治っていました。

 しかし、それでは駄目なのです。それでは警戒心と闘争心が鍛えられません。弟が自分を追い落とそうとするのではないか?兄を蹴落とし自分が家を継いでやる!そう言った、猜疑心や野心が無ければ、この先生き残れません。

 

 そんな訳で兄弟仲に亀裂を入れ後継者問題なんかを引き起こそうと思います。1人位死んでしまうかも知れませんがそれも御家の為。私も心を鬼にして挑みましょう。

 あ、兄弟で直接殺し合ってくれるのがベストです。

 

 さて、それではお兄様ー、お金を貸すのはいいですか1つ条件がありましてー。オホホのホ。

 

 

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