このリコリスのパンツにスティールを!   作:桃玉

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ビーチバレー大会に審判を!Byカズマ

「レッツ・プレイ・ヴァーリボーッ! てめーら! 先生のカフェインでドーピングしたか!」

「アンチドーピングですよ! いや、しかし一応みんな飲んだので公平性は担保できて……って違います! なんで私がこんなことを!? 楠木司令も一体どうして許諾して……」

「うっせーぞたきな。集中しやがれ、かかってるもんがかかってるもんだ、気張ってけ! あのパフェをもう一回販売することになってもいいのかよ!」

 

 

低い姿勢でボールを見張るフキさんがたきなに気合いの一声を放つ。

先ほどまで何も面倒くさそうにしていたたきなだったが、その声を聞くやいなや顔を険しくさせ、フキさんと同じ態勢に入る。

それを俺は頬杖をつきながら観戦……もとい、得点板をめくる係を強制的にやらされていた。

 

 

「いいっすねー! そんだけソッチもやる気ならあっしたちも負けちゃいられないっす! 千束さん!」

「おうよ! サーブ、いっくわー……ぃよぉっとぉ!」

「は、速っ! フキさ……」

「!? 砂に足が取られて……!」

「しゃーおら! 早速1ポイントゲットなんて最先良いっすね! 流石巷で噂のファーストリコリス、ナイススパーイク! イェーイっす!」

「いぇーい☆ やったな! このままい・け・ば! フキの悔しい顔が見られるしぃ」

「あのもう一回食べたいたきなパフェ復活!」

「負けられない戦が!」「ここにあるっす!」

 

 

仲よさげにハイタッチを交わす千束とサクラ。

どうにもフクさんの悔し顔とたきなパフェに執着してるらしい。

なんでそんなどうでもいい動機でここまで激しく盛り上がれるんだよ陽キャってやつは……

 

 

「なあアクア」

「何よカズマ。早く得点のめくって1-0にして?」

「いや、それはやるけど。そうじゃなくて、一体どうしてこんなことになっちまったんだ? 俺と浜辺でキャッキャウフフは?」

「そんなもん元からなかったでしょ?」

「なか……った、だと?」ガクッ

「ほら、思い出して? サクラちゃんにミズキ水着を拾ってもらって、カズマが警察に捕まりかけたじゃない? って何よ! 何で私を審判の席から引きずり下ろそうとするのよ! カズマも審判をやりたいのはわかるけど私だってやりたいの! 2セット目は交代してあげるから我慢して!」

 

 

違う、そうじゃない!

なんで俺が審判やりたいだなんて思った!

俺が警察に連れて行かれた件は言うなよ、古傷抉られるようなもんだぞ!

 

 

「本当に警察の件はいいから! 最近警察沙汰多すぎてアーッって言いたくなるんだよ!」

「でも、カズマが警察のお世話になりかけてここに居なかったときのことなのよ」

「…………まあもういいや。それで?」

「それで、何だかちーちゃんとフキちゃんが喧嘩になっちゃって、サクラちゃんが言うには『いつも通りの夫婦芸ッス!』らしいんだけど、私はいつまでも喧嘩を見てるわけにはいかなかったの、だって女神ですもの」

「女神ねぇ……。んでその女神様は喧嘩を仲裁できたんで?」

「それはもうばっちりよ! 二人にビーチバレーで勝敗つけるように言って……」

「ギルティーっす」

「えっ?」

「それ言ったのは千束さんっすよ? 」

 

 

審判が仕事しないのを見て、サクラが口を出してきた。

曰く、意気揚々と喧嘩の仲裁を自分の手柄のように言っていたが、また千束の突発的なイベント開催だったらしい。

 

 

「『何だァやんのかオラァン?』

『いーぜやってやんよ! まだあんときの借りは返せてなかったよなァ!』

『ワレィ、まーたボコボコにされたいのかァン?』

『抜かせ。そもそもこんな場所で銃撃戦なんて、おもちゃだろうがイカれてる』

『確かに』

『きゅ、急に素に戻んなよ……』

『うーん…………せっかくビーチだし、ビーチバレーなんてどーよ?』

『けっ、お遊びかよ……。テメェと戯れ合うなんてゴメンだ』

『ああ、もしかしてぇフキさんビビってるぅ?』

『ビビってねぇわ!』

『じゃあビーチバレーで勝敗でもいいよねぇ?』

『あたぼーよ! オイ、サクラ! お前も参加だ参加!』

って感じでしたよ?」

「じー……」

「……」

 

 

アクアがプイと視線をそらす。

コイツはどうやら見栄を張りたかったらしい。

そんな見栄っ張りを指さしつつ、俺はサクラに。

 

 

「なあサクラ。その間コイツは何やってたんだ?」

「アクアさんはオロオロして、何か離れた位置から『け、けんかはダメよ……』とか言ってたっすね」

「じー……」

「うっ……な、何よ! 私だってしっかり女神らしく喧嘩を止めたかったのよ! でもでも! あの二人ったら演技とは思えない勢いで眼とばしあってて! 怖くなって尻尾巻いて逃げたわけじゃないのよ!」

 

 

珍しくちょこっとだけ頑張ったらしい駄女神。

今日の俺はいい夢を現実で見ていたのでちょっとだけ機嫌はいい。

誇張がふんだんにちりばめられてたが、怒るほどでもない、というのが今の俺の気持ちだ。

俺はぷるんと柔らかなプリンをつつき、口に含みながらコートに向かって右側でスコアボードをめくりながら。

 

 

「まあその話はいいや。それよりどうしてたきなとフキさん、千束とサクラがタッグ組んでるんだよ」

「利害の一致ってやつっす」

「というと?」

「あっしは過去のことは水に流せる大人……何っすが、先輩方はどうにもおこちゃまみたいで、昔の勝負を持ち出して『負かすっ!』って意気込んでるんすよ。後は、単純にあっしがフキさんに勝ちたいなって。たまにはいいでしょ?」

「サクラ、お前、案外かわいい理由してんな」

「そっすよ、あっしはかわいいんス! ……ってぇ! 今案外って言いました!?」

「言ってない」

「ま、まあ聞き流しておいてあげるっすよ。次はないですがね」

 

 

なんか見逃されたが、俺は思うのだ。

次がないのはサクラ、お前の方だ。

フキさんの方に目をやると「裏切り者には処罰を……」みたいな感じで鋭い眼光が、千束に子犬のように「すげーっす!」と懐いているサクラに突き刺さっていた。

ついでに言えば、たきなも「封印されし黒歴史をサルベージしようとは……」という本気の目だ。

そんなことに気づいてないサクラが死んだら後で海に骨をまいてやろうと思う。

 

 

「じゃあそろそろ試合を再開するわね! 実況は審判ことゆっくりアクアとカズマよ! 解説はそこで暇そうにお喋りしてたから連れてきたミカてんちょと楠木しれーでお送りするわ! 一言ずつどうぞ!」

「とりあえず頑張れよサクラ。勝っても負けても、強く、生きろよ……」

「えっと、私からも一言言った方がいいのか? いきなり連れてこられたんだが……ご、ごほん、サクラはフキのペアだ。優秀だとフキから聞いているし期待しているぞ?」

「セカンドリコリスの意地、見せつけなければわかっているな?」

「はいっす! 熱い激励を受けて私はさらなる飛躍を……遂げたっすッ!!」

 

 

今一瞬激励っていうか脅しが挟まった気がするが気にしない。

殺し合いと書いて試合だ。

サクラ側が勝ったら、サクラがたきなパフェを堪能した後、ストレスマックス不機嫌フキに激しくボコられる。

サクラが負けたらけじめで即、ほどよくボコられる。

もう一度言おう、本当に強く生きてほしい。

そんなこんなで試合のホイッスル……のモノマネをしたアクアの指笛で再び試合が始まり、サクラがボールを高々と打ち上げた。

 

 

「おっといきなりアンダーサーブ! ボールを高く打ち上げた!」 

「あれ、ジャンプはしないのかしら? よくテレビで見るような……」

「高く上げることで太陽による目くらまし、助走で砂に足を取られるのを防ぐ、ビーチバレーの鉄則だ」

「楠木さんの解説でした! しかし今のサーブを受け止めた! 受け止めたぞフキ! そしてたきながトス……と見せかけてポーキーショット炸裂! ブロックしようとしたサクラも千束の足も間に合わず不意を突かれコートインだぁー!」

「1-1よカズマ! 21点、2セット先取の戦いだけどこれは面白い戦いになるんじゃない!?」

 

 

アクアが耳元で五月蠅い。

というかこいつ、実況の意味わかってるんのか?

アクアがゆっくりしてるうちに俺がほとんど一人で実況して……

これが本当のゆっくり実況ってかアホー!

ってかなんで俺は実況してんだよ、アクアに適当に実況者役に抜擢されただけなのに!

俺としたことが流されてしまった!

そんなことを思って体力を消費してると、隣のテント席に座っていたミカさんが。

 

 

「ああ。それにしても流石私の教え子だ。太陽を見ずに、影を追っていたな。しかも走り方を変えたな? 不安定な足場に順応している」

「い、いえ……私はそんな…………」プシュー

「たきなもたきなだ。とっさにブロックしてきたサクラの陰を瞬時に利用して千束の目を誤魔化したな? 強みを引き出させないように立ち回るのは相手をよく理解してないとできないことだ。同棲してるだけある」

「ど、同棲してるんすか!? 毎晩乳繰り合っちゃってるんすか!?」

「べ、べっべべ別に千束リコリス襲撃事件があったので交代で寝起きするべきだと思ってであって!」

「ちなみに俺も毎日一緒に寝泊まりしてる」

「あ、あわわ、まさかあの男っ気がないたきなが……!?」

「カズマは黙って! 変な誤解を生むようなことを言わないでください!!」

「ここでフッキーダウン。試合は一時中断となります」

 

 

アクアがそんなことを言うのを聞いて、フキさんの方を見ると顔を真っ赤にして茹で蛸になっていた。

コーヒー……というか水分の補給を怠ったな?

日本の方じゃまだ春にもなってないが、ここは常夏の島ハワイ。

喉の渇きこそ大敵な南国では水分補給を怠ったものから脱落していくんだ。

 

 

「まったく、他の奴らもしっかり水分とっとけよー」

「カズマあんがとー! ンビ! ンビ! ンビ! ……くはーっ! つっんめたくてンまあーいっ! まるでキリマンジャロの雪どけ水よ!」

「大げさすぎですよ千束」

「いやいやいや! こっこんなうまい水、私生まれて! このカタ……飲んだことが! グビ! なーーいーーねッ!! なんちゅーか、気品に満ちた水っつーか、たとえるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味みたいな、スゲーさわやかなんだよ……!」

「本当に水ごときで大げさですよ!? えっ、本当にただの水ですよね!? 頭がおかしくなる変な粉とか入れてないですよね!?」

「失礼な、今日はアクアとエリスに浄化させたおいしいお水にコレを入れただけだ!」

「なんか変な白い粉出てきた!?」

 

 

俺は近くに追加で作る用に置いていた粉を見せつけると、さらにたきなの視線がヤバいやつを見る視線に……

本当に、お前たちの健康を一番に毎日献立を作ってる俺のことをもっと信用してくれよ泣くぞ!

泣いて流れた涙を飲ませて『ベロンッ、この味はウソをついてる味!』とか言わせてもいいんだぞ!

だからその疑わしい視線を向けるのはいい加減やめてもらおうか!

 

 

「変な粉じゃねーから! まあまあ、一見は百聞にしかずっていうし、ほら、サクラも飲んどけ」

「や、やめ! その得体の知れない水を飲んでは……!」

「おおっ、気が利くっすねー! ほらたきなもしっかり飲んでスポーツするッスよ! ンビ! ンビ! ンビ! ~~~~~~~~ンまあーいっ! 3日間砂漠をうろついて初めて飲む水みたいっす! ほらたきなも!」

「ああぁ……また被害者が……薬物の違法所持と乱用……ああぁ……」

 

 

薬物って……

たきなは普段は普通なのにたまに馬鹿になるよな。

というか、記憶を失ってるっていうか、箱入り娘で世間に対する常識が欠落してるみたいな反応を示すことが。

からかってその反応を見てる分には楽しいが、流石に変なやつにだまされないか心配だわ。

そんなこと思っていいるとたきなが深刻そうな顔で。

 

 

「カズマ……私が付き添います。一緒に警察署に……」

「いかないよ? これは合法な粉だわ!」

「いや、明らかに言い方がおかしいじゃないですか! 合法ならしっかり成分名で応えてくださいよ! 言えないのでしょう? 実はカズマは薬物の運び屋なんでしょう!? 仲間を自らの手で殺めるのは心苦しいですが……」

「見当違い甚だしっ!? そういうのは成分を調べてから言ってくれ! 運動によって失われた水分のみならず、電解質と糖分、さらには疲労回復効果成分も補給できる特製水の元だから!」

「……つまり?」

「食塩、ブドウ糖、クエン酸。水に溶かすと」

「……アクエリじゃないですか」

「そう、アクエリ」

「……クピッ……!? アクエリじゃないですか!」

「だからそうだっつってるだろ。真夏の部活動の心強い味方。安心したろ?」

「いや、どうしてあの粉を水に溶かして100%アクエリ○スを再現できてるんですか! もしかしてレシピ盗みました!?」

「ハッカーならうちのリスがいるだろ。何を今更」

「!?」

 

 

もちろん冗談だ。

アイツのことだ、隙あらば俺の借金を増やそうとしてくるだろう。

だからしっかりこのレシピは俺が自分で再現したヤツだ。

 

……だからたきな?

ちょっとその電話を置こうか。

ステイだ。

いいか、いい子だからステイするんだ。

「9・1……」の続きを押そうとするんじゃあない!

ステイ!

本当に待て!

スティ




ネタとモチベでたら書きます m(_ _)m
というかリコリコ2期待ってます! 早く来てください(泣)

エリス様はいつ帰還するのだろう……

  • モニョモニョの件が終わったら
  • ハワイ編が終わったら
  • 常連客として居座る
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