歌の魔女   作:京晟二

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閃理、幸福追求む

 ◆◆◆◆◆◆◆

 

 もう何度頑張っただろうか。もう何度大切な人を失っただろうか。『はじめまして』の繰り返し。俺の心はとっくに限界だった。

 もう辞めたい。もう疲れた。そんな鬱屈した思いが消えない。村のみんなは俺を心配して、でも俺と話したくないのか遠巻きに眺めるだけだった。浮いた存在、針の筵とのまさにこのことだった。

 

 ある日、有栖さんはそんな俺のもとに顔を出した。だがまあ彼のことだ。心配して来たのではなく、ただ単純にこんな状況を何故作ったのか、何故放置しているかの好奇心だろう。彼らしいといえば彼らしく、笑みが溢れる。そして、同時にそっとしておいて欲しかったとの醜い感情も湧く。

 だからこれは俺の意地悪で悪戯で、見るに堪えない八つ当たりだ。「悩みを聞こう」と鷹揚に構えた彼に向けて口を開く。

 

「死ぬ……って何?」

「わからない」

 

 死を問う俺と、それに対して答えを持たない有栖さん。

 当然か。何度死んでもわからないんだ。いわんや、一度も死んでないなら尚更だろう。

 

「なら、生きる意味ってあるの?生きる価値ってあるの?」

「わからない」

 

 こちらが本題とばかりに、先ほどよりも強く問いかける俺。それに対して答えを持たない有栖さん。

 当然だ。そんなものは無いと、()()人生を繰り返した俺は知ってる。

 白けた眼で見つめる。『悩みを聞こう』と偉ぶってた癖に何も答えないのかよ、と。『わからない』と何も考えずに即答されたことへ、コイツは何しに来たんだよ、と。

 

 

 

「……だがよ、閃理。そんなものは必要か?」

 

 これまで俺にずっと質問を投げ掛けられていた有栖さんが急に毅然と、この世の真実を告げるように言う。鷹揚の構えはそのままに、お前の悩みなんかちっぽけのものなんだ、と彼の態度が物語る。

 彼の言葉には不思議な説得力があった。

 

「笑ってしまう。理由がなければ生きることすらできないのか?」

 

 ──目線が混ざり合う。

 

「お前の父は、母は、お前に何か期待してお前のことを育てたと思うか?お前に何か大切な使命でも託したか?お前に崇高な意思でも引き継がせるために、お前を作った(産んだ)とでも言うのか?」

 

「────」

 

「いいや、違うだろう!ただ在るが儘を望んだはずだ。ただ健やかに生きて欲しいとそれだけを願って、それ以外のことは二の次だったはずだ。

──お前なただ両親の愛を受けてこの世に産まれただけの子供のはずだ!」

 

 何も言えない。その熱量に返す言葉(答え)を俺は胸の内に持っていない。迫力に押された俺を見て、その声を優しいものに変えた。

 

「一つ説こう。すべてを諦めつつある(まだ諦めていない)少年よ。

人生とは──────────」

 

 最後の最後に始まった、彼らしくのない、でも俺のためを思った説教じみた話。

 彼の人生観、そんなものを聞いたところで俺の状況は一切好転しない。それでも、ほんの少し、ほんの少しだけ救われた気がした。

 もう少し頑張ってみようって、そんな気持ちになれたんだ。

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日記①

 今日から日きを書こうと思う。まずおれの名まえはせんり。十さい。

 お父さんはよねじさん。力もちですごいんだ。

 すきなのは水月さん(さいきんかん字おぼえた!)。いつもやさしくてけっこんするなら水月おねえちゃんがいい。

 まけたくないやつはさいりのばか。いつもおれにけんかうってくる。生いきできらいだ!

 

 日記②

 今日は友達がたくさんできたから記念に、何年かぶり日記を書こうと思う。そう言ってこれを引っ張りだしたら、『そんなのは日記とは言わん』って。酷いよ米旨さん!

 

 日記③

 この前、水月さんと会うとドキドキして困ってるからどうしたら良い?って彩里に相談したら叩かれた。酷い。昔からアイツはイライラしたらすぐに手を出す。でもあのときは俺もイラッときてやり返しちゃったから、俺も悪い。俺も悪いのはわかってるけど、謝りたくはないなあ。

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇

 

 今日から日記を書こうと思う。俺の名前は閃理。この世界で多分唯一、人生の二週目が始まっている人間だ。確か前回の人生での死に様は新一郎、金太郎、小次郎を庇っての魔物との相打ちだったはず。とりあえず今生の目標は身体を鍛えて、ある程度の魔物との戦いでは死なないようにしよう。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 水月、俺が大好きで、俺が愛してる人。前世では何もせずに死んだ。結局死んでしまうことになるなら、もうちょっと好きだとか伝えたりすればよかった。

 この後悔を糧に、今生ではちゃんと好きだと伝える努力をしよう。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 あの声、あの笑い方、優しいところ。全部好き。

 今日は水月と遊ぶ約束をした。そのときに頑張って手を握った。あの柔らかさ、温かさ……最高だった。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 今日から一つ、見やすいようにするために日記に工夫をしようと思う。日記の最初と最後に◇や◆をつけて、それがいつ起こったことなのかわかりやすくするのだ。◇だったら現在のこと。なんだかんだいってこれを一番書くだろうから、白い菱形にしてわかりやすくする。◆だったら過去のこと。黒い菱形の数でそれが何回目の人生なのかをわかりやすくする。

 というか前世では結局、三回しか日記を書かなかったの勿体無かったな。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 彩里といつもみたいに遊んでたら、最近大人になったよね、って言われた。なるほどなるほど。つまり…………どういうことだ?

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 稲刈りの時期、米旨さんがスズメバチに刺された。前世では事前に駆除して何も起こらなかったんだけど、今生ではそういえば駆除されてなかったな、と思い出した。何が起こるか覚えとかないといけない、と反省。あの米旨さんが一晩寝込むって相当だったんだろうなあ。

 もし新一郎たちが冬の森に行きたいって言ったら何がなんでも止めないとな。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 水月と遊ぶとやっぱり楽しい。でも、それを米旨さんに聞かせると少し苦しい顔をする。……やっぱり本当の子供じゃないからなの?

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 米旨さんと喧嘩した。あんなに怒ってるところ見るのは初めてだった。でも一人暮らし用の家は用意してくれるらしい。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◆

 

 米旨さんは、俺のお父さんはスゴい人だ。俺は小さいときに父と母も失って、俺も村に子供を追加で一人育てられるほどの貯蓄がなかったため捨てられかけた、らしい。でもそこで米旨さんが責任もって育てると主張して、俺の命は九死に一生を得たと。だから俺は、スゴい人、尊敬する人を名前を挙げるとなればまず米旨さんを挙げるだろう。そのくらい尊敬してる。

 だから、俺を引き取るときにその直前に米旨さんの息子が死んでると聞いて、俺だから引き取ったのか、それとも誰でも良かったのだろうか……?

 

 ◆

 

 

 

 ◇◇

 

 久しぶりに日記を書く。水月に告白して二年経った今日、水月との結婚が決まった。そもそも二年前告白を受け入れてくれたときでさえ、顔から火でも吐けるくらい嬉しかったのに、今度の衝撃はそれを遥かに上回った。

「結婚しよう」そう言ってプロポーズして、「こちらこそよろしくお願いします」とはにかみながら返されて喜ばない彼氏がいるだろうか、いや居ない。

 俺は今日、あの笑顔に誓ったんだ。なにがあろうと水月を絶対幸せにするんだ、って。

 だから今度は、米旨さんのところに仲直りに行こう。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◆

 

 水月、俺の大好きな人。いつの頃から好きだったかはあまり覚えてない。でも、いつの間にかいつも一緒にいて、あの調子を整えたあとのキリッとした横顔に憧れて、とかそういうのはよく覚えてる。

 それまでの馬鹿じみた行動をやめて、いくつかのやってることを真似して。一朝一夕では当然できないからその度に尊敬は高まって……その繰り返し。井戸の聖女、高嶺の花。でも、俺の勘違いじゃなければ同い年くらいの人のなかで一番仲良い男が俺ではなかろうか。

 

 ◆

 

 

 

 ◇◇

 

 昨日は米旨さんと初めて酒を飲んだ。米旨さん、いやおっちゃんはずっと俺のことを思って、俺のために頑張ってくれていた。あと、ずっと他人だと思ってたけど実は爺ちゃんと孫っていうのもびっくりした。確かに、俺を引き取るときに息子が死んだのなら、そういう可能性を考えることもできたなあ。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 親父(米旨さん)が逝って、久々にこの日記を引っ張り出してきた。いつの間にか俺も六児の父だ。時間とは偉大なものである。親父の葬式は大規模に行なった。確かに親父が死んだのショックな出来事ではあるが、なぜかあまり悲しみがない。なぜだ、と思うよりも前に結論が思い浮かぶ。孫、つまりは俺の一番上の子供の結婚を見届けてからポックリ逝ったのもあるし、なにより畳の上での大往生でもあったからだろう。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 親父の葬式から三十年後、とうとう水月にもお迎えがきた。死ぬ前日まで井戸の管理人としてその務めを果たして、常に働いていた。最後は畳の上で息子や娘、孫などに看取られながらの最後なのもあるだろう。こんな俺をありがとう、水月。

 

 ◇◇

 

 

 

 ◇◇

 

 そろそろ俺にもお迎えが来るころだろう。日記を見返して、そういえば人生二周目だったなあ、となるくらいには前の世界の記憶を忘れかけている。なんだかんだ俺は友達全員看取ったのもあって、俺を看取ってくれる昔ながらの友達はいない。だが、それでも構わないだろう。俺はこの人生を後悔なく生きられたのだから!

 

 ◇◇

 

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 なんでまだ続くの…………?

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 今日からはいちいち◇を書くのも面倒だし、時系列が連続しているときはそのまま連続させて書くようにする。

 水月相手にいつもの感じで接しようとして、変なものを見る目で見られた。……そんな眼で見ないでくれ、水月。おっちゃんの優しさが本当に身に沁みる。でも、でも、本当に、これからどうしよう。

 

 

 前世より早めに一人暮らしの提案をした。自分が親になったとかなどの経験を活かしてガンガン甘えることにした。実のところ、あまり離れたところにいてほしくないという気持ちは痛いほどわかるのだ。

 

 

 やらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかした。

 新一郎、金太郎、小次郎の冬の森への探検を止めるのを忘れていた。

 ふざけるなよ、俺。

 雨夜、一人で泣いていたら彩里が現れた。俺は彩里の力を借りることにした。俺は彩里に『助け』を求め、彩里は俺に『自分のものになること』を求めた。

 

 

 彩里は今まで俺にちょっかいを出していたのが嘘のように素直になった。ひょっとしたら今までは俺が意地を張っていたのが悪かったのかも知らない。

 

 

 彩里が『魔力』というものを発見した。それを使ってみようとするがイマイチ使い方がよくわからない。

 行商人の油女なら何か知ってるんじゃないか?

 あとは追流も、元々あの家は倉庫だったと前世で聞いている。あの家も探せばなにか見つかるかもしれない。

 

 

 彩里が『霊力』というものを発見した。魔力以上に使い方が難しいが、適当に使ってもなんとかなる分こっちの方が良いかもしれない。

 二人で森を探検していたところ、妙な椅子を発見した。座ると何かが起こりそうだが何も起こらなかった。久しぶりに二人で外に繰り出して子供のころに返った気分。……でも、本当に子供だったアイツらは俺のせいで死んじゃってるんだよな。

 

 

 

 ◆

 

 彩里との出会いはお互いに6歳のとき。数少ない同年齢の友達ということで俺たちはいつからともなく仲良くなった。彩里は昔から天才で、神童って呼ばれてて、そして物事が自分の思い通りに進まなかったらよく怒るやつだった。今にして思えば、それは彩里が天才だったが故、できない人の気持ちを理解できなかったんだろう。

 そして俺が成長するに従って、段々と彩里の態度に俺も怒りを感じるようになり、そして俺の方からやり返したのを一つの契機として、もう関わらなくなってしまった。それが最初の世界での俺と彩里の関係性だ。

 もしも、俺と彩里のうちどちらかが大人だったら。そんな可能性を体現したのがこの三回目の世界なのだろう。

 

 ◆

 

 

 

 ◇◇◇

 

 多分だけど……彩里は俺のことが好きなんじゃねぇかな……。昔、俺が水月を見てた視線によく似てるし。でもそれを極力悟らせないようにしてるのは……きっと……。

 あいつ、良いやつだな。

 それに比べて俺は……。

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ◇◇◇

 

 彩里が良いやつだということを再認識した一日だった。もし、また死んだら四回目が始まるかもしれない。死んでも死んでも終わりのない世界に俺だけがいるのかもしれない。そんな不安に苛まされるたびに彩里は俺を励ましてくれた。

 ただ昔の彩里は子供だっただけなのだ。

 彩里は最後まで尽くしてくれた。俺はそれに答えられる生きられるだろうか。彩里は最後の最後に、もしまたもう一度始まるのなら自分を頼れと言っていた。……だがそんな考えで、気高い彼女を利用してもよいのだろうか。

 できる限り、それはしたくない。

 

 ◇◇◇

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 やはりというべきか始まってしまった四週目。今回は水月にも、彩里にも頼らず生きていくことを決めた。絶対にやらなければならないのは十四歳のときの冬の森には行かない。新一郎たちが行こうとしても絶対にとめる。仮に行くとしても対魔物の装備をする。それくらいだろう。

 そんなことを考えながら十四歳の夏になった。今日村に来たのは行商人の油女。……世界の見聞を広めるために油女についていくのもありかもしれない。

 早速油女のところに行って、来年の夏から俺も行商人になりたい、雇ってくれないかと相談した。何度も何度も拝み倒したが、自分の目的を達成していないうちは無理と言われた。

 油女の目的……正直一つ、心当たりがある。それが当たっているかどうかはわからないが、賭けてみる価値はあるだろう。

 

 

 やっぱり油女と追流は姉妹だったらしい。

 

 

 この村に定住したいと言い始めた油女をなんとかかんとか説得して、旅に出掛ける。やはり実際に旅をしていた人は一味違う。自分一人なら確実に死んでいた場面がいくつかあった。

 まあ死んでも蘇るんですけどね!(誰かにこの一発ネタ聞かせたい)

 

 

 今まで秘密主義を貫いてきた油女だったが、もう終わった話だから色んな面白い零れ話をしてくれるようになった。俺より十個上だけある、とは思ったが今までの人生含めれば俺の方が年齢上だな……とショックを受けた。

 油女の人脈は確かなようで、多くの町の権力者、隠居している人外、その他多くの人々と出会えた。だが、俺はこの不死を解いたところで何をしたいのだろうか。悩んでも仕方ないのでいったん村に帰ることにした。

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

「は……!?」

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 帰ってきた村は荒廃していた。辛うじて人骨程度にバラバラになった白骨がそこかしこに転がっている。茫然と村の中に入っていったところ、まだ綺麗そうな家が何軒かあった。明日は家を見て周ったあと、近くの森まで探索してみようか。

 

 ◇◇◇◇

 

 日記はここで途切れている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 対策をしよう。そう決めてからは早かった。霊力と魔力の洗練を行い、身体を鍛え戦力を整える。

 だが……結果だけ言えば敗北した。

 抜きん出たやつさえいなければやつらは戦力を整える。

 敗北の様子は、文字にすらしたくない。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 疲れた。疲れた。生きることに疲れた。でも、ここで何が起こるのか、それを知らないと旅には出れない。二周目と三周目ではそんな事件は起こらなかった。……それは俺がこの村のリーダーとなったことと何か関係があるだろうか。この周では役立たずを振る舞ってみようと思う。やり直せるとはいえ、人生は人生。あまりしたくはなかったが仕方ない。

 何を頼まれても面倒くさそうに振る舞う。余計な頼まれごとは絶対に引き受けない。

 そうして、人生を費やして得た結論は酷くシンプルだった。

 単純に勝てるかどうか、戦力を計算してから攻撃を行っているのだ。十五歳を越えたあたりから魔物がずっと村の周りを遠目に眺めるようになる。二周目ではおそらく聖女として無意識に霊力を扱っていた水月を脅威に思って。三周目では魔力と霊力をある程度扱えた俺と彩里が居たから攻めなかったのだろう。頑張れば勝てるなら、そこまで頑張る。どうやったって勝てないのなら、諦めて次にいく。なんてわかりやすい野生の理論なんだろう。クソが。

 いつ攻めてこられてもいいように準備をする。肉体強化の魔術や魔術耐性を自らに付与して、孤軍奮闘。作っていた罠などは、無限に湧き出る魔物を有限に減らすといった大戦果を見せて辛勝だった。

 その後は人生を魔物へのたった一回のために台無しにしてしまったため、村にいても居心地が悪く移住した。

 その後彷徨っていたところで超がつくほどのお人好しであるエルフ族の男の娘──なんのことかよくわからなかった──、アリーに助けられて寿命で死ぬまで自分の能力に関して研究した。おそらくは魂の形、魂の原初、『魂の記憶』が不死、もしくは再成であろうという結果が得られた。そして制御できていないのなら、暴走状態だとも。

 不死鳥みたいだね、と言ったアリーは小突いておいた。彼には人の心がない。

 この世界の成り立ちについて、エルフ族、魔女族などについて色々教えられた。もはや魔女族の純血は一人程度しか残っていないという世知辛い話もあった。結局、そういう雑談はあまり覚えていない。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 じんせいたのしいな。

 みつきとさいりがふたりともわらっているよ。おれもうれしい。

 

「オェェェエ!グゥバ、ゲェ!」

 

 吐いた。

 まさか日記を書くだけで吐くなんて俺も思ってなかった。

 心の底からどうしても笑えない。

 半端な悟り、大きすぎる後悔。最悪だ。

 生きる意味、生きる価値って何だ。なんで俺はこんなにも苦しまないといけないんだ。

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 日記はここで途切れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 何をやっても無理な気がする。自分の心のままに振る舞おうとしたって、そう思って振る舞っている時点で自由ではないのだ。

 みんなと関わるほど、こうすればこう動くがわかってくる。人として思えなくなってくる。

 俺は、次はいつ心から笑えるだろうか。

 

 ──誰か、助けてよ。

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 日記はここで途切れている。




次は少し遅れそうです(2024/10/01追記)
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