私は今、怒っています。キレています。そして嘆いています。
何故こうも上手くいかないのか?これが分からない。
初めは順調でした。
戦争序盤、我が国はイケイケでした。連戦連勝、戦争前の戦力分析通りの展開でした。
クロム君も傭兵の皆さんと共に参加させて実戦経験を積んで殺しを経験して一回り大きく成長しました。
しかし、捕まえた可愛い女の子を強姦させようとしましたが頑なに拒否されました。
まだまだ真っ当な倫理観は持ち合わせているようなので、もうちょっとくらいネジが外れてくれると私としては嬉しいのですが。
後、ヴァネッサさん(ヴァニーって呼んで良い?って聞いたら全力で拒否されました)との仲を深めようと、敵の支配地域にクロム君と2人だけで置き去りにして、吊り橋効果で急接近‼︎をしたら普通に帰って来て怒られました。解せぬ。
そんなこんなで色々エンジョイしていたらある日突然、敗走の報が届いたではありませんか!
しかもそれはその日だけで終わらずに翌日から次々と送られてくるではないですか⁈
昔からそうです。計画を立てて実行すると何故か失敗します。
100回やったら99回成功するだろう計画で何故か失敗する、この世の不条理を感じずにはいられません。
今回の件もそう。何故追い込まれているのか?
そもそもの原因のレオンなる者、聞くところによると未だ18の小僧だと言うではありませんか。
そんなぽっとでの小僧に全てを台無しにされてなるものか。
その様な理由で、大変不本意ながら私自身が出張ることにしました。今回は裏方で大人しくしていようと思っていたのに。
と言うより、ごちゃごちゃ色々考えるのが面倒になりました。ここは一度暴れてスッキリとしようと思います。
レオンとやらにはしっかりとけじめをつけてもらいましょう。
先ずは事後処理のことも考え上司に連絡です。
どうやらスキーム公爵は城塞都市にて迎え撃つつもりで兵を集めています。
なので私は都市と敵軍の間にある古い小さめの砦で戦うと連絡にいったのですが
「はっ、好きにしろ。それで少しでも時間を稼いでくれるなら、コチラとしても大助かりだわ」
と、こんな感じで邪険に扱われました。
現在スキーム公爵の立場はこの不利な状況のせいで非常に厳しいです。
一度は盛り返した権勢も再び低下して、周りから責任追及をされ負ければ後が無い状況です。
そして彼は今の状況を話を持って来た私の所為だと思っているのでしょう。なので私に辛く当たってくるのです。
気持ちは分かりますが、彼は後で殺しましょう。
まだまだ利用価値はありますが、それよりも私は今、非常に機嫌が悪いので。
次に部下ですが、賃上げ要求をしてきました。
なんでも依頼の危険度が上がり、現在の値段では戦えないと。足下見た無茶な値段を吹っかけてきています。
ぶっちゃけ敗色濃厚なこの戦いから降りたいのが見え見えです。
「値上げはしません。何故なら状況は何も変わっていません。我が国の勝利は未だ揺るぎありません。現状の値段で納得出来ない方は帰ってくださって結構」
傭兵の皆さんは2人を残して帰って行きました。彼等も後で殺しましょう。
駄目な上司と部下に挟まれ苦労する。これが中間管理職の苦労と言うものでしょうか?
結局残ったのは私とクロム君とヴァネッサさんとベテラン傭兵さんの1人の計4人だけです。
「ヴァネッサさんは兎も角、貴方が残ったのは意外ですね?」
このベテランさん、名前をアーサー・マック・デリバーと言う無駄にカッコよくパンケーキが食べたくなるお名前の方です。
初めての仕事の時に私を呼びに来た時に少し話したくらいで余り交流がなかったので、残ってくれたのは少し意外でした。
「いや〜、あっしも長年傭兵稼業をしとりますが、腕っ節はそこそこで大した取り柄も無いんですがね。
それでも1つだけ、勘の良さだけは人一倍良くてね。今日まで生きてこられたのもそのお陰でさぁ。
その勘が言ってるんですよ。ここが1番安全だってね」
おやおや、いますよね。何故か分からないが生きるのが上手な人生の達人。
小物ですが大敗しない、そこそこの人物。
「そんな事より、叔母さん‼︎俺の実家は、家族はどうなったんだよ!」
そしてクロム君、彼は生きるのに苦労する人物ですね。
「死んでるか、捕虜のどちらかです。神様に無事でも祈ってなさい」
ピシャリと言って話を打ち切ります。
クロム君は驚きの余り金魚みたいに口をパクパクさせています。
そうなんですよね〜。家は国境線近くの土地柄、そりゃもうバリバリの進軍経路なんですよね。
クロム君を連れ出してて良かった〜。下手すると実家を継ぐ人物が全滅してたかもしれないですからね。危ない危ない。
それでヴァネッサさんは、何故か私を睨んでいます。まぁ彼女はいいでしょう。
それよりも
「はい、それではこれからの予定の話をしますよ」
そうこの後の予定の方が重要です。
「この後私達は敵軍の進軍経路上のオンボロ砦で敵の先鋒を待ち受けます。心配しなくても敵は私が処理します。皆さんには私の撃ち漏らしを排除してもらいます。何か質問は?」
そう聞くと
「はい、アーサーさん、どうぞ」
おずおずとアーサーさんが手を上げているので指名します。
「あ〜、聞いた話によると敵は4万人はいるって言うじゃないですか。どう考えてもあっしら4人じゃ無理じゃないっすかね?何か秘策でも?」
他2人も同じ事を思っているのでしょう。コチラをじっと見ています。
「ええ、もちろん。そうですね、良い機会です。皆さんに魔術の完了形、その1つをお見せしましょう。
きっと、とても面白い見世物が見れますよ」
そう言って笑いかけるのでした。