TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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茶番劇の内容は第一話を


始まり編5

 

「ご苦労さま。これで君達は晴れて囚われの身だ」

 

 パチパチと拍手を送ります。

 現在は王族と貴族の皆さんの前でシンさん、リリさん、名も知らない子供達と余興代わりの茶番劇を終え、2人を連れて控え室に戻って来ました。

 シンさんは結局リリさんを選びました。まぁ、分かっていた事です。

 

 観客の皆さんも喜んでいた人、新しいシンさんと言う存在の価値を値踏みしていた人、見下していた人と反応は様々です。

 

 私も所詮は下級貴族からの成り上がり者です。実績と実力で周りをねじ伏せていますが、敵を作りすぎない様に偶にはこういったご機嫌取りもしなければいけません。成り上がりも大変です。

 

 しかし、これで漸く次に進めます。

 

「さて、これからのお二人の話をしましょうか」

 

 そう、大事なのはこれからです。

 彼等にとっては全てを奪っておきながら巫山戯るな‼︎と言う気持ちでしょうが、私が買いたかったのはその怨みです。

 彼等を迎え入れるだけなら他にいくらでも手はありました。誰も死なずにすませる事も当然出来ました。

 

 しかし、それでは駄目なのです。それでは私のこれまでが報われない。これからの未来に貴方達が耐えられない。

 

「先ずは、リリさん。貴女は予定通り刑務所に入れられます。入れられるのはカーンビー刑務所。殺人犯の様な本物の凶悪犯からスリや空き巣と言った小物、果ては貴族の不況を買って入れられた無実の者まで、何でもありのごった煮刑務所です」

 

 と言うか刑務所の数が少ないのでこの辺で犯罪を犯した人は此処に入れられるか死刑の2択です。

 

「次にシンさん。貴方はこれから貴族として生きていく訳ですが、いくら王家の血をひくからと言って王宮で暮らすわけではありません。貴族の養子に出される事になります。そこで色々学んでもらいます」

 

 はい、まぁ、当然ですね。王族扱いはされません。王位継承権も無いも同然ですしね。

 ……上が全員死んだりしない限り!

 

「……それで、僕は何処の家に養子に出されるんだ?」

 

 シンさんは若干投げやり気味に聞いてきます。

 

 私はそれに無言で自分を指差して答えます。

 

「……は?」

 

 ニコニコと、私が出来る最高の笑顔を作りながら何度も自分を指差します。

 

「今日カラ私ガ貴方ノ母デスヨー」

 

「嫌だ!誰でもいいから他の人に変えてくれ‼︎孤児でもいい‼︎あんただけは嫌だ‼︎」

 

 まぁ、そうですよね。実の親を殺した人間を母と呼ぶのは嫌ですよね。しかし

 

「まぁまぁ、落ち着いてください。本来は貴方が何を言おうとこの決定は変えられません。しかし、強制ばかりでも良くありません。何せ貴方が私を嫌っている様に私も貴方が好きではありません。しかし、貴方とはこれからは仲良くなっていきたいと考えています。

 その証と言う訳ではありませんが、半年に一度、妹さんと面会出来る様に私の方で取り計らいましょう。どうです?他の人ではこんな事してくれませんよ?」

 

 シンさんも、そしてリリさんも私の方を見てきます。

 

「それだけではありません。何でしたら差し入れも認めましょう。更にリリさんに危険が無い様に看守に私から口利きしてあげましょう。どうですか?悪い話ではないでしょう?」

 

 私は両手を広げてシンさんを抱きしめます。

 

「どうしますか?もし嫌だと言うなら仕方がありません。この話は無かった事にして他の人に頼む事にしましょう。しかし、良く考えて下さい。貴方が守りたいものは何なのかを。もう一度聞きますよ。どうしますか?いえ、違いますね、貴方は私の何ですか?」

 

 しばらくしてから血の滲むような声で

 

「……僕は貴方の息子です」

 

 そう絞り出しました。

 

「はい、これからよろしくお願いしますね」

 

 私はそう言ってシンさんの両手を持ってブンブン振ります。

 

 さて、シンさんはこれで良し。次にリリさんですが

 

「それからリリさん、貴女にも1つお願いがあるのですが」

 

「……何よ」

 

 大分参っていますね、反抗的な態度に元気がありません。

 

「いえ、簡単な事です。脱獄してくれませんか?刑務所から。多少の支援ならしますよ?」

 

 リリさんだけでなくシンさんも目を見開いて此方を見てきます。

 

「「はぁ⁈」」

 

 いや、そんなに驚かなくても

 

「いや、ですから脱獄です。刑務所から逃げ出して何処かに逃げて欲しいのですよ」

 

 出来ればレジスタンスとかに匿われてくれたら最高ですかね。まぁ、そこまで高望みはしませんが。

 

「ちょ、ちょっと待って。おかしいじゃない?私はお兄ちゃんの人質なんでしょう?それなのに、何であんたがそんな事いうのよ?困るのはあんたでしょう⁈」

 

 まぁ、そうなんですが

 

「いや、それではシンさんが自由に動けなくて困るじゃないですか」

 

 そう、鎖で繋がれていてはシンさんが敵対しなくて面白くありません。

 

「まぁ、直ぐに脱獄なんて無理な話ですし、3、4年くらいかかると思いますが頑張ってください。欲しい物があったらシンさんとの面会時に言ってください。次の面会の時に差し入れと一緒に渡しますので。とは言え見つからない範囲でお願いしますね」

 

 2人共唖然として聞いていますね。

 

「分からない。こんな事して、あんた、一体何がしたいの?」

 

 怒りとか恐怖とかそう言った感情では無くて、純粋に訳がわからなくて混乱していますね。

 

「何がしたいかですか?そうですね」

 

 あえて言うなら

 

「趣味です」

 

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