呪術世界の結界術師   作:ペンギンくん

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冬は乾燥で指が割れて死ぬ季節。


07.人外魔境新宿決戦 -伍-

 

「…………」

 

 反転術式で肉体の欠損を回復させながら宿儺は五条との距離を保ちつつ、『蒼』への対策を考えていた。

 この戦いで三つ、五条は『蒼』による新技を見せている。

 一つ、敵に『蒼』を纏わせること。

 二つ、対象を『蒼』による圧縮移動で引き寄せること。

 そして三つ。

 

(…………)

 

 付与の『蒼』を喰らう直前、宿儺は一瞬体の動きが鈍くなったのを覚えている。

 宿儺の直感ではあれも『蒼』であるが、今まで披露してきた『蒼』ではない。

 つまり……宿儺が『次元を断つ斬撃』を『無下限を超えられる斬撃』に縮小させている間に、五条も何らかの技を生み出そうとしているのであろうことを理解する。

 

 今までの『蒼』の縛り。

 

 『蒼』の付与。

 一度しか使われてないが分かりやすい。宿儺に対し「お前の技だ」と言っていたことから『竈』の延焼爆発のことを聞いて編み出した技なのだろうが、原理は近くても内容は全く違う。

 宿儺は知らないことだが、家入が言ったように七海の拡張術式『瓦落瓦落』の方がどちらかと言えば近い技だ。

 つまり、殴った相手に自身の術式が篭った呪力を纏わせる技。

 縛りも直接五条自身が触れなくてはならない、と言う内容だろう。

 

 『蒼』の圧縮移動。

 現状、対策がない技である。圧縮の発動は一瞬であり、例え『無下限を超える斬撃』を完成させられたとしても抵抗出来るかどうか不明だ。発動速度とタイミングが術者に依存している上、領域展開や『茈』のような大きな発動の兆候は見られないため察知が難しい。そして察知が出来たとしても五条に先手を許してしまう。

 何より問題なのはこれで五条の移動操作が自由自在になったと言うことであり、引き寄せだけではなく引き剥がしも容易になったこと。地の利は完全に五条のモノになってしまったと言える。

 気になる点は圧縮移動を使わず、宿儺にそのまま近づこうとしている姿。

 宿儺を引き寄せるのはまだ技が未完成であるため難しいなら分かるが、五条自身が重傷を負った宿儺に接近のための圧縮移動を使わないことが疑問点だ。

 

(引き寄せに何らかの制限が発生したと見るべきだろう。例えば引き寄せを使えば一定時間、圧縮移動そのものが使えなくなる。もしくは……『自身の移動』と『相手の移動』が切り替え仕様になっており、今の五条悟では自由に切り替えることが出来ない……辺りか)

 

 どちらにせよ今の五条は圧縮移動を使えないと見ても良いだろう。でなければ小規模の『茈』の後、畳み掛けるように攻撃してきたはずだ。それが無い時点で見えてくるものがある。

 警戒しておく、ぐらいに今は留めておく。

 

(逆に、動きを鈍くする『蒼』は見えぬものが多過ぎる)

 

 鈍くなるだけで、全く動けなくなったわけではない。そもそも動きづらくなる効果が主なのかどうかも怪しい。

 五条ほどの実力者があのような弱い術を意図して発動するとは思えない。となるとあれは未完成であり、まだ形になっていない術なのだろう。

 先の強力な二つの技と違い、弱いゆえにどこが上限なのか。どのような縛りが必要なのか見当がつかない。

 五条の技は性格か術式の特性故か、基本的に派手なものが多い。

 傍から見れば変化が乏しいその術は、五条の性質を考えると不気味に映る。

 必然、他の術よりも警戒心が膨らんでいく。

 

 宿儺が『空間切断の斬撃』が完成するまでの時間制限が五条に生まれたように、宿儺にも『五条の新技』が出来上がるまでの時間制限が生まれてしまった。

 こうなると心理的な優位性は消えた。こうなると再び宿儺の方が劣勢となる。

 であれば……状況を乱す(・・・・・)ことにする。

 

「……?――っ!!」

 

 一瞬……反応に遅れる。

 呪力が視認出来る六眼を持つ五条でさえも、宿儺が切る手に驚いてしまう。

 それでも止まろうとする思考を置き去りにして、体は反射的に抗うため動く――

 

 

「「領域展開」」

 

 

 

   ◆◆◆

 

「……?」

 

 観戦していた高専の面々が底知れない疑念に、思わず口を閉ざす。

 もう行われないと考えていた領域勝負。二度目の領域展開は一度目のような力比べとは違い、何らかの目的を持って宿儺が仕掛けたものだ。

 自然と、彼らの表情は険しくなる。

 

「今更領域……。まさか、空間切断の斬撃じゃなくて『解』単体で無下限を超えられるようになったとか?」

「もしかして実質負けたのが許せなくてリベンジをしようとしているとか?」

「確かに、宿儺の実力なら領域の仕様を改造して有利に働くように作り変えられるだろうが……そこんとこどうよ?」

「競争心はないわけじゃないと思いますが、あんま拘る印象は無いっスね」

「――まだ完成していないからこそ、領域を使ったんじゃないのか?」

 

 三輪の言葉に反応するように綺羅羅と秤も自身の考えを述べつつ宿主であった虎杖に聞くが、返ってきたのは『そこまで単純な奴ではない』という言葉である。

 あーだこーだ言っていると、画面をジッと見ていた日車が自身の考えを呟く。

 その言葉を拾った日下部が質問する。

 

「どう言うことだ?」

「俺の【誅伏賜死】は術式の発動と必中に偏った領域だから実感は薄いが、普通の領域は術式の必中効果と術者の能力を底上げする効果を持つと聞いた。宿儺が新たな手を求めるなら、攻めるためではなく技を磨く場として領域を発動したんじゃないか、と思っただけだ」

 

 虎杖は把握していないことだが、かつて彼と戦った真人は改造人間による結界内で戦いながら領域展延の鍛錬をしていた。

 知識不足に経験不足、さらには冷静でなかった当時の虎杖とは違い、彼の内側から見ていた宿儺は真人が行っていたことを理解していた。

 

「…………」

 

 別にそのことを覚えていて宿儺は同じような事をしているわけではない。

 ただ領域展開してふと、もしかしたらあの時のことを幽かに覚えていたから同じようなことをしたのかもしれない、と考えただけだ。

 そう……宿儺は呪術における奥義を、技術の改造のためだけに使用したのだ。

 

「だが、それは五条も同じだろ!? あいつも何らかの新技を作り上げているのは確かだ。だったら五条の方も作成が加速するはずだ!」

「外側だから冷静に、かつここには複数の頭があるからこそ導き出せた考えだ。前で戦っている五条もいきなり領域展開され、そのことに思い至るとは限らない。……そして少しでも遅れれば、それだけの優劣が生まれてしまう」

 

 日下部の叫ぶような声に天使が返答する。

 ワンテンポでも遅れれば、それだけ差が出来てしまう。

 

「次に二人が出てきた時、少なくとも宿儺の方は五条悟を殺す手段を完成させているだろう。例え……宿儺が領域内で完成させられなくとも、焼き切れた術式が復活するまでの時間で何とかするだろうが」

 

 天使の言葉に、高専の面々はこの戦いの終わりが見えてきた気がした。

 まだまだ続くと思った最強同士の攻防。だが外側からの認識と違い、戦っている二人は文字通り『必殺技』と言うモノを用意しようとしているのだ。

 お前を絶対に殺す、と言う意志を持って。

 

「……あれ? でも、確かさっきの領域での戦いって五条先生が優勢だったはずよね? なら……もしかして今のうちに倒せるんじゃない?」

「そう簡単な話じゃないが……言いたい意味は理解出来る」

 

 西宮の言葉に日下部は苦々しい顔をしながら同意する。

 宿儺は拡張術式の改良を加速させるために領域展開を行ったが、それは同時に一つの試練に挑むこととなる。

 不利なまま終わった領域内での戦い。それを宿儺の手で再開することになるのだ。

 

「だが宿儺も勝算が無くちゃ自分が不利な戦いに持って行かないだろ」

「その通りだ。だからこそ、を踏み越えここで五条悟は宿儺に勝つか……最低でも領域後の戦いのためダメージを稼がなくてはならない」

 

 真希の言葉を天使は肯定する。

 この領域での戦いは五条が有利だが、以後は宿儺が優勢になってしまう。

 ならばここで倒すか、今後のために出来るだけ体力と呪力(リソース)を削る必要がある。

 

「あのー……玻座真先輩の結界術で透かして見えたりしません?」

「…………」

 

 途中から黙って見ていた玻座真に三輪は声を掛ける。

 同じ結界術の使い手として無茶なことだと理解しているが、それはそれで『ランクがいくつも上のこの人なら~』と言う考えで質問してみた。

 そんな三輪に対し玻座真はチラリと視線を向けた後、小さく首を振った。

 

「直接結界に触れれば中の様子がある程度分かるだろうが、画面越しだから無理だな」

「あ、一応分かるんですね……」

「あの……先輩」

 

 期待してなかった答えが返ってきて若干引いている三輪を置き、乙骨も手を小さく挙げて自分も質問しようとするが、

 

「乙骨、お前は五条先生が何をしようとしているか……どう考えてる?」

 

 それよりも先に、玻座真に質問される。

 質問……と言うより、確認と言うような口調。

 その声に彼も自分と同じことを考えているのだろうと察し、小さく頷く。

 

「多分ですけど……入れ替え修行の時に言ってたやつですよね?」

「さっきの距離寄せの『蒼』を見る限り、やっぱそんな感じだよな」

 

 五条と何度か入れ替え修行をしていた乙骨と玻座真はあることに気づいた。

 もしや過去に話していたアレでは……と言うように勿体ぶった言い方に乙骨の隣に立つ真希が眉を顰める。

 

「おい、分かるように言え。いつから気づいた」

「五条先生が領域を使ったことで思い出したんですけどね」

「……領域?」

 

 全員が同じ疑問を持ち、それを口にしてしまう。

 『蒼』『赫』『茈』……そしてそれらの拡張術式。

 一度目の領域による勝負後、五条は今までに無かった手札を披露してきた。その上で今更領域を見て何かを閃く、と言うことに首を傾げる。

 玻座真は引き寄せの『蒼』を見て、乙骨は領域展開を見て……何を察したと言うのか。

 

「……あぁ、分かった。違和感あると思ったが、あれは『蒼』に寄ったのか」

「え、どこの場面です?」

「宿儺に『蒼』の呪力を纏わせる前。一瞬遅くな(ラグ)ったように見えたが……先生がミスしたんだな」

 

 分かっている二人だけで話し合いを始めたので日下部は苦い顔をする。

 玻座真をスカウトした頃、五条と二人で専門用語を解説せずに話し続けていた時のことを思い出す。今度は自分がその立場にやられていることにゲンナリしながらも口を開こうとしたところで……。

 

「ようするに――」

 

 玻座真が説明をしようと口を開こうとしたところで、画面に変化が起こる。

 領域が破裂し、それと共に画面が揺れる。

 それはカメラ役であるカラスたちが衝撃によって揺れた証であり……領域が壊れた原因が宿儺の斬撃ではないことを意味する。

 五条が展開した領域を突き破り、衝撃が戦地を貫く。

 

「五条君の『茈』だね。少しばかり規模が小さいけど」

 

 画面ではなくカラス越しに冥冥が確認し、その正体を教えてくれる。

 共通した疑問が誰かの言葉になるよりも、画面に映る『それ』に目が行き、口を閉じてしまう。

 宿儺が勢いよく吹き飛ばされており、新宿の大地を転がる。体勢を立て直し待ち構えているが、それにより外側からも彼が大怪我を負っている姿が確認出来た。

 ただし、付与された『蒼』による『茈』の変質発動の時とあまりダメージは変わっていない様子だ。

 

 付与の時はさらに小規模なものであったが、あれは直接宿儺に纏った状態での『茈』だった。

 対して今回は超近接状態による『茈』だったはずだが……発動を許していることから五条が威力よりも発射速度を優先した内容だったのかもしれない。

 そんな『茈』に関する推察が頭に流れるが、それよりも重要なことがあった。

 

「五条のやつ、自分から領域を壊したのか……!?」

 

 思わず椅子を蹴るように立ちながら、日下部は叫ぶ。

 領域内での戦いは五条の方が有利、と言うのが共通意見であった。その認識は実際に戦っている彼ら二人も同じのはずだ。

 だがそれを五条自身が終わらせた。

 

「『茈』を撃った……そちらを優先したと言うことでしょうか」

「いや、今までの『茈』のダメージを考えれば一撃で倒せるとは五条悟も思っていないはずだ。端的に宿儺が領域展開した意図を理解出来ず、だがそのままであれば宿儺の思惑通りに動くと考え無理やり領域の発動を終わらせに行ったのかもしれない」

 

 憂憂の考えに脹相が異論を唱える。

 いくら領域による術式向上があったとしても今までの宿儺の強度から半端な威力の『茈』では宿儺を倒せないと理解しているはずだ。推測通り発動速度を早めたのであれば、その時点で五条は本気ではない『茈』で倒すことを目指していないだろう。

 

「読み解いたからこそ、無理やり終わらせた……もあるが。どちらにせよ五条から終わらせる必要はないはずだろ」

「……もしかしたら、今度は五条先生の方が逆に領域内での戦いが不利になったとか?」

 

 日下部の言葉に虎杖とがふと、思いついたことを口にする。

 その可能性は無くない。領域内での戦いは外部から見ることは出来ず、何らかの要因で宿儺の方が五条を上回った可能性は否定出来ない。

 五条の方が有利と言っても、それは僅差だ。少しでも均衡が崩れれば優劣は容易くひっくり返る。

 

 ……どうしてもネガティブな意見が溢れ出る。

 

 彼らにとって最強の術師と言うのは五条悟のことだ。

 それでも相手が史上最強の術師となると見てる側としては弱気な姿勢になってしまう。考えも口から漏れ出る言葉も、どうしても良くない方に向かってしまう。

 これが特級だ。

 呪霊や呪詛師たちが特級術師五条悟に対し感じていた脅威を、今は高専組が感じているのだ。

 どれだけ有利な要素を見つけても安心には繋がらない。

 故に……

 

「今更だが別に宿儺の通常の斬撃がバカ目隠しの無下限を突破出来るようになるからって、すぐさま負けるわけじゃないから……言うほど不利になるとは思えないんだが」

 

 半端な強さではなく、絶対的な強さを持つ者の言葉を聞きたがるようになってしまう。

 

「どう言う意味だ」

「護良の作戦で五条のやつは最初、無下限なしで宿儺と戦ってたわけだろ。ソイツの想定では宿儺は無下限を超える術式を用意してくるだろうって考えで、ならそもそも無下限関係なく避けられるようにするって話で」

「つまり……例え宿儺の通常の斬撃が無下限を超えられるようになったとしても、序盤の防御張ってない時と同じ状態に戻るだけじゃないか、って話か?」

「究極的にはあの空間を切断する斬撃以外は五条にとっては脅威じゃない、って見ているんだが」

 

 呪力強化と反転術式によって宿儺の生存能力が高く並大抵の『茈』では死なないように、五条の方も『次元を断つ斬撃』以外の攻撃では死ぬことはないのではないか。

 外側で見ている限りの意見だが、少なくとも真希の意見を否定する材料は彼らには無かった。

 

「……だがそうなると、宿儺には別の狙いがある可能性が出てきたな」

「確かに。実際に戦っている宿儺の方がどの斬撃なら殺せるか、って言う感覚を理解出来るはずだ。だったら『無下限を超えられるようになった斬撃』と『空間を切断する斬撃』以外にも用意している可能性があるのか」

「あの……結局五条さんが領域戦をやめた理由ってなんなんでしょうか」

 

 どんどん深読みしていく面々に対し、三輪が声を掛ける。

 二人の動きに理由と言う名の肉付けをしていくが、どうにも結論が出ない。

 三輪の言葉に苦々しく言葉を詰まらせる日下部を置き、話に混ざらず画面を見ていた家入が煙草の煙を口から吐き出しながら、

 

「ま、平気だろ。少なくとも五条のやつの表情を見る限り苦肉の策ってわけじゃなさそうだしな」

 

 淡々とした表情で言った。

 

 

   ◆◆◆

 

 『茈』によって五条の領域は壊れてしまったが、吹き飛ばされたことにより宿儺も自身の領域から距離を取られてしまった。

 領域とはつまり術者の身から剥き出しになった術式を結界で包む技だ。外殻があろうとなかろうと術者が結界内にいることが前提であるため、術者がいなくなった領域は早々に崩れてしまう。

 下手に術式が焼き切れるタイミングを延ばす意味もないため吹っ飛ばされたタイミングで領域を自ら破棄し、そこから肉弾戦を再び始めた。

 

(…………)

 

 反転術式で肉体の治療をほぼ完了させつつ、考える。

 そもそも宿儺が『茈』の発動を許したのも、発射速度の上昇だけが理由ではない。

 領域内での戦いを放棄することを想定していなかった。故に宿儺の領域展開を許した五条と同じように、彼も虚を衝かれた形となり『茈』を食らってしまった。

 不気味だ。

 何かをしたいことは分かっても、何をしたいのか分からない。

 浅く読み込むことは出来ても、その心底には辿り着けない感覚。

 

(……何かに辿り着かないように動いている?)

 

 ふと、五条に対して抱いていた違和感が形となっていく。

 焦っているようにも見える行動。だがその笑顔からバレると自分がピンチになるから焦っているのではなく、クソガキのように仕掛けたドッキリがバレないか冷や冷やしているように見える。

 つまり中期・長期戦のために御廚子の術式改良をしていた宿儺とは反対に、五条は何らかの一発芸を用意しているのだ。

 必殺と言える、強力な一撃を。

 

「なるほどな」

「?」

 

 焼き切れた術式が回復したところで、宿儺は一歩引いて待ちの構えを見せる。

 そのことに一瞬五条が不思議そうにするが、

 

「何か企んでいるのだろう? さっさと来い。味見をしてやる」

 

 その宿儺の言葉にニヤリと笑う。

 彼に合わせて五条も攻撃の構えを取り、

 

「んじゃ、こっち(・・・)から行こうかな」

 

 術式を回し始める。

 

 ――術式順転『蒼』

 ――術式反転『赫』

 

 不合成(・・・)

 『赫鱗疾蒼(セキリンシッソウ)』。

 

 術式が回る。強く回る。

 六眼が無くとも呪力を扱える者であれば視認出来るほど、最強の術師の呪力が滾っている。

 呪力が強く回るが……それは荒々しいものではなく、六眼保持者特有の精密な呪力の流れとなっている。

 自身の術式の発動を確かめるように少し手を動かしてから、改めて構え直す。

 

「さて、やろうか」

 

 観戦している高専の面々が抱いたものと同じ感覚を、宿儺も抱く。

 即ち……この戦いの終わりを感じた。

 

「――来い」

 

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