インフィニット・ストラトス-傷を持つ月-   作:成鐘 翔

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wahnsinnig Mond(狂気の月)

やぁ、弦月だ。

さて、今日は待ちに待ったリーグマッチ。

あいつは作りきれなかった物の、俺の愛機である幻月の調整も終わった。

一夏ペア以外なら勝算はある。

一夏は土壇場に強い、何をするかわからない、戦場であまり会いたくない相手だ。

シャルルもアセンブルモードに匹敵する速さで武器を取り出せる。

まぁ、こちらは軍隊所属の人間が一人と実戦経験の豊富な傭兵一人。

まぁ、負ける要素はないな、と対戦表を見る。

 

「って、うわぁ...」

「私は認めないぞ...織斑一夏...ッ!」

 

第一戦、一夏とデュノア...か。

暴走すんじゃねぇの?ラウラ。

古典的で堅実な組み合わせだよすごい厄介だよ。

...でも、ラウラだって一緒だ。

ラウラの装備は幻月と相性がかなり良いのだ。

...負ける要素は無いが...

 

「勝てる要素も、無い、か。」

「...行こうか、弦月。」

「あいよお姫様。」

「お、お姫様ゆうなぁ!」

 

顔は恥ずかしそうにはにかんでますよ可愛いぜ。

ラウラの笑顔も見たしいっちょがんばりますかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

「ラウラ&弦月チーム、入場してください!」

キィイン!という音がなり、ラウラのIS、シュヴァルツェア・レーゲンが降りてくる。

その黒い機体が地面に足をつけると同時、白い機体が自由落下をしてきた。

ズドン!という大きな音と振動。

選手の安否を心配する声があったが、それはすぐに息を呑む仕草に消えた。

土煙の中から、赤い複数の目が光る。

それを振り払うように両腕に持ったアサルトライフルを振るった。

 

「幻月、作戦エリアに突入完了。」

『戦闘モード、起動。全システムオールグリーン。

何時でも行けます。』

 

数々の人間が見守る中、試合のゴングがなった。

「「叩きのめす!」」

声と共に一夏はこちらに飛び込んできた。

俺は一夏にアサルトライフルを連射しながら接近する。

 

「おっしゃぁ!」

「うお!?」

 

一夏に肉薄する瞬間、背中にある箱のようなスラスターがばぐん!と音を

鳴らして開く、それに一瞬怯む一夏。

そのまま右側に収納されている大型の剣、「天獄」を左手で振るう。

それはisでも二機分の大きさがあるのだ。

知識のあるものならツヴァイヘンダーなる特大剣を想像してもらおう。

その白銀の刃が凄まじい勢いで白式に叩きつけられる。

その衝撃で仰け反った一夏に対して左側に収納されている大型の刀、「空汲」を

右手で叩きつける、がそれは俺が体制を崩して終わった。

 

「っち、はずーーー!?」

「隙だらけだよ!」

 

盾殺し(シールド・ピアース)!?

槍の先端と腕が一体になったような武器が突き刺さる。

すぐさまQBで離脱した物の、一夏が一撃を入れてきた。

零落白夜、isの中でもトップクラスの一撃だ。

シールドエネルギーがすぐさま削れる。

ラウラも盾殺しを連続で打ち込まれていた。

 

「ッ!打開策は、あるッ!」

 

右足からワイヤーブレードを射出し、シャルロットに括り付ける。

足を動かし、ラファールの体制を傾かせ、そのままワイヤーを巻いた。

俺は地面を滑る形で白式から素早く離れていく。

ラファールは途中でこちらに引っ張られてきた。

 

「詰めが甘かったな!」

 

空汲を振るい、ラファールのシールドエネルギーを削る。

そしてラウラの隣に滑り込んだ瞬間、視界が閃光で染まった。

 

「うぐぉ!?」

 

踏んだ地面が爆発し、シールドエネルギーを削られる。

それに、ワイヤーが巻き付いてきやがるッ!?

クソ、シャルロットの仕掛けたトラップか!

空月でワイヤーを切ろうとした瞬間。

一夏が攻め込んできやがるッ!くそ、ワイヤーを斬る時間がねぇ!

アサルトアーマーを使おうとする瞬間、一夏が目を光らせる。

 

「もうわかってるぜ!ソイツの弱点は!」

「な、ぉおおおッ!」

 

一夏が空風現月で連続斬りをしてくる。

ッツ!アサルトアーマーの分、回復してやがる!

くそ!このまま放射するしかーーーー

 

「そして!体制を崩せば!」

「しまっ-----」

「アサルトアーマーは解除される!」

 

アサルトアーマーの欠点。

それは使用者が体制を崩されることだ。

体制が崩れると、エネルギーが散ってしまう。

そして、俺は動けない。

っち、ラウラ、すまん、俺は先に落ちーーーー

 

 

 

「うぁあああああああああッ!」

「「!?」」

「ラウラ!?」

 

全員の動きが止まった。

強引にワイヤーを千切り、ラウラの方を見る。

ラウラが、黒色の何かに呑まれていく。

俺は咄嗟に手を出した。

 

「ラウラぁ!」

「弦月ぅ!」

 

伸ばされた腕はすぐさま飲み込まれ、ラウラは完全に見えなくなる。

 

...なんだよそれ。

アイツが何をした?なんで理不尽に苛まれた彼女がこんな目に遭う?

沸々と、沸き上がる怒り。

自分の中の感情が書き換わる。

 

(システムモード、フォル・モーント。)

「戦闘モード、起動。」

 

.....

...

もう、知らん。

 

「くっ!あぅあ!」

「一夏!」

 

一夏が吹っ飛んできたが知らん。

眼帯を掴み、外す。

機体はブリュンヒルデ?知らん。

世界最強?なら俺は最凶だ。

一夏がやるべきこと?俺は「山猫」だ。

獲物はかっさらってでも潰す。

 

「一夏、邪魔だ。」

「な、なんだと!?てめぇもう一回いって

「もう一度だけいう、邪魔だ。」

 

一夏を本気で睨む。

今の俺は加減が出来ない。

アイツを持ち出すことになるとはな。

いつの間にか持っていた大きな剣。

その剣は漆黒に金の刃を持っていた。

その剣を居合いの感覚で腰に添える。

瞬間、刀身は赤黒く、刃は完全に真っ赤に染まっていた。

それに反応した餌は哀れにも切りかかる。

その瞬間、勝負は決まっていた。

縦に一筋の赤い光が立ち上る。

ブリュンヒルデの紛い物は縦に両断され、その中からラウラが抜け落ちる。

倒れてきたラウラを受け止め、右目を包帯で巻いた。

それに対して滲む赤い物。

時間切れだ。

体から力が抜けていき、右目から血がにじむ。

モード・フォル・モーント、通称満月。

それは俺の右目に埋め込まれたナノマシンを使い、体のリミッターを外して起こる

戦闘のみ考慮された戦力向上システムだ。

元々機械への適性を高めていたこの目にナノマシンを埋め込み、任意で発動させる

事で人間が本来だせない力まで引き出すことが出来る。

その代わり起動に数秒だけ時間が掛かるし、起動した瞬間は体の制御

どころか意識すら無くなる、それに起動が終了して三分、右目から血が出て、

体にリンクさせる物は使えなくなるのだ。

isも強制パージされる。

 

「お前は、どうして強いんだ?」

 

ラウラが聞く。

俺...は、強くはない。

この呪いに頼らないと誰も救えない人間だ。

言い返した。

でも、と一言付け加える。

 

「俺は幸運の月でいたい。」

 

最後に付け加えた。

自分がどうありたいか、が問題じゃないか?後は自分で見つけろ、と。

 

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