TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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日常編1

 

 普段通りの朝。朝食を食べて、コーヒーを飲みながら新聞を読む。普段と違う所は新聞の片隅に載っている記事に少し目を惹かれている事くらいでしょうか。

 

『クロム ジャオ男爵 死去』

 

 片隅に小さく載っているのはクロム君らしいと思うべきか、もっと大きくてもいいだろうと思うべきか、まぁ、何とも。

 そもそも私にこの件に関して何かを言う資格は無いし、私は何かを言われる立場だと言う自覚はあるので文句は申しません。

 

 さて、それ以外は普段通りの朝です。

 新聞を横にどけます。

 先ずは私と敵対的な関係にある貴族連中から送られてきた、先日の山猫部隊の壊滅に対する非難と責任追求の書類を処理しましょう。

 素晴らしく迂遠で無駄な言い回しで華美に仕立て上げた芸術的書類を額縁に入れ、お客様全員に見える様に玄関に飾る。

 

 先日の一件はこれでOK。

 

 羊皮紙に書かれていることも相まってより芸術的です。

 羊皮紙とは言っていますが使われているのは牛の皮です。前世地球でも牛が主流だったと記憶しています。ややこしいですね。

 

 因みに昔は羊皮紙が主流でしたが、今では植物から作った紙もそれなりに出回る様になっています。レオン君が現代知識チートで色々頑張った結果です。そう遠くない未来には全て植物紙にとって変わられるでしょう。

 

 さて次にシン君の様子でも見てみますか。

 

 シン君は現在朝から晩まで勉強漬けです。

 何せ3ヶ月後には王立アーベスト学院へ入学してもらう事になっている訳ですが全てが足りていません。基礎学力も戦闘能力も教養も貴族社会の暗黙のルールに対する理解も、何もかも。

 そこで、知り合いの子爵に頼んで、そこの次男に家庭教師をしてもらって詰め込み教育の真っ最中です。

 

 まぁ、入学だけはお金と爵位があれば試験は無しでいけるので問題ありませんが、それはそれ。恥をかかない程度には頑張ってもらいましょう。

 

 シン君は食堂で鬼気迫る表情で紅茶を飲んでいました。先日まで胡座かいて井戸水飲んでいた彼には作法に則ったお茶会は大変息苦しそうです。

 まぁ、そう言ったマナーも必要です。頑張ってもらいましょう。

 

 さて、私も書斎で書類仕事でも片付けてしまいましょうか。

 

 “ゴンゴン”

 

 おや?玄関のドアノッカーが叩かれてますね。

 

「チワーッス、マリっぺ商店でーす!」

 

 あ、そう言えば今日来る予定でしたね。

 

「はいはい、少し待ってください」

 

 折角です。シン君に彼女を紹介しておきましょう。

 先程シン君がいた食堂に向かいます。

 

「先生、少しシン君をお借りしますね」

 

 シン君にマナーを教えていた先生に断りを入れて少し授業を中断します。

 授業が中断されてシン君があからさまにホッとしています。

 

 そのままシン君を連れて玄関に向かいます。

 

「お待たせしました」

 

 ドアを開けるとそこには1人の女の子がいます。

 年齢はシン君よりも2つ上の15歳。オレンジがかった黄色の髪を後ろで1つに纏めて、お店のエプロンを付けたスタイルの良い明るい美少女です。

 

「ども!マリっぺ商店です。御用聞きに参りました!おや?其方の方は初めてお会いしますね。初めまして‼︎マリー ゴールドと言います。気軽にマリっぺと呼んでくださいっす!」

 

 そう言ってシン君の手を握ってブンブン握手をしています。

 

「ど、どうも」

 

 シン君はその勢いに押されてなされるがままになっています。

 

「正確にはゴールド商店の店主の1人娘のマリーさんです。定期的に我が家に御用聞きで来てくれています。何か必要な物があったら彼女に言ってください。マリーさん、此方はシン君。先日養子縁組をしましてこれから我が家で暮らす事になりました。これから長い付き合いになると思いますがよろしくしてあげてください」

 

 お2人をそれぞれ紹介します。

 

「おお‼︎それはこれからよろしくお願いします。是非ともじゃんじゃん色々購入してくださいっす!」

 

 そう言ってシン君の手をブンブン振っています。

 

「そうだ、必要な物を書いて渡しますのでそれまでお2人で話でもしていてください。少々お待ちを」

 

 そう言って家の中に戻ります。

 

「分かりましたっす!」

 

「あ、ああ」

 

 

 2人から離れ家の中でメモ帳に必要な物を記入していきます。

 

 聞こえくる話し声からシン君がマリーさんのテンションに若干押されていますが2人は仲良くやれている様です。

 辛い事、大変な毎日で気落ちしていたシン君もマリーさんのテンションに当てられて若干気分が上向いている様で、どうやら打ち解ける事に成功している様です。

 

 マリーさんはお父さんと2人の従業員と一緒に小さな商店を営んでいて、その明るい性格からお店の看板娘として周囲の人達にも親しまれています。

 他の人のパーソナルスペースに自然と入っていけるのは彼女の持つ魅力によるものでしょう。

 

 そしてマリーさんはゲーム『セラム・バーン』に登場するキャラでもあり、パッケージにもその姿を確認できます。

 

 ゲームでの彼女はアイテムショップの店員で明るい声でプレイヤーを迎えてくれ、プレイヤーに親しみを感じさせて来ます。

 

 しかし、彼女の本質はそこではありません。

 プレイヤー達からの彼女の評価は

 

 『皆のトラウマ』『最凶の初見殺し』『シナリオライターの悪意』等と言われています。

 

 

 彼女の本質。

 それは最も多くのプレイヤーを殺したであろう、正真正銘のシリアルキラーなのです。

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