Craftborne   作:Leiren

2 / 2
第1話 新たな敵

 墓石に触れた後、視界の明転が明けた時、スティーブがいた場所病院らしき内装の一室の、担架の上に寝ていた。

 片腕に何故か輸血液と血の流れる管が通っているが、何食わぬ顔で引き抜いて、担架から飛び降りる。

 

 さてここはどこだろうかと周囲を一瞬見回してから探索を開始する。先ずは部屋の扉を開けて、少し長めの階段を下って、薬瓶がたくさん置かれている棚が立ち並ぶ。すぐに外の景色を伺える玄関に出る。

 そこには人型の獣がいた。

 

「グルルルウゥ……ウウゥ」

 

 獣の姿はとても毛深く、狼にも見えた。よく見れば獣の目の前には血を流して倒れている人の姿もあった。

 ……。ぴくりとも動かない体はすでに死んでいると思って良いだろう。スティーブは静かに弓を構えれば、一切の躊躇なく放つ。

 矢は獣の背中に勢い良く突き刺さり、唸る。

 

「ガアッ!? ウウウウウ……!」

 

 獣はすぐにこちらを向く。しかしスティーブは既に次の矢を引き絞っており発射。獣の肩に突き刺されば、激怒する。

 

「グッ! グガアアァァッ!」

 

 スティーブは即座にダイヤの剣に持ち替えると、怒って飛びかかってきた獣に対し、半歩後ろに飛びながらジャンプ斬りで迎える。

 ダイヤの剣は鋭く、獣の脳天をいとも容易く切り裂き、その一撃で獣を殺すのに威力は十分にあった。

 

「ガアアァッ!?」

 

 スティーブはその戦闘感覚にコクリと頷く。いつも通りだと。

 さて、外の探索へ行こうか。

 

 玄関を出るとそこは夜の街並みがあった。建物は全てゴシック調の洋風建築で、言うなれば18世紀のロンドン風だろう。

 またどこの装飾を見ても元の世界(オーバーワールド)でよく見る四角さは全く無く、かと言って良く見る世界の増築(m o d)の一部にある不自然なリアルさも無い。

 まさに開拓者(プレイヤー)が見るとされる現実(リアルワールド)だと言っても過言では無い自然さがあった。

 

 そう思ってしばらく探索していると、次は人に出会った。恐らくこの次元(ディメンション)のモブだろう。

 片手に斧をぶら下げ、もう片方には松明を掲げる男。遠くから見る限りでは敵意は感じられないが、近づくと即座に戦闘態勢に入る略奪者(ピリジャー)の感覚があった。

 

 村人が略奪者か。どちらかは分からない。しかし一発で見極める方法がある。それは先制攻撃だ。

 どうせ一撃やったところで死ぬことはないからだ。村人なら少し評判が落ちるだけ。

 なのでスティーブはまたしても何も躊躇うことなく、クロスボウから矢を発射する。

 

「ぬわっ!? お前は誰だ! やはり所詮は他所者。ここで殺す!」

 

 殺気満々なのでスティーブはこれを敵と決めた。相手は遠距離武器は持っていないようなので、そのままクロスボウでチクチクと撃ち続ける。

 男の肩、横腹、太腿、胸に矢は刺さるものの、どれも決定打にはならない。クロスボウの威力は普通の弓矢より高いというのに、まだ死なない男にスティーブは少し引く。ピリジャー以上の体力を持つと。

 そして運悪くも矢が切れた。ならば斬るべし。

 

 まだこちらに向かって呻めき声と共に斧を持ち上げて向かってくる男に対して、スティーブは走りながらジャンプ斬りで男の頭をかち割った。

 

【実績】モンスターハンター

 

 そこで一言。(グロいな……)

 

 一切の増築がされていない世界、バニラ。と呼ばれる世界にはまず流血などあり得ない。表現として地面や床にレッドストーンを用いることは可能だが、男の脳天から股下にかけて吹き出す血の量は……。

 グロテスクが苦手な人は少し厳しいんじゃ無いか? と考えていた。スティーブの暮らしていた世界の総称。MinecraftがDかZになっていたら、こんなにも多くの開拓者が現れなかっただろうな……。

 

 と、スティーブは何処かで今も自分を操作しているであろう現実に対して、思い耽っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。