ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜   作:名を失われた天使

10 / 12
閑話 湯田方ココネ EP 01 スタンス

 

 

[ココネ、ちょっといいかな?]

 

 モモトークを送信して、窓の外を見る。

 大雨だ。

 

[ココネ?]

 

 既読が付かない。

 今日は当番の子にも来ないよう伝えたから、手伝って欲しいのだけど。

 ま、そのうち見るでしょ。

 

『先生、新着メッセージが来てます』

 

 プラナがモモトークを開いて見せてくれる。

 

[今起きた]

 

 時間にして2分前。しかし、気になる点が……。

 

「既読が付いていない……?」

 

 メッセージを開くと、ココネからのメッセージは来ていたが、既読がついていない。

 どういうことだろうか。

 

「プラナ。既読をつけずに返信できる?」

『できますが……。先生、何かするつもりですか?』

「いや、気になっただけ」

 

 業務に戻り、雨の音を聞きながら時間が過ぎるのを待つ。

 

「………おはよう、先生」

 

 ココネがタブレットを持ちながら入って来た。

 赤色の髪だけが少し跳ねていて、寝起き直後だとわかる。服装も少し乱れていて、セーラー服の肩の部分がずれて、肌がガッツリ見えている。

 

「寝癖ついてるよ」

「ん〜……?あー、別にいいの」

「服もズレてるし」

「オーバーサイズだから」

 

 にしても、セーラー服なんて持ってたんだ。どこかで見覚えがあるけど。

 

「んで、書類はどれ」

「あの山、お願いできる……?」

 

 机の上に溜まった書類を指差す。

 

「あの量……まぁ、良いけど……」

 

 渋々といった感じの顔で引き受けてくれた。

 しばらくの間、雨とペンの音が部屋に響く。

 

「ん……」

 

 目の前に差し出された書類。受け取るとココネはソファに寝転がった。

 

「早いね」

「…………まぁ、かなりの量、やってたから」

 

 研究室で書類の整理でもしていたのかな。

 書類の間に黄色の紙が挟まれていた。その紙の下には私が確認する必要のある書類が纏められていた。

 

「ありがとうね」

「いーえ。そうでもないですよ」

 

 ふと外を見ると、雨がさらに激しくなっていた。

 

「そういえば、他の仲間は大丈夫なの?」

 

 シュウとかは屋根のあるところで休めているだろうか。

 

「大丈夫ですよ。あと、こういう雰囲気の時は、あまり他の女のことを喋らない方がいいですよ。私達以外では」

 

 刺されますよ、と注意された。

 

「まぁ、そんなことしない生徒ばかりだとは思いますけどね」

 

 

 

「もう昼ですよ、先生」

 

 ココネが机の上に何かを置いて話しかけて来た。何かを入れたレジ袋だ。

 

「ほら、お弁当を買っておきましたから、さっさと食べてください」

 

 中を開くと、普通の海苔弁当が入っていた。

 

「アレルギーとか、ないですよね?」

 

 おにぎりの包装紙をぺりぺりと剥がしながらココネが言う。

 

「無いよ」

「そうですか」

 

 タブレットに触りながら食事をすすめるココネ。

 画面を睨んではため息をついたり、驚きの声をあげたり。

 ココネに近づいて、タブレットを取る。

 

「あっ」

「行儀悪いから、食べ終えてからにしようね」

 

 タブレットの画面は、赤色の空を写していた。

 どこか、見たことのある画面。思い出そうとして、突如、画面が暗転してつかなくなった。

 はて、どこで見たのやら。

 

 

 

「せーんせい。終わーりーの時間ですよー」

 

 ふと顔を上げると、壁掛け時計を手に持ったココネが持ってる時計を指差していた。

 時刻は17:00。定時だ。

 

「定時の時間ですよー。生徒に残業させるつもりですかー?」

 

 残業を生徒にさせるのはまずい。

 

「そうだね。今日はもう終わりにしよう」

 

 私がそう言うと、ココネは満足したのか、壁掛け時計を投げて、壁に掛け直した。

 

「そうですよ。この“夢”はもう終わらせるべきです』

 

 

 

 

「先生。起きましたか」

 

 目を覚ますと、ココネが顔を覗き込んでいた。外を見ると、すっかり暗くなっていた。

 はい、とココネがペットボトルを渡してきたので、素直に受け取って水を飲む。

 

「雨は止んだのか……」

「雨?ここ最近は降ってませんよ」

 

 ココネが平然とした顔で告げた内容に驚いた。雨が降っていない。では、アレは最初から夢だったのだろうか。

 

「ココネ。私は……」

「倒れていたんですよ。全く……眠るならちゃんと寝てください」

 

 倒れていた。そうなのか。では、先ほどまで見ていたのは全て夢だったのか。

 

「えぇ。そうですよ、先生。そもそも、私は壁掛け時計を指差す必要ないですし、投げて掛け直すことも出来ません」

 

 え、と言葉が漏れたが、ココネはケラケラと笑いながら、抱えていたタブレット端末を膝に置いた。

 ちらっと見えたそのタブレットの画面は、黒い背景に赤い髪の女の子の姿が見えた。




『看病してくれてありがとう』
「気にしなくていいですよ。ですが、倒れるまで頑張るのはあまりしないでくださいね。他の生徒が心配しますから」
『これから気をつけるね。所で、いつから倒れてた?』
fin

「えぇ。この虫ケラのように傷なんてつくわけありません」

「ココネが裏切った〜!!」

「なぜにぃ!?」


次回 第9話 理由
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。