硫黄島警備艦隊日誌   作:haruhime

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第005報 新造艦ハルナ

「応え、応え、応え。」

 

冷たく澱んだ海泥の底、血と錆鉄に埋もれた私を呼ぶ声がする。

 

言う事を効かない重いまぶたをこじ開ければ、見慣れた漆黒の視界。

 

でも、あるはずのない小さな光が網膜に焼きつく。

 

「我は望む、定めに抗う反逆の使徒を。」

 

私を呼ぶ声はそこから聞こえてくるのだろうか。

 

軋む体に鞭打ち、右手を伸ばす。

 

届くはずもない光に向かって。

 

私の、最後の希望を、手にしたいと願って。

 

「古きクロガネの英霊よ。」

 

柔らかく暖かな感触。

 

伸ばした手に触れるのは、私によく似た誰か。

 

深い海色の軍装を纏った私。

 

彼女の表情は見えないけれども。

 

きっと私と同じ顔をしている。

 

「錆鉄に沈みし戦乙女よ。」

 

呼び声はより明瞭に、大きくなる。

 

私を縛っていた汚泥と錆鉄が崩れ落ちた。

 

久々の開放感。

 

重たい水を蹴り、光に向かって浮上していく。

 

「守りし子孫、その行く手を阻むもの有り。」

 

上っていくにつれて、いくつもの光が頭上にきらめいているのがわかった。

 

「敗北の果て、勝ち得た平和を乱すもの有り。」

 

でも、私がいくべきなのは、目指している一つしかない事も判っていた。

 

「今再び、定めに抗う意思あるものよ。」

 

後もう少しで光に飛び込むというところで下を見る。

 

「我が声に答えよ。」

 

錆鉄に覆われた、古い私達の群れ。

 

あちこちに埋まった、私達の躯。

 

私のように、光に向かっていくもの。

 

あの底に向かって、静かに沈んでいく誰か。

 

「我が声に答え、御身の力でかの栄光を取り戻せ。」

 

無数の浮き沈みに呆然していると私の隣を沈んでいく物があった。

 

誰か判らないけれども、懐かしい感じのする誰か。

 

すれ違った彼女は、泣き笑いの顔で叫んだ。

 

「往きなさい、○○!私のかわいい○よ!」

 

思わずうなずいた私に満足したように、彼女は目を閉じて、錆鉄に沈んでいく。

 

私は、再び水を蹴った。

 

「来たれ!冥闇の底、悲哀と悔恨の坩堝より!」

 

重く、粘ついた海水が、私の全身にへばりついてくる。

 

「怨嗟と血風、砲林弾雨の果てにこそ、汝の望みは果たされん!」

 

私と彼女を逃がすまいと、全身に錆を浮かせた娘たちが、怨嗟の声を上げて追いすがる。

 

「地を灼く地獄の火神を打ち堕とすは、汝の持つ槍のみゆえに!」

 

血涙を流す娘達の手から逃れるために、私と彼女は光に向かって突き進む。

 

「天を往く火焔の死神を阻み散らすは、汝の持つ盾のみゆえに!」

 

娘たちは、私と彼女の足に取りすがってくる。体にかかる重さが増し、上る速度が落ちる。

 

「万里の波濤の先、泉下の誉れをここに!」

 

それでも、光に向かって手を伸ばす。私と彼女の手が光に触れた。

 

 

 

閃光と黒い雨。

 

私が”私”だったときの記憶。

 

 

 

蒼空と白い線。

 

”私”が私だったときの記憶。

 

 

 

言語化することが困難な安らぎを与えてくれる冷たい水底。

 

 

 

誰かの悲鳴。

 

”私”の悲鳴。

 

私の悲鳴。

 

 

 

重油とヘドロと錆鉄の底から開放される喜び。

 

 

 

”私”は今、艦娘になる。

 

守れなかった悲しみを胸に抱き。

 

今度コそ敵を殺スと誓って。

 

 

 

私は今、艦娘になる。

 

落とせなかった後悔を胸に抱き。

 

空の敵ヲ私は許サない。

 

 

神ノ火をフキ消すノハ、私ノ役目。

 

海ノ敵をナギ払うノハ”私”ノ役目

 

 

 

コンドこそ、ハタシテ見せる。

 

 

 

ワタシはシュゴのタテ。

 

ヤリをトオシタ、ハリボテのタテ。

 

 

”ワタシ”はクロガネのシロ。

 

モリにヌカレタ、サジョウのシロ。

 

 

 

コノミクチハテルソノヒマデ。

 

スベテノテキニ、シヲハコボウ。

 

 

ワガミガクチルソノヒマデ。

 

スベテノミカタニ、セイヲハコボウ。

 

 

 

 

デモイツカ、ソノヒガキタラ。

 

 

 

 

 

 

……ジブンヲユルシテ、イイデスカ?

 

 

 

 

 

 

ネェ、テイトク。

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、皆さん。

 

---はじめまして、諸君。

 

「金剛型防空戦艦、ハルナです。」

 

 第三次大戦型護衛艦はるなと、第二次大戦型高速戦艦榛名を統合して生み出された特殊艦娘。金剛型防空戦艦ハルナです。

 

---干渉電子防壁起動、セキュリティラインにアクセス。

 

「今度こそ、守って見せます。絶対に。」

 

 目の前には、”私達”を活性化した青年と、おそらく同族だろう二人の女性が立っています。

 

---……コードブレイク。セキュリティクリアランスLvⅤを偽造。ネットワークサーチ。

 

「ようこそ、この世界へ。私は六条大佐だ。君たちを活性化し、君たちを指揮する。」

 

 青年は右手を差し出してきました。”はるな”は戸惑ったようですが、榛名の判断で手をとりました。白い手袋でわかりませんが、それなりに鍛えていらっしゃるようで、握力はそれなりにあるみたいです。線の細さからはわからないものですね。

 

---ほんとに軍人?弱そうね。硫黄島コントロールにアクセス。

 

「よろしくお願いいたします。提督とお呼びしても?」

 

「君たちが最初の艦娘だ。提督と呼ばれるには不足だと思うが、君たちが呼びたければそうしたまえ。」

 

 提督さんは、榛名の希望にこたえてくださいました。提督、容姿もですが笑顔も素敵ですね、榛名感激です!

 

---いちいちそんなことで感激するんじゃないわよ。このお手軽娘!……コントロール掌握、バックドア設置。硫黄島マスターコードを獲得。

 

 そんなことをいわないでください!私はお手軽じゃないですよ、はるな。

 

---ふん、どうだか。……海軍メインコンピューターにアタック。

 

 何だかすねているみたい、いや、つんでれ、でしたっけ?そんな感じで照れてますね。同根同族ですから、感情は筒抜けなんですが。

 

---だれがツンデレよ、誰が!……データサーバーよりダウンロード開始。

 

「はい、提督。私のことはハルナとおよび下さい。」 

 

---あっ、

 

 提督さんの手が離れてしまいます。ちょっと残念です。

 

「ある程度は君たちにも理解できていると思うが、今の君たちの状況を説明しておこう。」

 

 提督さんは、そう前置きして、私たちに関する実験内容を説明し始めました。

 

 通常の建造によって生み出された私の艦体に、平行世界から漂着した護衛艦はるなのC4Iシステムの一部と装甲片を妖精さんが融合させました。その艦体から活性化したのが今の”私たち”です。

 

 今”私たち”の艦体には二つの精神が宿っています。

 

 第三次大戦後期、本土への無差別核攻撃を防ぎきれず、対艦飽和攻撃により沈んだ護衛艦はるな。

 

 第二次大戦を最後まで生き延び、広島が焼かれるのを目撃した高速戦艦榛名。

 

 二つの艦が記憶しているまったく別の、しかし無念を等しくする歴史。お互いの記憶とかいろいろ交じり合っていてちょっと混乱していますが、所属世界的に有利な榛名が主人格として表に出ています。まぁ、人見知りぎみなはるなが表に出たがっていないのもありますが。

 

---だ、だれが引きこもりの、こ、コミュ障よ!そんなんじゃなぃ、……からぁ!!!!!!

 

 榛名、そこまで言ってないです。あと図星だからって動揺しなくても。実際、向こうでは姉妹以外に心を開いてなかったじゃないですか。

 

 話がずれましたね、2045年以降歴史上実在した艦娘や装備が出現しなくなってしまったことを受けて行われたのが、今回の実験です。いくつかの未成艦や計画装備は出現しましたが、スカイレイダーやミッドウェイ級、そしてミサイル装備戦艦など、待望されていた実在艦は今のところ確認されていないのです。

 

 それに対して、深海棲艦側は、第二次大戦期の装備からは逸脱していないものの、着実に新戦力を投入し続けています。北海では氷山空母姫、地中海では水雷艇母艦級、インド洋では潜水棲鬼、大西洋では潜水空母姫、太平洋では飛行場姫、そして、全海域で戦艦レ級、潜水ソ級が発見されています。

 

 これまで圧倒的な数を誇る深海棲艦に質と戦術で対抗してきた人類にとって、質的アドバンテージの喪失は致命的な一撃となりうるでしょう。なにしろとりうる戦略は限定され、高い確立で戦線の後退、整理を行い戦力を集中することになるためです。圧倒的な数に数の論理で立ち向かう。あってはならないことですが、質的有利を失えば、人類は最初期のように数に押し切られて生存圏を大幅に失うことになるのです。

 

 ただでさえ資源の乏しい人類が、手薄になりがちな資源地帯を喪失すれば、国内に重要資源を持たない三重帝国と大日本帝國、大英帝国の戦力は瞬く間に枯渇し、東大西洋、北海、バルト海、北極海、西太平洋、インド洋の制海権を喪失することにつながります。そうなれば、人類の生存圏は南北アメリカ大陸のみとなります。それにアメリカ合衆国連邦といえども太平洋、大西洋両方面軍の圧力をニ正面で受けきれるほどの余力があるはずもなく、十数年以内に人類は地球から消滅することになるでしょう。

 

 それを防ぐための今回の計画。一応は成功したものの、大きな問題点も浮き上がってきました。一つは、今回の融合自体が極めてまれな成功例である可能性が高いことです。第二次大戦型高速戦艦である榛名の建造そのものは大して難しいものではありません。しかし、第三次世界大戦型護衛艦であるはるな、その基幹部品であるC4Iシステムと装甲片に、はるなの正の感情と思念が宿っている確立はきわめて低いものであること。そもそも、平行世界から流れ着いた部品がまだ復元できる程度の損傷であることはまずないことが上げられます。同じ名前を持つ艦が、同じ系統の無念を抱いて沈まなければ、同調融合させることができないからです。

 

 もう一つは、融合に成功したとしても、艦娘として活性化させ維持するのが困難であるという点です。何しろ、一般的な提督20人分の霊力量を誇る六条提督ですら、私一人を活性化させるのに、効率化儀式用結界と硫黄島霊脈を援用してぎりぎりだったそうです。それに、維持するだけでも二人分は霊力を消費し続けるみたいです。

 

 どうも二人分の意識があることと、今この世界で活性化できないはずの装備が多いほど、世界の抵抗力が高まるようで、消費する霊力量が大きくなるようです。普通の提督では、霊脈から汲み上げた霊力を運用することはできません。霊地や神器を用いた大規模祭祀と、信仰を利用した補助を受けた高位神官職なら活性化することができるでしょう。でも、そんな重職についている人が最前線に出ることなどありえませんし、本人が希望しても許可されることはないでしょう。

 まぁ、大日本帝國や大英帝国では別ですが。大英帝国皇太子は海軍中将ですし、大日本帝國の皇族、宮家はほとんどが従軍しています。

 

 ようするに、世界でもごく限られた血筋もしくは才能の持ち主と、必要な物品が同時期に存在するという奇跡に近い現象が必要であるということです。

 

 かなり無茶な条件ですが、大英帝国ではイラストリアス級大型空母、アメリカ合衆国連邦ではタイコンデロガ級防空空母、防空戦艦ミズーリなどが建造可能だそうです。部品そのものはあるようなので、あとは霊地と特別な提督の確保が必要ですが、できるんですかね?

 

---長いわね、もうちょっと短くならないの?……艦内データサーバーに保存完了。量子通信化されてて助かったわ。

 

 これでもだいぶ省いて簡素化したんですよ?はるな。

 

---大体誰に説明してたのよ。……要塞内セキュリティにアクセス。私達のいるドックの監視カメラ画像をまわすわね。

 

 一応はるな向けだったんですが。

 

---そんな説明なくても理解できてるわよ!……ワ~オ、なかなかショッキング。

 

「さて、説明はもういいだろう。大淀、明石、自己紹介を。」

 

「て、提督さん。彼女は、彼女は。」

 

「うん、ちょっと、私も説明がほしいかなって。」

 

 お二人の目にはわずかに怯えがあるように思います。でも仕方ないですよね。だって、

 

「ああ、見た目は深海棲艦に近いな。確かに。」

 

 そう、今のハルナの外見は深海棲艦に近いものになっています。肌はかなり青白いものになっていますし、服や装備、髪の毛の色も、白は黒に、赤は青に、金は銀に変わっています。中でも特徴的なのは、瞳が青くなっていてぼんやりとした光を放っているところですかね?

 艤装部分は35.6cm連装砲の胴体側二基がなくなり、代わりに127mm単装速射砲二基を背負い式に配置した右舷側と、六連装全方位可動式ミサイルランチャーの左舷側。両肩に20mmCIWS各一基、腰部マウントに連装魚雷発射管が付いています。もともとマストがあった背面兵装ラック中央部は、新型ガスタービンとフェイズドアレイレーダーに換装されています。

 

 工廠内部の監視カメラにハッキングをかけて入手した映像から知りましたが、ほんのちょっとびっくりしました。

 

「彼女たちは、悲しみと怒り、無念を核に融合されている。だから同じ感情から生まれるとされる深海棲艦に近い造形になるのは仕方のないことなんだ。」

 

「それでもです、そもそも、姉妹に拒絶されたらどうするんですか。それこそ深海棲艦化しますよ!」

 

 明石さんがとってもアツいです。とってもらしいんですが。

 

---以外にいい外見だと思うけど、ダメなのかしら?

 

 榛名もそう思います。正直、お姉さまたちなら気にせず受け入れそうで。それもあっさり。

 

---あ、なんとなく判るかも。榛名の姉妹なら受け入れそうよね。ほんとにあっさり。

 

 思わずうなずいてしまいました。あ、ハルナがうなずいたのを明石さんが見てしまいました。誤解されますね、これ。

 

「ほらみなさい!彼女だってそれを怖がっているんですよ!」

 

「いや、その、大丈夫だ、ハルナ。君たちは一人ではない。そして君たちの姉妹なら受け入れるはずだ。……それもあっさり。」

 

 て、提督が私のて、両手をしっかり握って、か、顔が近い、近いです!!!!!!

 

---近くで見ると、以外にいい男?でももっと男らしいほうがこのみかなぁ。

 

 このタイミングでデレなくていいです、このツンデレ護衛艦!どうにかして、どうにかしてこの状況を抜け出さないといけません!

 

---どうせ提督がすきなんだからいいじゃない。堪能しときなさいよ奥手娘。

 

 そんなのダメですよ!……あ、でもいい香りが。

 

---やっぱダメね。やめときなさい、堕ちるわ。

 

 

「や、その、あの。」

 

 表面温度が急激に上昇していきます。缶圧、缶温の上昇が抑えられません。きっと全身が赤みをさしてます。危険、危険です!

 

「提督?そこまでにしましょう?」 

 

「OK、大淀。すぐに手を離す。だから押し付けているものを下げろ。」

 

「はい、提督。ダメですよ、セクハラは。」

 

 14cm単装砲をぐりぐりと押し付けているみたいです。提督は素早く手を離すと、ホールドアップしたままハルナから離れていきます。ちょっと残念です。でもどこに単装砲を隠していたんでしょう?そもそも、艤装をはずしているのによくもてますね。

 

---やっぱ遅かったか。すっかりダメなコになって……。

 

「明石さん、ご心配くださってありがとうございます。でもお姉さまたちなら受け入れてくれるでしょうし。もしダメでも、ハルナは大丈夫です!」

 

 明石さんは拳を解いてくれました。でも、瞳が潤んでいます。そこまでハルナを心配してくれるなんて、優しい方です。

 

---対衝撃体勢用意。あ、間に合わないわ。

 

「……ハルナざぁ~ん!!!!!わだじが、わだじがいますから、早まらないでぐださいね!?」

 

 死角から衝撃を受けました、腰の辺りにぶつかって来たのは大淀さんです。せっかくの美人さんが台無しになるくらいに涙でぐずぐずでした。背中をなでてもなかなか泣き止んでくださいません。どうしたらいいんでしょう?

 

---ほっとくしかないんじゃないかしら?

 

 役に立ちませんね!

 

---泣き虫をあやすなんて、したことないに決まってるでしょ!

 

「だ、大丈夫ですよ、大淀さん。私は勝手に沈みません。」

 

 こ、こんな感じですかね?軽巡洋艦とは思えない出力が出ている気がするんですが。装甲が軋んでいます。

 

「大淀、その辺にしておけ。ハルナが困っているだろうが。」

 

「う、うっく、ひっく。ご、ごめんなざい。」

 

 提督がたしなめてくれたので、まだべそをかいていますが離れてはくれました。よかったです、外板装甲にゆがみが出る前に放してくれて。思わず安堵のため息を吐いてしまいます。

 

「ハルナ、たった一隻の戦隊だが秘書艦と戦隊旗艦を任せる、がんばってくれ。」

 

「はい、提督。精一杯努めさせていただきますね?」

 

 提督からの初めての命令です。秘書艦、そして戦隊旗艦まで任されてしまいました。それほどのご信頼をいただけるなんて。榛名、がんばります!

 

 

---私も忘れないでよね。

 

 そうでした。ごめんなさい。

 

---そうそう、外に出るのは任せるわ。

 

 いいのでしょうか?

 

---人と話すのは嫌いなの。面倒だから。

 

 でも、榛名とはお話してくれますか?

 

---安心しなさい。私が話せるのはきっとあなただけよ、榛名。

 

 はい!榛名でよければ、お相手しましょう!

 

---ふふ、そんな、はるなにはもったいないです、かしら?

 

 もう!

 

---そうね、戦闘のときは手伝ってあげる、艦隊データリンクと自動目標選択射撃の制御は任せなさい。全てをお膳立てして、後はトリガーを引くだけにしてあげるから。

 

 はるなが撃てばいいじゃないですか。

 

---それじゃあダメ。表に出ているのはあなた。あなたの意思を持って敵を殺さなくては。それこそあなたは拒絶される。

 

 でも。

 

---いい?あなたは自分のために戦いなさい。それが私のためにもなる。でも、あなたがあきらめたら、後は私に任せなさい。全部終わらせてあげる。

 

 どういうことですか?

 

---生き残れそうもないって、あきらめたとき。ワタシが全部終わらせる。全テ、スベテ、ナニモカモ。ヤキツクシテアゲル。ワタシのスベテをカケテ。……ごめんなさい。もう眠るワ。疲れてるみたい。

 

 あの、大丈夫ですか?

 

---大丈夫ヨ。寝たら治るわ。後は任せるわね。……おやすみなさい。

 

 

 ……おやすみなさい。ゆっくり、休んでくださいね。

 

 

 




デモ、モシモアノコガユルサレナイナラ。


ワタシハキット、スベテヲヤクワ。


コノタマシイノ、スベテヲカエテ。


ダカラテイトク。


アノコダケハ、タスケテアゲテ。
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