このリコリスのパンツにスティールを!   作:桃玉

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このブラック環境から転職を!Byカズマ
のIF展開です。


もしカズマのジョブがリコリスなら!Byカズマきゅん

どうしよう。

俺は吉松とかいうキチガイを当てにしたことを後悔している。

ちなみにどれくらい後悔してるかっていうとエクスプロージョン(バイツァ・ダスト)連打したいレベルで。

こんなことになってるのは一つの選択ミス、というか強制敗北イベントがあったせいだ。

 

 

……それは、俺が異世界から帰って早々のこと。

殺人鬼、アクシズ教、ストーカー、この世の全ての悪事を結集させたような男に出会ってしまった俺は、現実的にキラークイーンみたいなスタンド使いがいる訳ないと結論を出したのだが、無一文、暗殺少女に命を狙われている可能性、故人だから戸籍もない、極めつけにしつこい宗教勧誘……そんなに不幸に嫌気がさして。

 

 

「おめでとうカズマ君。今日から君が働く職場が決まったよ」

「ありがとうございますマジで感謝感激っす! これで最低限の生活は何とかなりそうっす!」

 

 

……なんとかなる、かに思われた。

 

 

「ところでその仕事場って何をする場所で?」

「簡単に言うと潜入調査だよカズマくん、君の才能を存分に生かしたまえ」

 

 

なるほどなぁ、俺の潜伏スキルとか逃走スキルとかをみて才能の片鱗を見出したって訳か。

この前の銃刀法違反JKのときの様子もドローンで見られてたみたいだし、スキルを一種の才能として見たんだろ。

……確かに職場の提供をしてくれたお前らには感謝してる。

 

 

「だが断る!」

「!?」

「俺の好きなことの1つは、自分が優位だって思ってるヤツにNOと断ってやることだ!」

 

 

そうだ、潜入調査と聞いて、スパイとか潜入とか危険なこと頼まれて、危険と隣り合わせの仕事を誰が断らないというのだろう!

このサトウカズマ、日本人の性(YESマンのレッテル)を背負っているが、そんじょそこらの砂糖(佐藤)のような甘ちゃんとは訳が違う……

俺は新聞や宗教の勧誘者を自宅警備員として追い返すことができる歴戦の猛者だ。

そんな「NOと断ってやることができるのが取り柄」だと自負しているこの俺を手中に収められると思ったかマヌケがぁッ!

 

……っとそんな感じで人生で一度は言ってみたい台詞トップ10入りの台詞を叫ぶほどに調子に乗ってた俺だが、ここで一つ大きな誤算をしていたことに気づく。

何が誤算かと言えば簡単で、このアラン機関とか言う頭がおかしい連中の温床は所謂基本的人権の尊重だとかインフォームドコンセントとか、そういうのを度外視しまくっているヤベェ奴らだってことを頭からすっぽ抜かしてたことで。

 

 

「……嘘ですごめんなさい姫蒲さん許してください拳銃はおろしてください! あ、いや別にビビってる訳じゃないんですよ? 俺が脅しに屈するような男に見えますか?」

「……土下座してるあなたを見る限りそうにしか見えませんが?」

「ま、そんなことは置いておいて拳銃を突き付けられた状況でにこやかにお話できるでしょうかいやできない!」

 

 

いくら膝が屈しようともマイハートはまだ屈してはいない!

それでも顔色ひとつ変えずに拳銃グリグリしないでほしい、怖ぇから。

まあそんなことがあって俺は渋々、実に不本意ながらもアラン機関という死ぬほど怪しい組織の支援を受けることになった。

まあ、何がともあれ吉松さんの支援を受けることになった俺は仕事先を斡旋してもらい、定職に就くことに成功した。

こうして俺の新・日本生活は始まった。

 

 

「とりあえず潜入調査はお任せください精一杯勤めてきます!」

「そうかそうか、よかったよ納得してくれたみたいで」

「銃で脅された状況で心からの納得を得られたと思ってんなら警察か救急車(110か119)呼びますか?」

「その必要はないよ……では私は用事があるんだ。後のことは姫蒲くんに。うまくやるんだよ?」

「うっす……ってちょおっと待てぇい!? 自覚してんならもう少し態度改めろよ! 無視すんなコラ!」

 

 

サラリーマンのようにスーツを着こなした吉松さんが颯爽と退室していった。

まったく、親しくもないのに失礼すぎやしないか?

とりあえず無国籍でも働ける貴重な職場を提供してもらえた、というか潜入調査だから吉松さんが雇い主だからとりあえずここら辺で勘弁してやる。

 

 

「はぁ……そう言えば姫蒲さん、俺って今日から仕事なんですよね?」

「はい、そうですね。それに当たってカズマさんには変装していただく必要があります」

「そこんところは任せてください! 実はスキルポイントが魔王討伐で貯まりまくって手品スキルを少しポイントを振り分けてるんで、変装は得意っす!」

「スキルポイント? 魔王討伐? ……ああ、そういう思春期特有のアレですか」

「すみませんいろいろ言い間違えました! なんでその『成人近い大人がおかしな言動をしてるうわぁ……』ってのやめてください心抉られる! ……ってちょっ、どこ触って……ってぅおぉい!? 服を脱がすな!?」

「どうせアレの症状なのであれば変装が得だって言葉が口だけなのはわかりきってます。私に身を委ねて大人しくしててください。天井のシミでも数えておけばすぐに終わりますので」

「うん、それが全く色気ない冷たい意味での台詞じゃなければ嬉しかった……ってか天井にシミ一つねぇよ!?」

「私が綺麗にしましたので」

「凄いですねじゃねぇよ! せ、セクハラで訴えて……いやだなぁ冗談ですって! また俺の頬を拳銃でグリグリして、ナニ本気にしてるんですか、ははは……」

 

 

クソっ、この人嫌いだっ!

そんなこと思ってたら銃を下ろしてくれた姫蒲さん。

そ、そうだ、大人しく銃を捨てるのがお互いのためなんだ。

それと出会って間もない女性に服を脱がされるのは男のプライドがあれなので自分でやりますから……ってあのぉ、聞いてます?

 

 

そんなこんなで男のプライドをズッタズタにされ泣く泣く大人しく着せ替え人形となり、この俺というか私、立派な男のコであるサトウカズマきゅんが爆裂誕生したってわけ。

いや、どういうことだよっ、尊厳破壊も語が過ぎるだろうがっ!

 

現在、俺の格好はサードリコリス(下っ端リコリス)制服、スカートとパンツ(トランクスは没収された)のせいで太ももがスースーする心許ない感覚に絶賛襲われてる。

どうして女子はパンツ見せたくないのにスカートとかはくのだろうかという人生最大の哲学にぶち当たってる真っ最中だがそんなこと以上にこの下着、女性用フリル付きパンツなのが犯罪臭プンプンだ死にたい。

 

潜入先は花も恥じらう乙女が花園、女子校……もとい、女系暗殺組織リコリスだった件。

スゥ……せめて男子校だろ吉松っ、ありがとうございます!!

 

一見すれば花園に迷い込んだ獣、俺からすればオオカミの群れに放り込まれた子犬の気分だ。

俺の卓越した手品スキル、もとい怪盗キ○ドのような変装のおかげで見かけ俺は完璧な女子だが、ばれた瞬間蜂の巣だろう。

一瞬でも「ハーレムみたいだヤッター」とか思った俺の曇った眼を焼き尽くしたい。

ゲロ吐きそう……

 

そんな胃を押さえながら俺は姫蒲さんに目的地まで送り届けられ……というより連行された。

すでに吉松が裏で手を引いていたらしく姫蒲さんから司令官の助手さんに俺の身柄を受け渡される。

……アレクセイの屋敷を壊した裁判の時みたいな状況に息を詰まらせながら廊下を歩いていると司令室についてしまった。

司令官との面会が必要らしい、帰っていいですか?

はい知ってました駄目だよなぁくそぉ……

俺は司令室の扉を開いた。

 

 

「失礼します……」

「……ノックもしないのか、出来の悪いリコリスが来たものだ。それに身長こそあるものの、そんなひょろひょろに何が出来るのか、アラン機関に問いたいものだな」

 

 

おっと、初っぱなから罵詈雑言の嵐だ。

「ここで働かせてください」とでも言おうもんなら即刻高難易度の暗殺任務を渡され死んでこいとでも言いそうだ。

 

 

「……契約書だ。そこに名前を書いておけ」

「うっす」

「佐藤さん、こう見えて司令はツンデレなのであまり嫌ってあげないでくださいね?」

「何か言ったかね司令助手」

「い、いえなにも……」

 

 

俺の方にこそっと空気を和ませてに来てくれた助手さん、マジ天使!

だがさすが表情筋が死んでてピクリともせず、どこもかしこも真っ白な肌をしている司令にその言い訳はちょっと……

 

 

「書いたか……和真というのは偽名か何かか?」

「いえ、本名です」

「……だが、これでは些か男らしすぎではないか? 通例に則って花の名前に変えてもいいのだが……」

「本名ですので」

「そ、そうか。今から組織でもお前の名前はカズマだ。いいのか、本当に……」

「まあ、呼ばれなれてるので」

「……もし変えたくなったらいつでも言え。アランチルドレンのお前にはリコリスとして素晴らしい働きと活躍を期待している、どこかの誰かとは違ってな」

「……? とりあえず頑張ります、では!」

 

 

訝しげな楠木司令だが、流石に名前は俺のアイデンティティ!

紅魔族みたいに変な名前だったらまだしも、変える予定はこれっぽっちもない!

……いや、早まったかもしれない。

流石に性別を偽ってるのに名前は本名のままとかいろいろと問題しかない。

でも流石に女として生きる決意は固まってないし、もしかしたら後々変えてもらうかもしれないが今の名前はこれでOkだ!

変えたくなったらそのときに言おう。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

いや、何が「名前を変えたくなったらそのときに言おう」だよ、そんなお気楽な考えでこの地獄を生き抜けると思うなよ過去の自分っ!

まあなんとかヴァーサタイル・エンターテイナーと手品スキルで必死に女の子ぶった結果なんとか花園の一員として馴染むことができたからよかったものの地獄は始まったばかり。

この状況をなんとかすべく俺は華やかな初陣を飾り一躍人気者になろうとしたのだが……ならなかった。

 

俺の予定では王子様系イケメン女子を目指してたのに、初陣が拳銃なしで敵全員を無力化したことで尊敬されすぎて逆に避けられてるのか?

謎のイケメン転校生みたいな感じですでにファンクラブが設立され近づいて抜け駆けしてはいけないみたいな取り決めでもできたのだろうか。

ふっ、モテる男はつらいぜ……!

 

何て孤高ぶってたら友人ができなかった代わりと言わんばかりにヤンキーみたいな血の気が盛んなサクラに絡まれ……

「あっしより後から入ってきたくせに生意気な後輩ッスね! いや、年上だから先輩ッスね……というわけで勝負ッス! ボッコボコのメッタメタにしてあげるッスよ、パ~イセン」

……と凶悪な満面の笑みで付き纏われ、勝負を挑まれる毎日。

いや、負けるのは癪だから毎回俺が回避スキルで避けて勝利するのだが。

 

毎日模擬戦を挑まれてることを楠木司令に相談したら「そうか、頑張れ」とか言い残して颯爽と立ち去って……いや、上司なのに何もしてくれないのか!?

 

周りに人も司令も誰も助けてくれないから最終手段と言わんばかりにアランの二人に「大変なんだが!?」と電話で泣きつき、この地獄から抜け出そうとしたのだが……

 

「頑張って下さい」

「えっ?」

「頑張って下さい、とおっしゃっています。ということで引き続きリコリスとして頑張って下さい…………カズマきゅん、プッ、では」

「おい今笑ったろ!? 勝手に切んなこんのアマ! 今度会ったら絶対泣かす!」

 

……なんてことがあり、さらにサクラに現場を発見され。

 

「荒れてるッスね……発情期ッスか?」

「ちゃうわ!」

「なら発散兼ねてあっしの訓練に付き合わなくっちゃッスね、さあ行くッスよぉさあさあさあ!」

「聞けよ!」

 

 

……いやぁ、俺の幸運値どこいった?

もしかしてないなったか?

 

 

「電話で何言われたんだかわかんないッスけど元気だしてくださいよぉカ~ズマちゃぁん」

「絶賛お前のせいで窒息かけてますが!? 元気にさせたいんだったら離れてくれませんかね? オレ……じゃなくて私、ただでさえ筋肉痛で悶え苦しんで死にかけてるの! 放っておいて! 私に構わないで! あっち行ってッ!」

「元気になったみたいでよかったッス! さあ演習場へレッツラゴーッスよ、今日こそはそのすかした鼻っ面に一発でもたたき込んでやるっ!」

「話聞いてないの!? 構うなって言ったろ!?」

「嫌よ嫌よも好きのうちってね、乙女の心、あっしはしっかり理解してるッスよ」

「自分の胸に手を当てればわかるよな自分自身の(乙女サクラ)心は! アンタの心に響け! 俺の心!」

 

 

誰も周りに味方がいないこの状況で無駄に喚き泣き叫ぶ俺のことを無視して引きずっていく年下先輩。

……奇妙なやつだなみたいな視線が俺に刺さってくるのはきっと気のせいだ。

その視線は主に隣でギャーギャー喚いてるセカンドリコリス(俺より偉いリコリス)の先輩、サクラに対する視線だ。

決して上下関係的に逆らえない、可哀想にも引きずられながら移動している俺に対する哀れみとか訝しむとかそんな類いの視線じゃない。

 

 

「さ~てと! 演習場に着いたんで観念してくださいッス」

「嫌です」

「あ、そうそう、この前みたいに逃げだそうとするなんてしないように! ま、どうせあっし以外にアンタみたいなぽっと出の変ちくりんエキセントリックガールに絡もうとする輩なんていないから誰も助けないッスけどね」

「ぼ、ボッチちゃうわ! それにへんちくりんでもないわ! そもそも俺にだってな仲間の一人くらい……」

「フキさんッスか? あの人もあっしと同類でッスよぉ? まあ面白い奴はあっしらの好みっすけどねぇ……って、あ! フキ先輩! こっちッスよ~!」

 

 

は、八方塞がりだ!?

向こうの方からやってくるのはサクラ曰く自分と同類のフキ先輩。

低身長だがファーストリコリス(リコリスで一番偉い階級)で俺とほぼ同い年の頼れる番長的存在で、何だかんだ言いつつ俺のことを気にかけてくれてるはずの先輩が実は俺のことを狙う猛禽類だったなんて!

くそっ、いざとなったらあの頼もしいフキ番長に子分を引き取ってもらおうかと思ってたのに!

い、いや希望を捨てちゃいけない!

この地獄では希望を捨てた人から脱落していくんだ!

フキさんになんとかこの勝負をなくしてもらえないかと思って視線をやると髪をかき上げながら不機嫌そうにため息をつく小さな番長さんが目に映った。

 

 

「はぁ、呼び出されたと思ったらまたお前ら二人の勝負かよ……」

「今日こそは勝つんで見ててくださいッス!」

「そんじゃー勝手におっ始めろー」

「止めてくれ……じゃなくてくださいフキさん! こんのウザクラのパートナーでしょ!?」

「う、ウザクラってあっしのことッスか!? なんすか、ケンカ売ってんならやるッスよ! この後の戦いはボコボコになるのを覚悟するッスよ!」

「はぁ……騒音発生装置の相手なんてしてられっか、勝手に仲良ししてろ、こちとら仮眠とってたとこ起こされたせいでダルいんだよ……」

「ははっ、言われてやんのカズマぁ!」

「……どうしたらそうなんだよ、お前だよお前が言われたんだ」

「お前らに言ったんだ。とっとと終わらせろよー」

 

 

つまらなそうな様子で頬杖をして観戦の態勢を決め込むフキ番長。

マジで止めてくれないのか!?

強健の暴走を止めるのは飼い主の役目だろ!

 

 

「フキさん見捨てないでくださいよ!」

「だってダルいし……オマエならどうとでもできんだろサクラくらい」

「俺……じゃなくて私サードですよ!? セカンドに勝てるわけ……」

「はっ、外の任務で毎度銃を使わず敵を無傷で殲滅して……」

「うぐっ」

「サクラとの模擬戦で毎度勝一撃で勝利して……」

「かはっ」

「そんな噂ばっかりで他のリコリスから避けられているオマエが何言ってるんだ?」

「……やめてください、私のライフはもうゼロだ……」

 

 

生まれてこの方、人殺しとは無縁の生活を送ってきた俺が命を奪うだなんてできるわけねぇだろ馬鹿にすんのも大概にしろ!

しかもそのおかげで俺は仕事に行っては銃を使わないで敵を殲滅するヤベェやつって言う評判がついて回ってたの初耳なんですけど!?

胃酸が逆流しそう……

 

 

「あ、もしよかったら仕事の時みたいに銃使わないで戦ってもらってもいいッスよ?」

「いや、使うわ! 何ハンデ背負わせようとしてんの!?」

「いやぁ、人様のポリシーを尊重しようかなって思った次第ッス」

「俺は人を殺さない殺し屋さ、人を殺さない銃なら遠慮なく使うからな!」

「やっぱ異端ッスね、ヒューかっこいー!」

「おまえ絶対馬鹿にしてんだろ!?」

「ハァ……とにかく終わったら呼べ、姑息なオマエならセカンドどころかファーストも倒せるだろ。ほいじゃあ始め」

「姑息とか言うなよって危なっ!?」

「チッ、避けられたッス……」

 

 

……ほんと、日本に来て何おかしなことになってんだか。

普通の日常がほしい(泣)

 




不定期ながら見てくださってる方に感謝を!

なんとなく見てみたい話を調査中(~2023/12/08)

  • 本編の続き(アニメ7話)
  • かずまきゅんの続き(IF)
  • アクアと千束とそれからカエル(IF)
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