TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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続・暗躍編6

 

 現在のゴルビア王国の状況を簡単に説明しておきましょう。

 

 ゴルビア王国とボーア公国の戦争はゴルビア王国が攻めボーア公国が守る。そう言った状況が続いていました。

 疲弊したボーア公国と違いゴルビア王国は余裕がありました。

 長年のわだかまりもあり、これを機に一気に攻め入ろうと考えた様です。

 しかし、レオン将軍の奮戦により思い通りにはいきませんでした。しかし、ゆっくりと確実に進行し、領土とそこに住む人々を奪っていきました。如何にレオン将軍が強いとはいっても1人では限界があります。敗北は時間の問題だと思われていました。

 

 しかし、ここで予想外の事態がおきました。

 戦場とは首都を挟んで反対側、ゴルビア王国の領内に突如として凶悪な魔物が出現しました。その魔物は強く、いくつもの村や町が破壊されました。

 更にその魔物は周辺に住む野生の魔物を従え、その勢力を拡大し、それに伴い被害も大きく拡大していきました。今や魔物の軍勢は万にもとどくとか。

 戦争で主力の部隊が駆り出されていた事も災いし、国内に深刻なダメージを与えていきました。

 

 流石にこれは放置出来ず、ボーア公国への侵攻は中断、主力を引き戻し対処させようとしました。

 

 しかし、ここに来て更に事態は急変します。今まで守りに徹していたボーア公国がなんと攻勢にでたのです。

 レオン将軍と少数精鋭によるゲリラ的攻撃です。

 これに対処する為、主力の部隊は動く事が出来なくなってしまいました。

 

 勝ちの決まったお気楽な戦争をしていると思ったら一転、急転直下で国家存亡の危機です。国内の幾つもの町が滅ぼされ、魔物の軍勢が首都に近づいてきます。

 国内の産業はガタガタ、前線に送る物資すら滞ってきました。

 

 ボーア公国に休戦を申し込む事もしてみましたが、返ってきた返答は、領土と人民の返還だけではなく、国が破綻する金額の賠償金と不平等な条約の数々。平たく言えば植民地になれ、と言うものでした。

 

 これだけでも最悪なのに更に事態は悪化します。

 なんと、魔物の軍勢がノチウドラ帝国にも侵攻して行ったのです。

 流石に大国たるノチウドラです。国境線の砦で撃退しました。しかし、少なからず被害が出ました。

 これに対し、ノチウドラ帝国からゴルビア王国に早期に解決するようにとの抗議が来ました。

 出来なくば、此方からゴルビア王国に軍を派遣し、事態の解決にあたると。

 

 もし、そんな事になれば国としての面子が潰れるだけでなく、問題解決後も何かと理由をつけてゴルビア王国内に軍隊を居座らせるのが目に見えています。

 そうなってしまっては最後です。現在魔物の軍は首都近郊にまで進んで来ています。

 仮にノチウドラ帝国が魔物の軍勢を倒したとして、今度は首都の目と鼻の先にノチウドラ帝国の軍隊が居座る事になります。

 後は適当に難癖つけて、首都を攻められて国家滅亡、もしくは植民地です。

 

 つまり現在ゴルビア王国は

 ・魔物による滅亡

 ・ボーア公国の植民地

 ・ノチウドラ帝国の植民地

 この3択のどれかを迫られている訳です。

 

「はい、ここまでで何か質問がある方はいますか?」

 

 私がそう問えば1人の仏頂面の男性が手を挙げます。

 

「はい、そこの方どうぞ」

 

 指名された男性は

 

「それは分かったけどよ、それが俺らと何の関係があるんだよ」

 

 そう言って地面の上で胡座をかきます。

 回りには同じ様に胡座をかいた粗野な男達が全部で10人います。彼等は山賊の一団です。

 

 私は現在、以前にお会いした山賊の皆さんを見つけ出し青空教室で周辺諸国のお勉強をしています。最初、私の顔を見るなり逃げ出したので追いかけてボコボコにしましたが些細な事です。

 

「おや?理解出来たのですか。意外と学がありますね」

 

「これでも聖マスキャラー学園の卒業生でね。それで、もう一度聞くが、それが俺達に何の関係があるんだよ」

 

 この仏頂面で筋骨隆々の男性はどうやらこの集団の頭目のようですね。見た目はスキンヘッドの筋肉達磨で、脳筋っぽいのに学がある事にちょっとびっくりです。

 

「まぁまぁ、そんなに気を荒げないで。実は皆さんに仕事をお願いしたくて、これはその為に知っておいてほしい事前情報です」

 

「あん?オメェさっき山賊辞めて木こりとして雇いたいって言ってたじゃねぇか。木を切るのに何で国際情勢の知識がいるんだよ?」

 

 彼等は元は木こりらしく、新生クロム領で雇いたいという話を最初につけておきました。

 彼等も元々、生活が苦しくなって山賊に身を奴した身です。慣れ親しんだ仕事に復帰出来るならと承諾してくれました。

 山賊業が割にあわなかったと言うのもあるでしょう。命がけの割に得る物が少ないですからね。他に選択肢があるなら辞めたかったのでしょう。

 

「はい、それはそうなのですがその前に、別件で1つ頼みたい仕事がありまして」

 

 そう言って私はカバンから一枚の地図を取り出します。ゴルビア王国とその周辺が描かれた地図です。それを皆に見えるように木に貼り付けます。

 

「良いですか?先程説明した様に、国境付近にゴルビア、ボーア、ノチウドラの兵士が沢山います。そして現在、ゴルビアの首都では周辺から可能な限り兵を集めています」

 

 そう言いながら地図に書き込みをしていきます。

 

「そして、魔物に攻められた町がこの辺です」

 

 そう言ってその範囲を円で囲みます。

 

「つまり、この範囲には現在軍隊も警察も、治安を維持する組織はありません。あるのは死体だけです。つまり‼︎」

 

 バンッ!

 

 木に貼り付けた地図を叩きます。

 

「今、この範囲では火事場泥棒し放題です!魔物は金品に興味をしめしません。魔物に滅ぼされた町には放置されたままの金目の物があるはずです」

 

 バンバン!と地図を叩きます。

 

「ゴルビア王国がどの様な判断を下すにせよ、それまでの期間、この地域の滅んだ町は期間限定のボーナスステージです‼︎」

 

 生き残った民間人が帰ってくる前に、軍隊が来る前に

 

「魔物との接触を避けつつ可能な限り金目の物を集め、気付かれる前に国境を超えて逃げる!それが皆さんに協力して欲しい今回の仕事です‼︎」

 

 私が演説を終えると何故か皆さんドン引きした目で私を見ています。それでも山賊の端くれですか⁈死体の金歯すら引っこ抜く貪欲さが無ければ賊にはむいてませんよ?

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