停学中の呪術師がキヴォトス入り   作:鉄の字

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連載中の小説あるのに新作書く駄目作者の鏡


キヴォトス入り

 

話をしよう。

 

あれは体感的に数分前の出来事だった。

 

呪術師VS呪詛師&呪霊in渋谷にて信頼と信用は出来ても尊敬できない最強術師が封印されたと言う報告を聞き動き出した俺こと『真茅 筒彦(まがや つつひこ)』は待機場所から飛び出し糞教師の奪還を試みた。

 

だが、現場へ向かう途中でツンツン黒髪の後輩がやべぇ式神を降臨させててマジ焦った。

そんで、その次はコミュ力天元突破な後輩に取り憑いた呪いの王がエントリー。

 

あっという間に俺(停学中)VSヤバい式神VS呪いの王と言う構図の完成である。

そして、俺の死は確約されてしまった。

 

いやぁ、それなりに頑張ったと思うよ。

最後は限界を超えて神業連発したし。

 

でも、死ぬつもりはなかった。

適当にはぐらかして全力で逃げるつもりだった。

 

どちらに殺されても俺は二人に『呪い』を植え付けてしまう。

 

誰だろうと救おうとするお人好しの馬鹿と不平等に自身が思う善人を助ける生真面目な馬鹿。

大事な後輩のアイツらに俺を殺した罪の重さを背負わせる訳にはいかない。

 

例え俺が子供でも、俺はアイツらの先輩なんだ。

最低な大人になりたくなかったのに、結局は俺も最低な大人と同じになってしまった。

 

あの目隠れ教師が居なくなった呪術界なんざ見たくも考えたくもないが、残された奴らに託すしかねぇ。

こればかりは皆の武運を祈るしかない。

 

さて、暗い話はさて置き。

 

俺は死んだ筈だった。

呪いの王による不可視の斬撃で首を刈り取られた。

あの視界が地面に落ちる感覚はもう味わいたくないが、今でも覚えている。

 

それがどうだ。

目が覚めたら透き通る様な青空が俺の目の前に広がっていた。

起き上がると、そこは日本にありそうな街並み。

一瞬、日本にいるのではないのかと思ったが、もう一度空を見て勘違いだと気付かされた。

 

文明を感じる建物は遠くに見かける事が出来るが、空には幾つもの謎の線が丸く描かれており、ここが俺の住んでいた所とは違う事を示していた。

 

以上の景色から俺はここがどう言う場所か結論付けた。

ツゥ、と目から溢れた涙が頬を伝う。

あぁ、こればかりはそう考えたくなかったが、現実を見なければ………

 

 

 

 

「ここが………天国か………」

 

 

 

 

時に呪霊を殺し、時に呪詛師を殺した。

その俺が天国に行けるとは神様のご慈悲なんだろうか。

 

 

「おい、そこのお前」

 

 

今思えばやり残した事、沢山あったなぁ。

アーマード・コアの新作を拝みたかったし、撮り溜めたニチアサも消化したかった。

ドリフターズも完結するまで生きたかった………

 

あぁ、そうだ。

愚かにも今更になって思い出した、一番やりたかった事。

それは胸に秘めたまま数年経っていたこの想いを彼女に伝えられなかった事だ。

 

 

「お、おい!!聞こえてんのか!?」

 

「てめぇ、返事しろや。姉御が呼んでんだろ!?」

 

「何で空見上げながら涙流してんだ!?」

 

 

目を閉じれば思い出すあの人の笑顔。

京都校との交流会でチラリと見かけた時に心を奪われた。

俺は学生で、彼女は京都校の先生で会うのは稀だった。

交わした言葉は少なかったけど、その一つ一つは鮮明に思い出される。

 

 

「いい加減にしろや!いつまでも無視すんじゃねぇよ!!」

 

「と言うかコイツ、涙だけじゃなくて涎や鼻水とかも垂れ流してるんだけど!?」

 

「普通にキモい!!」

 

 

本当だったら何よりも優先させなくてはいけない事だった。

俺の青春を彩る甘酸っぱい一ページ。

 

彼女に少しでも会いたくて我武者羅に等級を上げたが、それでも俺と彼女の距離は縮まらなかった。

ずっと日和った結果がこれだ。

 

例えもう会えなくても。

例えもう声を聞けなくても。

例えもう姿を見れなくても。

 

これだけ………これだけは、俺の口から叫びたい!

いや、叫ばないと気が済まない!

 

 

 

「歌姫せんせぇぇぇぇええええ!!!大好きだぁぁぁあああ!!!」

 

「うるせぇ!!」

 

 

パンッ!

 

 

「ぱああああああ!?!?」

 

 

 

 

危なァ!?

誰だよ!

人が長年抱えていた想いを空にぶちまけている時に至近距離で拳銃ぶちまける馬鹿は!?

俺じゃなかったら死んでたよ!?

 

 

「やっと反応しやがったな、この野郎!!」

 

 

思わずその場から飛び退き、弾が飛んできた方向へ臨戦態勢で構える。

 

その場にいたのは灰色を基調とし改造されたセーラー服に身を包む少女達だった。

全員で三人だが、俺の目には彼女達が手に持つ物に目が移る。

 

 

「スケバンに、銃………?君達レイヤーさんか何か?セーラー服と機関銃のコスプレかと思うが、それは解釈違いなんじゃないの?知らんけど」

 

「「「ア゛ぁん!?」」」

 

「ん?頭に輪っかあるけど………君達、天使!?ここってマジで天国なの!?」

 

「「「ふぇ!?」」」

 

「あ、でも、スケバンの天使はタイプじゃないのでチェンジで」

 

「「「ア゛ぁん!?」」」

 

 

凄んだり顔を赤くしたり凄んだり、忙しいスケバン天使だな。

銃を持っている所を見ると最近の天使にとって弓は時代遅れな為か近代化が進んでるらしい。

 

 

「てめぇ………いい加減にしろよ………!」

 

 

額に青筋を浮かべながらこっちに銃口を向けて来る。

天国に着いて早々に行われるのが天使とのバトルとは穏やかじゃないな。

俺も対峙すべく拳を胸前に構える。

 

 

「悪いけど俺は停学中の悪ガキだからよ、女子供でも手加減しないぞ」

 

「「「死ねッ!!」」」

 

「予想以上に引き金が軽い!?」

 

 

俺と彼女達との戦いは銃口から放たれた弾丸により始まった。

音速で飛んでくる弾丸を走りながら避けつつ、射線を切る。

 

チュンチュン、と顔の近くを通る弾丸の嵐を掻い潜りつつ、とりあえずスケバン天使の腹に一発拳をぶち込んだ。

 

 

「ぐッ!?」

 

「お?」

 

 

スケバン天使はたたらを踏みながらも倒れることはなく、寧ろ俺を睨んで来た。

普通の人間なら気絶している威力だが、痛がっているだけなのを見ると思っている以上に頑丈らしい。

 

 

「流石天使。人の魂を運ぶのってやっぱり重労働なんだな。あ、ネロとパトラッシュ運んだ事ある?」

 

「てめぇ!!」

 

「おっとととと!?」

 

 

天使はお返しと言わんばかりにガトリングらしき物を向けて乱射してくる。

慌てて後方へバク転しながら回避する。

 

 

「ま、待て待て!アイツ、よく見たらヘイローが無いじゃん!?当たったら殺してしまうぞ!」

 

「はぁ!?で、でも、あんなに速く動き回ってたら当たる物も当たらないって!」

 

「じゃあ、撃っていいな!」

 

「えぇ………もうちょっと話し合おうよ………」

 

 

近くにあった自販機の裏に隠れながら、彼女達の会話を聞きドン引きする。

何だ、天使と言うのはこんなにトリガーハッピーな連中なのか?

天国って下手したら地獄より地獄かもしれん。

 

 

「仕方ない、か………」

 

 

これは呪力を使わない事には切り抜けるのは難しいかもしれない。

非術師に術式を使うのは気が引けるが状況が状況である。

このままだと俺が蜂の巣にされるのは時間の問題だ。

 

それにここは天国だし!

クソうるせぇ保守派のジジィ共も居ないし!

制圧する為に術式使うなら大丈夫やろ!

ヨシ!

 

俺は脳内で指差し確認しながら自己完結を済ませ、自販機の影からスケバン天使達の前へ出た。

 

 

「やっと出てきやがったか。こっちの弾が尽きるかと思ったぜ」

 

 

スケバン天使達は俺に銃口を向ける。

俺は体内で呪力を練り上げつつ、右手のひらを彼女達に向け静止を促した。

 

 

「動くな。お前らは今、『武器』を突きつけられている」

 

「ハァ?お前、何とち狂った事言ってんだ?」

 

「警告したぜ?」

 

 

片眉を上げ怪訝な表情をする彼女達に俺はゆっくりと開いた手の指先(手印)を向け、一言呟く。

 

 

「『石突(いしづき)』」

 

 

ドンッ

 

瞬間、スケバン天使達は後方へと吹き飛んだ。

 

 

「言っただろ、『武器を突きつけられている』ってな」

 

 




筒彦(俺を見て『ヘイローが無いぞ!!』とか言った。俺と彼女達との身体的に違いがあるとすれば頭にある輪っか。彼女達に輪っかは全員にある。つまり、あれが『ヘイロー』か。そして、『殺してしまう!』と言う発言。アレをそのまま受け取るならば彼女達は『殺し』への忌避感を抱いている。あのヘイローとやらが無いと直ぐに殺してしまうから出た発言と捉えて良いのだろう。『ヘイロー』とは彼女達のダメージを軽減する装置または能力、もしくはHPと仮定しておこうか。なら俺がすべき事は彼女達の制圧かつ『ヘイロー』がどこまで威力を軽減するか検証だな)

基本脳筋だけど敵を分析するのは術師の嗜み。
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