硫黄島警備艦隊日誌   作:haruhime

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この部分は読まなくても大丈夫。

戦闘シーン無し。ストーリー展開なし。

陸軍の洒落男が出るだけ。

お付き合いいただけるのであれば、どうぞ。


第013報 ある陸軍大佐の憤慨

 こんばんわ、諸君。揚陸艦の甲板から失礼。私は帝國陸軍の富永英七大佐だ。

 

 月のない新月の夜、雲ひとつない快晴は膨大な数の星を瞬かせている。しかし、南方は夜でも暑いと思い知らされる気候だった。とにかく蒸暑い。師団長閣下が夏用装備を着ていけと言うのも頷ける。肌着一枚になってしまわないと、とかく厳しい。

 

「連隊長殿。」

 

 硫黄島要塞の埠頭に横付けしようという時、後ろから声がかかる。振り返るまでもない。

 

「なんだ、あきつ丸。」

 

 揚陸支援艦あきつ丸。陸軍が保有する最大規模の艦娘にして、輸送艦以外で最大の艦艇でもある。改装によって航空機運用能力まで獲得できるこの艦種は、海外遠征の多い帝國陸軍にとって大変貴重で重要なものだった。遠征師団に一隻配備されるかどうかという代物だが、今回は一個連隊に貸し与えられた。

 

 そんな貴重なあきつ丸だが、我等が第178特務師団に配備されたこの娘と私の付き合いは長い。十五年の長きに渡って一つの師団に配属され続けた例は、なかなかお目にかかれないだろう。私が少尉として任官して以降、共に戦場を渡ってきた戦友である。

 

「いえ、不審物が私の上を這い回っているのが不快で不快で。思わず排除しに来たのであります。」

 

「なんだその言い草は。」

 

 あんまりな物言いに、思わず後ろに振り返ってしまう。そこに立っているのは、真っ暗な海に溶け込むような黒の軍服と、真白と評するべきであろう白磁の肌を持つ小娘だ。十五年前となんら変わるところはない、美しい小娘。不快であることを前面に出した表情がなければだが!

 

 いや、昔と違うのはその態度の大きさか。かつては張り裂けそうな緊張感とやる気を迸らせていた。上下関係にも異常に厳しいところがあったが。今となっては、仮にも元上官相手にこの態度だ。

 

「連隊長を不審物扱いとは。貴様も偉くなったものだな、あきつ丸。」

 

「おかげさまで。同じ大佐でありますよ。」

 

 最初のころの初々しさなどどこへやら。今となっては立派な陸軍軍人としての悪辣さを身に着けてしまっている。なんということだ、かわいげの一つも見せたらどうだ。

 

「同じ大佐か、早いものだな。普通まだ中佐がいいところだろうに。」

 

「同期はほとんど生き残れていないであります。この昇進の早さも当然でしょう。」

 

 そうだ、俺と同じ期に士官学校を出た連中はほとんど死んでいる。優秀だといわれたがゆえに、生き残れなかった。

 深海棲艦の大規模反攻と配置転換が重なった結果の大敗退。陸軍主力に参謀見習いとして送り込まれていた同期の大半は、マレー半島で白骨になっている。

 

「私と同じあきつ丸や他の陸軍艦娘も、数多く沈んだのであります。自分も、海軍さんが間に合わなければ沈んでいたでありますよ。」

 

 クアラルンプールからバンコクまでの撤退戦。敗走に敗走を重ね、動けなくなった部隊から決死の防衛戦を挑んで死んでいったらしい。ラオスからの攻勢予備軍団に配置された新任少尉だった俺はバンコクへの長距離爆撃で負傷し、運よくバンコクでの防衛戦に参加する事もなく、更に後方のホーチミンへと後送された。

 

「今の第331水雷戦隊だったか。」

 

「そうであります。長良殿にはお世話になりました。」

 

 所属していた第30後備師団の事実上の消滅によって、退院後配置転換を受けたのが今の第178特務師団だ。このとき、ホーチミンまで負傷兵と民間人を輸送してきたあきつ丸は大きな損傷と精神的負傷を負っていた。所属していた船団が深海棲艦潜水戦隊に襲撃され、あきつ丸以外は全滅したらしい。海軍の海上護衛総隊の救援が間に合わなければ、彼女も海の底に沈んでいただろう。

 

 そんな艦娘のメンタルケアを士官学校出てすぐの新任少尉に任せるほどに、当時の指揮系統は混乱していた。第178特務師団も基幹歩兵連隊を喪失しており、戦車連隊や砲兵連隊も装備を遺棄して撤退していたため、上層部はその補充に奔走していたのである。重要とは言え、直ちに用を成さない艦娘にかかわっている暇は上層部にはなかった。そこで、使えもしない新任少尉をあてがう事で、厄介者をまとめておく効果を求めたのだろう。それが、今までの付き合いの始まりだった。

 

「俺とお前がはじめてあったときを覚えているか?」

 

「連隊長殿、一人称と二人称が変わっているでありますよ。」

 

 じとっとした目をこちらに向けてくる。雰囲気出すような問いかけしてやったのに、何だその目と態度は。

 それに、人が足りない威厳をひねり出すために使っている口調。散々馬鹿にしてきたのはどの口だったか思い出させてやろうか、この小娘。

 

「俺とお前しかいないんだ、かまわんだろう?」

 

「このダメ連隊長ときたら、であります。まぁ、自分も昔を思い出しているでありますから。」

 

 あきつ丸は大仰にため息をつくと、舷側の手すりに寄りかかる。相変わらず胸がでかいな。何食ったらそんなでかくなるんだ?

 

「連隊長殿、人の胸を凝視する癖はどうにかするべきだと思うのでありますが?」

 

「生憎他の艦娘には訴えられていないのでな。……気になるならその無駄にでかいのを外せ。」

 

 さっきから手すりで潰れて面白い感じになってるからな?

 

「無理言わないでほしいのでありますが、連隊長殿。あと物言いが神州丸みたいであります。」

 

 第1輸送艦隊、通称陸軍貧乳艦隊旗艦神州丸か、かわいそうな子だったな。

 

「始めて聞いたでありますよ、その悪意ある艦隊名!後沈んだみたいな言い方はやめるであります!」

 

「あの薄さは世の貧乳女性の希望になれるだろうよ。」

 

 あの平坦さはかなりのもんだ。何しろ普通の水着でもやばいくらいだからな。小学生だってもう少しあるぞ?というより、周りの支援舟艇の子達のほうがあるからな、小さいのに。

 

「連隊長殿はもう少しデリカシーというものを知るべきであります!」

 

「ははは、時と場合はわきまえているから問題はない。おいばかやめろ、艤装取り出して殴ろうとすんな!?」

 

 唸りを上げて振り込まれる右ストレートを間一髪で交わす。回避が間に合っていなかったら汚いスイカ割りを披露するところだった。霊力供給をカットして艤装を消滅させる。

 

「ず、ずるいであります!?は、放すでありますよ、この変態!?」

 

 普通の女と変わらない状態にしてから即座にタックルをかまして押し倒し、甲板に顔を押し付けながら後ろ手に拘束した。暴れんなこのアホ!

 

「あ~、いちゃついてるとこ申し訳ないんですがね、連隊長。」

 

「なんだ、篠原。」

 

「篠原副連隊長殿!?」

 

 背後から声をかけてきたのは、副連隊長の篠原昭文中佐。ゴリラに帝大卒の頭脳を搭載した化け物だ。見た目もゴリラ度が高いためにいまだ独身だが。深海棲艦補給車級を接近戦で、それも倍力服無しで殴り潰した逸話を持つ。引っこ抜いた木でどうやって潰すんだ?ゴリラの王か何かなのか?

 

「見張り員からですが、埠頭にお出迎えが着てるらしいんですわ。それも海軍大佐がね。同階級っつーことで、相手してやってくだせぇ。」

 

「面倒にもほどがあるんだが、相手してこよう。それよりだ、このバカを拘束しといてくれないか?」

 

 篠原が手に持ったクリップボードを差し出してくる。メモ帳みたいに見えるんだよな、手がでかすぎて。中身を見れば、ミミズが痙攣起こしたような字で走り書きしたメモだった。

 読めない。この汚さは高橋2等兵か。あのバカに見張り任せるとか何考えてやがる。いや、安全圏のここだからやらせたのか?

 

「中佐殿、助けてください!連隊長に犯されるであります!?」

 

「誰がするか、この駄肉!人聞きの悪い事いってんじゃねぇ!しまいにゃ犯すぞこら!」

 

「あひぃん!?」

 

 いきなりバカがわめきだした。人聞きの悪い事を言うんじゃない!片手で無駄にでかい尻を引っぱたく。さっきから目の前で左右に振りやがって、尻肉がたぷたぷ揺れてんだよ、誘ってんのかこら。

 

「連隊長。一言で矛盾するのはやめましょうや。」

 

 それもそうか。とりあえず憲兵用の特殊捕縛縄を使って、両足首と手すりを結んだあきつ丸を抱き上げる。

 

「な、何をする気でありますか。いきなり縛って外でなんて、ハードすぎるでありますぅぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 躊躇せずに舷側に投げ落とす。頭を下に向けて、しっかりと。特殊捕縛縄の高い伸縮性は、強く縛っても少女の柔肌にあとを残さない、といううたい文句に恥じないものだったらしい。舷側に二三回ぶつかって、埠頭に直撃だ。

 

 さすが数十人一気に引っ張る時に使う腰縄。長いね。めちゃくちゃあまってる。

 

 顔面から突き刺さったようだが、何も問題はない。

 

「悪は滅んだ。」

 

「はぁ、満面の笑みで言う台詞じゃありませんわな。」

 

 すっかり呆れ顔でこちらを見る篠原。やめろ、見つめるんじゃない。後、かわいい女の子以外に見つめられる趣味はない。

 

「私にもありませんよ、連隊長。」

 

 思わず気持ち悪いものを見る目で篠原を見てしまう。ナンデこいつ俺の心の声が聞こえているんだ?もしかしてエスパー?

 

「違いますよ、連隊長は心の声が大きすぎて口から漏れてるんです。」

 

 あ、そう。それならそうと早く言えよ。……まあいいや。それよりもだ。縄を引き上げる。まじで長いな。五メートルほど引き上げると、馬鹿が適度な高さで宙吊りになる。改めて結びなおしてから、

 

「これでしばらくほっとけ。しばらくしたら縄切って海に落とせ。」

 

 とりあえず反省させた後に処刑するように申し渡しておく。上官侮辱罪取られるよりはましだろ。……下からわめき声が聞こえてくるが無視だ無視。

 

「了解です、連隊長。それより早く。」

 

「わかったわかった。」

 

 そういうと、篠原は俺の両肩を掴み、舷側に押しやる。まて、俺はダイブする気はないぞ、怪我はしたくないしな。

 

「落としませんよ。ただ、時間がないのでラペリングしてください。」

 

「まじか。」

 

「残念ながら。」

 

 バカを落とした場所から下をのぞき見れば、50mほど艦尾側に二人の人影が見えた。その上の手すり付近では、三人の水兵がラペリング降下の準備をしているのが見える。準備いいな、おい。

 

「さ、お早く。」

 

 けど、せめて身だしなみくらい整えさせろよ。今の俺、肌着に防暑軍装の下、あと突っかけだぞ。

 

「従兵。」

 

「は、こちらをどうぞ。」

 

 などと考えていると、いつの間にかそばにいた従兵が制帽を差し出してくる。そういえば部屋に置きっぱなしだったか。基本的に俺は着道楽だ。ほかの事に金を使うくらいなら、着る物に金をかける。この軍装だってそうだ。

 

 SS師団正式帽を改造したこれを見ると、三重帝国かぶれとよく言われるが、チェッコ式よりかっこいいと思うんだがな。

 

 差し出される防暑軍装上衣を開襟して着込む。蒸してはいるが、防暑加工された特別製はやはり通気性が違う。偕行社製はいい。

 

 脚絆を渡されたので、片足で進みながら巻き上げる。高いほうじゃないとは言え、新品を引っ張り出してくるとは、いい仕事するねぇ。……にしても辛いな、これ。

 

 さらに、熱帯用防水長靴を渡される。見た目編み上げの革製長靴だが、その実最新素材をふんだんに取り入れた新型だ。とんでもなく値段は張ったが。同じく片足で進みながら履く。やべぇ、楽しくなってきた。

 

 参謀飾緒は特注品だ。西陣の職人が上質な絹糸を金沢の金箔で作った撚金糸を贅沢に編み上げた丸打金線に、18金の石筆型金具。汚れやすいが、その分輝きはぴか一だ。

 

 軍刀は、大したもんじゃない。中身は誰が打ったかわからん数打ち刀。側もそれほど凝ってはいないしな。せいぜい五重塗りの黒漆鞘と石見の爺さんが作った銀細工と赤瑪瑙の細工位か。

 

 拳銃はフィリピンから後退してきた北米軍将校から買い付けたT/Cアンコール・エクストラカスタム。ソードオフショットガン並みのロングバレルのせいで、無駄に重くて無駄にでかいが、深海棲艦偵察装甲車級にもダメージが与えられる貴重な拳銃だ。使用する.600特殊強化弾は各地の弾薬工廠にいる妖精に特注する形になる。射撃には霊力強化か倍力服必須だが。

 

 最後に差し出されたのは白絹の手袋、にみえる特殊金属繊維強化弓掛だ。名前こそ弓掛だが、実際は部分的に強化された手袋に過ぎない。最も手の甲や重要部分には間接稼動の邪魔にならないぎりぎりまで軟質金属メッシュが入っているから、ガントレットに近い防御性能を持つ。これをつけていれば、ラペリングしても手がざくろになることはない。

 

 どれもこれも公式行事には付けられない代物だが、若い連中には受けるし、洒落っ気のある上司の受けも狙える。何より俺が満足できるのがいい。前線に出て死ぬときには、一番良いのを着て死にたいじゃないか。

 

 従兵が差し出す手鏡と剃刀を使ってひげを当てる。毎朝剃っているとは言え、さすがに夜になれば伸びてきてしまう。ちょろひげなんて他人に見せたいものじゃないからな。

 

 そうこうしているうちに、ラペリングポイントに到着する。やっぱ襟は閉めよう。降下用のハーネスをつけて、ロープと接続。下を見れば、白い海軍野郎と銀髪美人がいた。野郎には興味がないが、ありゃ美人だな。顔は見えないが確実に美人だ。雰囲気で判る。

 

 手すりを乗り越えて、降下体勢に。

 

「んじゃ、行って来るわ。」

 

「お気をつけて。あとで従卒をつけます。」

 

 ひらひらと手を振って、降下を始めた。両手で減速しながら、舷側装甲を蹴って降下していく。ラペリングなんか久しぶりだな。ポートモレスビー以来か。

 

 完璧な着地。硬質な靴底なのに音をさせない着地法は、なぜかレンジャーから来たやつに教わった。久しぶりの揺れない地面だ。あと気分的に娑婆の空気がうまい。

 とりあえず近寄りながらハーネスを脱ぎ捨てた。最近のやつはワンタッチで脱げるのがいい。

 

 目の前にはあっけにとられた顔をしている若いのがいた。けっ、外人さまみたいなイケメン野郎がいやがる。だがその肩章はれっきとした大佐だ。しかも銀糸飾緒持ち。やだね、相手したくないのがいるよ。

 

「高所から失礼。帝國陸軍マレー方面軍第178特務師団海上機動第21旅団長陸軍大佐、富永英七だ。よろしく頼む。」

 

 敬礼はばっちり決める、陸式だが。

 

「ようこそ硫黄島へ。嵯峨野宮佳奈子内親王海軍少将殿下付、帝國海軍硫黄島要塞駐留艦隊第310警戒戦隊司令海軍大佐、六条実行であります。富永大佐殿とお呼びしても?」

 

 並んだ二人は、こちらに対して返礼をした。若いのはどうでもいい、いや良くないが。評価するまでもないお手本通りだからな、面白くない。

 

 それより、隣の美人のほうが気になる。上から見た感想は正しかった。いや、むしろ評価が足りなかったともいえる。

 

「おう、かまわねぇ。というより富永でいい。こっちも六条と呼ばせてもらう。」

 

 北欧系の顔立ちに透き通るような白磁の肌。少し鋭い緑玉の瞳は暗がりでもよく輝いている。髪の色が錆銀なのが特徴だな。これで銀だの白金だったら現実味がなくなっちまう。

 あとスタイルがいい。そのくせ良く引き締まっていて無駄がない。あの駄肉とは大違いだ。その体を特Ⅲ型の制服で包んでいるのが可笑しくてしょうがない。

 何しろ140cmくらいのお子様向けを170cm以上の女性が着ている。しかも胸や尻が大きいせいで、へそは出てるわ腿のきわどいとこまで上がってるわで、もう眼福だな。

 

「それより六条。そっちのお嬢さんは?」

 

「申し遅れました。第310水雷戦隊秘書艦、ヒビキです。」

 

 六条に促されると一歩前に出て申告してきた。声も美人、いや、天使か。

 

「その、少し恥ずかしいな。」

 

 おっと、声が漏れてたか、失敬失敬。

 

「そちらの艦娘の方はどうされました?不調でしたらドックをお貸しできますが。」

 

「申し出はありがたいが不要だ。何しろ、こっちの秘書艦はあそこのバカだ。……さっきからガンガンガンガン、うるせぇぞあきつ丸!」

 

 右腰に特注のホルダーで下げているT/Cアンコールで抜き撃ちをかます。吊っている縄を切れば、バカは再び埠頭に突き刺さった。にしても自分から艦側面にぶつかりにいくとか、マゾかあいつ。マジありえん。

 

「あのバカともども、これからよろしく。」

 

 こっちが満面の笑みを浮かべて握手を求めているのに、呆けてやがる。

 

「司令官、ほら。」

 

「あ、ああ。よろしくお願いします。富永大佐。」

 

 呆れ顔のヒビキちゃんに促されてようやくこちらに気付く体たらくだ。大丈夫なのかね、こいつ。

 

「では富永大佐。こちらへ。司令部で秋葉陸軍中将と四辻海軍中将がお待ちです。」

 

「お偉いさん待たせてるなら、早く言えよ。お前の立場がまずくなる。」

 

 そういう大事な事は早く言おうな?

 

「は、申し訳ありません。」

 

「いい、頭を下げる必要はない。それより案内してくれ。」

 

 頭下げてる暇があったら一刻も早く誘導するほうが先だろうに。

 

 一分ほど歩いていると、後ろが騒がしい。

 

 今頃目が覚めたのか、あのバカ。

 

「待つでありますよ、この外道!」

 

「てめぇ、まだ懲りねぇか!」

 

 追いついて気だ第一声がそれとか、本気で喧嘩売ってんのか?飛び掛ってきたのをを半身に開いて回避。落下と同時に背中を踏み縫いて地面に押し付ける。

 

「てめぇも懲りねぇなこの間抜け。」

 

「ぐぎぎ、いつかこの恨み、はらしてやるであたたたたたた!?」

 

「させるかボケ!」

 

 にもかかわらず、こっちの足を掴もうとするので軽く背骨をゴリゴリしてやる。かかとを使っているから、そりゃ痛いはずだ。じっくり痛めつけてやりたいところだが、お偉いさんがお待ちだ。

 

「今日の所はこれくらいにしてやるよ。」

 

「……マジでいつか復讐してやるでありますよ。」

 

 足を離せば、あきつ丸は機敏な動きで立ち上がり、汚れを落としていく。艦娘の服は艤装と同じく霊力でできている。汚れはつくが、落とすのも比較的簡単だ。こちらも裾などの端についた小さな汚れを軽く払う。

 

「すまんね、いこうか。」

 

 こちらが促せば、ヒビキちゃんが先導してくれた。あきれた顔をしていたが、海軍さんじゃなかなか見られない光景だろうからな。仕方があるまい。

 六条も妙なものを食わされたみたいな顔をしてやがった。ま、陸戦部隊出身でもなければ、まずできない芸当でもある。

 

 進行方向を見上げれば、高台にひときわ目立つ大きな洋風建築が見える。あれが駐留艦隊司令部か。本土からの封緘命令は胸の中にある。いったいどこに上陸するのか、楽しみでしょうがないね。

 

 

 

 

 天を見れば、南方の星星がこちらに視線を投げかけている。

 

 あの星たちのように、消えることなく生き延びたい。

 

 唐突に思ってしまった。

 

 

 

「さて、いきますかね。」

 

 

 

 生きる、活きる、逝きる。

 

 どれができるかは、俺次第。

 

 せめて後悔だけはしないようにしよう。

 

 俺は、改めて決意を固めた。

 

 




なげぇ。そしてストーリーが進まない。

上陸作戦護衛部隊として活動する第310水雷戦隊。

次回、椿四号作戦(1)


富永英七
陸軍大佐。38歳独身。
第178特務師団海上機動第21旅団長。
揚陸艦、あきつ丸の提督でもある。
陸軍随一の洒落男であり、青年将校クラブの主催者。
陸軍士官学校では恩賜の軍刀組にぎりぎりでは入れなかった。
卒業後、マレー戦線後備師団に配属され、バンコクで負傷、後送されたホーチミンであきつ丸とであう。
以降、共に配属された第178特務師団の上陸兵員として戦功を上げ続け、36歳で大佐に昇進し連隊長になる。
基本的に着道楽で食道楽。座右の銘は「見栄えよく死にたい。」

第178特務師団
霊力持ちだけで構成された、敵前上陸師団。
陸軍の切り込み部隊とて名を馳せており、部隊勲功を称える感状の数は凄まじいことになっている。
現在は揚陸艦あきつ丸以下5隻と機動艇47隻、二式大艇3機を有する。
戦車娘で編成された第106・107戦車大隊を麾下に持つ。
約四個師団分の支援艦艇を保有している。

神州丸
陸軍第一輸送艦隊の旗艦。
あきつ丸の姉的な存在であるが、胸の大きさは絶望的に違う。
駆逐艦どころか装甲艇や駆潜艇が目下のライバルという悲しさである。
陸軍72号艦の通称を持つ。
龍驤とは不思議と気があうらしい。
外見は胸と尻の薄い飛鷹。
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