呪術世界の結界術師 作:ペンギンくん
自身の生得術式が『結界術』と言うことから生まれ変わる前に読んでた漫画『結界師』を参考に自身の結界術を磨き上げてきた。
そして……呪術高専の三年のある時、事件が起こる。
渋谷事変。五条悟の封印の報告と共に、彼も大事件に突っ込むこととなる。
0.最悪と結界術師 前編
「緊急事態だ」
「緊急事態……何がありました?」
「五条悟が封印された」
「……はい?」
――◆◆◆――
悲鳴が飛び交い、血が飛び散る。様々な呪いと策謀が混じり合った土地、渋谷。
突如出現した非常識な世界に、常識の世界の一般人たちは圧し潰された。
呪詛師と呪霊の思惑に対して、呪術師たちが立ち向かう。だがその魔境を作る渦に巻き込まれた一般人はただ潰されないよう陰に隠れ、頭を覆い、そして震えて災害が通り過ぎるのを待つしかなかった。
「領域展開――」
そして、この渋谷の事変において発生している分岐点の一つ……虎杖悠仁に宿る呪いの王、両面宿儺。
彼が対峙しているのは十種影法術の式神の一体にして究極の存在、八握剣異戒神将『魔虚羅』。
最悪と最適の戦いにおいて、最悪の存在である宿儺は魔虚羅の適応能力を突破して破壊すべく自身の奥義を引き出す。
「――【伏魔御廚子】」
宿儺の背後に生物の頭骨が飾られ、四方に大口を開けた御堂――御廚子が現れる。
巨人型の怪物を倒すべく使われた一手。
本来の領域は空間を隔てる外殻を生み出し、そこに生得術式を付与して、術式効果を必中させると言うもの。だが宿儺は自身の領域をその神業によって外殻の結界によって空間を閉じず出現させ、逃げられることを許容とした“縛り”を付け加えることによって必中効果の範囲を広げている。
今回設定された必中の効果範囲は140m。
結界によって空間を隔たれていない――すなわち、140m内にいる全てが必中の攻撃対象である。
虎杖悠仁の顔に似合わぬ凶笑を浮かべた宿儺は、必中範囲にいる魔虚羅以外の建造物及びその中にいる一般人も対象に加え……殺戮を始めた。
「……それはさすがに無いだろう」
ぽつり、とその光景を遠視していた人物が呟いた。
当然、近くにその存在がいることを視認はしていないが把握はしていた宿儺は構わず斬撃を放つ。
「ほぅ?」
が、宿儺の代わりと言わんばかりに宿儺と魔虚羅だけに範囲を絞るように薄い青色の結界が張られた。
そしてほぼ同時に斬撃の嵐が発生するが……斬撃が外に出ないよう防げている。
「…………」
片眉を上げて必中範囲を展開された結界内に絞り、斬撃の威力を上げる。
それによって幾度の攻撃を食らった結界も思わずと言うように砕けるが――砕けた先にも結界が存在した。
(砕けると同時に再び結界を出した? いや、よく見るとその先にも結界があるのが見える。マトリョーシカのように同じものが複数存在しているのか)
砕けたとは言え、強力な硬さを誇る結界。
それを一度に複数展開する術師。
(運用が違うと言えど
結界を張る術師の当たりを付けたところで、魔虚羅の様子を見る。
適応の式神は領域前に宿儺の斬撃の呪術を食らって、適応をしていた。領域を展開し攻撃をしてみたが……案の定、式神は破壊出来てない。
本命はこちらであり斬撃のリソースを偏らせている以上、結界を砕くのは二の次である。
そして斬撃のダメージが見込めなくなってきた以上、領域を無駄に出し続ける必要もない。
(相手の思惑に乗せられるのは癪だが……まぁいい)
ダメージを抑えられたとは言え、動けなくなるほどの斬撃を食らっていた魔虚羅はその地を這っている。
だがその哀れな姿勢とは裏腹に怪物は斬撃に適応し耐性を身に着け、肉体の再生が行われている。
その様子を冷静に見つめながら、宿儺は終わりの一手を切る。
「
宿儺の手に炎が出現し……それが矢となって魔虚羅に放たれる。
それは魔虚羅に当たった瞬間、巨大な炎の柱となって……空間を焼いた。
「…………」
炎の柱が張られていた結界すら砕き、空に突き抜けたのを宿儺は表情を変えずに見つめていた。
だが結界が砕けたことに対し、特に感慨は浮かばない。一般人を守る――術師が求めた仕事を果たした結界を、その末に破壊したところで喜びなど浮かばない。
「おい、さっさと出てこい」
視線を空から下げ、とある一点を見つめる。
それは宿儺が伏黒と呪詛師重面春太を置いてきた方向。
そこを睨むように見つめていると、いきなり絵を塗り替えるよう青年が現れる。
呪術高専の制服を着た、虎杖たちよりも少しだけ年上の男。
先程頭に思い浮かべたように二度、宿儺は虎杖の中から彼の顔を見ている。
虎杖と野薔薇が入学してすぐの時。それと東京と京都の交流戦後の、呪霊と呪詛師たちとの戦闘の時に使われた“帳”の調査の時。
二回ともあまり表情を変えることがない仏頂面であったが、今は眉間に皺を寄せている。
「その顔……不服か?」
「お前を閉じ込めている上に性格が合わない虎杖への嫌がらせだろ。さっきの怪物を倒すのに使った領域……わざと避難民を巻き込んだな」
「ククッ。さて、な」
名前、
高校三年生であり、一級呪術師。生得術式は『結界術』。
虎杖悠仁が知れた範囲での情報を頭に浮かべる。
見た感じからは背はそれなりにあり筋肉は一般人からすればかなり良いだろうが、近接を主体とする戦闘だとそこまでではないな、と評価する。
「結界、か」
センスや才能が求められるが、結界術は生得術式とは別に使えるものだ。
基本的に領域とは使用すると術式が焼き切れ、生得術式は一時的に使えなくなる。だが結界術と反転術式は名前に『術』とついているが呪力操作の一環のため、領域使用後でも扱える。
「いつもは忙しくて呪霊退治にすら出られないと聞いた。この事態にも不参加だったはずだ」
「実際、ある人から聞いて増援で来たんだよ。……下手人を見つける一環で使った探査結界にお前が引っかかった時は、割と奇跡的だったよ」
聞いて増援に来た、という言葉に宿儺は眉根を寄せる。
現在呪詛師が張った“帳”によって視覚を含めた外部との遮断をしているはずだ。
玻座真が侵入出来ている理由は高位の結界術師としてだろうが……。
「なるほど、天元か」
「…………」
“帳”と言う情報から、結界内を覗けそうな存在は絞れる。
となると……
「貴様、天元の後継者か?」
「……まぁ、お前ならあの人のことを知ってるか」
天元――日本国内の“帳”などの結界の強化などを行っている、呪術界の天人。
不死の術式を持ち、器となる人間の肉体を使って何代にも渡って現代にも生き延びている。
不死である以上、後継者など本来なら要らないはずだが……自身が眠っている間に何かあったか、もしくは自身の身に何かがあった時用の予備か、と考える。
「さて、お前のことはある程度把握した」
「…………」
「それじゃあ――そろそろ殴るか」
「――っ!」
ある程度あったはずの距離を一瞬で詰め、宿儺は右拳を玻座真に放っていた。
領域使用後であるため術式は使えないが、呪力操作は可能。膨大な呪力を繊細とも言える精密操作で己の肉体を強化し、その優れた身体操作によって目の前の術師を殺しに掛かる。
「『結』」
「――あ?」
人差し指と中指だけを立てた左手。掌印と思われるその仕草と何かを呟いた瞬間、宿儺の動きが止まった。
ジロリ、と止まった原因に視線をやると……右肘に青色の小さい結界が展開されている。
「悪い、虎杖」
「ぐっ!?」
極小の結界に目を見開いていると、体の至るところに何かが突き刺さった。
致命傷は避けられているが、傷つけられると動きづらくなるところ。そこを狙われた。
今度は視線をわざわざ動かさなくてもわかる。……10を超える細長い結界が、縫うように貫いていた。
「ぐ……ククク、クハハハッ!!」
体の動きを止めるための極小の結界しかり、まるで針のような細長い結界しかり。
既存の結界術から外れたそれらに、思わず哄笑が漏れる。
その様子に怪訝な表情を浮かべようとする玻座真の腹に、思いっきり足が入る。
柔らかいところへの予想外の一撃に後ろへ吹き飛ばされながら、咳き込みつつ宿儺を見る。
「なるほど。結界の術式と聞いてそれなりの性能の結界を張る、もしくは捕まらなければ良い程度のものと思っていたが……こういう使い方をするとはな」
口の端から垂れる涎を拭いながら、玻座真は宿儺を見る。
無理やり細い結界から抜け出したようで、体中がボロボロになっている。だがその傷はどんどん治っている。
「……反転術式を使えるからと言って、少々荒いんじゃないか?」
「なら、次はもう少し丁寧にやってやろう」
銃に見えなくもない、手の形。
宿儺の凶悪な笑みとその仕草に、玻座真は冷や汗を流しながら……もっと後ろに下がった。
多分10話ぐらいの話。プロローグで宿儺戦に入ってますけど、少しだけ過去編して主人公について話す予定。
それにしてもアニメ版時空だと宿儺VS魔虚羅、領域以前に単なる戦闘でかなりの被害者出すような戦闘しているのえぐすぎる。
あまり前に出て戦うタイプではないため、主戦場となる渋谷事変だけ抽出しています。そのため滅茶苦茶中途半端な場所で終わる予定。
なお、術式に関してかなり捏造と言うかそれっぽいことばかり書く予定。
名前:玻座真護良
身長:183 体重:65
趣味:漫画、ゲーム
所属:東京都立呪術高等専門学校三年
等級:一級呪術師 所属方法:スカウト
生得術式:結界術
反転術式:使用可能(他人は治療出来ない/とある拡張術式から反転の感覚を覚えた)
黒閃経験:なし
近接戦闘:正直に言うと才能はない二流。赤血操術『赤鱗躍動』を使ってない脹相に体術だけで戦うとギリ負ける。
原作知識:漫画の存在は認知していたが、中身は全然知らないためこの世界だと把握していない。
霊力と呼んでいたのになんで魔法かと言うと、霊術や霊法はなんか違うなぁってことから適当に魔法と呼んでいた。