呪術世界の結界術師 作:ペンギンくん
その姿は誰も見たことが無かったが、同時に誰もが知っていた姿であった。
四本の腕。服が破け露呈した腹部に存在する、大きな口。そして二つの左目と、歪に骨と皮膚が膨張し共に肥大化した二つの右目。
生前の両面宿儺が、姿を現した。
「…………?」
突然の変貌に、観戦している者たちの理解が少し遅れた。
いきなり知らない人間が現れて驚いた、と言う意味ではない。何故宿儺が受肉による変身をいま行ったのかが理解出来なかったのだ。
要するに、彼の戦術を瞬時に読み取ることが出来なかった。
――戦っている五条だけは、別だが。
「……ぐ…………」
宿儺と同じように目や鼻から血が流れ始め、五条の零れ落ちる血の量が増えた。
それは比例して五条の脳へのダメージが増したことを意味する。
空間内の情報が急激に増えたのが原因だろう。
空間に関する術師たちは状況を察する。
受肉による変身が行われたことにより、宿儺の肉体は……少なくとも
腕の本数、体重、呪力の質。
どこを取っても変身前とは違いすぎる存在感に、五条の脳は無理やり再演算を強いられているのだ。
「…………」
本当であれば変身による肉体の修復はもっと溜めておきたかった、と言うのが宿儺の本音だった。
口では下に見る発言を何度かしていたが、さすがの宿儺でも五条との戦いでは重傷を負うと考えていた。奇襲を考えれば反転術式での再生が間に合わず殺される可能性すらある。そのためにも瞬間的に肉体を治せる
……どちらかと言えば乙骨対策に残しておきたかった手札だが。
生得術式が模倣である以上、真人のような反転術式が効かない術式を持ってくる可能性もあった。そのため傷を治すためと言うよりも、肉体を直すために抱えていた。
妙なところで使わされた、と
どちらにせよ隙が出来た。
突如訪れた激痛に一瞬、五条の顔が歪む。その際に目を細めてしまい……反応が遅れた。
それを見逃さず視界が隠れた方から腕を伸ばし、顔面を掴む。
振りほどこうとするよりも先に、叩き落とすよりも先に――
「『捌・縁切り』」
宿儺の術式が走る。
再び五条の呪力回路が切り裂かれ、同じように六眼がシャットダウンする。
問題は、状況が先程と同じでは無いと言うこと。
一瞬とは言え領域展延を止めて術式の発動を優先したことにより、宿儺は『無量空処』を食らう。
そして――六眼が機能停止したことにより無下限の制御が出来なくなってしまった五条本人も……食らってしまった。
「――――」
『無量空処』は崩壊し、二人は後ろに受け身も取れず勢いよく倒れる。
傍から見れば間抜けにも見える光景だ。だがその光景を見て笑う者なんて誰一人いなかった。
視界が閉ざされたことにより入ってくる情報量は五条の方が少ない。
それでも受肉体と言う変質した肉体を持つ宿儺よりも強く、術式の反動を食らってしまった。
大きな問題がある。
本来、術式と言うものは術者本人を傷付けないよう
火炎の術で、術者も燃えないように。
氷結の術で、自身を凍らさないように。
意図的に己を巻き込むか、あるいは意図的にセーフティを外すか。そうでもしない限り術者は最初から生得術式に設けられたセーフティに守られるが……無下限呪術は少し事情が違う。
術式内容が強力である分だけ、構造が複雑となっている。
最終的には無敵とも称されるレベルの術式となるが、結果的に六眼が無ければ制御が出来ず自滅するほどまでに至った。
自滅するのが問題かと言われれば確かにそうだが……それを前提とした大きな問題が無下限呪術には存在する。
すなわち、五条悟が最強の呪術師であると言うことであり――出力が高ければ高いほど、当然だが反動も大きくなる。
◆◆◆
「……ちょっと、まずいかもね」
倒れた五条と宿儺の様子を固唾を呑みながら見つめていると、冥冥が口を開いた。
誰もしゃべっていなかったことからその声はよく聞こえた。それは彼女にしては珍しく緊張をはらんだ声音であり……伝播して他の者たちも今まで以上に体をこわばらせる。
「どう、マズいんだ……?」
この場合、マズいと言うなら五条の状態が宿儺より良くないと言うことだ。それを分かっていながらも冥冥にその真意を聞いた。
だが……日下部は自身の声が、ちゃんと伝わったか自信が無かった。
声がかすれていた……気がした。それぐらい口の、喉の渇きを感じた。
言葉になっていたか怪しく思い日下部自身はもう一度質問しようとしたが、冥冥は聞こえていたようで教えてくれた。
「宿儺の方も重症っぽくて意識が曖昧って感じだけど……」
「けど?」
「五条君、意識はあるけど……目が開いたまま動けないみたい」
画面を経由して戦場を見ている他の面々と違い、冥冥はカラスと視界を共有して直接二人の状態を見れることから、いち早く気づくことが出来た。
一時的に戦いの手が止まったため、カラスをさらに近づかせられるようになった。倒れている二人に接近させて、他の者たちにも見えるようにする。
「宿儺の方はまるで熱中症のように眩暈や立ち眩みを起こしている感じだな」
「……五条のやつはそもそも体が言うことを聞かない、って感じに見えるな」
日車と家入の言葉に、改めて状況の悪さに全員が息をのむ。
隙だらけの様子の宿儺と……そもそも体を動かせなくなってしまった五条。
二人とも襲撃を受ければあっさりと殺されてしまいそうな状況だが、その差に当然の疑問が浮かぶ。
「ちょっと待て。なんで五条の方が重症なんだ?」
「『無量空処』を食らう脳の位置が悪かった、とかか?」
「…………」
話し合いが始まりそうになったところ、黙って乙骨が立ち上がろうとする。
「待て、落ち着け乙骨」
だが、いつの間にか背後に近づいていた秤に肩を押さえられ、無理やり席に座り直される。
無理やり座らせられムスッとする表情をする乙骨の視線を受け流しながら、彼は話し始める。
「先に言ってた通り、お前には重要な役割がいくつもある。確かに五条先生は俺たちよりも弱るまで来るな、とは言っていて……今はその状態に該当するが、少なくともお前と護良はまだ待機だ」
「……とりあえず俺はもう行くぞ」
最強二人による決闘が始まる前に取り決めていた、戦闘への介入条件。
一対一で戦いたいからと言う考えもあるが、下手に他の者がいると五条が巻き込まないよう全力を出せなくなってしまうので、どの程度からなら戦場に来ても良いかの最低ラインを事前に決めていた。
そして――今の状況はそれに当てはまるだろうと、動く者たちがいる。
「五条悟の状態がどこまで重いかは不明だが、
「俺もまぁ、横槍対策として向かうことにする。コイツとの約束のこともあるしな」
動けるようになっても、この五条は戦えるのか。
当然の疑問を口にして鹿紫雲は出陣の正当性を唱え、それに続き秤も現場に……正確に言えば現場付近に向かう理由を言う。
「…………」
彼らと同じように待機しているだろう宿儺側の戦力、裏梅。
宿儺の方も五条と同じようなことを言い含めているだろうが、この状況なら介入してきてもおかしくない。
実際、冥冥は彼女の必殺技である
裏梅が宿儺を守るため二人の元に向かってしまう可能性が高い以上、下手なことは避けた。ついでに鹿紫雲もまだ近くにいたため、何かと言われるのが面倒だったのもある。
「そっちは任せたぞ」
「あぁ、行ってら」
「頑張ってねー、金ちゃん!」
走り出した鹿紫雲を追うように秤も軽い言葉を残しながら観戦席から外へ出る。
その秤の背中に玻座真と綺羅羅も言葉を投げ、見送る。
「…………」
そして全員の視線が乙骨に一瞬向いたことを、彼は感じた。
なんとく、視線の意味はわかる。
秤の説得であっさりと乙骨が折れたことに僅かながら驚きと疑問を抱いたのだ。
実際、乙骨としても本当は現地に行きたかった。……他者への反転術式を使える乙骨としては、早く五条の元へ行って治療したいと考えているが、残念ながら誰も賛成してくれないだろうと溜息を吐くことで、己の動きを止めた
実際、秤が言うように乙骨の役割は重要なのだ。
五条が戦えなくなった場合、羂索を即殺する必要がある。
五条が負けた場合、今は観戦席にいる面々が動くこととなっている。
当然だがその『動き』には宿儺との戦いも含まれいる。
羂索に奇襲されないよう、そして彼による日本全体の同化の儀式を止めるためにも、即座に彼の元に行って即座に殺して即座に帰還して……宿儺との戦いに合流する必要がある。
それだけのことを実行出来る戦力は限られている。
五条を
羂索の方が放置され、例え宿儺を倒せたとしても儀式が行われてしまうかもしれない。
そのことを理解している以上、乙骨も流石に我儘は言わない。
「……とは言え、確かに五条悟の方がダメージ量が多く見えるのは気になるな。先程脳の位置について語られていたが、そもそも本来の領域の方の【無量空処】にしても攻撃を食らう場所は決まってないのか?」
日車の言葉に全員が画面に目を戻す。
日車としても五条の術式に関して気になったから質問したのだが、どちらかと言えば崩れた空気を直すために疑問を投げた。
読み取ったかはともかく、それに対し玻座真が答える。
「術師は生得領域がある関係で体内にまで術式が届き辛いんだが、その
「宿儺は分かったが五条悟本人の場合は? 同じように中和が理由なのか、それとも別の理由なのか」
「……推測になるけど、そもそも別の理由……と言うか無下限呪術自体の欠陥っすね」
無下限呪術の欠陥。
それは途中参加である日車含めて周知になっている、六眼がセットになっていないと制御が出来ないと言う短所。さらには今の五条でさえ長時間の使用には脳への負荷が掛かるため、反転術式による回復を必要としていると言う弱点。
無下限の発動にも反転術式の長時間発動の維持にも六眼が無ければ術師を破壊してしまうじゃじゃ馬な術式。
「この問題点は二つ。一つは宿儺の術式によって六眼の機能が一時的にとは言え停止させられたことにより、術式が制御下から外れて暴走してしまったこと。ただ同時に視界からの情報が遮断されているので、『無量空処』による情報攻撃は減少しているはず。……まぁ何度も食らってその仕様を体で検証出来たやつなんていないので、この減少云々は希望的ですけど」
「…………」
「じゃあそれなのに何であれほどダメージを負っているかと言うと、さっき言った無下限呪術使用による脳への負荷が原因だと思ってます」
脳へのダメージと言う部分では同じであるが、経緯が違う。
術式による無限量の情報爆撃と、術式の反動による脳の過負荷。
「無下限の術式反動とは、そこまで酷いものなのか?」
「俺らも直接目にしたわけじゃないですし、反動の確認は過去の五条家が記してきた注意事項にあるはずなので、もしかしたら五条先生もそこまで酷いのは味わったことないかもしれないですけどね。ただ、これまた問題ですけど……術式の確認なんて一部例外を除けば幼少期に済ませてしまうんですよね」
一般家庭出身にしろ家系にしろ生得術式に自覚した術師は、目覚めてすぐにその術の仕様を確認する。それはつまり……術師として一番未熟な時に確認すると言うこと。
「歴代の無下限呪術の使い手がデメリットの確認をしたのが幼少期だとするならば、その人物がどれだけ優れていようとも……
五条悟が最強ゆえの、無下限呪術の反動ダメージの増加。
『無量空処』による自滅ではなく、その手前の無下限呪術による自爆。
扱う力が強くなれば強くなるほど、返ってくる力も当然強い。
歴代の術式相伝者たちが築き上げてきた
「……俺は反転術式を使えないから所感が分からないが、どちらにせよ脳へのダメージと言う点では変わらない気がするが。何か差異はあるか?」
「反転術式持っている私からしても流石に差異なんて分からないけど、少なくとも五条のやつは日常的に反転術式で脳を治しているから、もしかしたらそこまで悲観的にならなくても良いかもしれない……とだけ」
日下部の疑問に対し、家入が答えつつ喫い終わった煙草を足下に落として雑に踏み消す。
宿儺の方がダメージ量は少ないが復活する速度が遅い可能性が高く。
五条の方がダメージ量が高く復活する可能性が低いが、僅かでも復活の可能性があれば宿儺よりも早く立ち上がれる。
先に立った方が勝者となる。
……やはり今からでも鹿紫雲に便乗してトドメを刺しに行った方が良いのではないかと一部の者が考え出したところで、動きがあった。
「……うゥ…………」
目から。鼻から。口端から。
血を流しながら宿儺は立ち上がった。
その立ち姿は酷く不安定であり、強い風でも吹けば倒れてしまいそうなほどの脆さを見ているだけで感じさせる。
だが今にも崩れそうな体を緩慢ながらも動かし、宿儺はどこかからか何かを取り出す。
カラス越しの画面では宿儺が何を取り出したのか見づらくて分からず、思わず目を細めてしまう。
隠し持っていた武器か?
いやでもサイズはそこまで大きくなさそうだ。
各々が何を取り出したか考えていたところで……直感的に、虎杖はそれが何なのか気づいた。
「……指だ」
「指?」
一瞬、何かと聞き間違えたかと思った。
普通に考えるならば呪具としての弓や指輪のことを言っているのだろうと頭の中で勝手に言葉を直してしまう。実際、ここには呪具として指輪をはめている乙骨がいるのだから、一瞬そう考えてもしょうがない。
だが……すぐに現実を見直す。
口にしたのが虎杖であり、そして相手が宿儺であるならば……それは本当に『指』であっているのだろう。
すなわち、
「『宿儺の指』か……っ!!」
特級呪物『両面宿儺の指』。
かつての宿儺の魂を全ての手の指に分割して宿らせることによって生み出された、呪術界でも特に悪名高い呪物だ。
そこにあるだけで呪霊を呼び寄せるし、強い呪霊が取り込めばさらに強くしてしまう異例の呪物。
だがその本質は宿儺を復活させるためのものであり、集まって一つになるほど宿儺は
「回復用に温存しておいたのか」
「おいおいマジかよ……こっちに一本あるんだろ? それに加えて、まだ残しておきながら五条のやつとあれだけ戦ってたのか!?」
日下部の悲痛な叫びが部屋に響く。
実際のところ『「宿儺の指」の数=宿儺の実力』の認識は間違っていないが、宿儺としては呪力の量と出力が指の数だけ上限値が
呪力のみが関わる性質上、
五条の無下限呪術を超えるために必要なのは呪力ではなく技術だと確信した宿儺は多少の量や出力よりも、五条戦後を見据え回復用に温存をする……と言う選択肢を採った。
もっとも、宿儺としては単なる回復アイテムとして温存したわけではないのだが。
「――――」
意識がぼやけながらも体は半自動的に『指』を口に持っていき、それを呑み込む。
これだけ意識がはっきりしていなくても『マズい』と言うことは分かるのだな、と頭の片隅で思っていると……体内に入った呪物が働きを始める。
受肉による体の変身――すなわち、呪物に宿った記憶や記録が肉体を本来の姿に戻そうとする機能による作用。
反転術式の再生とは違い、形だけの修復。指一本だけではそれすらも働きは弱いが……今はそれだけで十分であった。
「……ふっ」
両面宿儺の本質を……指を取り込むことによって再認識した肉体は、それを基準点にして本来の姿を思い出していく。
乱れ切った意識と呪力は落ち着いていき、荒れた神経は鎮まり重心は安定する。
歪んだ体が、矯正された。
(――多少の後遺症は……さすがにあるな)
自身が受けた影響を感覚的に理解する。
領域の方は問題なく展開出来そうだが、呪力出力は大きく落ちた気がする。先程指を取り込んだが、それでもなお……全体の6割まで落ちただろうと感じとる。
攻撃系の威力が落ちるが、どちらかと言えば反転術式の出力も共に落ちている方が問題だ。さすがの宿儺と言えど高専の面々に対して無傷で済むとは思っていない。特に結界術は玻座真がいるため領域展開してもどうせ無効化される。
ならばまだ十全に反転術式を使えた方が有用だっただろう。
「……さて、次はお前か?」
倒れている五条とは反対の位置に、誰かが着地する音がした。
そちらを振り向くと……鹿紫雲一が立っていた。
「それで? 貴様も戦いに来たと言う認識で良いんだな?」
「あぁ。お前のことは呪物になる前に羂索から聞いてな」
日車と同じ、この死滅回游で高専側に合流した泳者の一人。
まだ虎杖の中にいた時に何度か出てきた名前であり、彼からポイントを貰う代わりに何らかの契約を行ったことは聞いていた。鹿紫雲が合流して内容を聞くよりも先に伏黒の方に移動してしまったため、何故彼がここに来ているかは知らない。
だが、戦いに来たことだけは分かる。
「宿儺、お前は――」
鹿紫雲が何か言おうとすると同時に、後ろに気配が増える。
呪力の感じからして
宿儺からすれば取るに足らない存在であり、鹿紫雲も別に言葉を止めるような状態ではない。
だが……鹿紫雲の口は止まり、そして宿儺は思わず振り向いてしまった。
「――――」
五条悟が、佇んでいた。
生気のない目。見っともなく口の端から流れる涎。
いつもの五条らしくない姿だが……そんなのが気にならないほどの“モノ”があった。
こぶし大の、四角形の黒。
宿儺も、鹿紫雲も、五条の後ろに立っている憂憂と綺羅羅も……五条の頭上に浮かぶ“ソレ”を見つめていた。
五条の、新しい術。
今まで秘めていた最後の切り札……とかではないはずだろう。
五条の『無量空処』は、無下限呪術の可能性を最大限まで引き出して発動された技のはずだ。
だがそれはそれとして、新しい術と言うのも奇妙だ。こんな壊れた状態で新たな術を生み出せるのか?
もしやヤケクソになってとりあえず作り出したものなのか、と疑問が過るが――
にゃお~~~ん
黒い四角から猫の声がした……気がした。
「…………は?」
誰かの戸惑ったような声。そこにいる四人が、もしや自分の口から零れた疑問の声なのではないか、と思うほど……それは違和感の塊だった。
聞こえたわけではないため、その声が高いか低いか分からない。そもそも猫の鳴き声をしているだけで、別の何かが猫の声を出した可能性すらある。……要するに、そのことすら判別が出来なかった。
(これは……無下限呪術なのか……?)
各々が疑問に思う。
いくら何でも今までの無下限の術式から外れた、異質過ぎる術。
何だったら五条以外の誰かが出した術と言われた方が納得出来る“ナニ”か。
それに目を奪われている間に、五条の目に生気が戻っていく。
未だに生気が弱い顔と目であるが、それでも彼は動けるようになっているらしく薄く笑みを浮かべながら、口を開く。
「悪い……鹿紫雲。延長戦だ。もう少し待っていてくれ」
「……しょうがないな」
言葉の意味を理解しながら、鹿紫雲は自身の欲求を抑えて下がる。
戦いたいと言う欲求は確かにある。だが……やはり強者の一人としては、この最強たちの戦いを見届けたいと言う気持ちもあるのだ。
この戦いは五条の負けで終わる。
誰がどう見ても、それが分かっていた。だから鹿紫雲は
限界を迎えた五条に対し、回復をした宿儺。
無理やり立っている五条は一分後、あるいは二分後には宿儺の攻撃を食らわずとも倒れてしまうだろう。
敗北が決まった延長戦。
それでも宿儺は軽視せず戦闘態勢に入る。
むしろ……ここからが本番と言うような気概で、五条を見据える。
「……来い」
「やるか」
そしてお互いが同時に……掌印を構えた。
時間かかったにも関わらず、あまり書けなかったと言う。
次回は予告通り五条VS宿儺の終わりと、そこからの話。
枯れ木の花を咲かせられませんが、代わりとして最後に花を持たせましょう。