※一護の死因が語られれます。
※みんなで一護の魂魄探します。
※不謹慎注意。死因などについての表現があります。ご注意ください。
※捏造注意
「瀞霊廷って案外平和なものなんだ」
というのは長いこと瀞霊廷に暮らしている者たちの言葉である。
「死神になるとは一触即発状態の軍隊に入るのも同然、戦死する覚悟があるやつだけが死神になれる」
というのは、ここ最近死神になった者たちの共通認識だ。
ここ最近というのは凡そ60年ほどの間のことで、実際この期間の死神の殉職率はかなり高い。
なぜこれほど慌ただしいのか、これほどに問題が多く発生するのか、そもそもきっかけは何だったのか。そんな議論が一部の死神たちによって行われた結果、ある推測が流れた。
《黒崎一護》がトラブルを引き起こす体質なのではないか。
というものである。
さて、この黒崎一護について、名前だけならこの瀞霊廷で知らぬ者はいない。
はじめは旅禍として、次は死神代行として、あるいは最高戦力のひとつとして、そして勝利の立役者として、最後は英雄として。
彼がいたことで世界は守られたのだと語る死神は多く、瀞霊廷の表の歴史に名を記されている唯一の死神代行。
尸魂界の広さ故に姿を見たことの無い者のほうが圧倒的に多いが、その名だけは瀞霊廷を超えて語り継がれ、昨今では彼に憧れて死神になる者や、人間でもなれるのだから自分だってと勇んで死神の学校に入学する若者も増えた。死神の中にもあえて現世での任務につきたがる者もいるほどだ。
彼は正しく尸魂界の英雄だ。
しかし思えば彼が尸魂界にきてからトラブルが尽きない。特に最初の10年ほどはなぜこんなに……と頭を抱えるほどに問題が勃発した。それは彼が老いてもそう大差はなく、数が多少減っただけで数年単位でトラブルが起きた。そのどれもが大ごとになり、そしてその度に黒崎一護の力が事を解決に導く。
事件の数を視覚的に表せば、黒崎一護生存の間だけ歴史年表が真っ赤になるという。
黒崎一護の存在が、ある種疫病神的なものと認識されるのは致し方ないことであった。
その黒崎一護が、先日亡くなったという知らせが届いた。
享年75歳。
事故だったのか、病だったのか、寿命だったのか、それとも何者かの策略か。
彼の訃報が届いた時、瀞霊廷を守護する死神のトップに君臨する護廷十三隊ではあらゆる憶測が飛び交った。それほどに唐突な出来事だった。とはいえ、死ぬわけがない。と言い切るには人間の寿命とはそれほど長くない。実際彼は老いていた。そのへんにいる同じ75歳に比べれば異常なほど元気ではあったし、正直75歳?と疑問に思う程度には若々しい姿だったが、それでも会えば腰が痛いだの膝が痛いだの高血圧がどうのこうのと愚痴を漏らしていた。
彼が死んだ。
ありえない話ではない。
その日のうちに、護廷十三隊隊長による隊首会が開かれた。
一人の人間の死。それだれけのことに護廷十三隊の隊長たちが集められるというのは奇妙なものだ。言葉だけ聞けばなぜそんなことで隊首会をと思う者もいたが、それが黒崎一護となると皆一瞬呆けた顔をした。誰もが予想してないことだった。
集まった皆の表情は硬い。憂いの他に緊張すら含まれている。そんな隊長たちを前に総隊長京楽春水が最初に取ったのは、彼の死因の調査だった。
「あの一護くんだからね。事故とか病気とかあまり想像できない。じゃあ何者かに狙われてというのもない話じゃあないけど、それはそれであの一護くんだからねぇ、そっちはそっちで想像できない。結局調べてみるしか無いというわけさ」
「後者なら大問題だぞ」
砕蜂の言葉に複数の隊長たちがうなずく。あの黒崎一護を誰かが殺したというのなら、それは尸魂界をある意味揺るがしかねない。
「喜助くんからの報告はあったかい?」
「ワタシに聞かないでくれたまえヨ。あるワケがないだろう?」
涅マユリの言葉はそっけない。当たり前だが60年経っても相変わらず仲の悪い浦原喜助と涅マユリではあるが、情報共有が頻繁に行われていることを京楽は知っていた。
「なんやあいつ、緊急事態やっちゅうのにこっちに報告もなしかいな」
呆れた様子で五番隊隊長、平子真子が文句を言い、これまた同意するように何人かの隊長が頷いた。
「たしかに緊急事態だけどね、報告するほどのことではないという判断を浦原喜助がしたというのなら、後者の線は薄いかもしれない」
京楽はそれなりに浦原喜助を信頼しているので、彼の報告内容にもそれなりの信頼を持っている。尸魂界にとって、護廷十三隊にとって黒崎一護がどんな立ち位置にいるのか知らないはずがない彼がなんの報告もしてこないのなら、そこに他者の介入があったとは考えづらかった。
これは平子も正直なところ同意見だったようで肩をすくめて納得をしめす。
まぁだからとて連絡がないのはやはり意味不明だが。
「総隊長……あの……」
十三番隊隊長、朽木ルキア。おそらく最も心を痛めているであろう彼女が前へ出る。雄弁なその表情に苦笑して京楽はうなずいた。
「それじゃあ朽木隊長。一護くんを迎えに行ってあげようか」
「!……はい!」
理由はなんであれ、今彼のためにできることはそれくらいだろう。なぜなら彼はおそらくこちらに来ているのだから。
流魂街で人を一人探すのは骨が折れる。それがもし霊力のない者を探すということならば不可能に近い。なにせ死んだ人間の数だけいるのだ。その上流魂街で生まれた者までいる。現代で人を探すのと同じくらいの大変さと言える。
基本的に流魂街に来た魂魄は最初に整理券を配られて各街に振り分けられる。とてつもないアナログだがそういうものだ。もし手っ取り早く探すというのならその整理券を配っている場所に行き、係の者に尋ねるのが早いだろう。オレンジ色の髪の老人を見なかったかと。
ルキア含め一護の霊圧をよく知る者が東西南北各方面に向かい、そこでそのように訪ねて回る。死神がそんなことをしていればちょっとした事件だ。しかしながらどうにも見つからない。
日にちがすぎればすぎるほど探しにくくなる。さてどうしたものかとルキアはため息をついた。霊圧を探っても一護の巨大すぎる霊圧を感知できない時点でなにかおかしい。
そもそも彼が死んでから少しばかり日にちが経過してから尸魂界に情報が齎されたのだ。その時点で遅いというのに。
もしやまだ魂魄として現世でさまよっているのだろうか。彼に限って?
「ルキア!」
「恋次! 見つかったか?」
「……いや」
同じく捜索に参加していた六番隊副隊長、阿散井恋次は首を左右に振った。おそらくこの二人が一護と最も親しい死神だろう。それこそ家族ぐるみでの付き合いがある。二人の娘の阿散井苺花は現世に向かっており、一護の息子である黒崎一勇に接触を図っているので、もし現世に一護がいたらなば魂葬するようにとの指示も出ている。
「一護はやはりまだ現世なのだろうか」
「あいつのことだから、さっさとこっちに来てると思ったんだけどな」
「ああ」
今日このまま見つけられなかったらと思うと不安が膨れ上がる。
一日中魂魄は流魂街にやってくるが、それでも日がくれてくれば一日の終わりを実感する。すでに日もおちつつあり、屋根が赤く夕日を反射していた。
「死神さま!」
甲高い声に呼ばれて、ぱっとルキアが振り返った。
6歳程度だろうか、小さな子どもがルキアの隊長羽織の端を引っ張っている。子どもが指差す方向をみれば道の半ばに人だかりができていた。
「どうした?」
「あのね、あっちでね、ケンカしているの。死神さまよんできてって」
ああ、とルキアは小さく答える。
大体多くの流魂街の民は死神に気安くはない。尊敬しているからというよりも、権力者というのはだいたい嫌われるものなのだ。しかも隊長羽織を羽織っていればそうそう声をかけることはしない。するとしたら何も知らない子どもくらいなものである。
流魂街の治安維持も仕事のうちではあるものの、喧嘩の仲裁程度なら正直死神の出る幕ではない。請われてしまった以上はと思うがそれどころではない。そう思ったルキアだったが、不意に強大な霊圧を感知してバッと顔を上げた。
「恋次!」
「ああ!」
ほぼ反射的に叫んで走り出す。
人だかりを押しやってその中心にたどり着いたルキアは言葉を失った。
うめき声をあげて倒れている男たちの中央に立つ一人の青年。
身にまとうのは麻色の質素な着物。そこからスラリと伸びるきれいに筋肉のついたしなやかな手足。ピンと伸びた背筋と堂に入った立ち姿。そしてオレンジ色の髪。
「まさか……」
ルキアのつぶやきは、青年に届いた。
ゆったりと振り返って朗らかに笑う。
「おお、ルキア。久しぶりだな」
随分と懐かしい、十代そこそこの姿の黒崎一護が立っていた。
「お、おま……」
「一護!?」
言葉にできないでいるルキアのかわりに叫んだのは恋次だった。
「恋次もいたのか! ふたりして何してんだ? 休暇か?」
呼ばれた本人は嬉しそうにルキアと恋次に近づいてくると不思議そうに首をかしげた。眼の前に来た一護をルキアと恋次は凝視する。その姿のどこにも老いた黒崎一護は感じられない。時が遡ったのではと思うほどに懐かしい姿だった。しかし先程感じた巨大な霊圧はほとんど感じられなくなり、目の前にいるのにまるでいないかのよう。
「お前のほうがなにしてんだよ」
「いや、ケンカ売られたんで」
「それはどうでもいいんだよ。そんなこったろうと思ってるから、じゃなくておまえ霊圧どうしたんだよ」
おろおろとしているルキアに代わり、やはり恋次が尋ねると、一護は誇らしそうに胸をはる。
「ああ、うまく隠せてるだろ? 実は最近浦原さんのところで霊圧を抑える訓練しててさ。考えてみればここにいるやつらみんな魂魄だろ? 俺の霊圧まんまぶつけるのもどうかと思ってさ抑えてたんだ」
老体になっても変わらないその努力と、気遣い。まさしく黒崎一護だ。なのだが、しかし。
「こんの……貴様! 余計なことしおって!」
叫んで一発、ルキアは顔面に向かって拳を繰り出した。さっと避けた一護は触れるギリギリだった頬を押さえて後ずさる。
「うお! な、何だよ! 余計!? 気遣いだろうが!」
「それが余計だというのだ馬鹿者!」
再度叫んで今度は拳を腹に打ち込めば、今度も うぉ! と声をあげて一護は身体をそらした。
「あっぶねーな! 相変わらずツッコミキツすぎだろ!」
「たわけ! これはツッコミではない! 怒りの一撃だ!」
「なんでだよ!?」
「ええい! うるさい! こっちは一日中貴様を探していたのだぞ!? 見つけるのに苦労したではないか!」
「あ? え、なんだよ探してたのか?」
「探してたんだよ、バカヤロウ!」
と今度は完全に気の抜けていた後頭部に恋次の拳が打ち込まれる。
「いっ! ってーな……」
お返しに殴ってやろうかなどと思いながら睨みつければ、ルキアも恋次もなんとも言えない表情をして一護を睨んでいた。
「……もうよい」
「いやよくねーよ、俺殴られただけじゃねーか」
「大人しく殴られろや」
「だからなんでだよ」
不服そうに一護は眉をひそめる。
こんな乱暴な歓迎をされるとは思ってもいなかっただろうし、さぞ不服であろうが、ルキアも恋次も感じていた不安の反動をぶつけるくらいはいいじゃないかと思っているので、謝る気は毛頭ない。
「とにかく、まずは総隊長に報告しにいくぞ。いこうぜルキア」
「あ、ちょっとまってくれ」
「んだよ」
「俺まだ流魂街のどこに行くか決まってないから、ちょっと整理券もらってくるわ」
言ってくるりときびすを返して歩きだす一護を恋次は慌てて止める。
「いやいやいやいや!」
「なんだよ」
いや、これまさか。というの顔をする二人を交互に見て、一護は首をかしげる。
「貴様、まさか流魂街に住むつもりか?」
「え? だってみんなそうするんだろ?」
だから当然自分もそうするものだと思って、と一護は不思議そうにしている。
「俺らが見つけられなかったら、そりゃそうするしかねーけど、合流できたんだからその方向はねえだろ」
「なんで」
「貴様死神になる気はあるんだろう」
「おう。流魂街から死神の学校行くんだろ?」
「……お前が? 学校? 今から?」
「え、他にどうやって死神になるんだよ」
最強の死神代行、尸魂界の英雄。卍解を使える隊長格を凌ぐ存在。
特別扱いで即護廷十三隊入になるだろうという、根拠のある自惚れをいだかない。良い意味でも悪い意味でも自分が特別だという自覚のない男に、夫婦揃ってため息をつくしかないのであった。
黒崎一護発見の報は、すぐさますべての隊へ伝えられた。
一応勤務時間は過ぎていたことや、先に簡単な事情を聞いていたルキアから緊急性が低いという情報も入っていたため、隊首会は翌日に行われることになった。
その黒崎一護は現在、総隊長京楽春水の個人執務室のとなりにある個室を訪れていた。
最初に着ていた麻の着物ではなく、簡単だがそれなりに質のよい着物に着替えさせられた一護は、のんびりと茶を飲みながら京楽の前であぐらをかいていた。相変わらず遠慮のない姿である。いまさら彼がかしこまっているのを見るのも違和感があるなと思う京楽は、むしろ変わらない一護の姿が微笑ましくすらあった。
「ごめんね、こっち来たばっかでおちつかないだろうに呼び出しちゃって」
「いいっすよ、ぜんぜん。なんか俺が死んで騒ぎになってるってルキアから聞いたんですけど」
「そうなんだよね。だってまだ70代でしょ? 早いなぁと思ってさ。だからね、もしかしたらどっかの誰かが君の命をねらっていたんじゃないかって」
ああ、と一護は納得がいってうなずいた。
言われてみればそういう流れになるのも当然だ。正直恨みもそれなりに買っているだろうし。しかし一護の死因はそういう外的なものではない。
「実は俺もよくわかんなくて、ちょっと魂魄で何があったか見て回ってたんですけど」
「あ、そうなの?」
「で、どうも俺自宅で寝てる間に死んだみたいで」
「……病気だったかな」
神妙に京楽が聞けば、一護はあっけらかんと笑う。
「いや、全然。なんで最初は俺もそういう誰か敵の仕業かと思ったんですけど、石田のみたてじゃあ心筋の、まぁ心臓発作じゃねーかって。寝てて全然覚えてないけど」
気が付いたら死んでいたのだ。
なので何も苦しくもなかったし、ただ驚きがあるだけだった。
「実は魂魄が身体から離れやすくなってるって浦原さんに言われてて、それも原因のひとつじゃねぇかって言う話でした。あとはなんだっけな、肉体疲労がどうのこうのって」
京楽は目を瞠る。
一護は何でもないことのように言っているが、おそらくそれは彼が死神になりすぎたこと、そしてその体で無茶をしすぎたことが要因だろう。彼が早く死んだのはつまり、死神側にも責任がある。
彼に頼りきりになっていた死神に。
「一護くん……」
「尸魂界に行けるのわかってたから、みんなそんなに悲観してなくて、ちょっと会いたくなったら浦原さんに頼んで尸魂界にくるって言ってました。そもそもみんないい歳だから、そう遠くないうちに会えそうだし。なので、あんま気にしなくていいっすよ」
一瞬謝罪を口にしようとして、しかし京楽は無言で頭を下げた。
黒崎一護は本当に太陽のような人間だ。彼を中心に回っていた世界が現世にはあって、それを奪ってしまった事実は変わらない。けれど、それを気にするなと笑って一護が言うのだから、謝って終わりにしようとするのは卑怯にも思えた。
「それより」
一護は自分の両手をしげしげと見つめる。
「俺なんでこんな若い姿なんですかね」
言われて、うん。と京楽は居住まいを正す。といってもあぐらのままだが。
「いくつか同じような記録があってね。わかっているのは尸魂界に来た時点で年齢が若返る人の多くは、過去に尸魂界に来たことがあるってこと。それもすべての人というわけではないけれどね」
「それって、旅禍あるあるってことですか……」
微妙な顔をした一護をみて、京楽は声をあげて笑った。
「ちがうちがう。確かに旅禍もその例のひとつではあるけれど、それだけじゃないよ。ずっと昔の話さ。まだ尸魂界が安定していなかったころ、現世と尸魂界の間には歪みのようなものが生まれ、そこから間違って生者がやってくることがあったんだよ。迷いこむ人は大概はそのまま送りかえされる。霊力が無い生身の人間は尸魂界ではあまり活動できないから眠ってる間にね。でも霊力があると何も分からずあちこちを歩き回るわけだ。そうしているうちに彼らの霊力は霊子となり、尸魂界の一部になる」
「え、じゃあ俺の霊力もココの霊子になってるってこと?」
「そういうこと。本来は完全に溶け切って元々誰の霊力だったとかなんて関係なくなってしまうんだけど、そうなる前に再びその人が尸魂界に魂魄としてやってくると霊子は元の持ち主の元に戻ろうとする。霊子に記録された形となってね」
「つまりセーブデータ読み込んでる感じか」
と一護はうなずく。現世のゲームには疎いので京楽にはわからないが、おそらく伝わったのだろう。
「魂魄の状態や霊力自体は、君が亡くなったときのものと同じだと思うよ。ただ外見を構成する霊子は過去の形を形どってる」
「つまりデータ引き継いで古いアバターに入ってる感じか」
やはりよくわからないが、おそらく通じている。
「でも歳とってからもこっち来てたのに、若い時の身体なんすね」
「それについても調査中だけど。おそらくは10代の君の霊子が最も尸魂界に寄与されているからかもしれないね。まぁ引き続き調査は続けるけど、いまのところ特に問題はないから、安心して」
「りょーかいっす。……なんか、精神的なところも身体に引きずられてる感じはするけど、まぁいっか」
「それはあるかもねぇ」
呑気に二人はうなずきあって茶をすする。
「これから先のことはおいおい考えるとして、死神になる気はあるってルキアちゃんから聞いてるよ。しかも真央霊術院に通うつもりだったんだって?」
「でもルキアと恋次には今更っていわれましたけど」
まぁそれはそうだろうと京楽は苦笑する。
こんな規格外の学生がいてたまるか。しかし一方で一護の考えはそれほど悪いものでも無い気がした。
一護の能力からしてどうあっても隊長格になるのは決定事項だ。しかし正規の死神となるには色々と知識が偏っているのは事実。当分は隊長に据えることはできないだろう。一般隊士として経験を積ませながら一般教養にちかい物事を教えるのも悪くはないが、あれもこれもとなると逆に習得に時間がかかりそうな気もする。これまでの経歴から一護が一本集中型というのはわかっていたので、あまり得策とは言えない。
そもそも一護に誰があれこれ教えるかというと、おそらく一般隊士では荷が重く、隊長格にはその時間がない。じゃあどこかでみっちり教えるかとなると、ある意味その間は穀潰しのようなものになってしまうため四十六室がなにか言ってこないとも限らない。
結論、所属を明らかにしつつ最短で学ぶには、プロに任せてしまうのが一番かもしれない。と京楽は考えた。
「一護くん」
「はい」
「やっぱりちょっと、学校行ってみる気ない?」
一護は一瞬目を丸くして「あります!」と元気に答えた。
この結果に、誰か喜ぶ人が居たかというと、実は誰も居なかったりする。
数日後、一護は真央霊術院の入学式におとずれていた。
この後正体隠して霊術院通ったり、先生に問題児扱いされたり、てゆうかモブ先生が一護の正体をしって戦々恐々したり、護廷十三隊で一護の取り合いしたり、三代目死神代行と交流したり、若い世代に訓練つけたり。
する。かもしれない。