このリコリスのパンツにスティールを!   作:桃玉

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前回、千束に追われてたカズマ。二人そろって土下座した。
アニメ第7話です


続・このリコリスのパンツにスティールを!
この閉店のピンチに団結を!By千束


リコリス襲撃事件から一ヶ月が過ぎた。

いやぁ~楽しくて楽しくてあっと言う間だったわ。

よくよく最近の出来事の凝縮具合考えれば当たり前の前田太郎だけど……(カズマ:前田太郎って誰だよ!?)

 

いや、リコリス襲撃とか物騒な事件起きてる中不謹慎かもしれないけど、私としては「リコリスが襲撃された」とか言われても「近所に変質者出没」くらいのニュアンスだし、確かに死んじゃった人たちのことは残念に思うけど、そんな深刻なイベントじゃなかったんだよ……

 

それにイベントと言えば、たきなとお手伝いさんとの同棲生活の方とか連続パンツ窃盗事件(被害者1たきな、被害者2私)の方が……

何やかんやあってカズマのことを許して仲直りしたり(事件の発端は千束)、たきなと徹夜で映画見たり、毎日のご飯がおいしかったり……そんなハッピーな出来事の方が私の記憶には熱ぅく残っているのだ!

 

さらに言えばその同棲生活は犯人の素性も何もかもが全くわかっていないので続いたままなんだけど、あの私のパンツ窃盗事件以降その事件も音沙汰なくなっちゃったし一体どういうことなんだろう……もしかして犯人さん勝手に国外に飛び立ったり野垂れ死んじゃったり!?

 

何てこと考えてたらあっという間よマジでぇ……

 

 

「一日一日が早すぎるんじゃぁ……」

「寝坊の言い訳はそれだけですか千束。布団を干すんで退いてください」

「にぇみ~よぅ……だぁってぇ、たきなが映画見てるときに勝手に寝ちゃうから、それなら私がたきなの分も見ないといけないよねって思って……」

「わ、私のせいなんですか!? た、確かに22時頃に寝落ちしてしまったのは申し訳なかったと思います。ですがだからと言って朝の5時までエナジードリンク飲んで目を充血させながら起きてるのはお肌にも悪いですし……カズマじゃないんですから」

「おい、俺の生活習慣にいちゃもんつけるんならじっくり話し合おうじゃないか!」

 

 

しょぼしょぼ寝起き目でよく見えないけど、聞こえるのはカズマが不機嫌そうに、電子レンジのボタンを操作する音。

何だかんだ言って1時間くらい寝坊しても朝食は確保されてるし、冷蔵庫の中にしまってくれてたおかずを親切に暖めてくれるし、カズママ様々よ。

少し肌寒いから毛布にくるまったまま芋虫のようにモゾモゾとテーブルの方に移動してると、呆れの混じったため息をつくたきなが私をペッと毛布から放り出し、テキパキと外に干す準備をしている。

全開にされた窓から小さな秋を感じさせる香りとともに寝起きの体には少しばかり寒い空気が肌を撫でる。

 

 

「うあぁ……さぶい……けど眠ぃ」

「そんなところで寝ると凍死するぞぉフリィーズ」

「馬鹿だにゃーかじゅまはぁ、こんな室内で凍死する訳nうひぃ!? ブルブルブルさんむっ!? もう外気氷点下いってんだろ、もう季節は冬かぁ!?」

「東京の10月でそんなわけないだろ。ほらしゃんとしろ、味噌汁暖めてるから」

「やっぱりママだ……私のママがいる!」

「誰がママだ! そもそも俺はノーマルだし男だし、ミカ店長と結婚しねぇから」

それはそれ(先生はチチ)これはこれ(カズマハハ)、ついでに私のこともその温もりで暖めて~!」

「何がついでだよ……早く冷たい水で顔洗ってこい」

「うい」

 

 

了解でありますとビシッと敬礼をして、あくびを噛み殺しながら今日も一日が始まったのだ。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

今日も一日楽しい一日が始まるっ……と思ってたんだけどなぁ。

営業開始前の先生のメール……

『明後日21:00 BAR Forbiddenにて待つ。千束の今後について話したい』

……ってのはどういうこったぁ?

先生にどういう意図でそんなことをメールを送ったのか、その差出人が誰なのか、全く見当がつかないんじゃわ。

……熟考するためにトイレにこもって考える人のポーズをとってみた。

 

 

「う゛ーん……」

「お、何だ固いのか~?」

「おいおい乙女に何聞いとるんじゃワレィ! ちょい考え事してただけだから変な勘違いしないで」

「一端の乙女自称するんならトイレでそんなひでぇ唸り声出さないこった」

「自称じゃないですー誰もが認める乙女ですー!」

 

 

そんなに酷い声を出したつもりもないのにヒドいやカズマは。

もうちょいデリカシーというものをだね……

何て言い返そうにもメールの内容が頭にこびりついて、また頭を抱える。

 

それは、ランチタイムでお店が賑わいを見せてたとき、おやつタイムでミズキがひぃひぃ悲鳴を上げて働いているとき、ボドゲ大会が終わりお客さんがいなくなったとき……

つまりは一日中頭を抱えて、捻って、唸って、一生懸命に考えた結果、一つの結論に辿りついた私は有り体に言って天才では?

普段は喫茶店の店員、裏では秘密組織の一員、その正体は名探偵千束!

フッフッフ、東京都米花町の喫茶店ポ○ロのイケメン店員にも負けないかっこよさげな名推理なんじゃないかな!

そんなこと思ってるとカズマとたきなが隅の方で顔を合わせてこそこそと内緒話をしてる。

私を混ぜないとは何事かッ、聞き耳立てて勝手に混ざっちゃる!

 

 

「カズマカズマ」

「カズマです」

「先ほどまで酷く唸っていた千束が急にニヤつき始めましたよ! これはどういうことなんです?」

「あの顔を見るにアホなこと考えてるんだろきっと」

「なるほど」

「ちょーいちょいちょ、アホなことって何だよ、たきなもなるほどじゃない! 納得すな!」

「だって千束は小学生並みによくわからない笑いのツボを持ってるので……面白いのは構いませんが、もう少し乙女なら恥じらいを持ってほしいです」

「た、たきなまで私が乙女じゃないみたいなこと言って!?」

 

 

何かこそこそ喋ってると思ったら何なに何なの!?

私のことをアホの子認定して、そんなに私をいじり弄んで楽しいかこんの鬼畜ゲスマ!

きっとたきながこんな言葉返しをするようになったのもカズマの悪影響を受けて……

うん、これ以上純粋なたきなが汚されないように今度からカズマには寝泊まりは遠慮してもらうように拳で交渉しよう。

いつかのパンツの借り、それできっちり返してやったるわ!

ってそんな馬鹿っぽいことに付き合ってる暇なかった。

 

 

「ねぇ、先生いないよね?」

「おう、さっき帰ったからな」

「じゃあコホン、ちょっと皆さぁんこっちに集合~! これよりリコリコの存続をかけた緊急会議を始めますッ!」

「はいかいさーん」

「勝手に解散すな! 本当に大事な話なんだって!」

「リコリコ存続とは突拍子もないですね……。ですがその真剣な表情、もしかして朝からトイレに閉じこもってたのも……」

「あれは固かっただけだろ。俺はデリカシーに配慮して周囲に言いふらしてないが、ちゃんとわかってるから今日はキャベツとか水溶性食物繊維豊富な食事作ってやる」

「そうそう、水溶性食物繊維摂ってお腹の調子整えてじゃないわ! 私語を謹んでお口チャックカズマ! 今度無駄口叩いたらパンツ盗んだ話阿部さんに言っちゃうから!」

「勘弁してください」

 

 

一瞬にして土下座の態勢をとるカズマ。

プライドはどこやったどこに……もしかしたらその辺の道端において忘れてきて今頃犬に持ち去られてるかもしれない。

ともあれ、反省の意を示すのならこの寛大な慈愛の心を持つ千束さんは許して進ぜよう!

そんなことしてると一人寂しく酒を呷っていたみそj……ミズキが。

 

 

「それで? 急にどうしたってのよ、あのおっさんが関わってんのぉ?」

「おおー、酔っ払いのくせに案外まともな……」

「じゃかしいわこんのリス! 今日はまだ一缶しか開けてないだろ!」

「ビールは1日1缶が適量だぞ」

「それはお国の頭が凝り固まった健康志向固っ苦しい奴らの意見でしょう? 酒飲みがたった一缶で満足すると思ったら大間違いよ」

「はいはーいソコ! 私語しない!」

 

 

私の感心した気持ちを返してほしいわ!

所詮飲んだくれの異名を持つミズキ、ほろ酔っ払いは口数多くなっちゃうんだからもう……

ご立腹状態の私がほっぺを膨らませているとたきなが肩をちょんちょんと遠慮がちに軽く叩いて。

 

 

「それでミズキさんの言うとおり店長のことなんですか?」

「うん、実は……先生の携帯に明後日の夜9時にバーで待ち合わせで、私の将来について話したいって……」

「はああ!? もしかしてアンタ人のスマホ盗み見したの!? かーっ、いつかはやると思ってたけどまさか本当にやらかすとは……人のスマホ、覗き見するんじゃありません!」

「だってしょうがないじゃん見えちゃったんだもん!」

「……千束は職場の知り合いで普段から愛想のいい元気な人でした。そんな彼女がまさかこんなことをするなんて……くそっ! あの唸り声がまさかSOSのサインだったなんて! 俺は……無力だ!」

「テレビのインタビューに受け答えする犯人の知り合いの練習すんな! 誰が犯人だ!」

「自分で犯人って言ったんだろ」

 

 

カズマがそれっぽいこと言うのが悪いんじゃい!

そもそもあれは防ぎようのない事故みたいなもんだったのに咎められる謂われはないよ!

 

 

「念のため言っておくが本当に携帯の中身見るのはよくないことなんだかんな? もし見て卑猥な画像が……みたいになったら気まずすぎだろ?」

「それはカズマに限ったことで先生は違うでしょうが。そもそも風呂場とかパンツを覗き見するような人に言われたくないわ」

「と、犯人は悪びれることなく容疑を認めており……」

「誰が容疑者じゃい!」

「まさか見なくてもいい余計なものも見てしまうとは……厄介な目だな」

 

 

他人事みたいに言ってふざけすぎでしょ!

そもそも今回に限っては私の曇りなき眼が捉えた素晴らしいファインプレーだから犯人扱いするなんてもってのほか、もっと待遇よく話を聞くべきでしょうが!

そんなこと思ってると首をかしげたたきなが。

 

 

「ですがそれとリコリコ存続の危機とは繋がりが見えてこないんですが……」

「いいや、この名探偵千束、一日中頭を捻らせて考えた結果一つの真実にたどり着いたのだよ!」

「ふーん……その迷探偵の考えとやらは?」

「興味なさそうなリスめ……ふっふっふ、驚くなよぉズバリ、私をDA本部に連れ戻そうとしてるんだよ! きっとメールの送り主は楠木さんからで!」

「はい、やっぱ迷推理だったな」

「はいはいかいさーん解散!」

「ちょちょちょい! 名推理ならこの後の方が重要だろ! それでこれからみんなで一致団結してなんとかこの危機的状況を乗り越えようって時だろ茶々入れて終わらそうとすんな!」

「いやいや、だって……なぁ。そもそもなんで司令だって思ったのかもわからんし」

「カズマの言う通りそうですよ、司令とは限らないでしょ?」

「いいや、先生をたらし込んで私をDAに連れ戻す計画じゃわ……」

「……自慢ですか? 結構ですね必要とされてて」

「ああん! そうじゃないよぉたきなぁ!」

 

 

私は心情を体全体で表すみたいに悲しそうな声でたきなに擦り寄る。

怒らないでぇたきなぁ、ジト目で自虐の効いた冗談言われたら私悲しいよぉ。

だってさぁ、先生と私に関わってる人なんて片手で数えられるくらいだし楠木さん以外思いつかないんだもぉん……

 

 

「あの、そろそろ離れてもらっていいですか? 話の続きを……」

「えぇーん、たきながつめたいよぉー。誰か慰めてぇ」

「しょうがないわねぇ……ほら、こっちきなさい」

「ありがとーミズキぃ~! ……って酒クサっ!?」

「おいてめぇ、自分からくっついてきたくせに抱きしめる前に逃げるたぁ何なんだ! 人の善意をコケにしやがって……グスン」

「あー! 千束ちゃんがミズキちゃん泣かせたー! いーけないんだいけないんだー! せーんせいにいっちゃーおっ!」

「やっかましいわ! そもそも最初に先生に内緒だって言ったろ!」

 

 

カズマの小学生みたいな囃し立て方を一蹴りして本題に戻す。

もちろん涙を静かに流してるミズキと五月蠅いカズマは無視。

まともなたきなとクルミの方に体を向ける。

 

 

「とにかく! もし私が行きたくないのにDAに連れ戻されちゃったらここの存続ができないの!」

「そう言えばDAの支部にはファーストリコリスが一人はいないといけないんだったか」

「そう! だからこのままじゃお店ごと潰れちゃうんだよ!」

「じゃあ千束の代わりに私が戻りますので。それならいいでしょう?」

「うええ~ん、そんな寂し~い」

「嘘泣きしないでください」

「心の中の私はゲリラ豪雨だよ……」

 

 

た、たきなの冷たい視線が私の心臓を貫くよ……

ちょっと、ほんのちょおっと巫山戯たくらいでそんな呆れたような目しないでよ。

本当はたきなだって私と離ればなれになったりカズマの三食を逃すのは惜しいんだろそうだろぉ?

半年も一緒にいればいくら鈍感な人でもその辺のことは簡単にすーぐわかっちゃうんだから!

つまり、何が言いたいかっていうと……

 

 

「みんなだってお店なくなったら困るでしょ!」

「誰のせいですか誰の…………ですが確かに。私は養成所戻りですし」

「まだボクはここに潜伏しないと命が危ない」

「私も男との出会いの場がなくなる!!」

「俺は死ぬほどつらい肉体強化月間があるブラック職場に逆戻り……!」

「そうでしょ!!」

 

 

こうして、何やかんやまとまりのないメンバーたちが結集して来たる決戦の日に向けて行動を開始した。




また来週書けたらいいなぁ(願望)

追記
2023/12/03 19:00 お気に入り登録1000件突破!!
皆さんスペシャルサンクス!
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