マリーさんはシリアルキラーです。
しかし現在の彼女はそうではありません。何も最初から危険人物だった訳ではありません。今の彼女には一切の危険性はありません。ただの明るい少女です。
では何故彼女が人を殺す様になったのか?そのきっかけは彼女の父親の死にあります。
彼女の父親は彼女の見ている前で亡くなりました。
その時彼女が感じた感情は悲しみでも、恐怖でもありませんでした。
彼女が感じたのはえも言えぬ興奮でした。彼女は愛する者の死に、生まれてからこれまで感じた事の無い程大きな性的興奮を覚えたのです。
愛する者の死に、特にその濁った瞳に、強く惹きつけられたのです。
その後1人になった彼女は各地を転々としながなら何人もの男性と恋に落ちました。
彼女の容姿は非常に整っていますし、性格も明るく、人を惹きつける魅力がありました。
彼女自身も人を好きになりやすく、人との繋がりを求めていました。
しかし、誰とも長続きしませんでした。
結局、彼女は自身の本質には逆らえなかったのです。いや、逆らわなかったのです。
彼女は好意を持った男性を次々と殺害していきました。
目の前で消えていく命に、冷たくなっていく身体に、その濁った瞳に、彼女は愛を感じたのでした。
最初は愛する者の死に快楽を得ていた彼女は、いつしか死その物に愛を感じる怪物に成り果てていました。
そうして旅をしながら各地を渡り歩き辿り着いた地でまた、恋をしていきました。
ゲームにおいて主人公が彼女に出会ったのは偶然彼女がこの国に来ていた時でした。
彼女が働いていたお店を偶々利用していただけでした。
ゲームにおける彼女の役目はショップの店員であり、好感度が設定されている攻略キャラでした。
彼女との会話で正しい選択肢を選んでいくと、好感度がたまり、デートに誘う事が出来る様になります。
そうして、デートで演劇を見たり、買い物をしたりして、最後に彼女の家に夕飯に誘われます。御馳走になると突如、体が麻痺しだします。夕飯に毒を盛られていたのです。
そこで語られる彼女の告白から主人公は彼女の本質に気付くのです。
そうして始まる彼女との戦闘は街中でのデートの後と言う事もあり、武器無し、防具無し、アイテム無し、毒(スリップダメージ)+麻痺(確率ファンブル)の状態異常から始まる、作中屈指の初見殺しとして有名でした。
そんな危険人物である彼女ですが現在彼女の父親はご存命中ですし、何かしらの危険な兆候も見受けられません。
今の彼女は唯の一般人です。
彼女の目の前で彼女の父親が死にさえしなければ良いのです。安全安全。
そんな事を考えながら玄関でシン君と話しているマリーさんに話しかけます。
「マリーさん、それではコレをよろしくお願いしますね」
シン君と話しているマリーさんにメモを手渡します。
「了解しました!毎度ありがとうございます!それじゃシンさん、続きはまた今度お話しましょうっす」
そう言ってマリーさんは手を振って帰って行きます。
「ああ、またな」
シン君もそう言って名残惜しそうに手を振り返しています。
「ほら、シン君、いつまでもそうしていないで、さっさと勉強に戻りなさい」
そう言ってシン君を部屋に押し返します。
マナー講座が苦手なのか嫌そうな顔をしています。
さて、彼女は今後どうなるでしょうか?私にもちょっと分かりません。何せ今この王都には彼女に負けず劣らずの危険人物が他にもいるのですから。
さて、私も仕事に戻りますか。
そう言えば、そろそろリリさんがカーンビー刑務所に着いた頃合いでしょうか?
事前に色々教えておきましたし大丈夫だとは思いますが上手くやっていけるでしょうか?
何せあちらにも、色々癖の強い方達がいますから。さて、どうなることやら。楽しみです。