魔法最強のゲーム世界に転生したけど、居合しかできない! 作:削り板
暗い鬱屈とした森の中をただただ進んでいく。
木々の厚い葉に守られて、雨で体が濡れることはない。
周囲に気を配っているのか、それとも他に何か理由があるのか赤手さんは一言も発さずに自分の前をただ歩き続けている。
(俺も周囲を警戒しておくか?いや、赤手さんが気づかなかったら多分俺も気づかないだろうからいいや。それよりもまずはこれまでの問答を整理しておこう)
(まず赤手さんからの情報に関しては、多分大体は本当のことを言ってると考えていい....と思う。気絶する前は気づかなかったけど、この辺りに生えてる木は葉の厚さからして多分*1
(それに赤手さんが本当の事を言ってるなら赤手さん自身もかなり信用できるようになってきて、一連の異変についての原因も絞れてくる。………自分の命の恩人を疑ってばかりいるのは気持ちがよくないしな)
(でもこの一連の異変に赤手さんは関係ないとすれば、俺の急成長やワープ関係で怪しくなるのは父さんとこの指「気をつけて!今から魔物がこっちに来る。私だけで倒せるだろうけど、今は何が起こるかは分からないから」
「!分かった、自分の事は自分で護るから赤手さんは倒すことに集中して」
とは言うものの辺りには白狼と戦った時よりも木が茂っており、刀を安易に振り回せるような場所ではない。近くに赤手さんがいることも居合のし辛さに拍車を掛けている。
(やっべー何かしら考えないと魔物の強さによっては大変なことになるぞ、どうしようどうしよう)
そう考え始めても急に何かを思いつく訳もなく、瞬く間に弾けるような足音が聞こえて来た。
自分が戦った白狼とは違う力強い足音だ、おそらく強さも数段上だろう。
(あぁやばい!何も思いつかん!もうちょっとで来る、来る、来た!!)
自分達の前から飛び出してきたのは、黒い毛を持つ獣だった。
凄まじい速さで出てきた為細かい部分は見られないが自分より強いであろうことは確かだ。
その黒獣は飛び出してきた勢いのまま、目の前にいた赤手さんに噛みつこうとし
パァァァァン
「え?」
爆ぜた。
いや正確には口から尾までが何かに貫かれ、その威力があまりに強大だった為爆ぜたように見えたのだ。
「思っていたより弱かったね。まぁこの程度の魔物しか出ないなら何か異常を警戒しすぎることもないかな」
(うぉぉ!すげぇ、魔法か何かを使ったのか?もしくは単純に高ステータスで父さんみたいに疾く動いたのか?聞きたいけど....そんな簡単に手の内は明かさないよなぁ。…いやでも聞いてみるか?うーん....)
「……そういえば一つだけ、一度だけ伝えておくことがある」
「何?」
「別に自慢じゃないんだが
(……つまり脅し、だよな。『魔物がいようとお前のことは警戒しているし、逃がしはしないぞ』っていう.....怖いなぁ。結構信用されてるかと思ってたけど、優しげなフリしてたってことか。言ってることがどこまで本当か分からないし、そんなつもりも無いけどこの人から逃げるのは至難の業だろうな)
「分かってる、元々逃げようなんて思ってないし逃げる意味もない。心配しなくても俺はどうもできないよ。弱いし」
「別に逃亡を咎めるつもりは無かったけど....まぁとりあえず進もうか」
赤手さんはそう言い、また2人で森林の中を歩き始めた。
少し遠くから聞こえてくるパァン、パァンという音と、よく見ると赤いシミがある木が多くて怖かったのは内緒の話としておこう。
「ふむ、そろそろ着く頃だね」
魔物と遭遇した後も歩き続けて、おそらく30分ほどたった頃に赤手さんがそう切り出した。
「とりあえず着いたら君はそこで待機してもらうことになる。
(聖域管理使徒?……あぁあれか?御神山の頂上付近を守ってる人達だったかな、ちょっと前に赤手さんも大切な所には他の人がいるとか言ってたような気がする。原作じゃ
「…どうしたんだい、苦虫を噛み潰したような顔をして。もしや聖域管理使徒に何か思うところでも?」
自分が何かを考えていた間に対して不信感を持ったのか、嫌な事を思い出したのを察知したのか赤手さんはこちらに向き直り、真正面からこちらの内面を探ろうとしてくる。
「…聖域管理使徒って何?初めて聞いた。ちょっと嫌な顔をしたのは、俺も武家の子だからさ拘束されて鍛錬できなくなるのが嫌だっただけだよ」
(確かあんまり公表するような組織じゃなかったから知らなくても筋を通ってるはず.....なんか俺嘘つくのが早くて上手になった感じがしてちょっと嫌だなぁ)
「ふーん.....まぁそういうことなら、私が見ている範囲なら鍛錬くらいはさせてあげるよ」
(ふぅ、一応疑いは晴れたっぽいな。森に出てから赤手さんがより疑り深くなってて面倒だけどしゃあないか。これからも騙し騙しいこう)
再び前を向きなおり、赤手さんは歩きだす。
どこにあるのかは分からないがもう少しで着くらしい。歩くのは簡単だが、考えることは山積みだ。
まず、これから先の聖域管理使徒との問答について考え始めたその矢先背後から
(ん?な、何だこの感じもしかして後ろに、
とても微弱で朧げな気配。しかしいる。かなり近い距離にいる。そんな確信があるのだ
(振り向くか?もしかしたら何かしらの魔物かも.....いや、赤手さんはこっちを振り向いてない。ということは赤手さんは認識できていない?なら恐らく特殊な事が今間違いなく起きてる!やばいな、どうする!どうする!)
肌を撫でる嫌な気配。気配の主はもう自分の真後ろにいるのだろう。
にも関わらず自分はまだ気配を言語化すら出来ずにいる。
(ふぅ、少し冷静になろう.....まず俺が感じている気配は何だ?違和感.....これもあるけど多分違う。恐怖か?.....いや近いけど多分ちょっとだけ何かずれている。何だこの感覚は?)
その瞬間脳裏に蘇ったのは
父に一度殺されかけたあの時のこと。
与えられたあの感情。
あの、絶望。
(まさか!まさか!そんなはずが!)
思いをこめて振り向く。
そこには
「カカカッ」
妖しく嗤う黒鎧の鬼面がいた。
設定資料集③
世界の大陸について
この世界には大きく分けて7つの大陸があり、それに付随する小さな島国で7大陸が構成されている。
大陸ごとに特色があり、他大陸と関係をもつ所とあればもたない所もある。大和は珍しく大陸ないでも国が複数ある大陸である。
評価、感想は必要ないのでビブリア古書堂の事件手帖を全巻買って下さい