魔法最強のゲーム世界に転生したけど、居合しかできない! 作:削り板
「お、起きてたのか。父さんが見舞いに来てやったぞ」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
(心の中で)叫んでる時に急にくるな!!!
「な、な、何?何をしに来たの?」
考え事をしていた為、ノックの音やドアの開閉音に気づかなかった。動揺と驚きを隠そうとして咄嗟に発言するが、上手くいかずに少しどもってしまう。
「?何をそんなに驚いてるかは知らないが、お前の容態を見に来ただけだぞ。その様子を見るともうかなり治ってるだろうから安心したよ」
「あぁ、まだ体は痛むけど確かにもう大怪我は残ってないよ。.....まだ体は痛むけどね!」
とりあえず変な事をしに来たのでは無いことに安堵するが、安心している顔でこちらを見てくるのでちょっとした意趣返しのつもりで体の痛みを強調してみる。
「まぁ痛みはそのうちとれるだろ、俺もそうだった」
「それにしてもお前は治るのが本当早いなぁ。やはりその辺りは才能も関係あるんだろうが。俺がこの修行を初めてやってボコボコにされた時は、確か7日間は意識がなかったぞ」
自分の嫌味に対して気付きもしない様子で話を進めて行くことに少し不満を感じるが、その後に言った言葉に違和感を覚える。
「えぇ!?父さんが7日間も意識無かったの?あの父さんが?」
「あぁ、本当だぞ。俺の時は兄弟子にしごいてもらったんだが、あれは今思い出しても中々楽しいものだったな。臓器を幾つか貫かれたから、多分体の機能を回復する為に脳が意識を落としていたんだろう。だから7日間は気絶してたんだろうな。でもお前も俺とはそんなに変わらない傷は負ってたぞ」
「えぇ.....やば」
あんな狂気の沙汰の修行もどきを楽しいと言い切ってしまうことと、臓器を貫かれたことをサラッと流したこと、ついでに自分の容態にもドン引きして、思わず素の口調が出てしまった。
「そ、そういえば今はあれが終わってから何日くらいなの?」
「修行があったのが朝で、今が深夜だから...まぁ大体2日と半日ってところじゃないか?」
「あぁ、なるほどそんなものか。結構短いなぁ.....いやまぁ長くはあるんだけど」
前世ならかなり危篤な状況だろう日数を伝えられてもあまり動揺しなかったのは、多分自分がこれまでなんどもここに来てすっかり慣れてしまぅたからだろう。
それが良いことかなのかはたまたそうで無いかは一旦考えないことにして。
「そういえばお前レベルは今どの位だ?あの修行でレベルも結構上がっただろう?基本的には10まで上がっていたら免許皆伝はできるんだがどんな感じでステータスが上がっているかも教えてくれ」
「かなり上がって14レベル位になったから、まぁ10は超えてるね。あと全体的にステータスは上がってて体力とスキルが結構伸びてるかな。運もそこそこ伸びてってるよ」
「おっ、そうか。かなり伸びるのが早いじゃないか、その調子で行くとすぐに俺も超えそうだな。もう一度挑みに来るのを待ってるからな、早く強くなって超えていってくれよ」
嬉しそうに俺を超えるだとか言っているが、そんなは無理だ化け物、あれだけ手加減をしておいて何をいってるんだとこっそり心の中で毒づく。
が自分は家族にステータスを偽っているという申し訳なさが心の中に確かにあった為心の中で罵倒するのはやめにした。
(別に隠すものでも無いのかもしれないけど、原作に数値がマイナスのキャラっていなかったしなぁ。これが転生したからなのかそれとも他に理由があるのかも分からないし、バレたら何か起こるかもしれないしあんまりいえないよなぁ。そりゃあ父さんとかはそれで何かしてくることはないだろうけどやっぱりちょっと怖いよなぁ)
そんな風にステータスについて考えていると、父さんが再び話しかけてくる。
「じゃあなるべくこういうのは早くした方がいいし今から免許皆伝をするか。そうだな、そうしよう。お前にとってもそれが楽だろうしな。そうだろ?」
「えっ、あぁまぁそうだね」
有無を言わさない口調で半ば無理矢理頷くことになったが、お構いなしと
ばかりに父は話を続ける。
「よし、じゃあ俺の部屋で行うことにするか。2人だけでやるし、別に堅苦しいやつじゃないから緊張しなくていいぞ。さぁ行くぞ」
「あっ、ちょっと待っ!」
焦って父を追いかけようとするが、急に動いたからか満足に体が動かせずベッドから落ちてしまう。本来なら落ちても大したことは無いが、ボロボロの状態で頭からだと話が変わってくる。
(あっ、これまずいかもっ.....)
最悪の場合を思い浮かべてしまい、咄嗟に目をギュッと瞑る。
だが、来るはずの衝撃は体に訪れなかった。
目を開けて何があったのかを確認する。
「だ、大丈夫か!?怪我は?怪我は無いか!?あぁどうすればいいんだ!治癒魔法が必要か!?い、今すぐ魔法使いを呼んできてやるからな!」
目を開けると自分を抱き抱えたまま異常に焦っている父の姿が映った。それは誰がどう見ても正気を失っていると判断するであろう焦り様であった。
(なんでこんなに焦ってるんだ?自分ではあれだけボコボコにしたのにベッドから落ちた位で動揺しすぎじゃ無いか?まぁとりあえず返事はした方がいいか)
「僕は大丈夫だよ父さん。父さんが受け止めてくれたおかげで怪我もしてないから。」
「あぁ、あぁそうか。そうか.....それは良かった....」
(あれだけ強いのになんでこんなのに焦ったんだ?もしかしたら何かトラウマでもあるのか?あれだけボコっといて息子が死ぬ程大事なんてこともないだろうし。.....まぁいいか、別に詮索するようなことじゃないし)
父のあまりの焦り様に何か理由があるのだろうと考えたが、詮索するべきじゃないだろうとすぐに考え直し、元の話へと思考を切り替える。
「それよりも父さん、早く父さんの部屋に行こうよ。それに俺はもう大丈夫だから降ろしてくれていいんだよ?」
(流石にこのままお姫様抱っこは恥ずかしいしな)
前世を合わせたらかなりの年齢なので、流石に恥ずかしいなどと考えながらも、すっかり落ち着いた様子の父へと再び話しかけた。
「あぁ...お前が無事なら良いんだ、俺の部屋に行こうじゃないか。でもお前を降ろすのは無理だな。また怪我をしそうになるかもしれないからな、このまま連れていかせてもらうぞ」
「えぇ!ちょ、ちょっと父さん!降ろしてよ!恥ずかしいんだけど!」
そんな願いは勿論聞き届けられることはなく、そのまま父の部屋へと運ばれて行った。
運んでいる時の父の顔が若干楽しそうだったのは多分自分の気のせいだろう。
父さんはケンガンの繋がる者を若干モチーフにしてます。
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