『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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原作でもアニメでも試合描写が少ないので、勢い任せで本戦全カットです。


第20話

魔界統一トーナメントはあっさりとした終わりを迎えた。

 

雷禅たち3人の優勝候補、それに匹敵する彼の友人たち。

流石に彼ら相手では幽助も飛影も蔵馬も力及ばず3回戦で敗北した。

残る彼らの実力は伯仲しており、後は組み合わせと時の運。

それらに最も恵まれた煙鬼が優勝となった。

3年間魔界を統一することとなった彼は、霊界との融和を発表した。

舞台の上に立ち妖怪たちに頭を下げたコエンマ。

彼をダチと認めたトーナメント上位実力者たちの拍手。

魔界と霊界のこれからに期待したくなる光景だった。

 

幽助が魔界に旅立ってから1年半。

役割を終えたヒノカミと幽助は大手を振って人間界へと戻る。

そして更に数カ月。

 

「……どうだ?」

 

「うむ……文句なしじゃ!」

 

「っしゃあ!」

 

自分が作ったラーメンの感想に、幽助は思わずガッツポーズ。

『何を隠そう、儂は普通の料理の方も達人じゃあ!』と豪語するヒノカミから作り方を学んでいたが、ついに自他共に認める出来に仕上がった。

魔界で彼女が出した人間用の料理はテリトリー製だったが、実際に手作業で作らせてみると大口を叩くだけの実力はあった。

その彼女からこれほど高い評価をもらえれば自信もつくというもの。

 

「しかし、この出来なら店を構えた方が儲かるのではないか?

 常連客の存在は大きいぞ?」

 

「しばらくはいいや。いろんなとこに行って、いろんな奴らに食ってもらいてぇ」

 

「……そうか」

 

高校に進学しなかった幽助はもう学生ではない。

魔界統一トーナメント本戦前の馬鹿騒ぎが忘れられない彼は、ラーメン屋の屋台を始めることにした。

霊界探偵としての仕事、人間界に頻繁に訪れるようになった妖怪たちのサポート、それらを続けながら人間界で暮らしていくという。

ただし、3年後に再び開催される予定の魔界統一トーナメントには絶対に参加するつもりだ。

 

「そういや、アンタはどうすんだ?」

 

「おそらく、ほぼ魔界に入り浸ることになるじゃろうな。

 魔界は広い。未開拓地もまだまだあると聞く。

 探し物を求めてフラフラとじゃ。

 ……だが次のトーナメントに出ることはあるまい。

 年寄りの儂ではもうお主ら若者にはついていけぬよ」

 

「……そーいやアンタって結局いくつなんだ?」

 

「それは秘密じゃ。……なぜなら!」

 

「へーへー。『その方がカッコイイから』ね」

 

「なんじゃいケチンボめ、最後まで言わせろぃ」

 

ラーメンの残りを腹に収めながらくだらない雑談を続けていると、二人の伝令機が揃って音を鳴らす。

 

「……コエンマか?」

 

『ヒノカミさん!幽助さん!聞こえますか!?』

 

「んあ?オメーは確か霊界特防隊の……舜潤だったか?」

 

『緊急事態です!霊界の……審判の門が占拠されました!』

 

「「!?」」

 

こちらから出向いた方が早いと、次元刀で移動し霊界にいる特防隊の面々に合流する。

彼らから聞いた情報をまとめるとこうだ。

 

自分たちは神の使いであり、魔界の住民を悪魔だと信じている武装集団正聖神党による宗教テロ。

連中はコエンマやぼたんら、100人近い霊界の人間を人質に取っている。

要求は人間界からの妖怪の排除と結界の再設置。

24時間以内に要求を受け入れない場合1分毎に一人ずつ人質を殺していき、更に1時間経過した場合は人間界に対し『異次元砲』の使用を強行すると宣言。

 

「異次元砲?」

 

「過去の霊界……連中が霊界の主流派として神を気取っていた頃の遺物ですよ。

 『天罰』を称して人間界の粛清に利用していた兵器です」

 

「コエンマから聞いたことがあるな……もう使えなくしてあるという話じゃったが?」

 

「……大竹ですよ」

 

元霊界特防隊隊長、大竹。

奴の名が出た途端、ヒノカミの発する霊気が険吞な物に変わる。

 

「奴だけではありません。

 エンマの不正に加担していた者たちの中に、多数の信者がいたようです。

 コエンマ様は結界の解除と魔界との融和方針を打ち出し、それが実際に成功しつつある。

 これ以上時間が経てば、自分たちが返り咲くのは不可能だと判断したのでしょう。

 追放された元霊界関係者の信者、そして隠れて追放を免れた信者が結託し、今回のテロの準備を整えていたようです」

 

「……こりゃエンマも隠れ信者だったか?

 ……いや、奴が裏で繋がりを持ち連中を利用していたと考えるべきか」

 

「おそらく。エンマはここまで短絡的ではありません。

 今までは陰の協力者である彼が高い地位についていたから連中も自制していたのでしょうが、追い詰められ歯止めが効かなくなったということでしょう」

 

「……やり方は我らに一任させてもらうぞ。

 幽助。桑原と蔵馬に声をかけよ。儂も戦力を集める」

 

「魔界に行くんだろ?だったら飛影も連れて来てくれ。煙鬼にはオレから頼んでおくからよ」

 

敵の数は33人。3が神聖な数字だとか。

最高戦力は大竹だろう。人質さえいなければヒノカミか幽助一人で事足りる数だ。

……だがヒノカミは容赦しなかった。

 

「やれやれ、こんな下らんことでオレたちの手を煩わせるとはな」

 

「すまんな。だが主らが『霊界の危機に立ち上がった』という事実があれば、今後コエンマも動きやすくなるじゃろう」

 

「我らも施政者だ。理屈は理解できるが……」

 

「けけけ、まぁいいじゃねぇか。『ダチ』を助けるために一肌脱いでやろうぜ」

 

ヒノカミが集めた戦力を見て、霊界特防隊はドン引きしていた。

幽助と、彼が呼び寄せた桑原・飛影・蔵馬もだ。

 

「オレだってここまではしねぇぞ……」

 

「なぁ……オレ、いるか?」

 

「……連中に心底同情するぜ」

 

「同感です」

 

ヒノカミは改めて、彼女が呼び出した協力者たちに頭を下げる。

 

「よろしく頼むぞ。雷禅、軀、黄泉」

 

「「「わかった」」」




武装集団正聖神党33名 VS 浦飯チーム&ヒノカミ&元魔界3国王

ファイッ!!
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