ブルーアーカイブ〜からくり仕掛けのメシア編〜   作:名を失われた天使

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穴に意味はないです。穴に意味はないです。


第4話 義翼と廃墟と穴1

 

 

「………」

「あの……すまない、先生」

 

 ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部に頼むのは間違いだったのだろうか。

 壁に空いた幾つもの小さい穴。そして、笑顔のシカリ。銀色でデザインはまともそうな機械翼。

 また変な機能でもつけたのだろう。

 

「いや、今回はまともな機能だ」

 

 正座しているウタハ達を見つめたら、視線を逸らしながら弁明し始めた。

 

「翼とは、本来飛び立つ為の存在だから、飛び立てるように推進装置をつけたんだ」

「翼に推進装置なんてつけたらほぼロボットアニメじゃないですか!!だから、攻撃できるようにしてみたんです……」

「翼に仕込める武器を考えてたら色々と盛り上がっちゃって……」

 

 その結果が、壁に無数の穴。

 

「無線誘導遠距離狙撃兵器、通称ドラーグ。ドローンのようなプロペラ無しで飛ばすことができます。宇宙での戦闘も考えられていて、ウォーターカッターのように小型無放射能反応炉で生成、圧縮されたエネルギーを放出する為、弾道落下が生じない新たな遠距離武器にしてみました。弾頭を毎回付け直さなければいけないけど、弾頭無しでもこの威力がありました」

 

 理解できぬ。理解できぬ。理解できぬ。

 

「つまり、ファン○ル作ったってこと、かな?」

「ファ○ネルというものは何ですか、先生!?」

 

 そういえばここにはガン○ムないんだった。

 そんなことは今は関係ない。

 義翼をもう一度見る。単に金属の塊というわけではなく、武器としても使えるようにするのは間違ってはいない。翼も戦闘で使用する生徒は一定数存在していることからも、この機能は間違いないだろう。

 ただ、飛べるとは一体……人型で腰の位置にある翼で飛ぶことは難しく、滑空翼としてしか機能しないとは聞いたことがあるけど……。

 

「……それで、義翼の重さは?」

「43kg」

「シカリの歩行バランスは?」

「取れてないね。義翼が本来の翼よりも重くなってしまったようだ」

 

 本末転倒だ……。翼を持つ者にとって、翼はかなり重いもので、片翼がない場合、とてもバランスが悪い。

 シカリも当然バランスが取れず、歩く時は補助が必要な為、今は車椅子で移動している。

 

「ま、まぁ、本来の翼の方に装甲をつけたらバランスは取れるんじゃないかな……?」

「なら、その装甲は壊れないように硬くしましょう!!」

「なら、機械翼の方の材質も変えれば……」

「目的は忘れないでね……」

 

 多少の不安が残るものの、任せることにした。

 

 

 

「どうだった?」

「楽しかった!!」

 

 車椅子を押しながら、シカリと散歩をする。

 相当楽しかったのか、ミレニアムであった事を話してくれた。

 

「義翼はどうだった?」

「すごかった!!あれがいい!!」

 

 よりにもよってあれがいいのか……。

 

「そろそろ戻ろっか」

「うん!!」

 

 適度に時間を潰せたので、戻ることにした。次の予定もあることだし。

 

「ただいまー!!」

「ん、もうおかえりか……丁度、義翼と装甲の準備が終わったところだ」

 

 エンジニア部に言われていた製作室に入ると、シカリが元気に車椅子から飛び出して行った。

 

「さて、早速試してみようか」

「ちょっと予定あるからあとは頼むよ」

 

 

 

 

「お待たせ、ユウカ」

 

 セミナー室に入り、椅子に腰掛ける。

 

「はい、先生。こちらが被害報告書です」

 

 ユウカから渡された書類に目を通す。

 これは、あのサタン事件と似たものだ。

 

「まず、全体の被害とその傾向ですが……他の地域と一緒ですね」

「同じ、ね……」

「トリニティでの捕獲作戦は聞いています。正直、私達も同じような作戦で行きたいところですが……戦力が足りてません」

「やっぱり……」

 

 戦闘が得意そうな生徒は少なそうだから仕方ないね。

 

「先生、なにか良い手はありますか?」

「まぁ、あるっちゃあるけど……」

 

 使いたくないっていうか……。

 

「あるんですね!!よかったぁ……ここ最近、この件についての問い合わせが多くて、仕事が溜まってばかりなんですよね〜」

「え、あ……うん……ちょっと待ってて」

 

 モモトークを開いて、ミオに連絡を取る。

 

・[ちょっといいかな?]

[うわ、ほんとに来た……]

・[?]

[あー、こっちの話だから気にしないで]

[それで、なにかお困りごと?]

・「ミレニアムの辺りでの事件なんだけど、何か知らない?]

[知ってるけど言わない]

[手伝うこともしない。アイツに会うなら自分で会え]

・[そこをなんとか]

[………]

[ちょっと待て]

 

 モモトークの画面から顔を上げると、ユウカが画面を覗き込んできていた。

 

「今のがあの事件の犯人ですか?」

「まぁ、そうだね」

 

 ユウカの頬が若干膨らんでいるような気がする。

 そうだ!!試しに突けばわかるかもしれない!!

 

「な、何するんですか!?」

「い、いや……ごめん、そこに可愛い頬があったからつい……」

「もう……」

 

 ユウカを揶揄っていたら、モモトークに返信が来た。

 

[会いたいなら、この地点に行くといい]

[その代わり、金を送れ]

 

 ミオの返信と共にある地点にピンが刺してある地図が送られてきた。

 

・[どこに送金したらいい?]

[ここだ]

 

 指定された電子決済サービスに振り込み、ミオに感謝の言葉を送る。

 

・[ありがとう]

[でも気をつけろよ。まだアイツには何も言ってないからな]

 

 さてと……。

 

「アリスとネルを呼んできてくれる?」

「え、あ、はい!!」

 

 

 

 

「ということでこの5人で会いに行こうと思ってたんだけど……」

 

 呼んだ2人と私で行こうと思っていたけど……なんでモモイとかアスナまでいるかな!?

 

「いいじゃんいいじゃん先生!!今ネタ困ってるからネタ探しについて行くだけだから!!」

「そう言って、本当は先生と一緒にいたいだけじゃないの?お姉ちゃん」

「アリスは、仲間が増えてとても嬉しいです!!」

 

 うーん、アリスがいいならオッケーか……。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

 

 

 

「うわー……人の出入りの跡がめちゃくちゃ残ってる……」

 

 モモイがこぼした言葉の通り、足跡が複数残されている。不良ですら避ける廃墟にしては数が多い。

 

「本当にここを指定されたの?先生」

「そうだよ。この建物なんだけど……」

 

 廃墟の10階より上は崩れ落ち、指定されている13階には行けなくなっている。

 

「待て。動くな」

 

 ネルの指示に従い、足を止める。

 

「なんか嫌な予感がするね、ご主人様」

「足跡が上に続いています!!上で何かとエンカウントしそうです!!」

 

 皆がそこまで言うなら、止まるか。

 

「うーん……こっちからいい予感するかも」

 

 アスナが指したのは9階。

 

「上の方からとっても嫌な予感が近づいてる……?早く、ご主人様!!」

 

 アスナが急かしてくるが、教えられたのは13階だ。まぁ、ここからだと上にはいけないから、9階で他の上への道を探すとしよう。

 

「………あ?」

「どうしたの?ネル」

「………んー……いや、なんでもねぇ」

「そう?」

 

 

 

 

 

 先生は気が付いていなかったようだが、あたしは気が付いた。

 アスナの嫌な予感ってのは、確かにマズイものだった。

 足元のワイヤートラップ。そして、11階のところの階段に付着していた赤い色の何か。多分、血だ。

 他にも、壊されていた階段の破壊の向き。全部1箇所の方向から曲がっている手摺と鉄筋。爆破されたのだろう。

 位置的にも、嫌な予想ばかり上がってくる。あの階段を、何も知らずに登って、吹き飛ばされて、地下まで落とされたら……。下見ても何もなさそうだからいいが……。

 こんなところ指定するたぁ、よっぽど喧嘩売ってんだな。

 

「先s……」

 

 突然の暖風に驚いて声が出なくなる。

 窓は割れているが、風は吹いていない。それどころか、この時間に、暖かい風が吹くのか?吹かないだろう。エアコンは周囲には見当たらない。

 

「ん、どうしたの?ネル」

「いや、なんでもない」

 

 気にするほどでもないだろう。

 

 

 

 

 9階で稼働中のエレベーター見つけて、13階に上がる。

 エレベーターの扉が閉まる音が周囲に響く。

 

「どの部屋だろう……?」

「こういう時に、何かヒントとか欲しいよね」

 

 各々が周囲を警戒しながら、13階を周る。

 

「やぁやぁやぁ。みんなお揃いで」

 

 その声は、1つの部屋を覗き込んだ時、聞こえてきた。

 窓ガラスにテープが貼られ、暖房の効いた暖かい部屋。小さな卓上ライトのみが机を照らしている。その机に座っている少女が1人、銃口を覗きながら話しかけてきた。




「君がこの世界での先生か……」

「平和に解決できそうで良かったです!!」

「脱がないつもりなのね。2つ、注告しておくわ、先生」

「クエスト、失敗です……」

次回、第5話 義翼と廃墟と穴2
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次回予告

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