黒崎一護・護廷十三隊物語   作:hapi

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 一護が死後、尸魂界にやってきて真央霊術院に入学した後の話
 今回は一護側のお話。期末テストの続きで俺ツエーする話
 今回の一護はちょっとアホの子です。


※オリキャラが喋ります。かなり出張ります。
※原作のネタバレあり
※捏造注意





6.挑め真央霊術院期末試験2!!

 

 

「霊術院で大爆発があった日。お前何をしていた」

「カツ丼用意すんな!」

 

 阿散井恋次が口の前で手を組み正面から見つめる先で、黒崎一護は盛大に机を叩いた。

 

「取り調べはカツ丼だってドラマでやってたぞ」

「いつのドラマだよ! つーか、なんでここにいるんだよ!?」

 

 たたまれた布団。小さな机と椅子が二脚、それからタンスが一つ。

 台所にはコンロが2つ。押し入れ一つと扉は二つ。玄関と脱衣所。脱衣所からトイレと風呂に繋がっている。

 それ以外に何もない小さな部屋。その壁の一角に巨大な刀が立てかけてある以外特に目新しいものはないその部屋は、真央霊術院の寮だ。そこに橙色の頭と赤い頭がそれぞれ向かい合って座っていた。

 

「まぁまぁそう言わずに。にしても霊術院の男子寮って部屋こうなってるのねー、殺風景だわ」

「そして何で乱菊さんがいるんだよ!」

「そないにうるさいと隣の生徒に迷惑かかるで。怒鳴り込んできよるぞ」

「平子もなんでいるかな!? そして誰のせいだ!」

「うるさいぞ一護」

「だ! か! ら! ルキアまで、なんで俺の部屋にあつまるんだよ!?」

「「「いつもの癖で」」」

「それでごまかされると思うなよ!?」

 

 ぜーはーと叫んで疲れた一護は机に突っ伏した。

 小さな部屋に部屋の主を入れて5人。

 いつだったか一護の部屋に大量に集まってきていたことを思い出す密集度である。

 演習場を鬼道で破壊した日から数日。ようやく試験が終わった日の夕方に彼らはやってきた。

 

「ほんと、なんでいるんだよ」

「そりゃお前が大騒ぎ起こすからな。隊長から様子を見に行っていいっていわれてよ」

 恋次がニヤニヤと笑いながら一護の頭を軽く叩いた。その手をパシリとはねのけて一護はジト目で恋次を睨む。

「白哉のヤロウ……」

「貴様が朽木家の土地を破壊したからだろう。自業自得だ」

 とルキア。

「せっかく教えたのにねー」と乱菊。

「やっぱお前には無理やったな」と平子がそれぞれ思い思いに喋ってうなずく。

 一護はそれらに一つ一つ反応するのすら億劫で、ただ唸った。それからゆっくり顔を上げて、勝手にくつろいでいるルキアと平子をそれぞれ見遣る。

「恋次と乱菊さんはともかく、ルキアと平子は来たら不味くねーか」

 隊長格が二人も何をしに来ているのか。平和とはいえ暇ではないはず。すくなくとも日番谷冬獅郎などは忙しいし。

「俺は桃に1時間だけ抜けてくるっていってあるさかい、ま、大丈夫やろ」

「それじゃあもうすぐ鬼電来ますね。平子たいちょー」

「せやな」

 その忙しいはずである冬獅郎の副官乱菊のからかいに笑って返す平子。二人をみて冬獅郎と雛森副隊長に同情する一護である。

 

「まぁ一護がやらかしたかて俺にはなんも関係あらへんけど。京楽隊長が心配しとったで? せやから様子見に行こかゆうて来たっちゅーわけや」

「うっ。それは悪いと思ってるけど」

 俺には関係ないけどな! と念をおしつつ、実のところかなり心配してくれていたらしい平子が他人事のように言う。

 平子は一護のことをかなり心配しているのはこの60年ほどで理解しているので、申し訳ないという気持ちもなくはない。それに京楽のことを出されると、一護もあまり強く出られなかった。

 要するに平子は隊長格代表なのだ。

 ならばルキアは、と思ってきっと普通にからかいに来たなと察し尋ねるのをやめる。もしかしたら朽木白哉があまりにも心配しているのを見て来たのかもしれない。彼女のブラコンは年々酷くなっている気がするので。

 一護はため息を付いた。

「鬼道はまずったけど、ほかは大丈夫だったし」

「一護オマエ、大丈夫だったって本気で思っとるんか?」

「あ?」

「貴様、一昨日の《歩法》の試験と昨日の《斬術》の試験でのこと、まさか何もなかったで済ませるつもりか?」

「…………」

 思わず顔をそむけようとして、周りを囲まれている一護はどこを見ても無駄だと悟る。

 それぞれの視線が鋭く刺さるのを感じながら、一護はゆっくり目を閉じた。

 

「つい、いつもの癖で……」

 

 それでごまかされると思うなよ。と4人のセリフが突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 遡ること2日前。

 そして演習場爆破から2日。瓦礫の撤去が進み、試験が開始された日のこと。

 鬼道の演習場は使い物にならないため、他の実技は高学年の生徒も使用する演習場を利用することになり、他学年と一緒に試験が行われることとなっていた。

 

 志波一護の演習場爆破事件。それは当然だが他学年にも広まって、彼らの視線を集める事となっていた。

 遠巻きに見ている者ばかりだが、中には声をかけてくる上級生もいて、一護は君が例の? などと言われてそのたびに口を大きくへの字に曲げる。この広まり様は当然一護にとっては不本意だった。梅も心平もしかたないよと言う。それはそうだ。自業自得なのだから。と言っても不快なものは不快だ。

 ただ今のところ、上級生には鬼道で大爆発を起こした奴としか認識されていない。例の破壊された演習場は立入禁止になっているし、ものすごい早さでそれらしく補修されたので、一見被害が小さく見えるためだろう。

 あの被害を見た同級生たちは一護をかなりやばいやつと認識しているが、他学年ではなんかちょっとやらかしたやつ程度にしか思われていない。

 なので一護はまだそこまで大騒ぎになっていないと多少安心していた。

 

 

「あれ? 一護くん試験受けるの?」

 歩法の試験会場に指定された演習場で整列させられる中、名前順で一個前にいる桜庭梅が不思議そうに言った。

 授業は免除されているのに? という顔に、一護は後頭部をがしがしと掻く。

「なんか成績つけるのにこれだけは受けたほうがいいって言われて」

「そっかぁ、たしかになんにも情報無しに”優”つけるわけにはいかないかもね。空白ってわけにもいかないし」

 そもそも免除の理由はその時間を別の勉強などにあててさっさと卒業しろというものだった。試験の日は別の授業にすべりこむこともできないので仕方なく試験を受けに来ていた。受けても問題はないはずである。

 ちなみに一護は別の授業に関しては随分先まで勉強を進めており、いまのところ鬼道以外は全く問題ない成績を収めていた。

 

 

 そろそろ試験も開始かと顔を上げたとき、ちょうど教師から生徒たちに声がかかった。

「それでは歩法の試験を開始します。試験方法は最初に通達しているとおり、所定の場所から所定の場所までの移動です。三人ずつ見るので、まずは最初の三人、前へ」

 まず決められた演習場の東に位置する場所に三人並ぶ。そこから演習場の西南北に順にむかい、そこにいる試験官の承認を経て元の東に戻ってくる。なんとも簡単な試験だ。試験官は各所に二人ずつ。スタート地点には三人いるので、九人で試験をしていることになる。聞いた話によると、教師の数が足りないため、そのうちの何人かは六回生が代わりをしていたりするらしい。たしかに若い試験官が多かった。

 一護は前に並ぶ生徒たちが所定の位置に並ぶのを見送ってから、演習場の中央に目を向けた。

 一護たち一回生の試験は演習場の外周付近を使っているので、中央は開いている。その演習場の中央には上級生が集まっており、二人一組で鬼ごっこをすると試験官が説明していた。そっちのほうがまだ楽しそうだ。

 すぐさま上級生の二人が瞬歩で消えたのを目で追い、演習場の外に行くのを見て、外もありなのかと納得する。実力差があったのかすぐに捕まってしまい、試験は次の二人組にうつっていた。

 瞬歩は瞬神夜一との鬼ごっこで鍛えられたので、その試験はかなり有意義だとは思う。ふだんからみんなそれで訓練すればいいのだ。つかまったら死ぬという危機感もあれば、きっとすぐ上達するだろう。

 

 

「志波一護! 前へ」

 はっとして見れば、同時に試験を受ける予定の梅と別の男子生徒が一護を待っていた。

「わりぃわりぃ」

 同時に瞬歩で所定の位置に移動する。

 びくりと二人の生徒が驚いたので、一護は首をかしげた。

「どした?」

「や、いや、別に……」

 男子生徒はかなり吃っていた。梅を見れば、ものすごく悔しそうな顔をしている。なんだろう、と思う中、試験官の号令がかかった。

 

 一歩、踏み出す。

 次の瞬間には西にいて、試験官と目が合う。相手が慌ててうなずいたのを確認して、次は南に、それから北へ。

 首を動かして次の地点を目に入れたときにはそこに居て、次の瞬間には別の場所に移動する。瞬歩は別に空間を超えているわけではなく、あくまでも高速移動でステップを踏んでいく感覚に近いので、動体視力がついていけば移動中に外の様子を見ることも可能だ。

 なのでその間も他の状況をみていると、すでに東にいる人物に気がつく。先程の男子生徒だ。

 ――おお。速いな。

 そんな感想を持って東に戻った瞬間。パッとその男子生徒が西に向かって踏み出した。

「あ?」

 どうやらまだスタートをきっていなかったらしい。何をモタモタしているのだろう。と不思議に思いながら梅を探す。見つけた彼女は南にいた。先程の生徒よりはよほど速いが、一護から見ると随分遅い。学生の実力ってこんな感じなんだなーと、試験官をみると、なぜか立ち上がって唖然としていた。

「?」

「し、志波、ちゃんと各地点に行ったか?」

「え? 行きましたけど……確認が取れればいいんスよね。別に会話とかいらないって」

 もしかして、各地点の試験官と会話が必要だったのだろうか。

 不安になって眉をひそめるのと、西の試験官が瞬歩で移動してきたのはほぼ同時だった。

 西の試験官は興奮した様子でスタート地点の試験官に紙を渡す。

「す、すごいですよ。ものすごい速さです。見てください。こんなの学院始まって以来の速さです!」

 え、そんなに? 

 のんびりしていたつもりだったのだが、そこまで速かっただろうか。

 

 試験官たちが集まって、紙と一護を交互に見る。その顔は驚愕に満ちていたが、やがて困ったような様子に変わった。

 何事かと見守る一護の前で、試験官の一人が申し訳無さそうに一護に声をかけた。

「志波、悪いがもう一度だ」

「は!?」

 あわてて近寄ると、北の試験官がおずおずとした様子で一護を見た。

「まさかあの速さで来るとは思わなくてな。記録ができていない」

「え、えー。追試っすか」

「そうではない。全員終わったらもう一度同じ試験を受けてもらいたい。……すこし、まっててくれ」

「いっそのこと、五年生の試験に参加してもらうのはどうでしょうね」

 突然そう言ったのは、スタート地点の試験官の一人だった。教師なのか、先輩なのかわからない若い男だ。見たことはないはずだが、しかし誰かに似ている気がする。

「山見くんそれは……」

「五回生の試験も生徒がひとり余っているようなんですよ。試験官とやることになっていたようなんですがね。どうせならと思いまして。」

「俺は別にいいっすよ」

 とっさに一護は答えた。

 試験が終わって落ち着いている同級生たちが見世物を見るように見てくるのは簡単に想像ができるし、全生徒が終わるまでまたされるなんで冗談ではない。さっさと終わるなら終わらせたかった。これ以上目立ちたくないので、はやく試験を再開してほしいというのもある。

 それに今は同級生たちが試験中だ。今のうちに再試験をすれば何度も彼らの前で瞬歩を使わなくてすむ。気づかないうちに再試験が終わっていた。それが一番目立たないだろう。

 

 と、一護は思っている。

 

 

 

 しばらくすると、一年と五年の試験官同士が話をして、一護の五年生の試験参加が決まった。

 本来であればありえないことだということに、何人かの生徒は気づいていたし、教師たちもどうしてこうなったと思っていたが、一護のほうはやる気だった。

「試験相手は彼だ」

 山見と呼ばれた試験官が一護の前につれてきた生徒は一護とそう変わらない年齢に見える青年だ。

「まさか一回生とやることになるとは思わなかったが……。蜂 宇航(フォン ユーハン)だ。よろしく」

「どうも、志波一護です」

 はて、フォン。まるで中国名だが、知り合いに一人似たような名前の人を知っている。

 ――でもあの人は蜂が名前だったような。

 一護がそんなことを思っていると、クイッと袖を引かれた。

 振り返ると、戻ってきた梅が息を荒くして汗をかきながら一護の袖を掴んでいた。

「大丈夫かよ。汗びっしょりだぜ」

「それはっ、瞬歩、したからっ」

「ああ」

 そういえば最初は結構疲れたかもしれない。

「それより、本気で蜂先輩とやるの?」

「何でだよ」

 ぐいぐいと引っ張られて一護は教師たちから一度離れる。すると心平が走ってきて、耳を貸すように一護を手招きした。

「なんだよ」

「蜂先輩はな、もうすでに隠密機動への内定が確定しているすごい人なんだよ。死神見習でもあるんだ」

「死神見習ってなに」

「……大戦で死神がいっぱい殉職しただろ。それで人手不足もあってそういう制度ができたんだよ。ともかく! すごい人なんだ。相手になるわけない」

 なるほど。と一護はうなずいたが、別に勝ち負けはそう気にしていなかった。それよりもさっさと試験を終わりにしたいだけだ。

 別にいいんじゃね。と適当に二人を落ち着かせる。

「でも――……」

「志波くん。そろそろ始めようか」

「はーい。 大丈夫だろ。いやなら帰ってもいいぞ」

 いるよ! と抗議してくる二人をおいて、一護は演習場の中央に向かう。

 一回生の試験官でこちらの試験を確認しに来たのは一人だけ。さすがに五回生の試験官に一護の試験を完全に任せるわけには行かないのだろう。他の試験官はまだ試験が終わっていない一回生の試験を続けている。その様子をちらりと見た一護は、先程山見と呼ばれていた若い試験官と目が合ったことに気づいた。

 ニヤリと笑うその顔に覚えがあって「あ」と声が出る。

 同級生の山見ガリ勉だ。そうかあいつの家族か。と納得するとともに、言い出しっぺの彼の思惑がなんとなくわかった気がしてげんなりする。きっと山見ガリ勉も今頃山見試験官と同じ顔をしているだろうが、残念ながら生徒たちの間に彼を見つけることはできなかった。見つける気もないが。

 

「志波、無理はしないようにな」

 と一言声をかけられる。試験官としても、相手の蜂先輩はかなり能力があるらしかった。

「余裕っす」

 と答えてから、周りを見ると一気に五回生の視線が突き刺さる。そこでしまったと一護は動きを止めた。

 

 もしかして、これはとても目立つ行為なのではないだろうか。

 非常に愚かしいことに、目立ちたくない者がするとは思えない行動をしているではないか。

 まずい。

 これは非常にまずい。

 

 最初、一護は”黒崎一護”とバレなければなんとかなると思っていた。

 ところが思った以上に素の一護の力は問題で、黒崎一護だとバレなくても酷く目立つことがわかった。

 実際のところバレてはいけないとは言われていない。入学許可が降りないかもとか、注目されてしまうかもとかという理由で隠していたが、もう入学してしまっているわけなので、バレてもよいのだが、これほど有名になっている”黒崎一護”だとバレたらやっぱりやりにくくなるだろう。

 目立ってはいけないと言われたわけでもない。あくまで一護がやりにくいかやりやすいかで考えたときに、目立たない方がいいと思っているだけだ。目立てばそれだけ黒崎一護ではと勘ぐられることも増えるだろうし。

 

 黒崎一護とバレてはいけない。そして目立ってもいけない。でも優秀でなければならない。けれどもコントロールは苦手で、それっぽく振る舞うのも苦手。

 かなり詰んでいる。

 

 合図が聞こえて一護はとっさに瞬歩でその場を離れる。鬼役の蜂先輩からひらりと逃げながら、一護はうーん。と唸った。

 同級生の前で瞬歩を見せびらかすか、上級生の前で見せびらかすか。どっちも問題だ。

 別の日にするとかそういう提案をすればよかったのだろうか。それともそのままの成績でいいですと告げればよかったのか。どっちにしても後の祭りである。

 空中に足場を作って蜂先輩から逃げながら、とりあえず試験官にこの試験の中止を提言しようと考えた。

 大事になる前に中止だ中止。

 よしそうしよう。と試験官の前に瞬歩した瞬間、一護は見知った霊圧がそこにあることに気づいた。

 同時に「そこまで!」という聞き慣れた声が聞こえて声の主を探す。

 

 

 漆黒の長髪に浅黒い肌。引き締まった肢体。強い意思を宿した瞳。

 

「え、夜一さん?」

 

 試験官たちの隣に立っていたのは一護の瞬歩の師である、瞬神・四楓院夜一だった。

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 

 




 いつも感想ありがとうございます。
 うれしくてうれしくて、毎日ニヤニヤしてます。
 鰤ファンがいっぱいいるのもうれしい!


 さて、今回は明確に続きものになりました。
 オチが作れなかった!!!

 原作の雰囲気を壊さず、ファンが見たい展開を想像するって難しいですね。
 一護に戦わせたりするととどんどんラノベになりますw

 次も引き続き一護が強強ターンが続く予定です。斬術の試験はどうしようかな。何を起こそうかな。
 考え中です。

 それでは~
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