『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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魔界統一トーナメントは、漫画ではなくアニメの設定寄りになっています。
仕方ないとはいえ、原作の情報量が少なすぎるので。


第15話 魔界統一トーナメント

魔界統一トーナメント。参加者総数はなんと6274名。

1対1で戦っていては時間がかかりすぎる。

よっておよそ49人ずつ、128ブロックに分けて予選を行うこととなった。

本戦に進めるのは各ブロックの生き残り一人だけだ。

 

「人間……?」

 

「間違いねぇ、人間の小娘だ」

 

「なぁんでこんなところに居やがんだぁ?

 まさかコイツも大会に出る気か?」

 

「……幽助か雷禅と一緒にいた方が良かったかもしれんなぁ……」

 

巨大な会場の中央の舞台の上に、選手である妖怪たちがひしめき合う。

その中にたった一つ紛れ込んだ霊気の持ち主は、ひどく目立つ。

大会が始まれば敵同士だからと敢えて幽助たちと別れたが……このままでは余計なちょっかいをかけられるかもしれない。

幸い周囲の連中は大した強さでもないが、だからこそ下手に反撃すると殺してしまい、失格になるかもしれない。

最悪、小さい結界でも張って凌ぐかと考えていたところでアナウンスが響く。

 

『それではこれより、魔界統一トーナメント予選抽選会を行います!』

 

巨大スクリーンの前で動きがあった。

参加者全員が1列に並び、ブロックの番号が書かれたクジを一人ずつ引いていく。

 

『おぉっと、霊界からの使者『ヒノカミ』選手です。

 彼女は人間ですが、何と優勝候補である雷禅選手が国賓として迎え入れたほどの人物!

 どのブロックに振り分けられるか、期待が高まります!!』

 

ヒノカミの順番が来たところで実況の声が響いた。

その放送が聞こえた途端、彼女を見下していた周囲の妖怪たちが一斉に距離を取る。

 

「……これはこれでめんどくさい状況じゃのー……」

 

注目は浴びたいが、こういう形でではない。

さっさと済ませようと無造作に箱に手を突っ込み、適当に札を取る。

彼女の目的は優勝ではなく、魔界にその実力を示すこと。

魔族たちに『人間侮りがたし』と思わせることだ。

名を売るために予選は勝ち進んでおきたい。

強者のいないブロックであることを願うが……。

 

『……ヒノカミ選手!74ブロックです!

 優勝候補の一人、軀選手と激突!これはツライ!!』

 

「むがぁぁぁぁああ!!!」

 

願いは通じなかった。

明らかに落胆した様子でトボトボと立ち去っていく彼女の背中は煤けていた。

周囲の妖怪たちも流石に同情した。

 

『たった今すべての抽選が終了いたしました!

 ……え?はい……はい……』

 

ヒノカミは会場の隅に座って壁に背中を預けてぼーっとしていたが、いよいよ始まるようだからと仕方なく立ち上がる。

 

『ただいま、情報が入りました。

 早くも出場辞退の選手が続出しております。

 優勝候補が参加するブロックはほとんどがいなくなってしまったようで、なんと74ブロックは軀選手とヒノカミ選手を残して全員棄権してしまいましたー!!』

 

そして足を踏み外しすっ転んだ。

 

「……ふざけるな貴様らぁーーーーっ!!!

 その程度の覚悟で魔界の頂点に立とうとは舐めとるんかぁーーーーっ!!!」

 

「まったくだ」

 

ヒノカミの絶叫に呼応するように、軀がヒノカミに近付きながら同意する。

軀は顔を覆っていた包帯を取り外し、素顔を晒している。

 

「人間のお前の方がよほど肝が据わっているよ。

 どうだ?オレに仕える気はないか?

 オレは人間だからと冷遇するつもりはないぜ?」

 

「……儂ゃ人間じゃから、魔界の掟に縛られるつもりはない。

 が、大会に参加しておきながら『優勝者に従う』という義務まで放棄するつもりもない。

 流儀に反さぬ限りは従い、相応に尽くすつもりじゃ。

 ……じゃがな」

 

ヒノカミは聖光気を開放する。

周囲のA級妖怪たちはたじろぎ、S級妖怪ですらも目を剥く。

 

「すでに勝ったつもりで話を進められるのは気に食わんな。

 確かに勝ち目は薄いが、だからと言って諦めたつもりはない」

 

「……これは失礼した。

 では話の続きは決着をつけた後にしよう」

 

「うむ、ならば異存はない」

 

そう言うとヒノカミは気を抑えた。

軀は満足気に微笑み、立ち去った。

 

「おいおい、随分とはしゃいでるじゃねぇか」

 

「雷禅……これは自棄じゃ。

 虚勢の一つや二つも張らねばやってられんわい」

 

「そうかぁ?テメェも今日までに随分と絞ってんだろ。

 俺の見立てじゃあいいセン行くと思うんだがなぁ……」

 

「くくく、その言葉でも気休めぐらいにはなるな。

 ……貴様も負けるなよ」

 

「わぁってるよ」

 

雷禅とも別れ、気が乗らない様子で歩き出す。

雷禅と軀とのやり取りを見た周囲の妖怪たちはもはやヒノカミを格下とは思えなかった。

そういう意味では、彼女の目論見は戦いを前にして成功したと言えるだろう。

……軀との戦いで無様を晒さなければ、だが。

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