『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第11話 雄英高校受験当日

雄英高校受験当日。

早朝、師に送り出された二人の弟子は雄英高校へと向かう。

今日までにできる限りのことはしてきた。

師からも太鼓判を押してもらった。

それでも緑谷は生来の気の弱さから緊張で震えており、爆豪はその様子にあきれながらも戦意を滾らせる。

 

二人とも学業の成績は高く、修行中も勉強をおろそかにはしなかった。

学科試験はまったく不安はない。

問題は実技試験。

内容は市街地を模した舞台に現れる無数のロボットを倒しポイントを競うというもの。

そして受験生には秘密だが撃破ポイントに加えて、試験を審査する教師により救助活動ポイントが与えられ、その合計で採点されるという仕組みだった。

 

試験開始直後から爆豪は撃破ポイントを、緑谷はそうと知らずに救助活動ポイントを主体にポイントを稼ぎ、他の受験生たちを引き離していく。そして終了間際に投入された、ビルよりも巨大な0ポイントロボ。

他の受験生たちが我先にと逃げ出す中で、爆豪は逃げるのは性に合わないと、緑谷は逃げ遅れた受験生を助けるために、揃ってこれを撃破。

二人の活躍に教師たちは歓声を上げ、部屋の隅でオールマイトは満足げに頷く。

 

本来はここにオールマイトだけでなく、彼と同じく雄英の教員になる予定のヒノカミもいるはずだった。

しかし彼女は二つの理由からこれを辞退。

一つは弟子たちが受験しており贔屓になる行動を取る可能性があるため。そしてもう一つは、特例で試験の観戦を許された協力者たちに付きそうためだった。

 

「ふん!あの程度でオールマイトの後継者とはな。

 もう一人の、爆豪だったか?

 奴の方がよほど見込みがある」

 

「あまり色眼鏡で見んでやってくれ。

 今後に期待というやつじゃよ」

 

「確かに碌に鍛えてねぇモヤシが3年足らずでここまで仕上げたってんなら、伸びしろはあるな」

 

「しかし誰かを助けるために咄嗟に動いて制御に失敗、自損した挙句助けた相手に助けられるか。

 ……オールマイトに似ているよ。悪いところもね」

 

小さな個室で教師たちと同じようにモニターを見つめていた、ヒノカミとOFA関係者のヒーロー。

エンデヴァー、グラントリノ、ナイトアイが揃っていた。

およそ3年前に行われたナイトアイの予知。

それによれば事態が大きく動き始めるのは、OFA後継者が雄英に入学し、その育成のためにオールマイトとヒノカミが雄英の教員となってから。

雄英の校長である根津と看護教諭であるリカバリーガールとは協力しやすくなるが、逆に外部とは足並みが合わせづらくなる。

なのでOFA後継者のお披露目を兼ねて外部協力者である3人のヒーローを呼び寄せ、今後に備えて打合せを行うことになった。

勿論OFAのことは他の教師たちにも秘密なため、試験の裏側で隠れて行う。

根津は校長で、オールマイトは教師たちの注目が大きい。

リカバリーガールは怪我をした受験生たちの治療がある。

消去法でヒノカミがこの場の音頭を取ることになる。

 

「では改めて、ナイトアイ。

 予知で見えた今後の展開の説明を頼む」

 

「緑谷が入学して間もなく、オール・フォー・ワンの手先と思われるヴィランの襲撃がある。

 居合わせた生徒の人数を考えると、おそらくクラスごとに分かれての訓練中。

 ヴィランの大半はチンピラだが、例外が3人。

 全身に手の飾りをつけた男。

 黒い靄に覆われた男。

 脳がむき出しになった化け物。

 こいつらがオール・フォー・ワンの直接の手先だ。

 先に挙げた二人はこの後の襲撃にも現れていたことから、捕縛に失敗したと思われる」

 

「教師側の陣営は?」

 

「オールマイトとヒノカミ、他2名。

 しかし間もなく多数の援軍が参戦した。

 根津校長がすぐに対応できるよう備えていたのだろう」

 

「逆にそのメンツで逃げられるってのか……手強そうだな」

 

「その後しばらくは、少なくともヒノカミの周囲で連中の被害はない。

 問題は、おそらく夏合宿。

 プッシーキャッツの所有する山での訓練中に襲撃がある模様だ。

 今度はチンピラでなく、ネームドヴィランが多数」

 

全員に配られた書類には参戦するヴィランの情報が記されている。

中でもマスキュラー、ムーンフィッシュ、マグネは凶悪な殺人犯だ。

マスキュラーは過去にオールマイトに捕らえられたのだが、護送中に脱走し行方をくらませていた。

 

「この事件での被害の詳細はわからないが、ここでおそらく敵の情報を得るのだろう。

 我々だけでなく多くのヒーローが協力し、敵拠点へと奇襲を仕掛ける。

 その後オール・フォー・ワンが現れ戦闘になり……間もなく映像が途切れた」

 

ナイトアイは言葉を濁したが、それはヒノカミが死ぬということ。

ヒノカミから説明は受けていたが、予知した本人から改めて宣言され、当時会議に参加していなかったエンデヴァーは顔をしかめる。

 

「……ナイトアイ。

 お前の見た予知は、本当に変えられないのか?」

 

「今のところ、前例はない。

 そうでなければ予知をここまで躊躇ったりはしない。

 それに、仮にこの戦いを生き延びたとしてもヒノカミは……」

 

「……そう、だったな」

 

ヒノカミの症状はここ数年で更に悪化していた。

投薬により抑えているが、すでにリカバリーガールから余命1年足らずと宣告を受けている。

改めて突きつけられる現実を前にエンデヴァーは沈黙した。

彼の気持ちを察し、ナイトアイとグラントリノも口を閉じる。

ヒノカミ本人も、さすがにこの状況で兄を茶化すことはできなかった。

 

「……変えられない、というのなら」

 

やがてエンデヴァーが口を開く。

 

「……もう一度、ヒノカミを予知してみるのはどうだ?

 今からなら、より詳細な未来を知ることができるのではないか?」




エンデヴァーがOFA関係者として正式参戦。
ちなみに爆豪もロボを挑発して引き付けたり、0ポイントを撃破したことが他の参加者を助ける行為に繋がると判断されるなど、かなりの救助活動ポイントを稼いでいます。
そして緑谷はやっぱりやらかす。
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