梅を助けるために家に乗り込んだ一護。
話の通じない爺に困っていたら現れたのは女の人。あんた誰?
※オリキャラが喋ります
※原作のネタバレあり
※捏造注意
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かつて主たちは無知であった。
しかし二度の代替わりは主たちに思慮を与え、主たちに沈黙の価値を示した。
力を振るう者がどんな者か、それもまた知らない。
何を与えれば喜び、何を奪えば苦しむのか。それもきっと知りはしない。
ただ、決して手足にならぬことを知っている。
不用意に触れればこちらの指が切れることも知っている。
だから”彼”には触れてはならない。
けれど”彼”を放置してもならない。
決して敵にならぬように。
決して怒りを買わぬように。
”彼”の存在をきっかけに、主たちは数度にわたる分裂を起こす。
”彼”をこの世界の恩人とみるか。
”彼”を自らの脅威とみるか。
二つの道が示されたがゆえに。
ここにいるのは、その道の一つを選択した少女の尖兵である。
ゆったりとした動作で礼をした女は、とても美しい姿をしていた。
どこか近寄りがたく、どこか冷たい。穏やかなようで、闇のよう。
漆のような黒をまとった女。
一護はまったく見覚えが無い女だったが、どうやら桜庭の当主は女を知っているらしい。この屋敷にいるのだから当然のような気もするが、しかし当主は女を見て驚愕している様子だったので、本来はここにいるはずのない人なのかもしれなかった。
女は前へ進み出ると笑みを深くする。
「お初に
再び一護の前で軽く頭を下げた女は、その鋭い視線を和らげて一護に向けた。
主、とは誰のことか一護は分からなかったが、とりあえずヤナギに向き直る。
「はじめまして、な……」
ずっと見ていたくせに。
「実際に面通しさせていただきましたのは、初めてでございますので」
「あーいいよ。わかった」
ふふふと笑うその姿を見ると、なんとなくだが、口で勝てる相手とは思えなかった。
敵意は感じないので、とりあえず斬月を背中におさめる。このタイミングで出てくると言うことは一護が彼を斬ろうとしていると思って出てきたのか。
その理由は?桜庭家当主をかばいに来たか。あるいはその逆か。
「ヤナギ様……」
すがるような声で、当主がヤナギを呼んだ。
途端にヤナギはその柔和に細められた瞳に冷たさを宿して、当主を一瞥する。
「本当に、見苦しいこと。己の過ちを主に負わせようなどと愚かな……」
冷たい言葉に当主の表情が凍りつく。
「わた、わたしはただ、主に喜んでいただきたくてっ」
「それが愚かと申しておる。そなた如きが主様の御心を忖度しようなどと身の程知らずとはこのことよ」
ルキアや冬獅郎ではないが、空気が冷え切ったかのような冷たい気配に一護は思わず苦笑いを浮かべる。まるで容赦がない。
しかしこれで一つわかったのは、二人とも主が同じということだ。
「あんたの主ってのは、中央四十六室?」
問えば、ヤナギは静かに頷く。
「我が主の名を申し上げましょう。本来秘匿すべきことでございますが、特別に勅許を賜りました故」
言うとヤナギがゆったりとした動作で一護に近づいた。それを静かに待って、目の前に来たヤナギを見下ろせば、瞳の色は意外なことに驚くほど美しい空の色であった。
ヤナギは控えめな声でささやく。
「我が主の御名を、阿万門ナユラ。大霊書回廊の筆頭司書にして、偉大なる賢者に名を連ねる御方にございます」
「え」
一護は目を見開いた。
その名を聞いたことがある。
この尸魂界を変えようとしている人物として、京楽からきいた。
確か中央四十六室でもかなり位の高い人だ。
驚いてヤナギの顔を凝視する一護に、ヤナギはにっこりと微笑んだ。
それから流れるような動作で距離を取ると再び桜庭家当主に冷たい眼差しを向ける。
「誤解なきよう申し上げますれば、わたくしはこの者とは異なる主を持つ者にございます」
一護は首をかしげた。
「でもこの爺さんも中央四十六室に仕えてるんだろ? 一応」
「然様でございます。ですがこの者は主が御わす座そのものに仕えし者。わたくしはナユラ様に仕えし者にございます」
政治家を守るSPと警察みたいなものだろうか。
一護が色々置き換えながら想像して納得していると、ヤナギはすこしだけ切なそうに眉を寄せた。
「大変遺憾ではございますが、我が主の御意思は同輩の皆々様と必ずしも同じというわけではございませぬ故」
「まぁ、そういうこともあるよな」
護廷十三隊だってそうなのだ。
そういえば護廷のためとか言う言葉をたまに聞いたが、みんながみんなそうではなくて、むしろ個人に付き従っているやつもいる。そういうことなのかもしれない。
中央四十六室も一枚岩ではないのだろう。
ともかく別々の考えで動いているということは理解したが、ではここにいるのはどういう理由なのか。
それに、一護や梅を監視していたのはなぜなのだろう。
疑問が顔に出ていたのか、ヤナギは微笑んで「一つ一つお答えいたします」と答えた。
ヤナギは静かに桜庭家の当主を袖で指す。
「わたくしは、主の下命を賜りこの愚か者を召し捕りに参りました」
「つまり、捕まえに来たってこと?」
「然様です。勝手な振る舞いに主方はたいそうご立腹であらせられます。故に」
「なるほどな」
様子見してたのに、配下が勝手に動いて一護にちょっかいを出し始めた。しかもなんだか怒りを買いそうである。これは止めに入らねば。ということか。
一護の存在は中央四十六室が慌てるほどなのはルキアや京楽の反応からわかっているし、桜庭の爺さんが一護を探そうとしたことをみても、一護は中央四十六室にとってかなり厄介な存在なのだろう。
止めに来るのは当たり前かもしれない。
「もしかして、あんたが俺達を見てたのも、爺さんの悪事みたいなのを確認するため?」
一護の言葉にヤナギは肯定を示すように笑みを浮かべた。
「やはり、お気づきでございましたか……」
「最初は梅を見てる奴らと同じかと思ったけど。でもあいつらが引っ込んだ後も見てたし。それに視線がすこし違う感じがしたんだよな」
ついでにいうと手練のようにも感じた。
ヤナギはどこか嬉しそうにフフフと笑う。
「あまりお得意ではないと伺っておりましたが……流石でございます」
その言葉になるほどと一護はうなずく。
どうやらこのヤナギという女は、桜庭の当主とは違って一護のことをある程度知っているらしい。
ヤナギは笑みを消す。
「無論、この者の行動の監視の一端ではございましたが、桜庭梅の監視の意もございました。祖父の命を受け、黒崎一護殿に近づき、懐に入り込もうと画策しているのではと推測されたためです。故に桜庭の者共が退いた後も、勝手な振る舞いを娘がせぬようにと見張りをさせていただいた次第にございます」
「でも違っただろ」
梅は一護の正体を知らない。これは間違いない。
それに、桜庭当主もまさか一護が梅の隣にいるとは思いもしなかったようだし。
「はい、承知しております。一切打算が無かったと、理解しております」
そうだろう。梅はそういうキャラじゃないのだから。
しかしそうなるとこの2,3日の間のヤナギの行動はあまり意味がなかったことになる。
「無駄足だったんだな」
一護が言うと、ヤナギは首を振った。
「すくなくともわたくしにとっては大変有意義でございました」
口元を裾で隠してニコリと微笑む。
よくわからないが、本人が納得しているなら良しとしよう。
しかしまぁ、事情は理解した。
そちらの組織内でのことならば、そちらでなんとかしてもらえばよいだろう。
監視されてたことに思うところがなくはないが、不快さはかなり小さかったし。
そんなことを考えていると、唐突にヤナギが頭を下げた。
「黒崎一護殿に謝罪を」
「は?」
「無断で監視など、さぞご気分を害したことでしょう。大変申し訳ございませんでした。更に、異なる主を持つとは申しましたが、あくまでもそれは我らの勝手な言い分でございます。それで許せなどとは勝手が過ぎましょう。……この度のこと、心より謝罪申し上げます」
「関係ない」「配下が勝手にしたことだ」と訴えたとしても、やはり中央四十六室の配下が起こした事である。言い訳など聞きたくもないと一護が判断すれば、その時点で本当にただの言い訳になってしまう。
それで謝罪。
一護が中央四十六室と敵対するのは、きっとこれから尸魂界で暮す一護にとっては不利なことだ。けれど中央四十六室にとってもまた、利点はないのかもしれない。
だから謝罪をしてでもこの場を収めようとしている。
と、おそらくそうだろうという予想を立てる。
そういうことならば、一護も穏便にすませるだけだ。
「別にいいっすよ」
ヤナギが静かに顔を上げた。
「もともとこの爺さんが勝手にやったってことはわかってるし。つーか別に俺はなんも被害受けてねーし。かといって、あんたに梅に謝れっていうのも変な話だろ。だからいいよ」
「寛大なお言葉……」
「寛大っつーか普通のことだろ」
彼女に謝罪されたところで困るし、謝罪を求めているわけではない。謝罪なら桜庭当主が梅にするのが筋だろう。二人は話す必要がある。はずだ。
しかし、今の状態では無理そうだった。
一護は当主に視線をむけてため息をつく。
青ざめてすっかり意気消沈している男の姿はちょっと哀れだ。
「なあヤナギさん」
「はい」
「この爺さんは俺の事知らなかったみたいだけど、四十六室は知ってるんだよな」
「無論です」
「なんで教えておかないんだ?」
今回は勝手な動きだっただろうが、彼らに一護の監視を命じる可能性はあるのではないだろうか。なぜ伝えておかないのか。
「そうです! どうして、どうして教えてくださらなかったのですか!」
一護の言葉に反応して当主が叫ぶ。
突然の会話への横槍に一瞬一護は驚くが、ヤナギは眉を潜めて鬱陶しげに袖を振った。
「ああ、まったく、かしかましいこと……。教えなかった? 理由など明確なこと」
「愚鈍な蟻に授ける下知などあろう筈も無し」
ぴしゃりと言ってのけた。
一護は目を丸くした。
それから愕然としている当主を見やってから、頭の中にありの行列を思い浮かべる。
つらつらと歩く黒い服の集団? たしかに?
いや、それを言うと死神も蟻………。いや、蟻というよりゴ……なんでもない。虫に例えるのは無しだ。
頭を振って考えを散らす。
…………しかし、蟻か……。
彼女らにとっては桜庭の者たちは蟻程度なのか。
本当に蟻程度ならば、末端も末端なのだろう。それが勝手にしたことにわざわざ謝罪をしに来たこの人はどの程度の立場の人なのか。すくなくとも下っ端ではないだろう。なんとなくだが。
それにしても怖い人だなーとヤナギを見る。当主はもう顔を上げていられないようで、床に視線を落としてぐったりとしているのだが、先程の彼女のセリフがトドメを刺したのはあきらかだ。というかむしろトドメを刺したかったのかもしれない。
梅を手足にしようとした男も、結局ただの手足でしかなかったということだ。
ああ、ほんとちょっとかわいそう。
そう思っていたのは一護だけではなかったようで、ふらふらと一護の隣で梅が立ち上がった。
「大丈夫か」
問うが、梅は応えない。視線は己の祖父に向かっている。
震える声で、梅は呟いた。
「祖父を……どうされるのですか」
「罰を与えます」
ヤナギの即答に梅の瞳がゆらりと揺れる。それを見て一護は梅の代わりに問う。
「罰ってどんな?」
「……それ相応のものを。すくなくとも今後主様にまみえることはございませぬ」
具体的な事は言わずに濁すあたり、ちょっと何をするかわからないので怖いところだ。それに今後仕えることができないのは別によいとして、それは一族全てに適用されるのだろうか。
「梅の姉貴はそこで働いてるんだろ?」
梅に問うと、不安げに頷く。
「そっちまで罰って必要なのかよ」
「それは、恩赦をお求めということで相違はございませぬか」
ついと目を細めたヤナギの視線を正面から受けて、一護は首を振る。
「少なくとも梅の姉貴にはあってもいいだろ。その爺さんがどういう罰になるかは知んねーけど。そっちもあんまりなぁと思ってさ。……別に庇うっていうんじゃねーんだ、ただ」
一護はちらりと梅をみやった。
ここまでされても、なんだかんだ祖父への罰に過敏に反応する優しい少女のことが気がかりだった。
ヤナギもそれを理解したらしい。ちらりと梅を見やってから頷く。
「委細承知。言伝ましょう」
「わりぃ」
少しでも梅の気持ちが軽くなればよい。
安心したところで、ヤナギが「それでは」とつぶやく。
同時にどこからか覆面の男たちが現れた。
「捕らえよ」
「は」
言葉少ないそのやり取りで、男たちは意気消沈している当主を両脇から抱える。
もう立ち上がる気力もなさそうだ。
「それでは、黒崎一護殿」
「あ、もう一つ聞いていいか」
去ろうとしていたヤナギを留める。
不思議そうにヤナギはわずかに首をかしげた。まだなんか用か。という顔をしていたので、この人実は早くこの場を去りたいのかもしれない。
「その中央四十六室の下にいるなんとかって部隊には絶対入らないといけないきまりでもあるのか」
「いいえ」
ヤナギは即答する。
つまり今後梅はそこに絶対入らないといけないのか? という問いに、梅がハッとした様子で一護を見上げた。
結局そこをどうにかしたくてここに来たのだから。それは聞いておきたかった。
「そもそも、彼の方々にお仕えしておりますのは桜庭家だけではございませぬ。それ故に愚かな行いをしたのでしょうが……。すべての血に連なる者を召し上げるわけでもなし。桜庭からはすでに二人の娘が任についておりますので、今更……」
ヤナギはそう言って呆れたように当主を見た。
結局祖父の勝手な独り相撲だったということなのだ。
「さぁ、あとはわたくしめにお任せを」
「ああ。ヤナギさん、適当に叱ってやってくれよ」
ここは任せたほうがよかろうと思って言えば、ヤナギは柔和に微笑んだ。
「寛大なお心に感謝申し上げますわ」
その視線がとても柔らかくて、一護は少しだけ照れたように目をそむけた。
あちこちに倒れている桜庭の者たちをヤナギとその仲間たちが処理している間、一護は庭に降りていた。そこならばヤナギたちの作業の邪魔にはならないだろうと思ってのことだったのだが、いざ明るい日差しの下で屋敷をみると、廊下には死屍累々、障子に突き刺さったやつまでいて、なかなかに酷い有様だ。
じとっと見上げてくる花太郎の視線に顔をそらせば、反対側にたっている梅をみる事になり、途端になんだか申し訳ない気持ちになる。
「悪かったな」
言えば、梅は驚いたように一護を見上げた。
「なんか、引っ掻き回しただけだったみてーだし。ヤナギさんがいたんだったら、俺来なくても良かった気がするんだよな」
「そ、そんなことないよ!」
「……だったらいいんだけどさ」
騒ぎを大きくしてしまっただけな気がして、一護は微妙に気まずかった。
黒崎一護がきた。ということを知らしめる意味もあって、大げさに斬月を使ったりしたのだが、思った以上に梅の祖父が小物だったので、あまり必要なかった気がする。
一護の名前だけで事が収められると思っていたのも、若干の思い上がりを思い知ったようで恥ずかしい。
一護が微妙な顔でいる中、梅は不安そうに一護を見上げていた。その視線に気づいたが、なんとなくどうしたのか聞きにくくて無言で他所を見る。
「あの……さ。一護くん、本当に、本当にそうなの?」
「なにが」
「だからっ、本当に黒崎一護様なの?」
いや、やはりそこだよな。
「様付けする必要なかっただろ」
あえてそう返せば、梅は頬を赤くしてうつむいた。
「そ、そんなことないけど……。ほ、本人に向かってすごい人なんだよって言ってたなんて、はずかしい……」
「むしろ全然違う噂を流されてる俺がはずかしいんだけどな」
「え!」
パッと梅が顔をあげる。
「違くないよ! かっこよかったもん!」
と言ってから、再び梅は顔を赤くした。素直なのも考えものである。
この手の反応は実は嫁ですっかり慣れているのだが、久々に言われたので一護も若干照れてしまう。
「と、とにかくガッコウやめなくていいんだよな、これで」
「あ……そう……だね。お祖父様が居ない間はお父様が当主のかわりをするから、退学届取り消してくださるって」
梅がちらりと視線を向けた先には、一人の男性。
そういえば梅を助けに部屋に入ったとき、もう一人倒れている男性がいたのだ。あれが梅の父なのだと今更理解して一護は頷く。
これまで聞いた話のかぎりでは、梅と父親は仲が悪くなさそうなので、それならば安心だ。
軽く一護が頭を下げると、梅の父親はそれはそれは大慌てという様子で深く腰を折った。そこまでしなくても、と思う一護だ。
「爺さんがもどってきたら、また爺さんが当主になんのか?」
「わかんない。ならない、と思うんだけど……」
梅はこれまで当主の代替わりを経験したことがない。しかもこんな異常事態では今後どうなるのか梅にはよく分からなかった。
「俺も無いとは思うけど、一年後どうなるかだよな」
「一年後?」
「俺一年後に卒業することになってるから」
梅が目を見開いて硬直した。
それからわたわたと手を動かして「え、そ、えっと?」と言葉にならない音をおろおろとつぶやく。
「そういう約束でガッコウ入ったんだよ」
「そ、そう、え、ええ。じゃ、じゃあもしかして、来年また私学院辞めるって話出ちゃうかもしれないの?」
「あー」
先程言った通り、梅の祖父が当主に戻る可能性は低いが、あり得ないとは言えないので、その流れもまぁあるのかもしれない。本当に可能性は低いが。
梅が顔を歪めていると、花太郎がそうだ。と思い出したように声をあげる。
「梅さん、死神見習いの制度はご存知ですよね」
「え、あ、はい」
それは卒業前の生徒を護廷十三隊に見習いとして入れるシステム。
「それを使えればもしかしたら……」
「でもそれって上級生の特権じゃないのかよ」
「そうですけど、例外もありまして。四番隊は例外が適用されることがあるんですよ。どうしても学院では回道を教えるのには限界があるので、早めに見習いを入れてしまうことがあるんです」
回道は実践が必要なのだから、たしかにそういうこともあるだろうか。
「死神見習い制度を利用してしまうと、正規の死神同様に辞めるときは斬魄刀の返還が必要になるんです。それで意外と制度を使う人が少ないんですが」
「逆にそれを使えば、そう簡単には辞めさせられなくなるってことか」
「そうです!」
一護はうーん。と静かに唸る。花太郎の言うことは理解するが、それって結構たいへんなのではないだろうか。
死神見習いというのはそう簡単になれるものなのだろうか。当の本人はヤル気になっており、目を輝かせていて「なるほど! さすが山田三席!」と言っているから、水を差すのもどうかと思って一護は沈黙に徹する。
まぁ、梅なら大丈夫だろう。多分。そのへんは梅の努力次第だが。
「駄目でも、父様がお祖父様を説得するよ」
静かに声をだしたのは、ずっと一歩離れてこちらを見ていた梅の父親だ。
よわよわしい感じの印象を受けるが、決意は確固たるものらしい。そういう目をしていた。
「その時は、呼んでくれてもいいっすよ」
軽い気持ちで言ってみる。
すると梅の父親は顔を真赤にして両手を顔の前で素早く振った。
「そんな! 恐れ多いです!!!」
ああ、親子だなと思う一護である。
思わず笑えば、ペコペコと頭を下げるし、やっぱり親子だ。というかすこしだけ花太郎に似ている気もするので、梅が花太郎に安心するのは、父親の影を見ているからなのか、それとももっと遺伝子的なところで相性がいいのか。などと、かなり内心面白く思いながら梅を見る。
梅は笑っていた。
ここ最近見ていなかった、心からの笑顔だ。
「一護くん」
目があって、梅が笑う。
「ありがとう」
「ああ」
これできっと彼女の雨も止むのだろう。
翌日。
一護はルキアに呼び出され、困ったように笑って待っていた京楽隊長と、無表情の朽木白哉の前に立たされることになるのだが、それはまた別の話。
おはこんばんちは。
梅ちゃんのお話完結です!
じつはこういう長編? が苦手なので、なんとかなってよかったと安心しております。
引き続き一護の学院編が続きますが、原作キャラが長いこと出てないので、次回はそのへんを書こうかなぁと思ってます。
それでは!!