このリコリスのパンツにスティールを!   作:桃玉

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前回の続きです。


この仮面の悪魔に聖拳を!Byカズマ

スリザリンは嫌だ、借金は嫌だ、アズカバンは嫌だ、借金は嫌だ!

そんな思いで俺はアクアを引き連れて無差別的爆裂魔めぐみんの捜索をしていた。

今に至るまでアクアが面倒くさいことにかかわりたくないわと駄々っ子になったり、疲れたから宴会をしようと謎理論したり、海神ポセイドンが日本文化(性転換)の犠牲となってることを知ったり……

うん、今疲れてるのって大体アクアのせいじゃん。

 

今回の任務、ドレインタッチでめぐみん無力化作戦が失敗した場合……

つまりドレインタッチを躱された場合を考え、俺より力が強いめぐみんを取り押さえる担当として連れてきたが、やっぱこいつ先潰しておくべきだったか……酒で。

そうしておけば騒がずスタイリッシュに仮面盗賊団助手としての力を発揮できるはずだったのに。

 

というかどうしてめぐみん、俺より力強いんだよ!

ウィズとバニルに手伝ってもらってレベリングして、しかも魔王討伐したこのカズマさんがパーティー随一の高レベルなのは明らかだろ!

腹筋バキバキ脳筋性騎士のララティーナに負けるのはしょうがないとして、魔法使いと僧侶に負けるのは納得いかねぇ!

魔法使いならもっと虚弱であれよ! 何で格闘技学園で習ってんだよ!

プロレスでひいひい言わせてやる予定が全部台無しになった瞬間のどれだけ空しさを感じたことか……ううっ……な、泣いてなんかねぇし緊張で目から汗が出てるだけだし!

そんなことしているとアクアが。

 

 

「ねえねえカズマさん! あそこにいるのって!」

「ごめん、ちょっと前が見えない」

「だ、大丈夫カズマさん? 目にゴミが入ったなら私の花鳥風月で洗眼してあげましょうか?」

「大丈夫、目ぇパチパチしてれば治るから……」

「そんなことしたら眼球傷ついちゃうから駄目よ! ほら、遠慮せずに! 由緒正しき宴会の作法に則って禊ぎしたら右目なら月、左目なら太陽の神霊が生まれてくるけど、面倒くさいからまた今度ね」

「何か今とんでもないこと言わなかったか!?」

「あっ、何よ大丈夫そうじゃない……というかアレを見なさいな! めぐみんよ、めぐみん! めーぐみーん!」

 

 

ちょ!? 駄女神、何叫んでんだよオイ!

俺、作戦伝えたよな、俺が潜伏スキルを使って忍び寄り、ドレインタッチを食らわせることで無力化するっつったよな!

何でお前ってやつは鳥頭なんだよまだ大人しくしてるゼル帝の方が賢いぞ!?

そんなこと思いながら俺は気づかれまいと潜伏スキルを発動……しようとしたのだが。

 

 

「そこにいるのは、もしかしてカズマにアクア……ですか?」

「やっぱり! やっぱりめぐみんじゃない! 久しぶりね~元気してた? というかどうしてこっち向いてくれないの? ちょっぴり悲しいんですけど……」

「よ、よよ、よく気づいたな! 潜伏スキル発動してたのに……」

「我を誰だと思っているのです? アクアがいるということは一緒に私のことを見つけてくれてるに決まってます」

「お、お前……」

「ふふっ、どうしましたか? もしかしてあまりの感動に言葉もありませんか?」

「……お前、まさかとは思うが俺たちに居場所を見つけてもらうために爆裂魔法ぶっ放してたのか?」

 

 

最初は全力で拳骨しようとしてた。

でも、もし誰も頼る人がいない未知の世界に迷い込んで、心細くて寂しくて、でもこの世界に俺たちがいるかもしれないと知っていて、それで俺たちに爆裂魔法で助けを求めるように杖にすがっていたとすれば……

よし、殴ろう……なんて流石の俺でもできないんだが!?

なんか考えただけで叱りつける気力が失せるわ……

 

 

「そうですよ……」

「そうか、そうか……ぐすっ……それは辛かったよな」

「そうよね、私は運悪くカズマに見つかっちゃったけど、めぐみんは一週間以上ひとりぼっちだったもんね……。なんかその辺かんなーりくさいからこっち来なさいな、私の温もりで暖めてあげるから」

「おい、今運悪くとか言ったか? それと臭いとか言ってやるなよ! ろくにお風呂も入れてないんだから……つまりそういうことだろ。ほら、家のお風呂沸かすから一緒に帰ろう、な?」

「誰が臭いですか! 紅魔族は悪魔の香りを放つだけでそんな体臭とか乙女に禁句です! お風呂はありがたく頂戴するとしてもぶん殴りますよ!」

 

 

つらい思いしてたと思って易しく接してやろうとしてたんだが、なんかいつも通り凶暴だな……

感謝と暴力が並列走行するとかどんな理不尽だよ!

感謝すんなら暴力は控えろ!

そんな久しぶりに見るも、いつも通りのめぐみんでどことなく安心感を覚えていると。

 

 

「……というか実は、なんですが」

「何だよめぐみん……。もしかして風呂の前にご飯か? それとも……オ、レ、か?」

「キショいですよカズマ。そうではなくて、実は、居場所を見つけてもらうために爆裂してたというのは建前で」

「キショいとか言うなよ自分でもそう思ったが傷つくもんは傷つくz……ってうん? 建前で?」

「ええ、本当の理由はここを住処にしている大型魔獣の駆逐! 延いては食べられた人々の救出をと思ったのです! そしてかくなる上は夜間にこの魔物の集落に爆裂魔法を……」

「つまり?」

「大きくて固くて……そんな魔獣を目の前にして爆裂魔法を放つことを抑えられようか……否、ないっ!」

「いやあるわっ!!」

 

 

否、ないっのタイミングで勢いよく立ち上がるなよ!

どうしてお前ってやつは爆裂魔法を毎朝のジョギング感覚で放つんだよ!

ご近所迷惑どころの話じゃないんだぞ、異世界じゃないんだから!

と、というか待てよ?

今更だが、やっぱこいつが連続バス爆裂事件の犯人じゃねぇか!

そうなるとこいつがやらかしたとしれた瞬間リコリスみたいな暗部の奴らが俺たちを……

いやいや待て待て、大丈夫だ落ち着けサトウカズマ18歳成人男性!

魔法とかいう摩訶不思議現象を科学サイドの奴らに知られる訳がない!

それに意図して俺たちが何かしたという痕跡を常識にとらわれた奴らが見つけられるわけないんだ!

 

で、も……防犯カメラに写ってるんだよな、めぐみん……

なら……いつ、慌てるか? 今でしょ!

 

 

「あああああああっっ!!」

「どうしたのカズマさん!? そんな血相変えて、もしかしておならしようとして力入れたら勢い余ってなっちゃんのパフェお尻から漏れちゃった?」

「誰がう○こ漏らすか! そうじゃなくて爆裂魔法の被害だよ! やっぱバスの件めぐみんのせいだってことは俺が賠償責任取らないとってことじゃねぇか! ああっ、神は死んでしまった!」

「私生きてるんですけど!?」

「頼りにならないどころか借金ブースターの駄女神は黙ってろ! お前は神は神でも疫病神の類いだわ!」

「何ですって!? それは神に対する冒涜よ……人の身にして私に宣戦布告ということでいいのかしらいいのよね?」

 

 

いや、お前に対する正当な評価だわ!

それとお前の借金を肩代わりしてる俺に対してちょっとばかし言葉が過ぎるんじゃないか!?

お前らのやらかしは一つずつが重いんだよ、せめてもう少し何とか被害を少なくしようとかそういう試みは……できないんだろうなこんちくしょうっ!

アクアはともかくどうして知力が高いめぐみんまであほの子ポジションなんだよ!

最初に馬鹿と天才は紙一重とか言ったやつ、俺はそいつを許さない!

そしてファイチングポーズでシュシュシュッとジャブのフェイントかけてくるアクア……お前は俺の幸運の神様が宿りし右手で沈める!

そんなこと思っていると急にめぐみんが。

 

 

「ところでですが……そこにいる女は誰なのですか?」

「えっ!? ここにいるのは私とカズマだけよ? あっ、もしかしてカズマを怖がらせようとしてたの? なら邪魔してごめんね! でも幽霊の一魂もいないわよ?」

「ありゃ、ばれちった?」

「うわああああああ!」

 

 

千束!? どうしてここに!?

それにたきなも何でここにいるんだ!?

めぐみんを探すことに夢中になってたせいで敵意がないらしい二人の尾行に気づけなかった。

もし敵意があったら後ろからバットのようなものを振り下ろされて、危うく口を封じるための毒薬……もとい体が縮む薬を飲まされるところだったわ、マジあぶなっ!

なんて冗談を挟んでみたりしたが、どうしてここまで来れたんだコイツら?

ここまで俺は潜伏スキル使って来たんだが……まさかあんのリス、あっさりゲロっちまったのか!?

今一度あのプライバシー保護法とは何なのかを世界トップのハッカーに教え説かねば!

そんなこと思いつつ、先ほどの絶叫に対する返事をする。

 

 

「何でアクアは幽霊出たみたいな反応すんだよ、実は怖がりか?」

「べ、別に怖がってなんかないわよ? 例えばだけど目の前にいきなりトラウマジャイアントトードが現れたら誰だって驚くでしょ? それと同じよ! ね、めぐみん!」

「やけに饒舌な言い訳でしたね……」

「めぐみん!? あなたも私と同じトラウマをカズマに植え付けられてるはずよ! ほら思い出して! カズマがカエルの粘液を使ったヌルヌルプレイを実行した出会いの日を!」

「出会ってそうそう何そのやばそうな遊びは!? 何やってんのカズマ!?」

「ち、千束違うんだ! 誤解を招くようなこと言うなよ!」

「ううっ……思い出しただけでなんだか涙が……」

 

 

自分自身でトラウマ思い起こして、そのトラウマで勝手に自傷するんじゃねぇよ!

マジで誤解が……唯一お子様なたきなのお陰でかろうじてメンタルブレイクしてないが、千束なんかドン引きしてっからホントそういうこというのやめろくださいお願いします!

 

 

「紅魔族を嘗めないでもらおうか、トラウマなんか既に克服済み、死角などありません! ……そんなことよりもです」

「そんなことじゃないわよ! 私にとっては沽券に関わる重要なk」

「そんなことより、です。カズマ……私という女がいながら他の女性に惑わされるとは、余程その娘との一時が楽しかったようですね? 別に青筋立てて怒ってないですよ?」

「お、落ち着いてめぐみんさん? 指を鳴らしながら何かブツブツ爆裂魔法の詠唱してませんかね? 別に俺は楽しんでなんか……というか地獄のような日々を送ってきたんだ! 論より証拠だ! 千束!」

「地獄とは失礼じゃない!? いやぁ、でもカズマには感謝してるんだよ? 毎日私ん家に泊まり込みで掃除洗濯、そしておいしいブレックファースト! これからも一緒に住んでね!」グッ

「ほう、つまりカズマは私というものがありながらハーレム三昧してたと? ……私は、選んではもらえなかったんですね」

「ご、誤解してる気がするぞ!? 俺は疫病駄女神共々こいつらの面倒を見る、そう、もはや奴隷のような扱いを受けてだな……」

 

 

あ、アカン!

なんか今、話すことすべてが誤解に誤解を重ねるような悪い風が吹いてる!

めぐみんの後ろ姿もどこか儚げに悲しそうだ……

このまま放置すれば荒ぶる怪力乱神がお怒りを沈めないと爆裂魔法で破壊と暴虐の限りを尽くされる……

つまり悲しみが怒りとなり、信じられるものが何もなくなっためぐみんがサードインパクトを起こしかねない!

それを止めようと思わず足をめぐみんの方に進めてしまったが、俺はどう弁明すれば!?

そのとき、不思議なことが起こった! なんとアクアが……

 

 

「女神の憎しみと怒りのゴッドブロォォオオオーーッッ!!」

「ぐほあっ!?」ズサーッ

「めぐみィィん!! 何やってんだお前ェ!!」

「な、何よ! 悪魔を全力で殴ったくらいで怒らないでよ! 悪魔死すべし滅ぶべしよ!」

「いくらめぐみんが出会ってそうそう馬鹿にならない借金を抱えてる借金悪魔だとしてもここまでするのは悪魔の所業だろ!? 鬼畜のカズマさんだの呼ばれた俺でも何メートルも飛ばすパンチ食らわせるなんてドン引きだわ!」

「ちっがうわよ! アレをよーく見なさい! ……アレはめぐみんじゃないわ」

 

 

暗い中であまり日中のようにはっきりとは見えない中、憤怒の形相に駆られたアクアにただならぬ事態を感じてめぐみんの方を見てみる。

そこにはやはり大きなウィッチハットをかぶり、ローブを着て、赤い目を光らせているめぐみんが。

そしてアクアに殴られたところを見てみると顔はへこみ、亀裂が入った白黒の仮面……白黒の仮面!?

 

 

「ふっふっふ……この邂逅は世界が選択せし定め。我が輩は汝らの出現を待ち望んでいた!」

「お、おまっ、お前は!?」

「今頃気づいたか? 我が輩の名はバニル! 魔王よりも強いかもと噂の大悪魔、過去でも未来でも心の中、そして服の中であろうとすべてを見通す貧乏店のアルバイター…………地獄の公爵、バニルである」

「ね! 私は何にも悪いことしてないでしょ! 私のことを悪魔だの何だのと言ったカズマは一度正式に謝罪をしてもいいと思うの」

 

 

バニルであると言い放ち、アクアの聖なる拳で吹き飛んだ土塊を手で撫で傷跡なく戻す悪魔。

すいませんアクア様。

暗すぎて俺の目が節穴になってました……本当にすみませんでした。

口に出して言うのは癪だから心の中で言っておく。

というかマジで何でお前なんだよバニル!

アクアが来たってことは順番的にめぐみんが来て、そしてダクネスが来て、そんで俺がこいつらのせいでとんでもない目に遭わされるって展開だろ!

……俺は自分で何を言ってるんだよ泣けてくるじゃないか。

と、とにかく!

爆裂と言ったらめぐみん!

めぐみんと言ったら爆裂なのにどうして今回の事件の黒幕的存在がお前なんだ!?

 

 

「我が輩のことを汝の嫁と信じてあすなろ抱きしようとし、我が輩と気づいた途端臭すぎる行動に恥ずかしくなった小僧、恋人だと思うたか? 残念! 我が輩でした! いやぁ、熟成された甘美なる悪感情! 大変ゴチである! ってコラ! 我が輩の仮面に手をかけるでない! 高難易度ダンジョンで養殖の手伝いをした恩を忘れたのか!」

「うるさぁぁいっ! 俺がいつめぐみんのことを嫁だとか思ったって!? 今の俺にはめぐみんを成敗する怒りの感情しか残ってねぇ! つまり! めぐみんに成り代わってたお前にこの恨みぶつけてやらぁっ!」

「ふはははははは! 自分自身がハーレム生活していたことに罪悪感を覚える小僧よ、筋力ステータスが恋人ウィザードにも負けるか弱さでよくぞ我が輩に勝てると……」

「おーいっ! アクア! 俺ごとでいい! こいつに最高の破魔魔法をお見舞いしてやれぇっ!!」

「ま、待つがよい! 我が輩がわざわざこの場所に来てやったのは……」

「言われなくても! 私のセイクリッド・ハイネス・エクソシズムでこんな木っ端悪魔なんかけちょんけちょんにしてやるんだから! 時間稼いでねっ!」

「我が輩がこの性悪女神(笑)のいる場所によもや理由なしにやってくるとは笑止千万! 我が輩が何のために来たかと言……」

「千束、コイツにゴム弾は効かない! だから下がってろ!」

「えぇ……修羅場になるんじゃないかと思ってビクビクしてたらこれどゆこと!? 説明求むわ……」

「我が輩の真の目的は……!」

「たきな! こいつの弱点は頭だ! こいつこそが事件の犯人! 吐き気を催すほどの邪悪だ! 殺して故郷の地獄にお送りにしろ!」

「わ、わかりました!」

「やかましいわッッ!! ハァハァ……何なのだ貴様らはっ」

 




目の赤い仮面と前回言ったのに頭のおかしい爆裂娘と勘違いしていたな?
……しかし残念! バニルさんでした!

多分次回が最終回。といいつつ何も予定が……
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