ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜   作:名を失われた天使

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第9話 理由

 

 

「えっと……」

 

 今、シャーレオフィスの応接室でワカモとシュウが向かい合って牽制している。

 ユウカは早々に撤退した。

 

「ワカモは、大丈夫だった……?」

「えぇ。この虫ケラのように傷なんてつくわけありません」

「おぉ、そうかいそうかい。なら、もっと早く来てくれると先生の負担にならなかったのだけどなぁ〜……」

 

 ワカモが言った通り、シュウは怪我をしている。額から血が流れていた為、応急処置として包帯を巻いている。

 

「そうですか。それで?」

「い〜や〜?ただ、先生をお慕いしているのなら、真っ先に駆けつけて助けるべきじゃないかな〜、ん〜?」

「えぇ。ですが、あの状況では、逃走ルートの確保も重要だったのではないですか?そんな事すら考えずに突撃したのですか?」

 

 喧嘩が続きそうなので、事務作業に戻ることにした。

 

 

「ユウカ。さっきの戦闘の報告書、置いとくね」

「あ、はい。先生、お疲れ様です」

 

 あれから30分。シャーレとしての報告書をまとめ、ユウカに確認してもらうなど、戦闘後の恒例事務をこなして時間が過ぎるのを待った。

 ワカモとシュウの仲は良くなさそうだった。何か因縁でもあるのか……。

 落ち着いているといいけど……。

 

 

 

「失礼するよー」

 

 扉を叩いて、応接室の中に入る。

 中では、シュウの目元が赤くなっていて、ワカモの隣にココネが座って、ワカモの背中を撫でていた。

 何があった?

 

「あ、先生。こんにちは」

「こんにちは、ココネ」

 

 ココネが私に気づいた。ワカモとシュウは睨み合っている。

 

 

 

「ーーということでね」

 

 ココネが詳細を話してくれた。

 どうやら、シュウとワカモの終わりの見えない言い合いがずっと続いた結果、メンタルがクソ雑魚(ココネ曰く)のシュウの心が折れた、らしい。

 確かに、シュウの胸の辺りに涙のような跡は残っている。

 

「よくあることだから気にしないで」

 

 ココネがそう言った途端、シュウがココネを見つめ、また泣き出した。

 

「ココネが裏切った〜!!」

「なぜにぃ!?」

「はぁ……一体いつまで続けますの……」

 

 ココネを指差して泣き喚くシュウ。指さされたことに驚くココネ。それに呆れるワカモ。

 

「兎に角!!今回の件について、色々と話があるから、少しお時間貰いますね?」

 

 

 

 今回の件は、私たちが居た研究施設、カイザーインスティチュートによるものです。今後は、このような事件が増えますので、周囲には気をつけてください。

 カイザーインスティチュート……長いのでラボとします。ラボの目的は勿論、よくある世界征服です。その為に、先生の力を欲しています。

 そして、ラボのボスはシッテムの箱を所持しています。先生がお持ちの物とは異なる為、アカシアの箱とでも呼びましょうか。そのアカシアの箱は、現在は不完全であり、完成させる為にはシッテムの箱級の性能が必要です。キヴォトスを左右するほどの力を持つ先生さえどうにかすれば、あの人がこのキヴォトスで1番偉くなれそうですからね。

 ラボは最初、ヘイローについて研究していましたが、そこから副産物が生まれたことをきっかけに、本来の目的の『ヘイローを持つ者の耐久性をヘイローを持たない一般市民に与える』からかけ離れていきました。

 その後は、先生も知ってるはずですね。私たちに行った実験は、ヘイローの変質についてでした。ヘイローを持っている者にとって、ヘイローは個性であり、自我であり、命です。ヘイローで、その人となりをそこそこ察することも可能です。そんなヘイローを変質させれば、別の存在となるかどうか。そんな実験でした。ヘイローの変質には成功しましたが、その後のアカシアの箱の起動には至らず、現在の状況になっています。

 

 

「そんなことが起きてたんだ……」

「世界の裏側でも、こんなことが起きてるかもしれませんよ」

 

 にしても、アカシアの箱か……。

 

「そのラボのボスを止める為に君達は私を監視している、というわけだね」

「まぁ、そうです」

 

 その為の弾薬の窃盗だったのか……。

 

「それで、先生にお願いなんですが」

「なにかな?」

 

 ココネが姿勢を正して、ソファの上で器用に正座をする。

 

「私たちに、協力していただけないでしょうか?」

 

 頭を下げたココネ。

 何に関して協力すればいいのかわからないが、生徒の頼みだ。可能な範囲で協力したい。

 

「わかった。私にできることがあれば言って」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

「そういえば、弾薬の窃盗はもうしたらダメだよ」

 

 ワカモを見送り、シュウが泣き疲れて寝ていることを確認し、オフィスに戻って、重要なことを思い出した。

 

「あれは生活費に直結してるので今月中は無理です。来月からは可能ですが」

 

 来月までは、苦情を耐えるしかなさそうだ。




『諸君!!我々はキヴォトスを手にする鍵を手に入れた!!』

「………馬鹿みたい……」

「私が良いと言うまで動くな」

「初めまして。祭原シナノだ」

次回、第10話 脱出



小さなキャラ紹介

名前:ココネ
フルネーム:湯田方(ゆだかた)ココネ
役割:Special
ポジション:Back
クラス:サポーター
武器種:SR
攻撃タイプ:神秘
防御タイプ:特殊装甲
年齢:16歳
誕生日:2月27日
身長:160cm
趣味:猫観察
シャーレの空き部屋の住人の1人。小学生の頃、地域の儀式の生贄として親に捨てられ、研究施設に引き取られた。チームの中では姉的な立場にいることが多い。寝ている間、肉球みたいな中央部分のヘイローは消えるが、外側の鎖は消えない。赤い髪に見えるが、本人曰く茶髪とのこと。猫耳が生えている生徒が羨ましいらしい。

小さなキャラ紹介について

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