夜の旅路は、いつだって旅人に厳しい。
ギラギラと目を光らせる夜行性のモンスターや、虎視眈々とこちらを狙う野党達。
そして何よりも耐え難いのが──
「ううう、お腹が空いた……。あったかくてスパイスのよく効いた焼き鳥が食べたい……」
「だから僕はあの時言ったのにゃ。ちゃんと節約しろって」
「あの屋台の焼き鳥が絶品だったから……ああ、思い出したらさらにお腹が空いてきた」
──空腹である。
くらまーれとその相棒、猫であるタマは旅を続けている。
あちらこちらの国へと出歩く、この世界の旅人だ。
寒々しい風と、星がよく見える夜空の下。
ぱちぱちと鳴る焚き火に手を添えながら、くらまーれは今までいた町で聞いた話を思い出した。
「そう言えば、これから向かう地域は4カ国内で同盟が結ばれたそうだよ」
「同盟というと、その4カ国がどこかを攻めるということかにゃ?」
「いいや、聞いたところによると4カ国間での戦争の禁止と、同盟内の国が攻撃された時の為の戦力供与だったかな。確か、元々水面下で停戦協定は結んでいたけれど、4カ国間での交流はなかったとか」
「人間もたまにはマシな同盟を組むにゃ」
「タマは辛辣だなぁ。まあ、少なくともしばらくは平和ってことだよ」
西方の大陸で作られた「神聖レストランド同盟」は4カ国内での平和維持を目的として表明された。参加国は「リリオール聖典教国」「デバフ教国」「休憩所」「祭事国家デコンポポ」の4カ国。
そして、彼らの領土内である西方大陸を「レストランド大陸」と命名した。
その同盟宣言自体がつい先日の出来事であり、くらまーれは久しぶりの平穏な旅の予感に少しホッとしていた。
「油断はするにゃよ。くらまーれが行くところは大抵ろくなことが起こらなにゃい」
「僕をトラブルメーカーみたいに言わないでくれよ。僕だって不穏な旅は望んでない。……それよりも見てくれ、そろそろ夜が明けるよ」
焚き火は役目を失ったかのように、がさりと崩れて鎮火した。
草葉についた結露が、出てきたばかりの朝日に触れて輝きだす。
暖かい風が緑色のローブと長くて黒いヒゲを撫でて、優しく消えていく。
太陽の光を背に、くらまーれはオレンジピンクの髪をたなびかせながら立ち上がる。
そして、一本に伸びる旅路を指差してこう言った。
「それじゃあ行こうか、タマ。神聖レストランド同盟が一国、物語と百合の国である「リリオール聖典教国」へ」
タマは一度目を閉じて、ゆっくりとくらまーれに寄り添った。
「あ、今お腹が鳴った」
「締まらないにゃぁ」
今作に出てくるキャラクターは名前が付いているものは全て人様のキャラクターをお借りしています。
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