TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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戦争編8

 

「何で……?どうして……?」

 

「あの〜、もしもし?話聞いてますか〜?」

 

 駄目ですね。ショックで自分の殻にこもっています。メンタルクロム君レベルと思いましたが、ごめんなさい、クロム君。君以下です。

 

「私も暇ではないので正気に戻って下さい。ていっ‼︎」

 

 落ちてる石を拾って投げつけます。

 

 キンッ‼︎

 

「危なっ‼︎‼︎」

 

 無意識のくせに反射的に剣で切りましたよ。

 近づかなくて良かった〜。危うく切られてましたよ。

 

「お前は……」

 

「あっ!ようやく気付いてくれました?いや〜、やっと話が進められます」

 

 まったく無駄な時間を取られましたよ。

 

「何が、いけなかったんだ。どうしてこんな事に?僕は一生懸命にやったんだ。それが、何で……」

 

「あのー、すいません、そう言う自分語りはいいので私と会話をしませんか〜?」

 

 ええい、面倒くさい!話が進みません!何が悪かったか?そんなの私ですよ!てか、そんなのどうでもいいでしょう。早く正気に戻れ!

 

 ていっ‼︎

 

 キンッ‼︎

 

 そのくせ、しっかり体は反応しています。再び投げた石は切り落とされました。鬱陶しい。

 

「あの〜、すいません。私がこんな事になった原因ですよ〜。ですから、お話よろしいでしょうか〜?」

 

 流石にコレは聞き捨てなら無かった様で、幽鬼の様に此方を見てきます。

 

「お前が?」

 

「あ、はい。いや〜よかった。これで話が前に進……危なっ‼︎‼︎」

 

 いきなり切りかかって来ましたよ、この人!なんて野蛮な!文明人なら先ずは会話でしょう!

 

 咄嗟に回避して、バックステップで距離を取ります。

 と言うか良く今の回避出来ましたね、私。確実に私よりレベル高いですよ、彼。

 研究優先でレベル上げとか後回しにしてきましたからね、私。

 

「ストップ、ストップ‼︎先ずは落ち着いて、話をしましょう。此方にはこれ以上戦う意志はありません!今後のお話をしましょう!」

 

 いつでも逃げられる様に腰を落として話かけます。

 

「今後、だと……?」

 

 おっ、ようやく話が出来そうです。

 

「そうです、今後です。今回の戦争の落とし所の話をしましょう。此方にはこれ以上戦う意志はありません!」

 

 どうどう、先ずは落ち着いて、冷静に。

 

「お前には無くても、此方には」

 

「現在、既に、あなた方には甚大な被害が出ています!これ以上戦争が続けば国家存亡の危機もあり得ます!此方としても予想外の被害にこれ以上の継続は好ましくありません。ですので停戦の為のお話をしましょう‼︎」

 

 ええいっ、話が進まん!やっとここですよ。

 しかし、彼方さんもようやく少し落ち着いてきたのか話を聞いてくれています。

 

「良いですか?これは何も国同士だけの話ではありません!貴方個人の今後の話でもあるのです‼︎」

 

「僕の?」

 

 よしよし、ようやく軌道に乗りました。

 

「そうです、貴方のです。良いですか?貴方がどれだけの立場にいるか知りませんが、これだけの大敗をきっしたのです。国に戻っても今までの様な立場はあり得ません。むしろ、敗戦の責を取らされ、一族郎党死刑!なんて事も十分あり得ます」

 

 勝ちに行った攻めの戦で自軍の損壊率99.99%なんて間違い無く歴史に残る汚名です。

 まぁ、実家は力のある貴族らしいからそこまではいかなくても、間違いなく没落はしますね。

 

 彼もようやく自分の立場が分かったのか先程までとは違う意味で血の気が引いています。

 

「なら、どうすれば……」

 

「そこで、貴方に良いお話があります。敗戦の責を取らされず、今回の件を無かった事にでき、その上で終戦にもっていける、そんな夢の様なお話が‼︎」

 

 彼は驚きの余り、目を見開いています。

 

「バカな、そんな話、あるわけが」

 

「あるんです!貴方は助かります。いや、それどころか今まで以上の地位もあり得ます!」

 

 今や、彼は救いを求める様に此方を見ています。本当は彼も分かっているはずです。

 

 『そんな事はあり得ない』と

 

 それでも思ってしまうのです。目の前の破滅から救われたい、まだ終わりたく無いと。手にするはずの栄光。人々の羨望の眼差し。輝かしい未来。それらが手の平から溢れ落ちていくのは耐えられない。

 それが例え悪魔の手招きだろうと分かっていても、人は破滅の恐怖からは逃れられないのです。

 

「さぁ、この手をとって下さい。共に今回の戦争を終わらせましょう」

 

 垂らされた蜘蛛の糸の先に鬼が居ると分かっていても、人は手を伸ばしてしまうのです。

 

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