千束の心臓破壊ができなかったからやけくそ気味の完全オリジナル展開。
シリアス? 知らない子ですね。
「続・このリコ」の最終章~爆裂事件編~ お楽しみください。
きっと予想外の展開です!
たきながパフェを販売中止のご禁制品と定めてからしばらくして。
今日は休日、少しゆっくりめに起床し、朝ご飯というなのお昼ご飯を食べに席に着く。
ちなみにたきなとカズマはしっかり早起きしたらしい、真面目なこった。
そんな真面目なカズマの料理の腕は最近本当にヤバくて、毎日が楽しみぃ!
それこそカズマの考えた遊び、セレブごっこをノリノリノーリノリでするくらいには。
「最高級の料理が完成しましたわよ、ちーちゃん」
「んっむ、苦しゅうない。今回のコースは何かな?」
「……」
「まず食前にシェフの方から自家製コンソメスープ~ポトフ風~ですわよ」
「どれどれ……ンまいっ! くぅ~、体の五臓六腑に染み渡る野菜の旨み甘み! 生まれて来てよかったよぉ~おっかさぁんッ!」
「……クタクタに煮込まれた野菜がおいしいですね」
「二品目はスパゲッティ・アッラ・プッタネスカですわよ、ちーちゃん。唐辛子を使ってて、その刺激が食欲を引き立ててくれる一品、ぜひお楽しみください……と、カズマ総料理長から」
「えー、私ぃ辛いのそんな得意じゃないだけどなぁ……パクッ……うわあおあ! は、腹が空いていく!? 食べれば食べるほどもっと食べたくなるぞこのパスタ! こりゃうんまっンまあーいっ! 味に目醒めたぁー!」
「……ピリリとしたほどよい辛みがおいしいですね」
「デザートは最高級の卵をふんだんに使用したプリンですわよ、ちーちゃん、ふー」
「んっ……唐突な耳ふー、おいたしたくなっちゃったのかな? でもデザートのプリンに免じて許してあげよう……ってカズマのプロプリンじゃんやたぁーっ! ……ってあーくん? お皿のプリン、黒い部分が私のだけ消失してるんだけど……ってあっ! そのほっぺの膨らみ……まさかっ!?」
「……カラメルソースのほどよいコク深い苦さが卵の繊細な甘みマッチしていておいしいです」
「は、はっへおいひほうへははんへひははっはんほ!」
「何言ってるかわからないけど私のプリン食べたろ! 返せよマイハピネスプリン~!」
「ごちそうさまでした」
毎日毎日おいしい料理パラダイスでわたしゃ幸せもんよ!
今回はあっくんが私のプリン我慢できずに食べちゃったけど、その後あっくんの分のプリンを全部カズマから譲渡され、私の調子は絶好調!
夜は鯖カレーかイカスミパスタか、まだ決めかねてるらしいけどそれ絶対うまいやつーぅ!
プリンを食べながら晩ご飯に想いを馳せ、お昼のニュース番組を見ていると。
『先日の未明に起こったバスガスbっ……バスガスばか……バスガガス爆発した事件ですが……』
「ぷぷー、このコメンテーターの人滑舌悪すぎなんですけどぉ! そんな難しい早口言葉じゃないバスバクが……」
「ぷぷー、このアクアとかいう女神滑舌悪すぎなんですけどぉ! とかいいつつ滑舌悪すぎなんですけどぉ! ぷーくすくす」
「おんどらぁあ! カズマだって言えないでしょ!」
「バスガス爆発」ドヤッ
「……」
「……はっ」アオリ
「むっきぃーーっ! 表に出なさい! そんなに喧嘩したいって言うならその喧嘩買って勝ってやるわ!」
「すでに早口勝負で負けたやつが何言ってやがるんだか……。いいぜ、外に出てやるよ! そして完膚なきまでに負かしてやる!」
「あらぁ? もーしかしてカズマさんったら私の方がステータス上なのお忘れかしらぁ? でも今更やっぱやめたとかなしよ! 私の怒りと怒りのゴッドブローを食らわせてやr……」
靴をトントンと鳴らし先に玄関から外に出たあっくん。
カズマは靴に履き替えることもなく玄関の扉を閉め、全部の鍵をかけた。
きっと「さあ勝負よ!」と言って振り返った瞬間ドアがパタンとしまって空しげなあっくんが外にぽつんとたってるんだろうな……
そんなあっくんが玄関を強めに叩く音を聞いて、カズマは何か満足そうに勝ち誇った表情で帰ってきた。
「か、カズマさん!? 私との戦いは!? ちょっと中に入れなさ……鍵閉めたわね!?」
「ふー、いい仕事した!」
「料理今日もおいしかったのはそうなんだけど、あっくんがかわいそうすぎない?」
「……世の人は格言を残してくれた。かわいそうはかわいい……と」
「うっわー……カズマってば好きな子をいじめるタイプの小学生?」
「ちがわい! あいつは……そう、妹みたいなもんだから!」
「いやそれ、実はめっちゃ意識してるやつじゃん!」
「いやまったく意識してない。そんなことよりさっきのバスガス爆発事件って? 俺さっき知ったばっかりなんだが……」
「なんか最近バスが爆発する事件が連続で起こってるらしいよー」
「うん? 一件だけじゃなくて?」
「そうそう、テロの可能性があるからってDAが隠してるんだってー」
「へー」
最近連続して起きているガスバスg……コホン、バスガス爆発事件というか、東京で起きている爆発事件。
今のところ被害はそこまで出ていないからいいけど、これが非人道的な行いだってことには変わりない。
犯人は見つかっていなくて、ラジアータを掻い潜って連続で事故が起きてる。
****
翌日
「と言うわけでリコリコ探偵団結・成・爆・誕! 事件の真相を暴きにいきます!」
「どゆことー?」
「わけわかめなことに付き合いたくないぞ俺は!」
「はいはーいカズマくんとアクアくんは静かにー。助手のたきな君」
「はい、説明します。今回の連続爆発事件、DAの方からは情報を入手できませんでしたがリコリコ独自の情報網から得た情報」
「クルミにハックさせたな?」
「カズマさん、静かにしてください。……コホン。それでその情報によると目視で不審な人工物は確認できず、DAはお手上げ状態であるということがわかりました。それで……千束が言ったのです。これはもしや名探偵千束の出番ですかな? と」
「うん、出番じゃないな」
「めんどくさそーね……」
「ですよね。私も説明しながらそう思ってました」
「えっ、突然の裏切り!?」
さっきまで熱心に聞いてくれてたのに急に心が離れおってからに……
わしのたきなを誑かしたのはどこのどいつじゃ!
この名探偵千束の推理によるとカズマ、アンタが犯人だ大人しくお縄につけぃ!
「はいはい落ち着いてください千束、DAという組織がお手上げなら個人が動いたところで何もできないでしょう?」
「いいや、少人数の精鋭部隊だからこそできることもあるんじゃわ! とにかく! これはもう決定事項なのでぇ居候の皆さんは強制同行! 異論は認めない!」
「異論を認めないことを認めないわ! タダ働きでこの守銭奴に成り果てたカズマさんが動くと……」
「参加したら家政婦代、日給プラス5000円」
「なぁにやってるんスか、名探偵の千束さん! 事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場に急ぎましょう! 悪知恵が働くと評判のこのカズマ、僭越ながらお手伝いさせていただきます」
カズマがすすーっとこっちに寄ってきた……ふっふっふ、まずは一人掌握!
これで2対2のイーブンじゃい!
後は誰か一人でもこっちの方に味方してくれれば多数決の大勝利!
頭突きで岩をも割りかねないパキケファロサウルスたきな、煽てれば煽てるだけ笑顔になるゆるゆるな天岩戸アクア……どちらが懐柔しやすいかなんてわかりやすすぎるなぁ?
「あっくん」
「な、何よ! 私は行かないわよそんな危なそうなことしたくないし……」
「今朝のプリンの代わりに何か好きなの奢ってあげる」
「そ、そんな! そんなもので私を誘惑できるとお、おもって?」
「なびいてんじゃねぇか……。じゃあ俺からもう一押し、バケツプリン作ってy」
「さあさあさあ! なにぼーっと立ってるのなっちゃん! 私は虫取り網の準備できたわよ!」
いや、何のための虫取り網!?
これから昆虫採集にでもいくわけじゃあるまいし……
もしかして犯人を見つけ次第網で確保しようってこと!?
と、とにかく、アクアが私サイドにぴょいっと飛んできたってことは!
「これで形勢逆転! さあ、残るはたきな助手くん、君だけだ!」
「……はあ、仕方ありません。あなたたち三人がトンデモやらかししないように監視役がいりますからね、渋々ながら行きましょう」
「ちょい!? 私はやらかさないだろいつも通り! やらかすならカズマかあっくんじゃん!」
「俺はいつもいつも二人の尻拭い担当だぞ! どうせいつも千束がきっかけ作ってアクアが被害拡大させるに決まってる! やらかすのは二人だって訂正してもらおうか!」
「……ねえ二人とも? 私がやらかすってことはどうして否定してくれないのかしら? 私だって一生懸命なんですけど!」
ということで、我ら東京の治安を守るため西へ東へ走り回るリコリコ探偵団!
今日のところは爆破されたバスを見に行って痕跡を探るためにその車体の見学に来たのです!
バスの車体をなめるように見て、どこが爆発源か、この事件のトリックは一体どんな感じなのかを確かめる。
……こ、これは!
「それで名探偵さん、検証結果はいかがです?」
「何の成果も得られませんでしたァァアッ!!」
「だから言ったでしょう? DAが調べても無理だったんですから私たちならなおさら……ってカズマ? 難しい顔して一体どうしましたか?」
「いや、ものの見事に破壊されてるなーと。相当量の爆薬必要なんじゃ?」
「そうなんですよ。そもそも車体が原型をとどめていない時点で調査も何も私たちの手に負える範囲ではないんです」
「でもこの爆発、起こるまで誰も気づかなかったんだよな?」
「ええ、バスは日中東京を走り、夜は駐車されるのですが、調べた限り何もないところからいきなり爆発が起こったらしくて……火薬も何も見つからなかったようです」
「へー、魔法みたいねぇ……」
「魔法って、そんな非科学的な現象あるわけないじゃないですかアクアさん」
「そうだよ~、馬鹿だなぁあっくんは。幻想が淘汰されたこの世の中に種も仕掛けもない手品を使える人がいたらそれは本当の魔法使いだけど、そんな人いるわけないじゃん! ねーカズm……」
私は真面目に捜査してるんだよ!
いくらあっくんでも真面目に取り組んでくれないならプリンのおごりはなしに……
ってあっるぇえええ!?
カズマどしためっちゃ汗だらだらだぁ!?
目を合わそうとしてもふいっとそらそうとするし……
犯人でもないのにそうしたんじゃ……はっ!?
もしかしてカズマ、アンタが犯人か!
「……ふーふっふっふ、この名探偵千束の目が黒いうちはどんな悪事も見逃さない! たきな君、犯人がわかった!」
「ほ、本当ですか!? この短期間で真相を見破るとは……これがファーストリコリスである千束の真の実力……ですか!」
「名探偵千束と呼びたまえ」
「め、名探偵千束! それで一体誰が犯人なんですか!」
「そう興奮しないで。犯人は……この中にいるッ!」
ドーン!!
ふっ、決まった……
逆転裁判の「異議アリッッ!!」じゃないけどそれ並みに気分爽快!
きっとみんな私のことを尊敬の眼差しで見てるに違いない、目を閉じてるからわからないけど。
三人のざわざわした空気を感じ取り聴覚を鋭く尖らせ、コソコソとした小声を聞き取る。
「これは……どういう迷推理でここまで行き着いたのでしょうか」
「きっと言ってみたかっただけなんじゃないかしら? アクシズ教は本能を抑えることをよくないこととしているのよ」
「そんな理由で悪徳領主の屋敷をぶっ飛ばした裁判で異議もないのに『異議あり』って言いやがったのなら改めて引っぱたいてもいいか?」
「も、もちろん違うわよ?」
「よし、後で覚悟しろよ。……なあこのまま千束が目をつぶって決め台詞の余韻に浸ってる間に俺たちだけで帰らないか?」
「それはいい考えですね」
「はい、じゃあかいさーん」
「何勝手に私のことおいて現地解散しようとしとるんじゃお前ら! 遠足は家に帰るまでが遠足なんだよ! というか何で急に興味失っとんじゃいたきなくん!」
「いや、そんな突拍子もない話、誰も信じませんよ……つまり私も信じてないということです」
「だよなー、俺たちの中に犯人がいるって言ったが、俺たち全員アリバイがあるだろうに……そもそも犯行動機は?」
は、犯人めぇ!
大体の犯人はそう言って言い逃れしようとするって相場が決まってるし確定じゃ!
それに私の明晰な頭脳が導き出した推理がアリバイの不成立も犯行動機があることも告げているんだよ、カズマ!
「説明しよう」
「おう」
「まず犯人の犯行動機についてだけど、これは簡単なこと」
「何が?」
「そう、犯人は世間に恨みを持っている誰か!」
「へー」
「きっとその犯人は元引きこもりのニート。そんな犯人は借金を抱え、イチャイチャするカップルを見て『リア充爆発しろ!』って思って……」
「もしかして俺を犯人だって疑ってんのこのバカ! 俺は引きニート経験ねぇしホント馬鹿なんじゃねぇの?」
「そうですよ千束。カズマは端から見れば私たち三人を侍らせてるいやな男です」
「そうよそうよ! こんな女神を目の前にしておいたの一つもしない枯れた男なのよ! 肝心な時にカズマカリバーが役に立たなくなる呪いを受けてしまって……」
「誰がいやな男だよ枯れた男だよ! 俺だって恋人にしたい女の子を選ぶ権利くらいあるんだからなこの駄女神! それと、俺が襲わない理由は紳士だからだ! 別にヘタレたとか、呪いのせいだとか、毎晩銃を持ってないと寝られないたきなさんと一緒には寝たくないなーとか、寝相悪すぎて首絞められた経験があるからとかじゃない!」
「わ、私は外敵に襲われてもすぐ対処できるように忍ばせているだけです! 別になくても寝れますし……」
「指をもじもじさせてぇ、お子ちゃまなんだからなっちゃんは!」
「酒瓶を抱いてないと寝れないお前も同類だぞ、アクア」
何でうちのたきなとアクアはぬいぐるみらしからぬ物を抱いて寝てるの?
というか二人が恥ずかしがる要素は子供みたいで恥ずかしいとかじゃなくて……何というか乙女としての危機感もって!
というか何で話がすり替わってるんだよ!
私の、私の、私の話を聞けぃ!
「はいシャラップ女三人衆!」
「姦しいってか? って俺の息子を消して勝手に性転換完了させんな! 枯れてねぇっつってんだろ!」
「はいはいこれから推理ショーするからお静かに!」
「……いちおう聞くだけ聞いてやる」
「……カズマ、君は私が『種も仕掛けもない手品を使える人がいたらそれは本当の魔法使い』って言ったときに顔色を変えたよね?」
「変えてない」
「たきな君」
「変えてました」
「イノウエサンオンドゥルルラギッタンディスカー!!」
「逃げ道が塞がれてきて焦ってるね? ところでカズマ、たまに見せてくれる原理が意味不明な手品あるよね? どうしてクルミが教えてくれって何度も言ってるのに一向に種を教えようとしないのかな?」
「……一流のマジシャンは種を明かさない、そうだろ?」
「いいや違う! 種も仕掛けもないから教えようにも教えられないってことでしょ!
「……はっ」
は、鼻で笑われた!?
う、嘘だ私の推理が間違えてるはずなんかないんだっ……
たきなくん! あっくん! この犯罪者のことやっておしまい!
……ってたきなくん?
どうして私のことを羽交い締めにするんだい?
お、落ち着いてカズマさん?
私の推理は確かに間違ってたのかもしれない……
でも悪気はなかったんだ!
だから許して……
くれなかった。
頭に雪だるまができた。
その後リコリコに顔出したらミズキが「季節感にマッチしててにあってるわよぉ」……って笑いながら頭撫でるなよぉめっちゃ痛いんだから!
来年もよろしくお願いします。