「あ〜、ひぃ、はぁ、ハハハ、いや〜笑った笑った。何年ぶりくらいですかね。こんなに笑ったの?」
3分くらいですかね?笑い転げて地面をのたうち回っていました。
しかし、いつまでも笑っているわけにもいかないので切り替えてスクッと立ち上がります。
「何ですか?その目線、失礼ですね。そんな狂人を見る様な」
ふと、視線を感じ、其方を見れば恐ろしい者を見る様な目で此方を見る3人と目があいます。
上品とは言えませんがちょっと笑っただけじゃないですか。まったく。
まぁ、そんな事より
「それより、お二人共、良いのですか?先程1人、後方にこの事態を知らせに伝令が馬で走って行きましたよ?」
そう、殺し合いが始まったばかりの頃、この異常事態を知らせる為に、また、救援を求めて後方の部隊に伝令が走って行ったんですよね。
「いや、なぁ?今更救援を求めても手遅れそうだし、何よりそこまで徹底的にやる必要があるか?相手もコレを知れば撤退するかも知れないだろ?」
おやおや、相変わらずクロム君は甘い上にズレてますね〜。
「ありますよ?情報封鎖は大事ですし、何より被害が大きくなり過ぎる恐れがありますからね〜」
3人がどう言う事だ?といった感じに見てきます。
「先程私が使った術式、サラ アップルは感染、伝播する術式です。術式にかかった相手の魔力を使用して自己を複製、増殖し周囲の人間に感染、また増殖をする事で際限無く広がる術式です」
理解が及んだのか3人の顔色がどんどん悪くなっていきます。
「先程の伝令さんは術の効果が現れる前に離れて行きましたが、確実に感染しています。仮に彼が後方の部隊に辿り着いたとしたら、その部隊でもコレと同じ事が起こるでしょう。そうして、そこから更に別の場所に逃げ出した人が流れついて更に感染が拡大、そこから更にと言った具合にどんどん広まるでしょう。まぁ、いずれ何処かで全滅して止まるでしょうけど、それまでにどれだけの被害が出るか?ちょっと想像出来ませんね?
それで、良いんですか?彼を止めなくて?」
そう問えば3人共急いで追いかけようとしますが
「あ、アーサーさんには他にお願いしたい事があるので残って下さい」
「はぁ!何言ってんだよ!」
「クロム、言い争いしている時間は無い。2人で行くよ」
クロム君は私の意見に反対しようとしますが、ヴァネッサさんは即座に私が意見を変えないと判断して切り替えていますね。
クロム君も見習って成長しましょう。
「裏手に馬がとめてあるのでそれで追いかけて下さいね〜。あと、絶対に相手に近づいては駄目ですよー。感染しますから、遠距離で仕留めて下さいね〜」
走って行く2人に注意を促します。
この術式発動は私が行うのですが、それ以外は全自動なので、後は成り行き任せで私にも操作も解除も出来ないのが欠点ですよね。
「あー、姐さん。それで、俺っちへの頼みってのは?」
おっと、そうでした。
「貴方にはちょっと運んでもらいたい荷物がありまして。私はこの後やる事がありますから出来ないんですよ」
そんな訳でアーサーさんにはちょっとしたお使いをお願いします。
「そりゃ構いませんが、何を運べば?それと姐さんは何をするんで?」
「荷物はこの後持ってきますよ。それと私はちょっと今回の戦争の落とし所を作ってきます」
さて、それではもう少しだけ働きますか。
今回私働き過ぎでは?
さて、そんなこんなでやって来ました、戦場の真っ只中。砦を下りて、死体だらけの戦場です。
いや、戦場跡です。何故なら1人を残して既に全員死んでますから。ここには私と最後の1人、レオン将軍しかいません。
と言うか、レオン将軍、茫然自失で固まってますね。メンタルはクロム君レベルですかね?
それと、話を聞いた時から思っていたのですが、実際に近くまで来て、見てみて確信しました。
この人、転生者です。それも『セラム・バーン』をプレイした事がある人です。
だって装備品が頭の先から爪先まで明らかに知っている人のそれです。
店売りされていないユニーク品とか着けてますし、知らなきゃこんなに集められませんって。
と言うかこの人、隠す気とか無いんですかね?
私とか、見た目でバレない様、装備品は自作した物(サラさんの指輪とか)以外は全部店売り品なんですけど?
他の転生者に不用意に情報を流す危険性とか考えた事無いんですかね?
もしかして、自分以外に転生者がいるとは考えた事が無いんですかね?
だとしたら甘すぎますって。そもそも何で自分が転生したのかも分かっていないのに、他の人がいないと思うのか?理解出来ません。
まぁ、それは今はいいや。それよりも
「どうも、レオン将軍。私、アンリ ジャオと言います。実は貴方にとても良いお話を持って来ました。どうです?少しお話だけでも?」
先ずは今回の戦争を終わらせましょうか。