一通り儀式が終わり本日のミサは終了、解散‼︎となった訳ですが、私は現在教会の離れ、聖女の私室に来ています。
「おやおやまあまあ、私の所に来てくれるなんて珍しいですね。とっても嬉しいですよ。あら?此方の方は?」
エミリーさんがグイグイ来ます。彼女と付き合う様になってから分かった事何ですが、どうやら私はグングン距離を詰めてくる人間が苦手らしい。自分のペースで生きられないのが面倒なのだ。
「近いです。離れて下さい。彼はシン君、例のあの子です」
エミリーさんは国王の下半身のだらしなさを知っていますから、シン君の事情も大体知っています。
「まあ、この子が‼︎はじめましてシン君、私はエミリー、聖女等と呼ばれていますが気さくに名前で呼んでくださいね」
そう言ってシン君と握手しています。
シン君は美人に手を握られて恥ずかしそうにしています。先程見た神聖な雰囲気の女性に近づかれてドキドキしている様です。
「どうもはじめまして聖……、エミリーさん。シンと言います。あの、お二人はどういった関係で?」
シン君が私達がどういった関係か気になる様ですね。まぁ、私が教会内で好き勝手にして、聖女の自室まで自由に出入りしているのが不思議なのでしょう。
「親友です‼︎」
「仕事仲間です」
エミリーさんが不服そうに唇を尖らせていますが冗談ではありません。こんな友人は願い下げです。
「まぁ、私達の関係はどうでも良いでしょう。それよりこの後はいつもの仕込みでしょう。シン君にも見学させてあげたいのですが良いですか?」
これ以上馬鹿な事を曰う前に本題に入ります。
「ええ、勿論構いませんよ。それでは早速行きましょうか。暗いので足元に注意して下さいね」
そう言って、部屋の一番奥、鍵のかかった金属製の頑丈な扉を開けます。するとその先には地下へと続く階段が現れます。壁にかかっているランプに火を付けて下へと降りて行きます。
「ここは、一体……」
教会にこんな地下室がある事にシン君は驚いています。
「直ぐに分かります」
大体2、3分位でしょうか?下まで辿り着きます。そこにもある金属の扉を開けます。
「こ、これは⁈」
扉の先には薄暗く長い通路と、それに沿う様にいくつもの牢屋が並んでいます。牢屋の中は壁際にトイレの穴が空いている以外に何も無い、とても人が住む様な環境ではありません。中には入れられている人は明らかに尋常じゃない様子で、1つの牢屋に何人も押し込まれています。
「直ぐに分かります」
私は先程とまったく同じセリフを言います。説明するの面倒くさいです。
少し歩いて、とある牢屋の前でエミリーさんは立ち止まり、戸を開けて中に入っていきます。
「本日のお勤めご苦労様です。明日もよろしくお願いしますね。さぁ、手を差し出して下さい」
シン君が中を覗き込むとエミリーさんは片手片足が無く、床に転がっている男性に話しかけています。
「お願いします、もう勘弁してください。どうか、どうか……」
床に転がっている男性は頭を地面に擦り付けてエミリーさんに嘆願しています。
「その様な事を言わずに、さあ、これも全て人々の為なのです」
しかし、エミリーさんはそのまま手を差し出しています。
「どうか、どうか」
しかし、男性は頭を下げるばかりです。
「そうですか……」
エミリーさんは差し出していた手を引っ込めて屈んでいた体を起こします。そして
「このクソがーーー‼︎」
怒声と共に男性の後頭部を全力で踏みつけます。
「クソがクソがこのゴミが‼︎」
容赦なく何度も蹴りを入れていきます。
「お願いします、やめてくださいー」
男性はろくな抵抗も出来ずに丸まって耐えています。
「……はっ‼︎ちょっと、何をしているんだ!」
余りの態度の急変に一瞬呆気に取られていたシン君が慌てて止めに入ろうとします。
「はい、ストップ。人様の仕事に口を挟まない。黙って見ていて下さい」
しかし、私が後ろから羽交締めにして、こうなるのが分かっていたので持ってきていた手拭いで猿轡を噛ませます。
「せっかく‼︎私が‼︎お前の‼︎価値の無い‼︎これからの人生に‼︎意味を‼︎価値を‼︎与えてあげると‼︎言っているのに‼︎お前は‼︎私の‼︎優しさを‼︎無下にした‼︎巫山戯るな‼︎」
そう言いながら蹴り続けています。
「大体何だ!許してくださいだと!まるで!私が!悪い!様な!言い方!私は!善意で!お前を!使ってやると!言って!いるのにー!」
ひたすらに蹴りを入れています。
同じ牢屋に入れられた人々は隅に固まって震えています。他の牢屋でも聞こえくる声に怯えています。中には神に救いを求めて祈っている人もいます。いや、この場が一応神の家なのですけどね。
「モガー!フゥー!」
シン君も止めようと必死に私の腕の中でもがいています。
あっ!今ボキッて音と共に首の骨が踏み折られましたね。
「クソがクソがクソが!」
しかし、気付かずに蹴り続けています。
「エミリーさん、もう彼死んでいますよー、止めて下さーい」
すると、エミリーさんは蹴るのをやめて肩で息をしています。
「ふうー、はぁー、いや、申し訳ありません。少し取り乱しました。お恥ずかしいところをお見せしました」
そう言って男性の死体を掴むと牢屋の外まで引きずって来ます。
そのまま男性の死体を廊下の突き当たりに有るダストシュートまで持って行くと、ダストシュートに死体を放り込みます。
「さて、それでは彼の代わりに次の方、お願いしますね」
そう言って牢屋の中の他の人に手を差し出します。