ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜   作:名を失われた天使

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第3話 悪魔捕獲作戦

 

 

『イチカ、ツルギ、予定場所で待機完了っす』

「了解。近くで見てるけど、何かあったら、各自の判断で」

 

 夜の街外れ。トリニティ内の廃墟ビルの中。不良にとっては最高の溜まり場となる場所。そこの9階で捕獲作戦をすることにした。

 イチカとツルギは髪を束ねて、バツ印のついたマスク、へそ丸見えの丈の短いセーラー服、脛あたりまでの長さのロングスカートといういかにもよく見る不良生徒のふり。他の正義実現委員会のメンバーは、この場所を囲むような位置で隠れている。

 私もすぐ近くに隠れている。

 

『周囲に反応は無し』

 

 目標が来るまでの間、静けさがその場所を包む。

 

『………ハズレっすかね?』

『静かにしろ』

 

 あまりの静けさにイチカは少し声を出すが、それ以外は何も変わらない。

 

『…………』

『………』

「………」

 

 時刻は午後10時。そろそろ切り上げるかどうかの判断が必要だ。

 

「ツルギ、周囲に反応は?」

『一切ない……いや、あるな』

 

 ツルギの反応に周囲に緊張が走る。

 

『よく見ないと分からなかったが、そこの月が見えている窓。そこに少し影のゆらめきがある』

 

 ツルギが指定した場所を見ると、確かになぜか影がゆらめいている。

 

「ツルギ、誘い込める?」

『試してみます。イチカ、弾』

『了解っす』

 

 ピン、と弾を1発だけ床に落とした音が響く。

 相手はまだ動かない。

 

「ツルギ、イチカ。発砲許可」

『了解』

『了解っす』

 

 相手が動かないなら、こちらから動くまで。

 

『!?』

 

 影が大きく動いた。窓を蹴破ってビルの中に入ってくる。

 

『強引っすね』

 

 イチカの声と同時にその影の姿が露になった。

 先端が青色になっている黒い角。返しがなぜかついている尻尾。蝙蝠のような膜がある翼。そして、シカリが着ていた病人みたいな服。

 

「作戦開始」

『了解』

 

 

 

「キヒヒ」

 

 サタンを前にして少し興奮するツルギ先輩。

 サタンはサタンで動くことはなく、ただツルギの声が響く。

 

「よくもやってくれたっすねー。さっさと消えろっすー」

 

 不良らしく、不良らしく言葉を紡ぐ。

 

「…………」

 

 な、ななななんすかツルギ先輩!?なんでそんなに残念そうな目で見るんすか!?

 

「…………そうか」

 

 さ、サタンまで、なんでそんな哀れんだ目で見るんすか!?

 

「イチカにツルギ。何をやってるんだ?正義実現委員会の君たちが」

 

 ば、バレてるっす!?

 

 

「先生、ど、どうするっすか……?」

『んー……まぁ、とりあえず作戦通りに』

 

 作戦通りなら……。

 

「はー。こんなの相手にしてられっかよ」

 

 呆れたように頭を掻くサタン。

 

『今!!』

 

 先生の合図を切掛に全員が飛び出す。

 

「なっ!?」

「キヒヒヒッー!!」

 

 サタンは包囲されていることに驚いたのか、反応が鈍かった。

 ツルギ先輩が閃光手榴弾を投げた。

 えっと、サングラスは……額!!

 

「ちっ……」

 

 暗いっ!?夜だから余計に暗い!!

 

「ま、全く見えないっす……」

「はわわ……」

「いたっ……」

 

 透明なやつにすればよかったっすかね?

 ってあれ……?この足元に転がってるのは……。

 

「まぶしっ!?」

「…………」

「………すまん」

 

 グダグダすぎるっす……。

 

「ま、どうやらアタシを捕まえようってことみたいだが……」

 

 戻ってきた視界から、サタンが窓から飛び降りて逃げようとしてるところが見える。

 ダメ。折角の任務が。

 

「ま、待つっす……」

「んなボロボロの状態で慣れない服装でうまく行く訳ないだろ」

「うぐっ……痛いところ突いてくるっすね」

 

 なんとか足を止めれた!!ツルギ先輩、早く捕まえてくださいっす!!

 

「今度からは、不良をお前らのところに突きつけるわ。んじゃな」

「待って!!」

 

 

 

 

 

「待って!!」

 

 それは咄嗟の行動だった。隠れていないと危険な場所。いつ、相手が撃つのかわからない状況。膝が震えるけど、私がここに来たのは、こうやって止めることもできるから。

 

「………んだよ」

 

 サタンは窓の淵に掛けてた足を下ろしてくれた。

 ツルギに銃口を下げさせる。こういう場では、相手を挑発しない方がいい。

 

「せめて話だけでもさせてほしい」

 

 なぜこんなことをするのか。どこから来たのか。名前は。好きなことは。モモトークの交換もしないと。

 

「……………あー……そういやそうだったな……こうするよな、先生なら」

 

 何かを呟くサタン。この調子なら……!

 

「なんでこんなことしているんだい?」

「金のためだ。それ以外はない」

「どこから……」

「すまんな、先生。まだ、話をするには早えんだ」

 

 そう言ってサタンは窓から飛び降りた。

 急いで窓から下を覗き込んだが、そこにサタンはいなかった。

 

「任務失敗っす……」

 

 

 

 

「そうですか」

 

 ナギサに、サタン捕獲作戦が失敗したことを告げた。

 

「まぁ、そう易々と捕まっていたら、こうなってませんからね」

 

 どうやらナギサは失敗すると予想していたらしい。

 

「ですが、やはり先生がいてくださることで、会話が成立しました。先生がいないと何も言わずに逃げていくそうなので、これは可能性がありますね」

「そ、そうなんだ」

 

 先ほどからナギサが手にしている手紙に目が行く。

 

「?この手紙ですか?」

「う、うん」

「この手紙は、今朝、サタンから届いたものだと思われます」

「サタンから!?」

 

 サタンからの手紙!?なんで!?

 

「送り先が書いてないですけど……どうしますか?」

「中を見よう」

 

 サタンからの手紙だというものを受け取り、慎重に開ける。

 

『先日はすまないな。こちらにも色々と事情があるんだ。なんかあったら、このモモトークに連絡してくれ』

 

 と丁寧な字でURLも書かれていた。

 

「これは……」

「うん。昨日のことだろうね」

 

 さてと……モモトークに登録っと。

 

「先生。モモトークがわかったということはサタンの本当の名前もわかりますよね?教えていただけますか?」

「う、うん」

 

 アカウントの名前には、

 

『神田ミオ』

 

「この名前……」

 

 確か、行方不明のリストにあったものだ。

 行方不明者リストを開き、名前検索して詳細を確認する。

 

「神田ミオ。ヤハウェ中等学校在校生。学業、素行に問題はなく、ゲヘナ学園への編入も考えられていた生徒。12月某日から連絡が取れなくなった……」

 

 声に出して読み上げると沸々と実感してくる犯罪組織の存在。

 

「誘拐、人体実験……一体、何の為に」

「私たちには分かりかねます。先生、以降もサタンの、いえ、神田ミオさんの調査をお願いします」

「わかった」

 

 ナギサに別れの言葉を告げ、シャーレへと、いや、ミレニアムへと向かう。

 ヴェリタスが何してるか正直不安だ。変な機能つけたりしてないといいけど。




「翼とは本来飛び立つ為の存在だから、飛び立てるように推進装置をつけたんだ」

「目的は忘れないでね……」

「やぁやぁやぁ。みんなお揃いで」

次回、第4話 義翼と廃墟と穴1
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次回予告

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