ありがとうございます!
「お、当たった!当たったよね、真茅先輩!?」
「やるじゃん、悠二。呪力を込めた拳で俺に当てれるとはな。呪力の操作は及第点だな」
「これで任務に出れるかな!?」
「おう、出れる出れる。五条先生か別の呪術師が引率になるけど久々のシャバを噛み締めろよ」
「何かそれだけ聞くと囚人っぽいんだけど………」
「あ、そうだ。当てれた褒美にいい事を教えてやるよ。五条先生も知らないような事をな」
「マジで!?どんな事!?」
「いいかよく聞けよ…………『オッパッピー』って…………『Ocean pacific peace』の略なんだぜ」
「嘘、だろ………!?」
あぁ、これは悠二の呪力について教えていた時の記憶か。
このキヴォトスに着いて数ヶ月なのに、とても懐かしく感じるな。
結局、宿儺に取り憑かれたままの悠二は大丈夫だろうか………
────って
「これ走馬灯じゃんっ!?」
しかも超絶くだらねぇ内容だし!
ガバッ、と上半身を起こすと辺りは炎の海だった。
いや、何で!?
気絶してて起きたら目の前が火事とかツッコミが追いつかないんですが!?
「あちちちち!?!?」
いつの間にか服にも火がついており、燃える服を手で叩きながら転がるようにその場から離れた。
「死にかけたわ!」
「いや、ヘイロー無かったら死んでると思うんだけど………」
声がした方へ向くと煤まみれの美食研究会達と足下に気絶している賞金首とフウカさん。
そして、ビルに突っ込んでメラメラと炎をあげている、俺達がさっきまで乗っていた車だった。
あぁ、そうだった。
積載過多の状態で発進した車は何とか追っ手を撒いたまでは良かった。
でも、カーブの際に操縦不能になってビルに突っ込んだんだっけ?
それで俺は車から投げ出されて気絶したのか。
そこで何かやたらスースーするなと思ったら服が完全に焼け落ち、俺は産まれたままの状態になっていた。
美食研究会の反応は様々でハルナと赤髪ツインテールは顔を赤らめ、金髪の子は『あらあら』と楽しそうに、銀髪ハンバーガーは三人の様子を見て『?』を浮かべている。
まぁ、見られて恥ずかしい体はしてないし、手強い呪霊と闘う時は上半身脱ぐしな。
そこら辺の抵抗がないのがゴリマッチョ術師の証拠である。
「何か服持ってない?これだと公然わいせつ罪で捕まっちまうんだが」
「あ、これはどうでしょうか?買ったばかりの新品パンツ、しかもシルク100%の高級品ですよ」
金髪が袋から取り出したのは袋に入った新品のパンツだった。
何でそんなの持っているのかは聞かないこととする。
おずおずと受け取ると何とも可愛らしいデザインのパンツ。
これをこの子が履く予定だったのか………
チラリと金髪の子を見ると俺の視線の意図を察したのか瞳が赤くなりながらニッコリと笑っていた。
………うむ、あまり考えないようにしよう。
「これかー………ブーメランパンツと言えばギリ免れるか………?」
「免れるわけないでしょ!?それより着る気なの!?」
「だってこれしかないし………うぉ、コレ履き心地良いな………」
「もう履いてる!?」
赤髪ツインテールがひたすらにツッコミを入れてるが、仕方ないだろ。
俺だってフルチンで天下の往来を歩きたくないし、そんな趣味は無い。
「これはビジュアルが最悪ですね☆」
「す、少し刺激が強すぎますわ………」
「ハルカ、指の間から目が見えてるけど」
しかし、履き心地いいな、このパンツ………
ここからどうするか決める時に猛スピードでこっちに迫って来る車が三台。
追っ手かと身構えていたが、乗っている人間の装備が余りにも整っていたので、様子見しておく。
俺達の前に車が停車すると十数名の集団が統率の取れた動きで俺達を包囲する。
その中で集団を率いているであろう銀髪のツインテールが特徴的な女の子が怒り心頭と言った様子で前に出てきた。
「美食研究会!またお前達か!!毎度毎度爆発して………今度は何、を────」
捲し立てる様に怒声をあげる銀髪ツインテールちゃんだが、どんどんと萎んでいく。
その視線はほぼ全裸の俺に向けられており、顔を真っ赤にして目を大きく開きながらワナワナと震え始めた。
あ、これヤバいパターンじゃね?
「────へ、変態だ………!」
あ、これヤバいパターンですね。
「待て!君は誤解している!これはブーメランパンツだ!!」
「どう見ても女性ものの下着だろうが!!服着ろ、服!!」
「服がないからコレを履いてるんだろ!?」
「もっと羞恥心持てよ!!」
「生憎だが見られて恥ずかしい体はしてないんでな」
「私が恥ずかしいんだ!!」
地団駄を踏みながら怒鳴りまくる銀髪ツインテールちゃん。
その後ろにいる子達も『キャー!』とか『凄い筋肉………』とか『………モッコリしてる』とか反応が様々である。
銀髪ツインテールちゃんの方が純粋な反応しているような………
「お前って先生の関係者だろ!?アコちゃんから聞いてるぞ!こんな派手に動いて何か目的でもあるのか!?」
「はぁ?先生?何でそんな奴と関係あるんだよ。つーか、おたく誰よ?」
『先生』?
キヴォトスで先生と言えば『シャーレ』の先生しか思い浮かばないが、そんな奴と知り合いになった覚えは無い。
身近にいた先生にはろくな思い出しか無いから良いイメージが全く無いんだが。
あ、歌姫先生は別だよ。
大好きです(唐突)
「あら、風紀委員会の銀鏡イオリさんではありませんか」
「え、風紀委員会って悪いヤツ取り締まる組織だよな………」
真っ赤な顔から再起動したハルナの言葉に再度、周りを見渡してみる。
さっきオークション会場を破壊した美食研究会なるテロリスト共。
足下には気絶しているオークション主催者とフウカさん。
そして、全裸に女性用のパンツを履いた俺。
「え、俺って取り締まる対象だったりします?」
「寧ろその格好で風紀乱してないと言えるのか?」
「そう、ッスねぇ………」
スゥゥゥ…………
「逃げるか!」
「そうですわね!」
「「「待てぇぇええ!!このテロリスト共がぁぁあああ!!!」」」
俺は風紀委員会に背を向けて全速力で逃げた。
そして、今更になって考えてみる。
事の発端………俺も原因の一部かもしれん。