TS外道転生者のガゴウ   作:般若バール

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犯罪者編10

 

「興味無いので帰ってもよろしいでしょうか?」

 

 私が開口一番そう問えば、第二王子のマンハッタンさんは頬をひくつかせながら此方を睨んできます。

 

「良いわけないだろうが、さっさと質問に答えやがれ!」

 

 私は現在、城の尋問室でマンハッタンさんと2人で向かい合っています。

 昨日、スラム街と住宅地の一画を吹き飛ばした後、さっさと家に帰って寝たのですが、早朝に兵士がやってきて城に呼び出されました。そうして今現在、何故か私は王子様直々に取り調べを受けています。

 身に覚えがありません。不当逮捕です。

 

「昨日の夜中にスラムと住宅地の境で謎の爆破事件があったのは知っているな?現場周辺で聞き込みを行った兵士によると、現場から走って逃げる赤い髪の女を見たと、複数の市民からの目撃情報が上がってきた」

 

 あの爆発ですからね、夜中でも多くの市民が家から出てきて現場周辺にいましたから目撃証言も集まるでしょう。

 

「何と‼︎それは重要な証言ですね、きっと犯人に違いありません。こんな事をしている暇はありませんよ。早く犯人を探さなければ!」

 

 私がそう言えば王子のこめかみに青スジが浮きでます。

 

「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ‼︎コイツはテメェの仕業だろ!スラムはどうでもいいが住宅街にまで被害を出しやがって、毎回お前が何かやらかす度にこっちは迷惑被ってんだ!お前は一体あそこで何をしていた!」

 

 叫びながら机を力強く叩いて、私に詰め寄ってきます。

 説明して得も無し、しらを切りましょう。

 

「そんな、信じて下さい‼︎私は何も知りませんよ」

 

 おや⁈胸ぐらを掴まれてしまいます。

 

「そう言ったセリフは先ずそのにやけ面をやめてから言いやがれ‼︎いいか、親父からの命令でテメェを逮捕出来ねぇが、これ以上余計な仕事を増やすんじゃねぇぞ!」

 

 おや?表情に出していたつもりはないのですが。

 まぁ、こういった兵隊が動く仕事は、軍部に影響力があるこの人にとっては他人事ではないですからね。厄介ごとが増えれば仕事も増える。私にも覚えがあります。可哀想に。せめて精一杯働いて、国家の為になる事をしましょう。

 

 と言うか今回の件は本当に私は悪くありません。原因は隣国から来たボンクラ共です。まぁ、そのボンクラ共を生み出したのは私と言えなくもないですが。

 

「兎も角、これ以上問題を起こすなよ!」

 

 そんな感じで釘を刺されて城から追い出されました。とりあえず暇なので昨日の現場がどんな風になっているか見に行ってみますか。

 

 現場に着くと多くの人が復興作業に従事していました。瓦礫を退かす人、要救助者がいないか探す人、怪我人の治療をする人など沢山の人が動いています。家屋を失い今後どうしようかと頭を抱えている人もいます。

 

 って、おや?

 

「やあやあ、マリーさん。何をしているのですか?」

 

 何やら被災者の為の炊き出しを行っているところでマリーさんを見かけました。

 

「あっ!アンリさん、どうもっす。見ての通り救助活動のお手伝いっす。シン君もいるっすよ。ほら、あっちのモラモラ先生のところでお手伝いをしているっす」

 

 マリーさんの指差す方には医療テントがあります。多分そこで働いているのでしょう。

 

「シン君どうやら魔術の属性が光らしくて回復魔術の適正があるらしくて、モラモラ先生の助手をしながら医療の勉強をしているみたいっすよ」

 

 へー、そうなんですか。便利ですよね、回復系。私には出来ない系統ですから羨ましい限りです。私に出来るのは他人の身体を奪う事だけです。小回りが効かないんですよね。

 

「モラモラ医師ですか、う〜ん?」

 

 私は思わず首を傾げます。あの人もよく分からないんですよね、何故あんな事しているのでしょう?そんな人物でしたっけ、貴方?

 

 モラモラ医師は私がノチウドラから勧誘した犯罪者の1人です。判明しているだけでも15人の人を殺害しています。未発覚のものも含めたらそれ以上でしょう。

 彼は元々は名の知れた錬金術師でありましたが、とある時期を境に道を踏み外し、研究の為に裏で人を攫い、人体実験を行ってきた凶悪犯です。上手く誤魔化していましたが限界が来て、捜査の手が及びそうになっていたところを勧誘してアルバ王国への密入国に手を貸しました。しかし、それ以来ピタリと犯罪行為をしなくなりました。最初は警戒しているだけだと思いましたが待てど暮らせど何もしない。それどころか、スラム街で医者と薬師を始める始末。

 

 何を考えているのかよく分かりません。本人に聞いても『改心しただけですよ』と言われました。改心する様なキッカケありましたか?

 

「アイツだ、昨日アイツが走り去って行くところを見たんだ!」

 

 現場で作業していた兵士に私を指差しながら騒いでいる男性の顎にアッパーカットを叩き込みながら考えます。ついでに拳に魔力を乗せて、いつも使っている忘却魔術の簡易版、インスタント忘却術式も叩き込んで意識と一緒に昨日の記憶も吹き飛ばします。

 

 正直、モラモラ医師は最初に期待していた働きは全くしてくれていません。しかし、シン君が学ぶ場としてはこれ以上は無いでしょう。能力だけは本当に優秀ですから、彼。

 

 う〜ん。まぁ、しばらくは様子見ですかね。彼が本当のところどう考えているかは分かりませんが彼の清算の時は迫っています。その時に分かるでしょう。

 

 さて、そろそろ誰もが動き出すでしょう。私もその時に備えて少し準備をしておきましょうか。

 

 

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