黒崎一護・護廷十三隊物語   作:hapi

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 一護が死後、尸魂界にやってきて真央霊術院に入学した後の話
 今回は一護側のお話。彼にも難関がやってきます。そう、それはテスト!


※オリキャラが喋ります。かなり出張ります。
※原作のネタバレあり
※捏造注意


4.挑め真央霊術院期末試験!(挿絵有)

 

 

 

 

 黒崎一護が鬼道ってすげーなーと思ったのは、藍染惣右介と浦原喜助の鬼道を見たときだった。

 斬術と歩法しかしらない一護にとって、闘う方法が多様になるそれはとても便利に見えたのだ。しかしながらはたして自分に使えるのかは怪しい。

 かつて志波空鶴邸で砲丸になったとき、それはそれは無様を晒したものである。込める霊圧が強すぎると散々文句を言われたのも懐かしいが覚えている。要するに一護はおそらく鬼道が得意ではない。だからこそ、真央霊術院に通うと決めたのだから。

 とはいえだ。きっと鬼道だってすぐものにできる。そんな気もしていた。無茶なやり方だったが始解も卍解も虚化も今まで短時間で習得している。コツさえ掴めばなんとかなるはずだ。

 そう、なんとか。

 

 

「どうにかなる気がしない……」

 鬼道の最初の授業で大爆発を起こしてから2ヶ月。

 とうとう朝の授業で教師から見込み零のレッテルを貼られた黒崎一護は机に突っ伏していた。

 

「ま、まぁ、落ち込むなって」

 励ましてくれる友人の沖野心平は、朝の授業で特進学級一の点数を得た人物だ。

「まだ、2ヶ月だしね」

 元気づけようとしてくれる桜庭梅は、二番目の点数を叩き出した人物。

 この二人を前にするとあまりの差に愕然とする。

 「俺、才能ねー」

 突っ伏したままぼやく一護は、友人二人が顔を見合わせているのに気づかないままため息を付いた。

 

 一護は自分をそう特別だとは思っていない。特殊だとはわかっているし、特例だということも知っている。自分と同じ存在は居ないのもわかっているし、本来ならありえない能力を有しているということも散々言われてきた。それでも自分は天才などではないし、別に特別秀でいてるとは思っていない。

 一緒に鍛錬した阿散井恋次なども同様にあれこれ習得してきているから、成長速度が人並み以上でも人間の範疇を超えているとは思っていない。

 それでも心の何処かで自分なら何でもできると思い込んでいたのかもしれない。今まで見知ってきたものの中でたまたま特殊だっただけなのだ。

「慢心は人間の最大の敵だった……」

 

 残念ながらここにそれを「ちがうだろ絶対」と言ってくれる人はない。残念ながら。

 

 

「一護くん、霊圧と歩法ならほんとに誰にも負けないのにね」

 梅はしみじみ言った。

 斬術と同様に歩法の授業を免除されているのだが、まったくみせる機会がないかというとそうでもない。特に一護は日常的に瞬歩を使ってしまうので、すぐにその実力が知られることになった。霊圧は最初の斬術の授業で圧倒的であることが知られているし、その流れを考えれば、免除されている斬術もそうとうなものだろうと想像できる。

 心平も梅もそれらの技術を一護がどこで手に入れたのかはしらないが、志波家ということなのできっと子供の頃からみっちりしごかれたんだろうと思っている。

 ならば鬼道も教えていただろう。それでこの有様ということはお察しである。と思っている。

「斬術でも負けねー」

 と、ある意味惨めっぽく唸る一護に掛ける言葉がない。

「まぁ、試験まで時間無いし、俺が教えるよ」

「そうだね。私も手伝うからさ、かわりに歩法教えてくれないかな」

 

 そうなのだ。もうすぐ一回目のテストがあるのだ。

 

 真央霊術院には飛び級制度がある。

 およそ3ヶ月に一度行われるテストの成績と、年度末に行われる進級試験の成績で優秀な結果を残した場合に適用されるわけだが、その定期テストが、間近に迫っていた。

 殆どの生徒はその制度のために試験を頑張っている訳では無いが、一護はそこを頑張らなければならないのだ。

 なぜなら一年後には飛び級どころか卒業しないといけないのだから。

 正直、卒業は無理だと思っているので、中退となってしまうのだろうとは思うが、それでもできるだけ優秀な結果を残したいじゃないか。落第で中退だけは避けたい。

 もちろんそんな制約を課せられていることは誰にも言っていないが、それでも一護が試験にかける気力は周囲よりも高いので「あいつ飛び級狙ってる」なんて噂は学級内で流れていたりする。

「鬼道さえなければなんとかなる気がするんだけどなぁ」

 と一護が言うので、心平も梅もうなずいた。

「でも、全部の成績が良くないと飛び級できないよ」

「……別に飛び級狙ってるって言ってないだろ」

「飛び級じゃなくても一個でも”不可”があると進級に響くってきいたことあるよ」

「梅、追い打ちかけてやるなよ」

「あ、ごめん」

 一護は「あー!」と声を上げてガシガシと後頭部をかく。

「テストの平均点で成績つけてくんねーかな」

「無理だと思うよ」

「だから梅、追い打ちかけないでやって」

「あ、ごめんね」

 仲良くなってからこの二人、特に梅は遠慮がない。別にいいのだが。

 

 ともかく、落ち込んでいても仕方がない。

 座学はいい。意外とそこは得意だ。問題はやはり鬼道だろう。

 ということで、一護は翌日とある場所を訪ねていた。

 

 

 

「どーも、乱菊さん」

「あら一護じゃなーい!」

 そこは十番隊隊舎。その隊長がいる執務室。アポイントは取ってないので追い返されるかもと思っていたのだが、なんの問題もなく隊長室まで通されたのは意外だ。

 ちなみに案内した隊士にサインを求められたりしたので、今後はサインも決めておこうと思う黒崎一護である。

「突然すんません。乱菊さんにちょっと相談あって」

「いいのよー。どしたのー?」

 突然顔をだした一護を十番隊副隊長松本乱菊は喜んで部屋に入れ、そのままお菓子をすすめる。椅子に腰をおろし勧められたせんべいを口に運べば「おい」と地を這うような声とともに隊長、日番谷冬獅郎が部屋に戻ってきた。

「おう冬獅郎、どこ行ってたんだ?」

「日番谷隊長だ」

「たいちょーはお仕事ですよねー」

「お前の仕事だったんだがな」

 相変わらずの会話がすこしうれしくてニヤつく一護の後頭部をはたき、日番谷は隊長席に向かう。

「で、お前は何してんだ」

「いや、乱菊さんに用があって」

 煎餅を齧っていた乱菊が不思議そうに顔を上げた。それからしげしげと一護を見て「いいなぁ」とつぶやく。

「あんたほんっっとに昔のまんまね」

 そういえば、隊長達とは隊首会で全員会ったが、副隊長はそうでもない。入学前に親しい人たちにはあいさつしに行ったのだが、その時十番隊はかなり忙しくしていた。結局乱菊とは入学の前日にようやく顔だけ合わせた程度だったのだ。改めて話す時間はその時とれなかったので、外見の話などはしていなかった。

「理由、京楽さんから聞いてないんすか?」

「俺から話はした」

「でもめったにないんだって? いいなぁ若いままって」

「乱菊さんも若いじゃん」

 死神は歳をとらないわけではなく、霊力の成長とともに歳をとる。そしてある程度成長がとまると歳も止まる。

 乱菊の成長速度は現世の人間のように早くはないが、やはり多少は身体が変化しているのだという。いずれはおばあちゃんになるかもしれないとルキアもぼやいていたことを一護は思い出した。

「一護はいい子ねー」

 ぽりぽりとせんべいをかじりながら乱菊が大げさに泣き真似をする。

 成長といえば、日番谷はかなり外見に変化があった。その成長速度は死神の中では目を瞠るものがあるようで、気づけば随分大人になっている。いまでは一護と同年代くらいに見えた。

「冬獅郎はもう小学生には見えねーな」

「最初から小学生じゃねーよ」

「でも昔小学生に間違えられてたよな」

「てめーの妹にな」

 ここには居ない妹を睨むように日番谷は一護を睨んだ。

 サッカーの試合に出てたという話を聞いたときは、なにやってんだこいつと思ったものだが、元来面倒見がいい故のことだったのだと思うと、ありがたくもある。後に妹の夏梨は冬獅郎の正体を知ったが、その後も態度を変えなかったので「お前ら家族は……」と冬獅郎は頭を抱えたりしていた。

 父である一心も彼の言葉に入っていたのだろうと思うと、死神の中では若いというこの隊長は随分黒崎家に振り回されていると言える。

「夏梨今もサッカーシニアの部とかにでてるから、今度顔だしてみれば? すっげー驚くと思うぜ」

「結構だ」

「で? 一護、あたしに用なんだっけ?」

「あ、そうそう。ちょっと鬼道教えてほしくて」

「え?」

 乱菊は目を丸くした。

 

 黒崎家とのつながりから見てわかるように、真面目でおおらかというまるで正反対の特徴を併せ持つこの隊は、一護にとってはそれなりに愛着のある隊だ。

 破面調査のための先発隊として彼らがやってきたときからはじまり、その後も現世のことを比較的知っているということや、トラブルを起こしにくいという理由で現世へやってくる頻度が多かったので関わりは深い。

 父である黒崎一心が十番隊の元隊長ということも、現世に来たときは黒崎家に頻繁にやってきていた。

 知り合いのなかでまともに教えられそうな人は他にもいるにはいるのだが、あえて乱菊を選んだのはそういう背景から頼み事がしやすかったからだ。

 なお、後にこのことを知った朽木白哉には睨まれる事になる。

 

「鬼道……苦手そうね」

 かいつまんで試験のことを伝えた一護に、乱菊はしたり顔で言った。

「斬月は鬼道系だから意外とできんじゃねーかと思ったんだけど、俺基本ぶっ放すだけだったなぁと」

 斬月は一護の力を増大化させて放つという能力を持つ。それを日常的に現世でつかうにあたり、霊圧を抑えることも必要だ。浦原との授業で霊圧を抑えることもできるようになったし、なんとかなると思っていた。

 しかしよくよく考えれば細かい霊圧コントロールが必要な技ではないので、鬼道のように精密なコントロールが求められる場合とは勝手が違った。

「学院の先生には教えてもらってないの?」

「正体バラさないようにっつーのが結構むずくて」 

「……たしかにそうね。いいわ。みっちり教えてあげる!」

 乱菊は腕まくりをして答えた。

 

 

 

 

 

 そして試験当日。

 

 一護の赤火砲は見事に演習場を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





感想をいただきながら色々お話を追加しているうちに、学院編が長くなりそうです。
まだ試験編続きます!!!!



↓イラストはあくまでも趣味の範囲です
一護とオリキャラの梅ちゃん心平くんが居ますので優しい目でいただければ…と思います



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