燃え盛るような夏の日差し、その日差しに負けない様な熱狂を帯びる場所、中山レース場、そこを走るウマ娘の少女達とその姿を見て一喜一憂する人達
実況「一着はキタサンブラック、一着はキタサンブラックです!!」
実況者の叫びが響く中、その姿を客席の更に後方で車椅子に乗り見ている1人のウマ娘の少女、髪は白く瞳は青、顔も美形と言って申し分無い綺麗な顔立ちをしておりアイドルや女優をやっていると言われても誰も疑わないだろう
彼女の顔に残る傷跡とボロボロの右耳、そしてそこにある筈の、無くなった両足を除けば
???「………………おめでとうキタサン、良かったね」
少女はそう言い残し中山レース場を去った
私の名前はワンダーティラー、転生者だ、と言っても前世で覚えてることなんて今と同じ女だった事と前世でのゲームや歌等の娯楽くらいだ、何で娯楽だけ何だろう?、まぁ、良いか、神様に会った覚えはないし死んだ覚えもない、ただ気付けばウマ耳がある幼女になってた、こう言う子をウマ娘って言うらしい、ウマ娘はレースに出て活躍する子が多いんだって、だから私も出てみた、幸い才能と多分だけど転生特典的な物もあった、ウマ娘の強さが数値やランクで見える力
ワンダー「他の同年代の子が良くてFなのに私だけ全ランクDスタートとか、何これ?、多分、凄いんだよね?」
私自身も鏡越しで見れば自分の強さも見えた
その力を使ってチビッ子レース大会で何回も勝って、気付けば神童やとか天才何て呼ばれた
新しい家族とご飯を食べて友達も作って、って言っても2人だけだけど、それなりに幸せでそれなりに楽しかった、ずっとこんな生活が続くと私も思ってた
それでそのままトレセン学園って所に入学するために面談を受けた、その帰り
キタサン「あ!!、ワンちゃんお帰り!!、どうだった?トレセンの面談の手応え!!」
ワンダー「ただいまキタサン、後ワンちゃんはやめて、私は犬じゃないっていつも言ってるでしょ、面談はまぁ、別に普通の事言って普通に終わったよ、そっちこそ、面談ちゃんと出来たの?」
キタサン「うん!!、後はダイヤちゃんか~、まぁ、ダイヤちゃんなら大丈夫か」
ワンダー「あの子はお嬢様だからね、話とか何とかは淑女の嗜みって教わってるでしょ」
ダイヤ「ごめ~ん2人ともお待たせ~!!、帰ろっか」
2人友達とちょっと特別な日常を送って、終わり、その筈だった
キタサン「皆でトレセンに入れると良いな~、早くテイオーさんと、何より2人と一緒に走りたいな~」
ダイヤ「私も早くマックイーンさんと、2人と走りたい」
ワンダー「私は、何時も通りの日常が送れれば良いかな~」
キタサン「ええ~!!、3人でレースで走ろうとか無いの!?」
ワンダー「無いね、でも、まぁ、それも楽しいかもね」
2人と談笑しながら歩いていると横断歩道に差し掛かった時、ふと小学生位のウマ娘の子とその母親らしき女性が横断歩道越しに手を振り合っていた、信号も青に変わり子供が母親の元へ走り出した
ああ、何か良いな、ああ言うの
そう思いながら何となく少女を目で追う、そして母親もその場に屈み手を広げ子を抱き締めるそう思い始めた時
ププーーーーー!!!!
遠くからクラクションを鳴らしながらスピードを上げ進む1台の軽自動車が目に写り、それは親子に向かって突っ込んでいった
ワンダー「ッ!!!!」
ドンッ!!!!
と大きな鈍い音が響いた
キタサン「ワンちゃん!!!!」
ダイヤ「きゃああああああ!!!!」
通行人「おい!!!!、ウマ娘の子が轢かれたぞ!!!!」
通行人「きゃああああああ!!!!」
通行人「誰か警察と救急車呼べ!!!!」
キタサン「ワンちゃん、ワンちゃん!!!!」
ワンダー「ああ…………痛いな…………」
ダイヤ「駄目駄目駄目駄目!!!!、ワンちゃん!!!!」
ワンダー「あれ?…………2人とも何処行ったの?…………えっと………………眠いな………………ああ違う違う…………あの親子…………あの親子は?」
キタサン「え?、えっとえっと、あ、いた!!、大丈夫無事だよ!!ちゃんと2人とも無事!!、生きてる!!、だからワンちゃん死んじゃ駄目!!!!」
ワンダー「そっか…………良かった…………ああ何か気持ちいいな…………ごめん2人とも約束…………守れないかも」
ピーポーピーポー ピーポーピーポー
病院 待合室
ワンダーティラーは病院へ搬送され緊急手術が行われた
サトノダイヤモンド、キタサンブラック、そしてワンダーティラーの両親が待合室で待つ中、赤々と光る手術中のライトが静かに消え中から医者が出てくる、待合室で待っていた全員が勢い良く立ち上がり医者に迫る
キタサン「先生!!、ワンちゃんは!?」
ダイヤ「手術は!?、成功したんですか!?」
医者「落ち着いて下さい、一先ず一命は取り止めました、ウマ娘の強靭な体で無ければ、恐らく助からなかったでしょう」
その一言に一同がホッとする
医者「ですが……」
しかしその喜びを遮る様に医者は続ける
医者「残念ですが、娘さんは、生涯走る事は叶わないでしょう」
キタサト「「…………へ?」」
医者「全体的に危険な状態でしたが、特に酷かったのは両足が粉砕骨折した事によりその骨の破片が両足の神経や血管をズタズタにした上破片を全て取り除く事は残念ながら叶わず、結果的に両足を切除する事に……それに他にもどんな後遺症が残るか、最低でも車椅子での生活を余儀無くされるかと」
キタサン「そ、そんな」
ダイヤ「いや、そんなの嘘……」
この日、1人のウマ娘が勝利も敗北も手に入れること無く、その土俵に上がる権利を失った