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夢を見る。壊される村の夢を。燃える村の夢を。……殺される誰かの夢を。
パチパチ。バラバラ。ガシャん。燃えて、崩れて、壊される。
おっちゃんの畑を見ると、無惨な踏み荒らされてその原形を保ってない。むしろ散々に人が死んで屍山のよう。
みんなのオアシスだった井戸には、何かが投げ込まれて今もどくどくと毒を吐き出している。……その近くには水月──好きだった女の子──の首が一つ。
黒い炭のような物体は「助けて!」「嫌だ!」「死にたくない!」と叫ぶ。誰もかれもが救いを求めてる。小さいのも大きいのもみな一様に。
それらを呆然と眺める誰かがいる。ただ眺めるだけで何もしない■がいる。
(何やってんだ!早く助けろよ!……皆を、早く!!)
俺はそう思うが、そいつは行動を起こさない。
いや、違う。もう行動を起こしたあとなんだ。持ってる剣には赤黒い血がベッタリと着いて、着ている服は返り血とそいつの血が混ざり合って最早元の色を留めていない。髪などは煤こけているし、腕や脚に至っては裂傷や咬傷、擦過傷が無い部分を探すほうが難しい。
(あ……)
もはや対抗できない。できるのは精々がトドメを刺そうと近づいてきたやつらを殺すことだけ。痛々しく振るう手はそれでもやつらを殺すには充分だった。
だがそれも、ほんの僅かな期間に終わった。そもそもの人数差、この闘いと呼べない抵抗すら奇跡に等しかったのだ。
やがて、その男は、■は、魔獣と魔人に連れ去られ──
ああ、希望はいまだ見えない。
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「はぁ……嫌な夢を見たな」
久々に見た夢に眩暈を覚えながら、俺は目を覚ました。最悪の気分。最近は見ないな、と思ったらすぐにこれだ。
開けっぱなしにしてた窓から外を覗くと、まだまだ夜の帷は降り始めたばかり。村の灯りは当然消えて、足元は闇に包まれている。
その癖、星空はその存在を主張するようにどれも明るく瞬いている。まだ眠い。どうやら少し早い起床とはまだいかなそうだ。
「こういう時は水で口を濯ぐに限る、っな」
とりあえず起きたが、水なんか当然あるわけがない。外に出て井戸から汲むにしても、この時間じゃ誰も起きてないだろうし、よしんば誰か起きてたとしても曲者だと思われかねない。詰みだ。
「むぅ……」
……ま、誰も見てないし。いっか。微かに差し込む光だけを頼りに茶碗を探り当て、左手で茶碗を持ち、右手を翳す。
そして、唱える。
「──」
うん、上出来だ。これ──“魔術”には何度も助けられてきた。辛いとき、苦しいとき……あまり思い出したくはないな……。
一口目で口を濯ぎ、二口目から飲む。これだけで随分さっぱりした感じがする。
もう一回寝よう。今度は良い夢見れると良いな。
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プロローグ、短めです。
自話からもっと増えます。