このリコリスのパンツにスティールを!   作:桃玉

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この水着の少女とバカンスを!Byカズマ

父さん、母さん。

おひさしぶりです、カズマです。

俺は今……

 

 

「カーズマっ、向こうのフードコートに食べ物食べこー!」

「行く!」

「カズマカズマ、買った水着はどうですか? その、似合ってるといいのですが……」

「似合ってる!」

「私は? 私はどーよ!」

「良い!」

「何私に対抗心燃やしてるんですか千束。というか食べる前に遊ぶって言ったじゃないですか。まずは海に入りましょうよ。カズマもそう思いますよね?」

「うん、遊ぶ!」

「カーズマさーんっ! 海に行くって言うなら一緒に砂のデストロイヤー作りましょー。もちろん襲ってくるカモメを撃退する自爆機能付き!」

「作らない」

「何でよーっ!」

 

 

人生何度目かのモテ期到来を肌を以て感じております!!

そして水着の美少女に囲まれて思う存分楽しんでおります!!

いやぁ、モテる男はつらいな。

俺には仲間以上恋人未満のめぐみんがいるのに。

だが、道徳心の塊である俺は一途に浮ついた気持ちなんかない。

 

 

「ソフト買ってきたわー! 食べる? 食べるよね? ほら、溶ける前にあーんして」

「あーん」

「駄目ですよ何口開いて食べようとしてるんですか! 食後すぐの遊泳は体によくないといいますし、まずは海に入って遊んでからですね」

「あーっ、もう溶けてきちゃったんだけどぉ!」

「まあまあ、たきな。千束も悪気があったわけじゃないんだ。それに食べ物を無駄にするのはよくない。ソフトクリームを日陰で食べて30分後に遊ぼうじゃないか」(イケヴォ)

 

 

浮ついた気持ちはない!(2回目)

強いて言うなら、溶けて指についたソフトクリームを舐めとる千束と、うなじを見せつけるように濡羽烏の髪を結い上げたたきなが妙に艶やかに見えることくらいか。

まったく、俺を試そうってか?

ふっ、美少女二人をたぶらかす俺は罪な男だぜ。

 

 

「……千束、なんだかカズマが気持ち悪いのですが。無駄にかっこつけてるところとかやめるように言ってもいいでしょうか?」

「言っちゃ駄目よ。今はいい夢見させてあげないと。借金返済のためのモチベここでグンッてあげておかないとただの碌でなしに成り下がるんだからカズマは」

「何か言ったか?」

「う、ううん! 何も言ってないよー! それより早くしないとレバニラソフト溶けるからあーん!」

「今レバニラソフトっつったか!? どんなゲテもんだよ! んなもん食わそうとすな!」

「イチゴおでんよりはおいしいから!」

「ちょオマっやめ!? もごぐご!?」

 

 

……父さん、母さん。

この世の春が来たと……思ったこともありました。

でも俺は今、夢から覚めました。

……全部、勘違いでした。

 

 

「ねえカズマどうしたのうずくまっちゃって。さっきのアイスでお腹壊した?」

「きっとお腹を冷やし、水につかり、お腹が痛くなってるんですよ」

「やっぱり?」

「いや違うわ! 現状に絶望してるだけだわ!」

「そりゃ借金のことは大変だろうけど私らと一緒に頑張ってこーぜ! いい報酬の依頼を貰えるように先生に言ってあげるから」

 

 

そうじゃない。

いや、それも十分やばい問題だろうけど今の俺にとってはモテ期が勘違いだったことの方がショックだわ!

思わず俺は遠くを見つめ……

そこにいた砂遊びにハマってる自称女神と天才ハッカーの方を見て目を丸くした。

 

 

「どーもどーも!」

「お捻りはここだぞー」

「ちょっとクルミ? 私たちは芸人さんじゃないんだからおひねりをもらうのは……」

「うおっ!? なんじゃあの人だかり……なんかでっかい砂の城(?)があるけど、まーたあっくんがなんかすんごいの作ったのかぁ?」

「何あれすごい!? 小型ロイヤーじゃん!」

「なんですか小型ロイヤーって言うのは?」

「架空の古代兵器で、八本の脚でワシャワシャ高速移動する要塞だ」

 

 

千里眼スキルでアクアの方をよく見ると、小型ゴーレムみたいな中の構造まで忠実に再現された小さなデストロイヤーが。

まあ、元がデカいからな、小さなっつっても人の身長よりはデカい。

まあこれはいつものことだな。

 

問題は隣に作られた作品。

……クルミが手がけた砂の作品は筋肉モリモリマッチョマン。

そこから顔だけ出した状態でサイドチェストを決めている居眠りミズキ。

 

んで、どこからともなくカモメが飛んできて、デストロイヤーの上にとまろうとして……砂がはじけ飛んで、ミズキの顔を埋めた瞬間だった。

俺は思わず駆け寄ってみたが、無事だったのは本体のメガネだけだったみたいだ。

不幸な出来事だったなと、完全に埋葬された肉体に手を合わせて一礼。

南無。

と、そのときだった。

砂がもぞもぞと動き出すと、そこから全身砂に犯された怪物が。

 

 

「ぺっ!? うえっ、口の中ジャリジャリする……」

「うわっ、砂女!? スパイダーマンの敵サンドマンが日本文化の波に呑まれて女体化した!?」

「馬鹿、ぺっ、言ってんじゃないわよ、ぺっ! ぺっ、どっちか、ぺっ、て言うと私が、ぺっぺっ、砂に飲まれ、ぺっ、たのよ、ぺっ! 」

「み、ミズキさん!? 砂の波に飲み込まれて、死んだんじゃ……」

「ぺっぺっぺ。ぺぺっ。私は砂の底から蘇った、ぺっ、のよ」

 

 

口に入った砂を吐き出しながら砂から這い出してきた唯一の被害者ミズキ。

アクアにクリエイト・ウォーターを使ってもらってきれいに流してあげようか。

そんなことを思ってアクアに。

 

 

「おーいアクアー! お前のデストロイヤーが爆発して砂まみれになった被害者に水をくれ」

「わかったわ! 高圧洗浄オプションも無料サービスしてあげるわね! 花鳥風月ー!」

「いやぁん! 乙女の柔肌が高圧洗浄されちゃう~! ……ってイタッ!? イテデイデッ!? ほんとに高圧ぅ!? ああっ!? 私のみ、ミズギがぁああぁあ、はぁあん!」

「ああっ! あんな際どい水着着てたせいで!」

 

 

俺は千束の言葉を聞いて目をそっと手で覆った。

なぜ?

なんて野暮な質問はしないでほしい。

 

 

「か、カズマぁ私の乳見ちゃらめぇ!」

「……カズマさん、ちょっと私たちの関係、見直して少し距離を離しましょう」

「お、おい違うからなたきな! 話せばわかる! というかミズキはよからぬことを口走るんじゃあない! 真摯なカズマさんは見てない! 重要な部分は指で隠しつつ、見えないようにしてるんでお構いなく!」

「いやんアンタから見えてなくても私は視線を感じるのぉ! きっと指に隙間作ってチラチラ見てるに違いないわぁん! 思春期ボーイのエッティー!」

「うわー……」

「ち、千束まで引かないでくれ!? 本当に見てないからな!」

 

 

というか見ようとすると謎のライトオブセイバーが隠して見えないんだが。

い、一応胸を隠してるし見えないだろって思っただけだから!

中身を見ようと思ってた訳じゃないから!

 

 

「ひ、一先ず水着だ! 流された水着はどこ行った!」

「あ、あんまり叫ばないでぇ! にっくモリモリのむさ苦しい男どもの視線にあはぁん! 晒されるぅふん!」

「……お前、実はマッチョの視線に興奮してるだろ」

「し、してるかぁ! ふざけてないと恥ずかしさに耐えられんわっ!」

「で、本当のところは?」

「イケメンマッチョの視線を独占できる今の状況にはぁん……満更でもなはぁんいん! って何言わすかテンメェ!」

 

 

俺は筋肉好きの痴女の言葉を無視して、水着を捜索し始めるのだった。

別に、裸を見られることで興奮する変態だって発覚したことで興味がなくなったりとか、たきなが羽織ってた自分のものをミズキに被せてるのを見てポロリがなくなったことを悟ったからとか、そういうわけじゃない。

俺は海の紳士サトウカズマ、海賊にお宝を盗まれる前に本来の持ち主に返してあげようと思って早速行動に移しただけだ。

 

 

「アクア、お前はエラ呼吸なんだろ? だったら水の中から失せ物を探してほしいんだが」

「エラ呼吸な分けないでしょうが引きニート! 私は水を司る女神だから水の中で呼吸できるだけよ!」

「……そっか、皮膚呼吸か」

「カズマってばたまに頭がお馬鹿になるけど、まさかこっちの世界に転移した影響で頭がクルクルパーに!?」

「なってねーよ! 水の中で肺呼吸するお前の方が意味わからないんだが! というかさっさと水着探してこい! 捜し物を変な男に奪われたらアイツも嫌」

「捜し物ってコレっすか?」

 

 

そんなとき、一つ声がかかる。

俺は視線を下にしていたが、声の方を見ると筋肉質な足。

軽薄そうな声だ。

 

 

「ほれ見ろ! 俺たち以外に拾われちゃったじゃないか! お前が変なこと言い出したせいで!」

「ええっ!? わ、私のせいなの!? どちらかっていうとフラグを建てたのはカズマな気がするんですけど!」

「あはは! どっかで見た面白い人だって思ってたッスけど、まさかリコリコの料理担当の人じゃないッスか!」

 

 

……うん?

どうしてコイツは俺のことを知ってるんだ?

 

よく聞けば聞き覚えある声。

顔を見るとすぐに思い出した。

 

 

「ああっ! おま、オマエ! ウザクラじゃねーか!」

「チーッス! また常連に随分なご挨拶っすね? まさか忘れてたってわけじゃないっすよね?」

「いやごめん、普通に忘れてた」

「ひ、ヒドっ!?」

「いやだってスイーツが大繁盛したときにしか顔出さなかったじゃんか! ひっさしぶりすぎて髪のその刈りあげなかったら気づかなかったわ!」

「酷いッスよぉ……。あんなことや~こんなことが~あった仲じゃないッスか~」

「い、嫌らしい感じに言うんじゃねえ!」

「へぇ、どこが嫌らしく感じたんスかぁ? ねぇねぇ!」

 

 

こいつは乙女サクラ。

俺のことを見下してウザ絡みしてくるヤンキーだ。

どうしてここにいるんだよ!

なんて思っていると、向こうの方から「おーい! 勝手に抜け出すんじゃねぇ!」と赤いオープンカーから顔を出して呼んでいるファーストリコリスと、「まったく。こんなところで出くわすとは、やれやれだな」と物憂げな女性がいた。

 

「あー! すいませんッス~!」とオープンカーの方に駆けていくサクラに「これ返すッス」とミズキビキニを渡され、通報されかけたのは別の話。

エリス様はいつ帰還するのだろう……

  • モニョモニョの件が終わったら
  • ハワイ編が終わったら
  • 常連客として居座る
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