「待て、俺たちは言語を持つ……コミュニケーションができる隣人ならばまずは話し合おう!」
そんな命乞いみたいなことする正座姿のカズマ。
いやいやこれだと私らが悪者みたいじゃんか!
本当は勝手な行動したカズマの自業自得でしょうが自分が被害者ぶってるんじゃない!
そんなこと思いながら裏家業ごっこを続ける。
「そうだ、俺たちは人を欺くために嘘の言葉を吐く魔族とは違う、人類は話し合える種族じゃないか! 暴力に訴えてはいけない、暴力は争いしか生まないんだ! だからまず初めにその高々に掲げた制裁の拳を下ろそうか、うん、それがいいそうしようじゃないか!」
「言い訳はいいわけよ! 先生とヨシさんをくっつける重大任務で失敗するたぁ何ちゅーことしてくれとるんじゃキサマぁ! そもそも私の将来がかかってる任務でお酒飲み出すたぁ何事じゃワレィ! ケジメをつけなくっちゃあなあ!!」
反省の色が見られないカズマに対して椅子に片足をドンッと乗っけてメンチ切ってみる。
ふっふっふ……
我ながら随分かなり迫真の演技ができてるんじゃない?
まさか頻繁に強面の組長さん(園長じゃなくて組長です)のところに挽き立てのコーヒー豆を配達してた経験とフキのモノマネがここで役立つとは思ってもみなかったわぁ。
「いやあああ!! 俺今から殴られてケガさせられるんだ!」
「ケガさ……れる……!? 何か卑猥なヒビキね興奮してきたわぁ」
「ちょおおい卑猥じゃねぇよミズキやめぃ! カズマもこっちがヤクザになりきって鉄拳制裁加えるフリしてるだけだかんな!? 変なタイミングで茶々入れて場を濁そうとすんな酔っ払いども!」
ちなみにもしカズマがほとぼり冷めるまで姿くらませておこうって行動しようもんならヘリとかを総動員してさながら海外の大規模逃走劇みたいなことする予定だったんだけどぉ……
カズマ、酔っ払った勢いで自分から帰ってきたんだよ。
はぁ……ヘリに乗って犯人追いかけるやつやってみたかったのに私の楽しみを返せよコノヤロー!
「なんか今理不尽な怒りの矛先を感じたんだ、が……」
「ソンナコトナイヨ……とにかく! この落とし前どうとってくれるんじゃア゛ァンッ!!」
「あの千束? ヤクザの組長ごっこお楽しみ中のところ申し訳ないのですが……」
「なぁによたきな若頭、今いいところなのに止めてくれちゃって……それ相応の話じゃあなければぶち転がすぞおん? あっ、それと私のことはオジキって呼んでって言ったよね?」
「オジキはおじさんって意味だって私も言ったはずなのですが……ってそうじゃなくてスカートが……」
「うん? スカート?」
普段ならカズマが「組長ごっこってなんだよ!? もしかして俺、いじめの対象になってんのか!?」とか切れのいい突っ込みが入るはずなんだけど今日はなぜか大人しい。
もしかして私のヤクザ節にビビっちゃったのかぁ?
それともお酒が入ったせいで脳みそボーッとしてんのかな?
そんな違和感に対する答えを探しながらたきなが指さす私のスカートを見る。
……なんちゅーこった、こんな近くに答えがあったわ。
自分の失策を知って椅子から片足を下ろすと、そこから顔を赤くしたカズマが見えた。
「……見たでしょ、スカートの中」
「い、いやだなぁ千束さぁん、俺たち毎日洗濯物を一緒に干してる仲だろ? 確かに俺の幸運値は高いしこの状況もラッキースケベなのかもしれない……だがな失念すんなよ、俺とお前は同棲してんだ! 今更布きれの一枚や二枚減るもんじゃあない、俺にパンツ見られたくらいで顔赤くすんなよ!」
「こんにゃろめぇ! じゃあその真っ赤っかな顔は何だよその顔でも私に魅力がないって言うの! ほれ私の64個ある必殺技のうちの一つ悩殺爆裂投げキッスじゃい! 喰らえい!」チュ
私の奥義のうちの一つである「投げキッス」を食らって無事でいたものはただ一人としていない!
例外なくことごとく心臓を打ち抜かれたものは私の魅力にメロメロメロゥってなって地面と接吻する羽目になるのだ!
つまりカズマも私の大人のお姉さん的な魅力に中てられて膝をつくに違いない!
そんなことを思ってニヤニヤ顔が緩んだんだけど、カズマの様子を見ると一向に倒れる気配がない。
「ま、まさか立ったまま死んでる……ッ!?」
「なわけあるか……で、誰を悩殺するって? 俺はこの通りピンピンしてるぜ自分からスカートの中を見せつけてきたち・さ・とさぁん?」
「キィィーーッッ! 何で効かないのこいつ! 私は戦闘力トップクラスのスーパー看板娘のはずなのに! 先生とか常連さんだって一撃でダウン持って行ったのに! 魅力、少しくらい感じろよ!」
「…………はっ!」
「ムカチャッカファイヤーッ! こんのぉ歯ァ食いしばれやゴラァっ!!」
「ちょ! 殴らないんじゃなかったのか!?」
……カズマは元々のミッションは成功したんだ、というか私の心配が杞憂だっただけだけど。
それに本当は私が任務と称して追加で頼んだ個人的なお願いは、最終的に先生とヨシさんの二人が決めること。
失敗成功に関わらずカズマにはありがとうって伝えるべきだったのかもしれない。
だけどねぇ、これだけ私のことを馬鹿にしておいて許してなるものか……否許してはおけぬ!
地獄をアンタにHell to You!!
何が暴力に訴えてはいけないだ!
この世の中言葉だけで片付けられない脅威があることを、その脅威を誰がどうやって取り除いてるのかその身をもってわからせてやるっ!
そんなこと思って平手の準備をしているとカズマが。
「スゥー…………してください」
「なんだってぇ、聞こえないなぁ? 今更土下座し直してもカズマが泣くまで殴るのを止めない!」
「夜飯全力でお作りします……」
「何故なら私を怒らせたから! 謝罪なんて無駄無駄ァッ! ……って今なんて?」
「ところてんスライムでも何でも全力で作るのでこれで……これで、勘弁してくださいッ!」
****
「ふっふふーんふっふふーんふんっふんっふーん♪」
「ご機嫌ですね千束。スキップするのはいいですが暗いので転けないでくださいよ?」
「えぇーそういうたきなだってぇお顔がにっこにっこにーじゃん! もしかして私のリボンでツインテールにしてあげたから? よっ! 笑顔と髪型似合ってんね!」
「完全に千束の趣味に付き合わされてるだけですが……まあ褒められて悪い気はしません」
「またまたぁ、恥ずかしがらないで私のハイカラセンスがいいって言ってもいいんだよ?」
「ハイカラとか言ってる時点で既に何だかなんだが?」
「チッチッチ、そう言うレトロチックな言葉の方が逆にノストラジックでトレンディーなんだよカズマ」
「へー」
というわけで現在帰宅中!
いや~、ケンカするほど仲がいいとはこのことだね!
さっきまで犬猿の仲みたいな感じだったのにもう私たち仲良しこよしの三人トリオ!
ケンカによってより深くなった絆を喜ばずにいられようか!
……べ、別に私がカズマの提案に屈した現金なヤツとか、おいしい夜ご飯に期待してにやついて口が緩んだついでに涎だばー状態になっちゃったわけじゃない、うん断じてないんだよ!
そもそも千束ズハートは複雑怪奇魑魅魍魎なんだから食欲とかいう単純な欲求に屈するわけないじゃない!
ま、まあカズマが反省して自ら率先してお料理してくれるみたいだからぁ、その食材君たちを私たち消費者側としてはフードロスの観点からして残さずにおいしく食べるのが礼儀じゃないかと思うのですよええ。
そう思っているといつか初めてカズマと出会った通りに入った。
「ところでカズマ」
「カズマっす」
「今日の料理は何を作っていただけるのでしょうか」
「とりあえず千束の要望通り絶品ゲテモノ珍味料理セットにする予定だが……とりあえず唐揚げは確定だな」
「もぅ……そんなの食べらりぇにゃいよぅ……スカー」
「そうか? かなり無難なチョイスだと思ったんだが……」
……ってアレ?
今、確か……おかしな人いなかった?
い、いやまさかねぇ?
二人とも気づいてないみたいだしきっと私の気のせいだよねあははは……
「ってちょいちょい、カズマさんや」
「はいはいカズマですよ。どうしたんだいばぁさんや」
「わたしゃあ珍味って言ったでしょうが、唐揚げは珍味に入りますかねぇ? それと料理ができあがったときのワクワク感を私は求めてるんだよネタバレ厳禁だからそこんとこ夜露死苦ゥ……って誰がばぁさんじゃい!」
「お前から始めた物語だろうが! それにいいだろ唐揚げおいしいんだから!」
「いやいやそもそもゲテモノでも珍味でもないでしょうが私との約束どこ行った!?」
「じゃあ唐揚げいらないのか?」
確かに最初におばあちゃんみたいな話しかけかたしたのは私だけどもうら若き女の子に対してばあさんはないでしょうに。
それはそれとして私唐揚げ大好きだから珍味じゃなくても食べたいかもしれない……
「いや、別にいらないってはいってないけどもじょもじょ……」
「はぁ、しょうがないか、今日は唐揚げなしにしておk」
「カズマ、人差し指ツンツンしてる千束の顔に唐揚げは好きだから作ってくださいと書いてありますので唐揚げもよろしくお願いします」
「とかなんとか言ってたきなが食いたいだけだろ? たきなの分は作るから安心していいぞ」
「あっ、ちょっとずるいー! 私もいりますぅ!」
「一応言っておくがカエルの唐揚げだかんな?」
「だからネタバレ厳禁だってばぁ! ってカエル?」
「か、カエルです? ……なるほど、それだと確かにゲテモノ料理のカテゴリーに入るのかもしれませんね」
「ゲテモノじゃないわよぅ……シュワシュワと合う絶品グルメなんだからぁ……スヤァ」
「そうだぞ、俺の感想になるがジャイアントトード肉はブルーアリゲーター肉より行けるんだからな」
やっぱり誰か勝手に私たちの会話に参加してる!?
こんな夜更けに高校生たちの会話に参入する不審者はどこじゃい!
そう思って辺りを見渡すと灯台下暗し、怪しがりて寄りて見るまでもなく丁度真横らへんにいつかで見たような光景が。
具体的に言うと低木の街路樹に頭からぶっささってる酔っ払いらしき人の影があった。
しかも特徴的なのがこれでもかというほど丈を短くしたスカートから見える丸出しのプリプリプリティーな桃。
思わず釘付けになったよ私の目と足……
ってちゃう! 痴女だ! ここに野生の痴女がいるよ!?
「か、カズマさんたきなさん! こ、ここんとこにいい尻した野生のモモちゃんg……」
「おいしいのならいいのですが……ってカエルどころかワニまで食したことが!? ……本当に一体カズマはどこの出身なのか甚だ疑問に思いますよ」スタスタ
「純日本人だ、日本生まれ日本育ちの。前に留学経験がある的なこと言ったろ?」スタスタ
「ですが英語圏ではなかなかそのような食文化はないのでは?」スタスタ
「ってぅおおいい!!」
私は大声でストップさせた二人の方へ瞬間移動が如き全力ダッシュでバビュンっと迫る。
まだいろいろな事件が未解決のままなのにかなーり不注意が過ぎるじゃないか!?
道を歩いてたら突如存在感を放つお尻に違和感を覚えないでスタスタ歩き去れるのはスルースキルを極めすぎだろ!
「二人ともなぁに何事もないような顔して勝手に話と足進めてんのぉ!?」
「おい、いきなり大声出してどうしたんだ? もしかしてあれかカルシウム不足なのか? よしそうなら俺がとびっきり腕を振るってやる」
「一応言っておきますがイライラとカルシウムの不足については科学的根拠がなくてですね……」
「えっマジで!? 知らなかったわーって違う違う! そもそもイライラしてないし何変な勘違いしてんのよ! そうじゃなくてアレ! アレ見てよ!」
人差し指をブンブン動かして強調しながら指すと、カズマが目を凝らすようにまじまじと具現化した過去の自分自身を見つめ直して……
パンっと拍手、Vサイン、手のひらを水平にした上で、額付近に当て、最後に胸の前で両腕をクロスさせた。
その様子を厳しくも真面目な表情で見てるたきな。
「何ですかそのハンドサイン初めて見ましたよ。……もしかして発砲音のサイン、敵は二人、敵は遠くから私たちの胸を狙っているということですか!? 千束! 伏せてください!」
「ちゃうわっ! くだらなすぎて意味ないヤツだから伏せずにステイ、たきな!」
「あ、はい、そうなんですか? ……で、ですがどんなハンドサインなんですか、アレ。後学のために教えてはくれませんか?」
「えぇ…………そんな必要ないと思うけどなぁ」
「お願いです千束! 私、足手まといにならないためにも未知のまま放置しておくという選択肢はないんです!」
「えっっとぉー……ぱん・つー・みえ・ないってこと……かなぁ?」
「YEAAAAH!! ハイタッチサト!」
「「……」」
「千束ハイタッチは!? 意気投合の証のピシガシグッグッは!?」
「誰がするか! そして女子にそんな解説させんな!」
マジで今度お給金減らしたろかい!
仮にもこちとらアンタの雇い主なんじゃわ、このままなめ腐った態度取るてんならこっちにも考えがあるんだかんな!
千束カンパニーはあくまで私のクゥオゥリティーオブラーイフっ水準を高めるために作られた私ファーストの小企業……給金変わらずもっと私に尽くさせてもいいんだかんぬぁん?
「って、もしかしてお二人さんにもあのケツだけ星人みえてらっしゃるわけ?」
「だからそう言ってんだろ私が第一発見者だから!」
「俺、酔いすぎたせいで変な幻覚見てるのかと……」
「先ほどまでカズマの影に隠れてたせいで何も見えてませんでしたが、今の私の目にはしっかりカズマ第二号が映ってますよ?」
「あのノーパンビッチが俺なわけないだろ! 確かに俺もあんな格好で埋まってたのかもしれないがあんな破廉恥な格好はしてなかったはずだ!」
「えっ、あの人パンツはいてないの? 暗くて遠いのによく確認できたな……このエロマ」
「よせよ、ミズキには負ける……///」テレッ
「褒めてねぇよどして照れる!? 今私たち極寒の視線を送ったつもりだったんだけど!?」
「一応言っておくが不可抗力だし、中身は不自然な影のせいで見えてないから安心してくれ」グッ
「ああ、だから全然赤面してないんだ……って『グッ』じゃないよサムズアップすな! 見ようとしたことには変わりなしいざ南無三!」
「アイタ」
勢いに任せてカズマの頭部にチョッピング!
それでも「えへへへ……照れますな」みたいな感じで頭をポリポリ掻きながら照れ笑いしてるカズマには、どうやら私とたきなからの絶対零度ビームの効果は今ひとつらしい。
そもそも私からしたらカズマとミズキの卑猥さはどっこいどっこだと思うんだけどなぁ……
それにしてもこの場所は酔っ払いが低木に頭を突っ込みたくなる
そんなこと思ってるとたきながオカルト雑誌に載ってた脱ぎ女に並ぶ怪奇ノーパン女に声をかける。
「もしもーし、生きてますかー?」
「うみゅ……まだわらしはよっぱらっれにゃんか……クカー」
「返事がない、ただの酔っ払いだ。っつーわけで解散解ー散、とっとと帰ってご飯作ろうぜ?」
「ですが治安維持も私たちリコリスの重要な任務の一つです。このまま不審者を放っておくこともできませんし……とりあえず片足持って引っこ抜くの手伝ってくださいよ、ほら千束も」
「ヨシキタっ! 百人力の千束さんのご登場だぁ!」
「わーパチパチーファイトー頑張れー、俺はここで見守ってるからさー」
「一番力強いカズマが何言ってんの手伝ってよ!」
「え、面倒くさいし遠慮しておくわ……ほら、『パワード』。とりあえず大きなカブ方式で抜けなかったら手伝うから頑張れよーおばあさん」
「まだおばあさんの話引きずるか怠けものぉ! わかったわかったわかりました! どーせ私たち二人か弱い乙女じゃ抜けませんー助けてくださいー……とでも言うと思ったか! いっくぞぉ~、いっせーのーせっ!」
うんとこしょ、どっこいしょ!
足を片っ側ずつもって引っ張りあげるとズボッッと効果音がするくらい激しく抜けた。
いや、というか私の内なる力が覚醒したんだかなんだかわかんないけどその女の人は私が想像する数倍は軽くて浅く嵌まってたみたいで、本来抜くのに必要な力は今回出した力の1割くらいしかいらなかったみたいで……
つまり何が起きたかというと、私の有り余る力が女の子を宙に飛ばしちゃったのだ。
あわわわ……どどど、どするっ!? 親方ぁ空から女の子がっ!
このままじゃあの女の子は脳天から地面に落ちて、最悪当たり所が悪ければ即死なんてことも……!?
そんな最悪の考えが脳裏をよぎったけど……いらない心配だったか。
私の目は捉えた。
女の子が飛んでいく先に待ち構えている、というか位置的に丁度いたカズマを。
そのカズマは女の子を避けようとせずに受け止めようとしてる態勢になっていることを。
そしてしっかり受け止めてホールドして……そのまま誰もが10点満点だって評価するジャーマンスープレックスを繰り出した瞬間を。
「あらカズマさんじゃn…………ガッ!?」
「そーいっ! …………ふーっ。よしっ一仕事完了! さーて家に帰ったらまずはカエルの仕込みからか!」
「ななな、何プロレス技やってんのぉ!? 今この子何か喋ろうとしてたよ何の恨みがあって息の根止めようと!?」
「えっとー、そうだ! 受け止めるの失敗してたまたまあの体勢に……」
「んな訳あるかい! 絶対受け止めて体勢整えてから実行したろ! じゃないとあの綺麗なフィニッシュ姿勢にはならないわ!」
「確かに先ほどの技は極めれば脊髄骨折を狙えますし殺人術に応用できそうなほどの殺傷能力を秘めている技だと思います。もしよければ今度私にご教授してほしいのですが……」
「まあまあ、今度教えるから話はあとだ、まずは痴女をどうにかするために警察呼ぼうぜ? とりあえずこいつは元の場所に戻して、警官には俺から痴女が木登りしてて頭から落ちるの見ましたって情報提供しておくからさ」
「もしかすると今回は心肺蘇生は必要ありま……」
「ありません! たきなは人をやっつける術ばっかり覚えちゃって……ちょっとくらい救急救命方法とか入れてもいいんじゃあないかい?」
「し、失礼ですよ千束! 私だってその方法くらい千束が選んでくれた参考資料の医療ドラマで見たことあります!」
「何が参考資料だって!?」
「き、キスをすれば生き返るんでしょう? 愛の力って偉大ですよね」
「……」
駄目だこのリコリス……早くなんとかしないと!
私は家に帰ったらたきなにしっかりその辺のことをレクチャーすることを固く心に決めた。
ってそうじゃない!
「さっきその子カズマって言ってたよね!? 知り合いなんじゃないの!?」
「言ってない」
「いや言ってたっt」
「言ってない」
「えっ、でもさっき……」
「言ってない。そもそもカズマなんてありきたりな名前がこの疫病神から出たとして、そこら辺歩いてれば何人も出会う。人違いだ。それよりも早く帰って料理の準備しないとだから先帰ってるわ。とりあえずソイツは警察にでも渡しとけー、んじゃ!」
初対面の人をこれだけボロクソに言うなんてカズマは鬼畜じゃない……
絶対知り合いなのにどうして頑なに認めようとしないのか、そこんとこよくわかんない。
けど、頭に大きなまん丸のたんこぶを生やしてる以外特に体調が悪そうに見えない全体的に青いこの娘をどうするべきか悩んだすえ、とりあえずは大事そうに抱えてる一升瓶を取り上げることにした。
明日投稿できるか怪しい……