ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜   作:名を失われた天使

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第2話 悪魔捕獲作戦準備

 

 

 シカリを保護してから数日後ーー。

 

「謎の事件?」

「はい。この3日の間に不良集団の駆け込みが30件もありました。各々に事情聴取してみたところ、何者かに襲われたとのことです」

 

 ヴァルキューレからの依頼をシャーレは受けた。

 なんでも、突然襲われて弾薬ばかり取られていくということらしい。

 他の地域からも同じような報告があり、集団が行なっている可能性が高いと考えられるため、シャーレとして動くことになった。

 なお、被害が一番少ない地域はゲヘナ地区である。

 不良集団の多いゲヘナでも被害が少ないことに疑問を持ちつつ、今回の事件についてまとめていく。

 

「最初の発生日時は……6日前。トリニティ地区です。以降は各地域に及んでいます」

「散発的に行われており、グループでの反抗と思われます」

「被害者の証言によると、服装が全て同じだそうです」

「特徴として、病人のような格好、だそうです」

「トリニティ地区ですと、悪魔のような羽と悪魔のような尻尾が見られています」

「ゲヘナですとカラスのようだったとのこと」

「他にも……」

 

 

 

 

「という訳です」

 

 実際にトリニティに来て、ナギサから直接情報をもらうことにした。

 

「それで、今回は誘い込みを行うつもりでいまして、先生の協力が必要でして……」

「それなら手伝うよ」

 

 紅茶を嗜みながらの会話は弾むことなく淡々と進んでいく。

 やはり、硬い。ミカとセイアはどこ……アイスブレイクが欲しいよ。

 

「これまでの被害から、不良生徒になりすまし、捕獲します。その際、戦闘が発生する可能性が高いため、先生には指揮をお願いします」

「……穏便に済ませられるよう頑張るけどね」

「えぇ。それが一番ですが、念のためです。そして、不良生徒役を呼んでいますので……」

 

 ナギサの口がその先を紡ぐ前に、ドアが叩かれた。

 

「どうぞ」

「お邪魔するっすー」

「ちょうど来ましたね。……正義実現委員会から2名呼んだつもりなのですが……」

「じゃじゃーん!!イチカ、登場っす!!」

「こ…こんにちは。先生」

 

 イチカとツルギ、そしてそれぞれを慕う生徒が数名……。

 

「このメンバーで、謎の生徒、“サタン”の捕獲をお願いします」

 

 

 

 

「先生。これ、不良っぽいっすか?」

「うーん……まぁ、そうなんじゃない?」

 

 変装するための小道具集めにモールに来てみたが……不良らしさというのは分かりにくい。

 

「……アー……」

 

 ツルギもツルギでマスクを見比べて悩んでいるようだ。

 

「………ツルギ先輩は服だけ変えても不良っぽく見えそうっすけどねー」

 

 イチカの意見に賛同だが、ツルギの名前は広く知れ渡ってはいる方で、顔も相手が知っている可能性がある。隠す方がいいだろう。

 

「ツルギ、こっちのもいいんじゃない?」

「……ー?ハッ……!?」

 

 ツルギに近づいたら驚いて突然どこかへと駆けて行った。速いなー……。

 

「………行っちゃったっすね」

「だね」

 

 人はそこまで多くはないけど正義実現委員会の制服はかなり目立つ。それなりの視線を集めるため、どこに向かったかもすぐに分かりそうだ。

 

「……ん?」

 

 少し遠くに、この場所なら見かけることがないものが見えた。

 

「先生?」

「ちょっと待ってて」

 

 アレはこのトリニティにいたら危ない。

 ゲヘナの生徒がここにいたら危ないにも程がある。

 まだ、ゲヘナへのイメージや印象は変わってないのに、なんで。

 

「ちょっと……キミ!!」

 

 声をかけてみようとするも、届かず。

 人混みの中に紛れていった。

 

「……どうしたんっすか?」

「……いや、なんでもない」

 

 大丈夫かな……大丈夫だといいけど。ここまで来れたのなら、問題はないのかな。

 

「とりあえず、これらで行こうかと思うっす」

「え、うん。レジに行こうか」

 

 

 

 

 

「ねーねー。君さぁー」

 

 ちょっとした買い物で近くのモールに来てみたが……外に出た途端、絡まれた。路地裏へと追い込まれて、壁を背に付けて対峙している。

 服装からすると、一般モブトリニティ生徒だな。

 

「ゲヘナの生徒だよねー」

「なんでここにいる訳?」

「…………」

 

 相手は2人。しかし、まだ手を出していない。

 狙うのは手を掛けた者のみ。そういう決まりだ。

 

「視界に蝿が入ってきたら、払い除けるでしょ?」

「そーいうことだから、消えてね」

 

 額に銃が突きつけられた。

 普通のスライド式の拳銃だ。セーフティーも外され、弾も込められているのだろう。しかし、慣れてはなさそうだ。

 モブのニヤついた顔を見ても、余裕があるように見えるが、その顔はいつまで持つかな?

 

「っ!?何笑ってんのよ!!」

 

 私の表情が気に入らないのか、激昂してさらに押しつけてくる。

 モブの指が動き、トリガーを引くが……。

 

「え!?な、なんで!?」

 

 一回撃てないだけで焦るモブ。

 

「っ!!邪魔よ!!」

 

 そして、拳銃のモブを押し除けて、アサルトライフルのモブが出てくる。

 でも君。まだトリガーに指かかってないよね?

 突きつけられた銃身を右手で掴み、モブに対して背を向けるように反時計回りに回るついでに銃を引っ張る。

 

「なっ!?」

 

 驚いている間に脇で銃を挟んで固定。マガジンを外して無力化。

 

「い"!?」

 

 あ。マガジンを外した時の勢いそのまま肘打ちをしてしまった……。ま、いいか。

 モブが後ろに下がろうとしたが私が足を踏んでしまっていたのか、転倒した。

 ふむ。あとは拳銃の方か。

 

「ヒッ……!?」

 

 ったく。睨んだだけでこれかよ。

 

「こんなことしといて、何もない訳ねぇよな?」

 

 拳銃のモブが地面にへたり込んだ。あーあー。折角の綺麗な制服が。

 

「んな怖いなら、最初からするなよ」

 

 アサルトライフルのマガジンから弾を抜き取っていく。

 こうしてでしか稼げないからなぁ……。

 

「………弱者からそうやって、奪い取って何が楽しいのよ……」

「あ?」

 

 へたり込んだ奴がなんかほざいてらぁ。

 

「っ!!そうやって!!自己満足して何が楽しいのって言ってんのよ!!」

 

「ざっけんなよ!!ガキが!!」

 

「ひっ……」

「人に喧嘩ふっかけといて、何が弱い者いじめは楽しいのかって?あ?テメェらが先に弱い者いじめしようとしたくせに被害者ヅラだ、あ?」

「だ、だってアンタはゲヘナの……」

「角付きだからってなんだよそれでいじめていいのか?弱いからっていじめていいのかよ?あ?それに、勝手にアタシを強者にしてっけど、アタシは弱いからこうやって抗ってんだろうが勝手に人のこと格付けすんじゃねーよ!!」

「っ!?ご、ごめんな」

「謝れば済むとでも思ってんのか!?そうやれば先生なら許してくれたかもな、先生なら!!」

「………」

「泣けば済むとでも思うなよお前がしたのは、何もしていない奴に拳を振り上げたんだその覚悟はできてるだろうな?」

「ち、ちが……ほんの出来心で……」

「なら2度としないと誓えよ。テメェはこれで学んだんだろ」

「は、はい……」

「ならいい。気をつけろよ」

 

 はー、かったるい。

 

 

 

 

 

「お疲れ様っす、先生」

 

 不良コスの道具を買い、モールを出た。

 ツルギも挙動不審になりながらもしっかりとついてきている。

 

「ん?少し騒がしいっすね」

「そ、そうだね」

 

 生徒達が少し集まっている所ができていた。

 

「ツルギ先輩」

「了解」

 

 表情を切り替えたツルギが即座に向かった。

 

「私も行く」

 

 生徒の壁を掻き分けて進んだ先は、路地裏だった。

 

「救護騎士団を呼んでくれ」

「は、はい!!」

 

 トリニティの生徒の2人がそこに居た。

 1人は倒れて気を失い、もう1人は地べたに座り込んで泣いている。

 空になったアサルトライフルのマガジンはあっても、空薬莢が全く落ちていない。

 

「何があったの?」

「えっ!?あ、あの、その……わ、わた、私が、悪いから……ほ、放っておい、て、くださ、い……」

 

 泣いてる子に何があったか聞こうとしたけど、上手く聞き出せなかった。

 

「あー……これ、サタンの仕業に似てるっすねー……」

「イチカはわかるの?」

「ほら、空のマガジンが落ちてるのに、発射された形跡が一切ないっす。これが特徴っすね」

 

 火薬の匂いもしてないっすーと言いながら路地裏の奥の方へと歩いていくイチカ。

 

「サタン……か……」

 

 作戦目標がすぐ近くまで来ていたのかもしれない。

 確か、サタンは不良生徒ばかり狙うと聞いたが……普通のトリニティ生徒も襲うとなれば、さっき見かけたあのゲヘナ生徒っぽい子も危ない。

 早く見つけ出さないと。

 

「そういえば先生」

「ん?なに?」

「あの保護した子はどうしたんっすか?」

 

 シカリのことか。

 

「シカリなら、ミレニアムに預けてるよ。義翼の製造をさせるついでにね」




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