◆
「お前ら、逃げろォオオオ!!!」
そう叫んだことが遥か昔のように思える。新一郎、金太郎、小次郎を逃し、この冬の森での魔物との戦いは互いに互いの心臓を穿つという結果のもと相打ちに終わった。
身体から大切なものが抜けていく感覚がする。それでもなお相打った魔物の死骸を、決して蘇らないように力の続く限りバラバラにする。四肢を切り落とし、頭も潰して、そこまでやってから満足感から倒れ込んだ。
「ハァハァ、あー」
勝ち鬨をあげようとして声が擦れてる自分に初めて気がついた。
「ハハ、あーあ」
もう無理だ。諦めよう。他に魔物はいないだろうし、3人とももう村の中に逃げられただろう。なら、自然と俺の心配事は水月と米旨さんのことになる。
米旨さんは怒るだろうな、悲しむだろうな。あの人はなぜか俺に甘い。だからこそ、米旨さんに何も返せなかった自分の不甲斐なさに腹立たしい。
水月と遊ぶ約束、守れなくなっちゃったな。あの笑顔、あの声、あの手の感触、また会いたい。
ああ、まだ死にたくない。俺にはやり残したことがいっぱいある。
「こんなことなら、水月に好きだって伝えとけばよかったなぁ」
冷たい風が亡骸を撫でる。そこにあるのは物言わぬ骸が二つ。
うちの一つは、それでも満足気な顔をして逝っていた。
◆
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
水月さん。
この村の井戸の管理をする家に生まれた一人娘。
そしてこの村のマドンナ的存在。なんでも『井戸の聖女』と呼ばれているらしい少女。何より、私がこれから会う相手だ。
私が彼女と会う理由は皆目見当もつかない。いや、確かこの前の私の歓迎会で幾人かが興奮しすぎてここに運び込まれたらしいと聞いた。そのときから水月さんは私に興味をもったとのこと。……あれ?これって、私怒られるやつじゃない?
「……閃理くん、もしも私が怒られたら骨は拾ってくださいね」
「いや大丈夫……だと思いますよ」
私の冗談半分の言葉に真面目な顔して答えてくれる閃理くん。歓迎会のあとからずっと私が馴染むためにいろいろと根回しをしてくれてるのが閃理くんと、その父の米旨さんで、今日付き添ってくれたのもその一環だ。
特に閃理くんの方が今までずっと暇を持て余していたとかで四六時中いてくれている。
ガラガラと扉が開く音。
「すみません。待たせてしまいましたか?」
水月さんが到着した。
「初めまして。先日よりこの村に滞在させてもらってます。久遠の魔女と呼ばれてます」
「こんにちは。この村で水の管理をしています。水月といいます。ふふっ、そんなに畏まらなくても、貴女の方が歳上でしょう?」
歳上。直球で攻めてきたな、と痛む心で思う。確かにかなり永いときを生きてきたけど、それでも少女のままでいたいのだ、私は。
「ははは……」
「こんにちは。水月さん。……っと、ちょっとお茶を失礼」
何も言えずフリーズした使えない私と違って、閃理は有能だなあ。慣れた手際で急須を傾け、全員分のお茶を注いでくれた。
「はい、水月さん。それと魔女さんにも」
「ふふふっ、ありがとう。閃理」
「あ、ありがとうございますー」
お茶を飲み、一息つける。閃理くんを見るが真面目そうな顔で頷くばかり。多分、ここからは私一人でやれということだろう。
「えー、こほん。いきなり本題からいきますが、今回私を呼んだ理由は何ですか?」
頑張った、頑張ったぞ、私。
「んー、ん?いえ、特に理由は無いわ。少し、会って話してみたかっただけよ」
え、そうなの?と思って水月さんの顔をつい見つめてしまう。……秒で後悔した。絶対それだけを考えてる顔じゃない。
「でもまあ……そうね……。閃理、少し悪いけど席を外してもらえるかしら。ちょっとこの魔女さんと二人で話がしたいの」
待て──ー!待ってくれ────ー!心の中で絶叫する、しかしその叫びは実らず。閃理くんはあっさりと「わかった」と口にしてどこなに行ってしまった。
「さて、話を続けましょうか。ふふふふふ……」
ヘルプ!ヘルプミー!戻ってきてよ──ー!閃理く────ーん!
酷い目に遭うことを覚悟して、思わず命乞いとか諸々してしまった私だったが水月──彼女から呼び捨てで良いと言われた──から頼まれたことはとてもシンプルだった。
芋掘り。
なんでも本来は米旨さんの畑の芋を、米旨さん、閃理くん、水月、そしてよく閃理くんに懐いてる3人の子供たち、つまりは6人で掘る予定だったらしい。それが水月に井戸掃除の急用ができたため、暇そうな私を代理に立ててそちらに勤しむことにしたとのこと。
そういう事情なら仕方がない……というか仕事がなくただのお荷物になりかねないと危惧を抱いていたところだったからむしろちょうど良いまである。
「米旨さん、水月から言われてこっちに来ました」
「……水月は……?いや、なるほどな。おおよそわかった。今日は宜しく頼む」
「魔女の姉ちゃんもこっち来たのー!」
「あれ見せてよ!魔法!魔法!」
「ぼくも見たい……」
子供たちの笑顔が眩しい。ああ、なら。魔法を奮発しちゃおうかな!
「じゃあちょっとじっとしててねー」
ちょっと自然から力を借りる。連日の疲れをゆっくりと吹き飛ばせるような魔法を使う。
「はい!できたよー!どう?調子」
身体能力強化の魔法。非常に汎用性に溢れた良い魔法だ。
「すごいすごい!」
「見てー!腕パンパン!」
「……!」
「へへっ!すごいでしょー!」
無邪気に喜んでくれる姿を見ると非常に癒される。純粋な賞賛が私を満たす。頬のニヤケが止まらない。
「ボサっとするな、始めるぞー」
米旨さんの号令を機にみんなが芋掘りを始める。私も子供も楽しそうに笑いながら作業をした。
わずか1,2時間後、軽く屋敷が建ちそうなほどの敷地の埋め尽くしていた芋畑があっという間に更地になった。作業を始めたのが昼過ぎ。現在時刻は夕方まであと半刻、空が微かに赤く染まっている時間帯だ。
「このくらいの時間帯なら、少し小腹を満たせそうだな。子供たち!焼き芋食べたいか!」
「食べたい!」「俺も!」「僕も!」「私も!」
私も食べたい!
「どれ、じゃあ乾燥した草とか枝とか集めておけ。ちょっと待っておれよ。今に火打石と火打金を持ってくる」
「あ、火を着けるんですね。それなら私がしましょうか?」
喜び勇んで駆ける子供たちを見ながら、私は米旨さんに提案する。なんなら他に焼き芋に必要な道具も取り出せることを米旨さんに話す。
「……じゃあお願いしようか」
子供たちが枝や枯れ草を持ってくるのを待って、魔法で加工を施す。枝を大きくし薪と同じサイズにする。適当な場所に弱めの保護をした芋をそれぞれの場所におき、パッと火をつける。
「よし、やるぞー!」
私が風まで送り込んで調節しようとしたところで子供たちがうちわみたいなものを持って風を送り始めた。火遊び、まあこういうのは子供のうちに経験しておくべきものだろう。米旨さんもそういう目で子供たちを見てるし、私の判断は間違ってないはずだ。
子供たちが疲れて風を送るのをやめたあと、私が風や温度の管理を一手に担う。
「できたよー!」
焼き芋を食べながら、子供たちや米旨さんと話す。子供たちの話は最近の探検の話が中心で、米旨さんは真面目なこれからの村の運営についての話と、あとは息子の閃理くんの自慢がほとんどだった。
「もう一個食べちゃお」
パクパクと作った焼き芋を食べる私。しばらく経つと仕事が終わった閃理くんと水月が畑の前に立っているのが見えた。
「焼き芋か、おっちゃん。一つもらって良い?あと水月の分も」
「ああ、好きなだけ持っていけ」
あちらでは閃理くんが米旨さんのもとにいって焼き芋を貰ってる。私のところには水月がきていた。
「スゴいわね。まさかたった一日でここまで終わるなんて」
「スゴいでしょ。みんなで頑張ったからね!そっちの仕事は終わった?」
水月は私に仕事を変わってもらって、その時間を使って井戸の掃除をしていたのだ。この村の井戸の管理を一手に担っているだけあってその量は膨大なはず、一日で終わってなくても不思議ではない。
「もちろん、ちゃんと終わったわ。何より閃理がいたのが良かったわね。全部回って、綺麗にしたあとにお呪い(おまじない)をかけるだけで終わったもの」
「へぇー、そうなんだ。良かったね!」
もし終わってなかったら明日手伝おうと思ったが、どうやらその心配はなかったらしい。友達がちゃんと仕事を終わらせていて良かった、本当に良かった。
「ええ、本当に良かったわ……。久しぶりに閃理と長く過ごせたもの。これであと一週間は乗り切れるわ」
「へ……?」
「水月さーん、貰ってきたよー」
よくわからないことを水月が言う。どういうこと?と聞こうとした私だったが、その前に閃理くんに阻まれる。
「もう。いつも『水月』って呼び捨てでいいって言ってるのに。焼き芋ありがとう、閃理」
あの二人……なんか雰囲気良いな……。そういうことなのか……?そういうことなのか……!
仲睦まじい二人を見つつ、私の初仕事、芋掘りと焼き芋は何事もなく終わったのだ。
新年を二十日後に今日、私はとある大仕事を任されています。『剪定』。『透かし』とか『木造り』とかとも呼ばれてもいる作業で、庭木の要らない枝とか葉を伐採して、春に備えるものだ。
いつもは脚立とかはしごを使って高い位置まで登ってから剪定鋏で伐採していて、毎年何人か怪我人も、酷い時には死人まで出るらしい。それが今回は肉体強化魔法や飛行魔法が使える私の力を借りて、なんとか楽にそして安全に済まそうとしているわけだ。
「眠―い……。早く着きすぎたかなあ」
初めての大仕事というだけあって私には若干の緊張がある。昨日あまり寝れなかったのもそれが理由だ。
「一刻は早いどころじゃないだろ……。ふぁあ……」
隣で欠伸をしているのは閃理くん。最近やっと私に対する敬語が取れた、今年で14歳になる少年だ。私用に用意された家が閃理くんの隣なのもあって、私は起きていの一番に閃理くんを起こして、そしてここに居るのだ。……今はちょっと罪悪感で雑談とか軽口とか叩けないけど。
「今日は誰が来るか知ってる?」
近くの木陰──朝早いのもあってもとても快適──に腰掛けながら閃理くんの方から私に話を振ってくれた。
「うーん、実は知らないんだよね。確か米旨さんと、手伝いで大人の人が二人、あとはあの子供たち三人だっけ?」
私も閃理くんの近くにいって二人してまとまりながら、雑談に答える。村のリーダーである米旨さんはわかるが、二人の大人とは誰だろう。あと子供たちは閃理くんに付き合わずに自分の親の仕事を手伝ったほうが良いんじゃないかな。
「ちょっと違うな。今日は三人じゃなくて四人だ」
「どういうこと?他に居たっけ?」
私の質問、それに閃理くんが答えようとする前に閃理は元々の集合場所に目を向けた。
「おーい!おっちゃん!朝から早いねー」
「閃理か。お前が早起きしてちゃんといるとは」
そこに来たのは米旨さん。挨拶と同時に閃理くんに毒を飛ばして「げっ」とか言われてる。というかなんでまだ集合時間前なのに来たんだろう?米旨さんも私たちと同じく早起きしたのかな?聞いてみよう。
「米旨さんも朝早いですねー!まだ集合時間じゃないですよ?」
「ああ、ちと準備があってな」
そう言って米旨さんが私に見せたのは、今日使わないはずの脚立やはしご、物を運ぶための台車だった。
「あれ、それ今日使いませんよね?」
疑問を覚えながら私は道具を指差して米旨さんに言った。
「聞いておる。それでも万が一ということがある。先にあなたの体力が切れたり、急にその力が使えなくなったり、今までの通りのやり方の方が早かったりな。だからそれを想定して備えておるんじゃ」
納得した。私に魔力切れはまずありえないけど、体力切れの可能性やそもそも私が手伝わないほうが早い可能性は十分にある。
「なるほどなあ。なら俺は手伝ったほうが良さそうだな」
手伝うために立とうとした私を上から抑え込みながら閃理くんは言った。
「いや、二人とも来んでいい。魔女さんの方は言うまでもないが、お前も魔女さんが倒れたときに介抱するという大切な役割がある」
私たち二人が手伝おうとするのを止めて、米旨さんはまた作業に戻っていった。…………。
「……私が手伝わなくてもいい理由って?」
「これで疲れてお前に倒れたら本末転倒だからだろ」
確かに。
その後私はずっと働いている米旨さんに申し訳ないなと思いつつ、閃理くんと雑談に興じていた。ちょうど時間が空いたので聞きそびれた『今日は三人じゃなくて四人だ』という発言の意味を閃理くんに聞いた。
「手伝いに来る大人二人が有栖さんと照須さんという変わり者夫婦なんだけど、その娘の花奈子も今日は来るんだ」
有栖さんと照須さん。そもそもその二人の名前すら知らなかったし、夫婦というのも知らなかったし、当然子供がいることも知らなかった。まあだから、どういう人なんだろうという楽しみに思いながら待っている。
「ワクワクしてるところ悪いけど、本当に変わり者の人たちだよ……」
言葉を選びながらそう言われる。でも、それならそれで面白そうじゃないか。変人なら変人で、きっと見ていて面白い人のはずだ。
「はあ……」
彼の溜め息を聞かないふりをした。
「初めまして。有栖という」
「こんにちは!照須です!」
そうして会った二人は、片方は筋肉隆々のいかにも古代の哲学者といった感じの男性。もう片方は筋肉が薄く、全体的に細いながらもなぜか力強さを感じる女性。
子供の花奈子ちゃんはついさっき「わたし花奈子っていうの!」と挨拶にきて、すぐにそのまま新一郎くんたちのところに行った。そんなことを考えていると二人が目を輝かせながら私のもとに近寄ってくる。
「それで、魔法をかけてくれるという話を聞いてきたのだが」
「魔法というものを見せてくれるっていうから、無理をいってついてきたの!」
「え、え〜と……?」
思わず、といった感じで米旨さんと閃理くんを見る。あからさまに空を仰いでいる米旨さんと、『あちゃー』とでも言いたげな閃理くんが見える。まさか、話を通してから連れてきていないのか!?それとも、話を聞いた上で魔法のことしか頭にないのか!?え、えぇ……。
閃理くんたちと有栖さんたちの間で視線を反復横跳びさせる。妙案は無い。
「あの、剪定を手伝ってくれるお二人で合ってますよね?」
「いかにも。といっても実際にするのは己一人だけだが」
そうして有栖さんは徐に米旨さんのところへ行き剪定鋏を受け取り、もう一度私のもとへ戻ってきた。
「さあ、魔法をかけてくれ。どういった魔法があるんだ?腕が伸びるのか?脚が伸びるのか?それとも飛翔力が上がる……いや巨大化も捨てがたい……」
ぶつぶつと品定めをしている。怖い。しかも使う予定のものそれじゃないし。
「あの、今日はそういうの使わずにもっと楽なやつを使う予定なんです。飛行魔法なんですけど……」
「飛行……!飛行だと!人は空へと翔けるものなのか!そうなのか、そうなんだな!さあ魔女殿よ、それを早く、早く私にかけるのだ!」
飛行魔法と伝えた瞬間にこれまたハイテンションになる有栖さん。「うわぁ」という感想がつい口から零れ落ちてしまった私を、それでも決して誰も責められないだろう。
こちらはどうだ?とチラリと照須さんの方を見る。
「飛行、とうとう人は陸から空に侵食していくのね。人間はその数の暴力を使ってどんな獣相手でも最終的には勝っていたわ。それが空へと翔く。戦いにおいて高所をとるというのは基本にして最大の戦術、まず間違いなく相手の攻撃が届かない場所から一方的にかかればどんな相手でも倒せるはずですもの。なんならこれが基本になれば魔物だってもはや恐れるに足る敵でなくなるかもしれない。あぁ、すごい……!これぞ間違いなく……」
何も見なかったことにする。私は何も見なかった。ちょっと不思議な挙動をしている有栖さんに困った私は、本当に飛行魔法をかけて良いのか疑問に思ってしまい、少々呆けていた。これでいいだろう。あんなぶつぶつ呟く人なんて私は知らない。
「………………では有栖さん、準備はいいですか?使い方は身体が教えてくれます。いきますよ」
「ああ!了解した!!!」
魔法をかけてすぐ有栖さんは飛び回る。右左上下と縦横無尽に駆け回る。その自然さはまるで飛ぶことを今の今まで知らなかった人間とは思えないほど。っと、そうだ。
「一時間ほどは保ちますけど、魔法が切れかけたらちゃんと地面に戻ってくださいねー!」
効果時間などをしっかり説明する。わかっているのかいないのか、飛ぶ鳥の心を私は知らない。
そうして五時間後、全ての作業は終了した。結局剪定は魔法三回分で済み、最後に追加で一回かけることを報酬として彼らは帰っていった。
「あの人たち、ずっとあのテンションなのヤバくないですか……?」
疲れを繕うこともせず、閃理くんに愚痴を漏らす。
「いや、だからそう言ったじゃないか。変わり者だって」
うへぇ、と思いながら綺麗になった木々を見つめる。木々は何も語りかけてこないが風通しがよくなったためか、冬の冷たい風の勢いがさらに強くなった気がした。
新年をとうとうあと三日に控えた今日この頃。私は大親友、水月に呼ばれてその家を訪れていた。遊びか!?掃除の手伝いか!?そうワクワクしながら行った私を待ち受けていたのは、閃理くん、米旨さん、そして……
「それで形はどうする?元の感じに修復か?」
「何か新しく付け足すものとかあったりしない?」
そう、有栖と照須の変人夫婦だった。
「失礼。閃理くん、ちょっとこっち来てくれない?」
いまいち状況が読み込めない。いったん閃理くんを呼び寄せて状況を確認したい。
「これ、何が起こってるの……?」
「井戸が昨日急に壊れちゃったらしくて、その修復の会議中」
なるほど
「なるほど」
心と口が一致した。しかし、それでも腑に落ちないことが一つ。
「有栖と照須の二人は?」
「有栖さんは建築士だからね。この前みたいな趣味じゃなくて、ただの仕事だよ」
建築士、仕事。てっきり無職かと思っていただけにまさか定職についているとふ思わなかった。哲学者みたいな身体とか顔とか、あと名前とかしてるのに。
「あい分かった。その条件で引き受けよう」
有栖さんの声が野太い声が響く。どうやらあちらの会議、漏れ聞こえていた声から考えるにどちらかというと商談といった方が良いものが終わったらしい。
「えーと、もういい?水月、私を呼んだのはもしかしてこれが理由だったりする?」
「?いえ、貴女とあと閃理と米旨さんを呼んだのは別の用事があってのことよ。申し訳ないわ。こちらから呼んだのに待たせてもらうことになって」
いや、それは別に構わない……。というかなんなら手伝うことも別に良い、水月と遊べさえすれば……。というか、
「他の用事?それって何?」
気になったことがあるから聞く。これ大事。
「ええ、三日後の新年を私の家で過ごさない?」
微笑みながら私にそんな最高の提案する水月。そんな提案、返答はもちろん決まってる。
「うん、もちろん!絶対しよう!約束だよ!」
三日後の新年祭を楽しみに思って、ついつい頬が緩んでしまう。友達、親友との約束。
新年祭の約束。良い新年、いや最高の新年になりそうだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇