魔法最強のゲーム世界に転生したけど、居合しかできない!   作:削り板

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転機 参

 

「俺は、お前の父から受け継いだ()()()()()()()だ」

 

 

(父の関係者か!!?)

 

「ーーってことは!この一連の騒動について説明出来るんだな!?俺は今どうなってるんだ!この体は!?説明しろ!」

 

「…落ち着ケ、全ての事を同時に話すことは出来なイ。細かい事情は後で説明してやル。分かったナ?」

 

 

「………分かったよ」

 

 

(確かに今の俺は冷静さを欠いていた、相手を理解していないのに荒い言葉を使ってしまった。逆上される可能性もあったし危なかった、そこは反省しよう。だけど今は会話に思考を割くべきだ。いつ追っ手が来るか分からない今はとにかく多くの情報を引き出しておきたいからな)

 

 

「じゃあ聞きたいこ「ちょっと待テ」

 

「…?」

 

 

「これから俺たちは行動を共にすル。だからお前に伝えておくことが二ツ、守ってもらう決まりが二ツあル」

 

「まず俺の目的はお前が命を失うことなく尚且つ強くなるように育てることダ少なくともあの女を倒せるようにはなってもらうゾ。…そしてこれは()()()()()()()()()ダ。それを伝えておく、必死に強くなれヨ?」

 

 

「父からの願いってどうゆ「オイオイ、喋ってる途中だろうガ。礼儀がなってない奴だナ、人の話は最後まで聞くもんだゼ?」

 

「………」

 

「まぁいイ、話を続けるゾ。お前に守ってもらう二つの決まり。一つ目は決して言い訳をしないことダ」

「これから俺はお前を何度も鍛えるがその度に才能が無いとカ、死んでしまうとかピーピーピーピー喚かれたら殺したくなっちまウ」

 

「いくら弱かったとしてもそれをどうにかする為に鍛錬をシ、差を埋めるために武術があル。お前も父からそう教わっただロ?」

 

「……はい」

 

「よし、なら決まりを破るごとにぶん殴ってやるからナ。覚悟しとケ」

 

「えぇ!?」

 

「文句を言うナ!二つめの決まりを破ってもぶん殴るからナ!」

 

「えぇ....じゃ二つめの決まりはなんですか?」

 

 

 

 

()()()()()()()()()()、例えお前が死にかけたとしてもダ」

 

 

 

「ーーっ」

 

(この人は俺を二度と助けない、そう言ってるんだ)

 

「でも俺が命を失うことなく強くするのが目的なんじゃ」

 

 

 

「確かにそうだナ。だが、何も失わずに得られるものなどあるのカ?怪我一つない体をお前は誇るのカ?限界を越えて足掻かなければ成長なんて無イ。それは誰にだって平等にいえることダ。お前も()()は知っているだろウ」

 

 

「………」

 

 

(………多分この人は経験から言ってるんだろう。厳しいけど正しい、艱難辛苦を重ねてきた人しか吐けない言葉だ...)

 

(俺も、覚悟が必要か)

 

 

「ーー分かりました。その二つの決まり、必ず守って強くなってみせます」

 

 

体中に力を込めてそう言った。その時般若の口角が心なしか上がっているように見えた。………気のせいかもしれないが。

 

 

「よし、じゃあこれから場所を移すガ、かなり時間がかかるからナ。その間に事情を説明してやろウ。何から聴きたイ?」

 

「じゃあまずは何で俺の体がこんなに急成長したのか教えてくださいよ」

 

「いいゾ、だがそれだけ説明しても良く分からんだろうかラ、順序立てて説明してやる。ちょっと待ってろヨ。順番を考えるからナ」

 

 

(なんか.....この人からフランクというか、親しみやすいというか、優しい感じが出てきたな。多分良い人なんだろうな、まぁまだ出会ったばかりだからどうとも言えないけど)

(………赤手さんも多分良い人だったし、また会えるなら会いたいな)

 

 

降りしきる雨は以前止む気配を見せないが、それでも同じ水が流れている訳ではない。

 

状況は常に変わり続けるものなのだ。

 

黒い空の彼方に一筋の光が見えたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....くぅっ...」

 

一方、地に蹲ったまま動けずにいる者がいた。周囲には幾つもの切り裂かれたような痕跡と、一つの大きなクレーターがあった。

 

(やられた!あの般若は魔法を放つ瞬間を狙っていたんだろう。放った瞬間後ろをとられて倒された!恐らくステータスも向こうが上、そして何よりも私のことを見透かしているようだった...!)

 

 

『…お前には闘う者としての()()()()()が欠けているナ。ふん、恐れを持った狼など何も怖くなイ。…命を取らないことに感謝して生きていくんだナ』

 

 

(そう言い捨てて奴は去った。………確かに私には恐れていることがある。それが怖くて充分に戦えていないことも分かっているんだ。でも、でも!それは......)

 

「おっとぉ、いたよぉ永馬(えいま)くん」

 

「……そのようだな」

 

「!?」

 

紡いでいた思考の先は、茂みから出てきた二人組に奪われる。

 

(誰だ?この二人の男女は?……いや、よく見ると体に身につけているあの装身具はまさか)

 

「おっと気づいたようだねぇ。そうさ私達は()()()()使()()だよ。いわば君らを束ねている存在さ」

 

「!そうでしたか。そうとは気づかず無礼を働いてしまい申し訳ございません」

 

ダメージを負った体を動かして、相手にひざまづくような体勢をとる。

 

「あぁ別にそういうのはいいんだよ。私達は君から侵入者の報告を聞いて来ただけだからね。…ただ、見た限りだと逃がしてしまったようだねぇ」

 

「ーーっ!も、申し訳ありません。如何なる処分でもお受け致しま「あぁ別にそういうのもいいんだよ。その言葉が量刑に影響することはないからねぇ」

 

「とりあえず私は侵入者を追うから、処罰は永馬くんに決めてもらうといいよ」

 

そう言って女はその身を華麗に翻し、木を蹴って空に踊り出た。

おそらくスキルを使って追うつもりだろう。

十字架に流水の紋様が重なった装身具が、雨空に閃き、やがて姿を消した

 

 

「………人には水神様から与えられた役目が必ずある。裂音(さくね)は侵入者を捉えるのが役目。俺の役目はお前を裁くことだ。そうだな?」

 

「は、はい」

 

「お前には定められた山域を管理し、事故が起こればそれを報告、対処できる者がくるまで耐えるという役目があった。そうだな?」

 

「その通りでございます」

 

「ならば役目を果たせなかったお前を、恐れ多くも水神様の代理人として俺が裁く」

 

「お前に与える刑は()()()。侵入者、あるいは侵入者が()()()()()()を必ず殺すことだ」

 

「ーーっ!い、いやあの子供は関係無いのでは!?」

 

「お前は水神様の代理判決に異議があるのか?もしあるのなら申し立てるが良い。最も重い罪として即刻首を落としてやろう」

 

「……………いえ、ございません」

 

「ならばお前も回復し次第追うといい。刑を遂行できなければ死ぬのはお前なのだからな」

 

 

そう言うとこちらに背中を向け、出てきた茂みの方へと姿を消した。

その姿を見届けた後も、赤手は暫く俯いたまま動かずにただ虚な目で地面を見つめていた。

 




赤手 狩理の秘密②
実は肉より野菜をよく食べる。


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