TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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始まり編2

 

 めっちゃ痛い。

 

 特に斧。私じゃなければ死んでますよ。……ん?

 

「どうかしましたか?」

 

 2人を見れば酷く怯えています。

 

「ば、バケモノ!」

 

 失礼極まる。やはり田舎育ちの山猿。礼儀がなっていません。

 

「失礼な。何処が化け物だと言うのですか。傷を負えば痛み、悪事を働けば罪の意識を感じる。正真正銘、人間ですよ」

 

 まぁ、どうでもいい事ですが。

 

 話しながら斧を引っこ抜こうとしますが、なかなかとれません。何やら頭蓋骨に変な引っかかり方をしています。物凄く痛いので早くとってしまいたいですね。

 私が斧と悪戦苦闘していると

 

「うわぁぁぁー!」

 

 シンさんが私に殴りかかってきます。

 

「ちょっと待ってください。もう少しで取れそうなので」

 

 そう言いながらシンさんの足を引っかけて転ばせます。ついでに転んでうつ伏せになっているシンさんの背中を踏みつけて動けない様にします。

 

「逃げろ!リリ‼︎」

 

 何やらシンさんが叫んでいますが、ちょっと待ってください。今いい所なんで、……おっ⁈

 

「いやー、良かった。取れましたよ。……おろっ⁈」

 

 ドン!

 

 という衝撃。どうわらリリさんがシンさんを踏みつけにする私に体当たりをしてきたみたいです。

 完全に油断していました。しかも

 

「ゴブッ‼︎」

 

 私は口から大量に吐血しました。

 どうやら丁度お腹に刺さっていた包丁に肩からぶつかる形になった様で、包丁が根本まで深々と刺さっています。

 

 バタンッ!と私はその場に仰向けに倒れます。口から血の泡を吐きながらピクピクと痙攣します。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。お兄ちゃん逃げよう、早く‼︎」

 

「……あ、ああ」

 

 2人はそう言って走って行きました。

 うーん、完全に油断しました。妹さん、思った以上にタフで攻撃的でしたね。

 

 うーん。自分の状態を確認します。どうやらこの包丁、背骨に当たっていますね。脊椎が傷ついたかな?下半身が麻痺してきました。思う様に動かせません。

 

 ……仕方ないですね。私は街道を村まで地面を這って戻ります。地面に向かって威力を弱めた爆発系の魔術を撃ち、自傷ダメージをくらいながら自分を吹き飛ばしたりして進んで行きます。

 

 

 

 1時間くらいでしょうか?何とか村まで帰ってきました。

 村人は大人達はこの後どうするか話し合ったり、被害の確認、周囲の警戒など、てんやわんやの大忙しです。無秩序ともいいます。

 私の魔術がとけたレジスタンスの皆さんもこの話し合いに参加しています。

 正気に戻った子供達は人手が無いせいで大した監視も付けられず一ヶ所にまとめて寝かされています。もう深夜ですからね。子供達もぐっすりです。見張りも少なくて良いとの判断でしょう。

 

 私はこの子供達の集団にこっそりと近づいて観察し、他の子供達から離れて1人でいる女の子に目をつけました。

 その女の子だけに気づかれる様に小石を投げて女の子を起こします。

 

「う〜ん?」

 

 寝ぼけ眼で辺りをキョロキョロ見ていた女の子は近くで倒れている私を見つけると

 

「お姉さんどうしたの?大丈夫?」

 

 女の子は私に近寄って来ます。

 

「ええ、大丈夫ですよ。ですが少し手を貸してほしいのですが」

 

 私がそう言えば女の子はさらに私に近寄って来ます。

 

 女の子が手の届く範囲に来たところで私は女の子にしがみ付き、その首筋に噛みつきます。

 そのまま有無を言わさず私の魂を女の子に送りこみその肉体を奪い取ります。

 これまで何回も行ってきた術です。最早慣れたものです。

 

 

 

 数分後、女の子の体を乗っ取った私は改めて自分の体を観察します。

 

 うーん、どう見ても10代前半。緊急事態とは言えまさかこんなに幼くなるとは……。

 

 先程までの私から色々荷物を回収して死体に火をつけて処理します。

 

 ……さてと

 

「人が甘くしていたらつけ上がりやがって、あのガキ共が‼︎」

 

 近くの民家の壁を何度も蹴り付けます。今思い出しても腹が立ちます。折角怖く無い様に優しく拉致してあげようと思っていたのに、私の優しさを無にしやがって‼︎地面を這って転げ回った屈辱、万死に値します。私は他人にコケにされるのが大っ嫌いなんですよ‼︎

 

 私は荷物の中から携帯電話の様な物を取り出します。コレは実際に携帯電話を目指して開発した物です。残念ながらそこまでは上手くはいきませんでしたが、対になる機械との会話は成立した、どちらかと言えばトランシーバーに近い代物です。

 

 私はそのトランシーバーで相手を呼び出します。

 

『ふぁ〜、何ですか?今何時だと思っているのですか?』

 

 深夜の2時過ぎに起こされて不機嫌な相手の声が聞こえてきます。

 

「今直ぐ呼び出せる実験体は何体ありますか?」

 

 それ以上に不機嫌で怒気を孕んだ私の声に相手は押し黙ります。

 

『あ〜、もしかして物凄く怒ってます?珍しいですね?え〜っと確か7体だったかな?』

 

「そうですか、では今すぐ全部送ってください。このお礼は後日必ず。それでは」

 

 そう言って私は通話を切ります。

 

 10分後くらいでしょうか、地面に黒い泥の様な物が広がって行きます。そして、そこから7体の異形の生物が這い出てきます。

 

 20本の腕に3つの顔と9本の足を持つ者。全身に50の口を持つ者。胴体が縦に5個連なっている者。

 しかもそれらが全て人間のパーツで構成されている。1人として同じ形の者はいない。そんな異形の怪物達が現れます。

 

「それでは皆さん、お願いします。先ずはこの村滅ぼして下さい」

 

 憂さ晴らしの進軍です。

 

 と言うか本来この役目を担う山猫の皆さんは何処にいったのですか?

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