ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜 作:名を失われた天使
気がついたら知らない場所にいた。
いつもは、蹴られて起きるけど、それが無かった。
周りを見ても何もかもが違う。寝ている場所も、置いてある物も。
服も違う。袖をめくって腕を見る。
うん、残ってる。
「おや、目が覚めた?」
知らない人!?
「ごめんね。驚かせちゃったね……」
いつもの人とはちょっと違う……。
「私は連邦捜査部顧問の先生。名前、教えてくれるかな?」
せん、せい?れんぽう?なにそれ、知らない。
「痛くしない……?」
「勿論。私たちはそんなことはしない」
そっか……うそ、つかなくてもいいんだ……。
「名前、教えてくれる?」
「うん…………知らないの」
「知らない?」
「何も……うん。なにか、大人の人が私で実験?というのをやってたのは知ってるけど、それ以外は知らないの」
「そっか……」
「でも、みんながいたんだ。優しくて、何も知らない私に教えてくれて……。ねぇ、れんぽう?そうさぶ?の先生。みんなは……?」
ゆーちゃんに、おーちゃん、さーちゃん、かんちゃん。みんなは、どこ?
「ねぇ、みんなは?」
「…………」
「みんなは?」
「……まだ、見つかってないんだ」
「……そっか……」
みんな、強いから、どこかにいるんだろうな……。
「ゆーちゃん、元気かなぁ……」
結華シカリが目を覚ましたと聞き、まず先にと部屋に入った。部屋の中でベッドの上で上半身を起こしたシカリの姿はとても痛々しいものだ。
頭に巻かれた包帯などはすぐに取れるだろう。しかし、トリニティの生徒達と同じように生えていたであろう翼は、片翼となっている。首筋には多数の注射痕があり、背中には大きな痕も残っている。
そんな少女をどこに預けるかも問題だ。
「先生。シカリさんはどこで保護しましょうか?」
「んー……一旦シャーレで預ろうか。どこの学校がいいかは、本人に決めて貰えばいい」
それに、厄介なネタを抱え続けることを、生徒たちに任せることはできない。
もう一度、実験ノートの内容を思い出す。
[第68実験結果報告:被験体75の覚醒を確認。被験体75の凶暴性を反転させることに成功]
凶暴性の反転。意味を察するに、今よりも凶暴的になった、だろう。それなら、私のところで見ていたほうがいいかな。
「………シャーレで預かるよ」
「!そ、そうですか」
「うん。シャーレならいろんな学園のことも出会えるから、何かの助けになると思うんだ」
それが解決の近道だといいと思う。
「くしゅん………」
「おーおーおー。風邪ひくなよー」
なんとか掘り返して起こした後、集団となって残された武器を集めている最中。
「姫が噂でもしたのかな」
「まっさかー……ユウナのことを覚えてるか知らないしー」
「…………どこ行った」
ユウナと呼ばれた少女が落としてしまった弾丸を探し、瓦礫を退けていく。
「落ちた奴拾うなよ……」
「排莢されなくなっても知らねーぞ」
わいのわいのと騒がしく話し合う少女たち。
「おーい。戻ってきたぞい」
「おー、ミーちゃん。成果はどうじゃろかー?」
ミーちゃんと呼ばれた少女は両手を上げて「何も残ってにゃーよ」と言う。
「よし。ここまでは手筈通りだ。いくぞ」
「はーい」
「姫のために」
「あの子のために」
「推しのために」
「全ては、上手くいく」
「きっと上手くいく」
「それが、私たちの願い」
「青いこの物語は、止めさせない」
「約束をここに」
「ーーーーーの誇り、責任、義務を忘れることなかれ」
互いを見つめ合い、誓いを立てた。
少女たちはそれぞれへの道へと進み出した。
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