『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

131 / 805
第3話 復讐者

ヒノカミによって蓮が蘇生された後の葉たちはというと。

 

自分の無力さに打ちひしがれていたホロホロが、友人となった『アイスメン』の3人を助けるためにハオの手下であるブロッケンとビルを撃破。

傷ついたホロホロを、X-LAWS側に付いた葉達の友人であるリゼルグが救出し葉たちの元へ連れ帰る。

しかし同じくハオの手下のペヨーテとターバインが復讐のために襲撃してきたため逃走。

竜が殿となったが危険な状況と聞いたため葉が飛び出し、ファウストは『THE・蓮』や他の面々を連れて選手の宿泊施設である古い民宿に転がり込んでいた。

ホロホロと『アイスメン』のやり取りを見ていたチョコラブはギャング時代からの仲間のことを思い出し、応援に来ている彼らに何となく会いたくなって、一人で民宿を離れた。

一人で、離れてしまった。

 

「!?なんだ!?」

 

民宿から数百メートル進んだところで透明なドームが突如出現し、チョコラブはその内側に閉じ込められてしまった。

異常に気付いて蓮とホロホロ、リゼルグが駆けつける。

 

「おいチョコラブ!なんだコリャ!?」

 

「わかんねぇ!突然できて……閉じ込められちまったんだ!」

 

「これは儂の結界じゃ」

 

ドーム……結界の中心から歩いてくるのは、昼間に出会った鎧姿のヒノカミ。

そしてその隣には巨大なロボット。

 

「あれは……チーム『アルケミスト』!?」

 

「何?ではあれがヒノカミとやらのチームメイトか」

 

「おいヒノカミさんよ!こりゃあ一体どういうつもりだ!!」

 

ホロホロが結界の外から、何故か胸の前で祈るように掌を組んだままのヒノカミに叫ぶ。

 

「……儂らは、チョコラブ・マクダネルを殺しに来た」

 

「「「……は……?」」」

 

「この男を覚えているか?」

 

蓮たちの困惑を無視してヒノカミは話を続ける。

突如チョコラブの前に、半透明の一人の男が現れた。

霊ではない。ヒノカミがテリトリーで再現した立体映像だ。

 

「『カメル・ミュンツァー』。

 3年前のクリスマスに貴様が殺した男。そして……」

 

「オレたちの父ちゃんだ!!」

 

ゴーレムの胸部ハッチが開くと、中に二人の子供が座っていた。

 

「わかったか?チョコラブ。

 我らは……カメルの仇を取りにきた!!」

 

「う……うあぁ……!」

 

チョコラブはその男を覚えていた。

つい先ほど思い出してしまっていた。

『子供たちが待っている』と命乞いをした彼を、チョコラブはためらうことなく撃ち殺した。

そして彼の身ぐるみすべてを、子供たちに送られるはずだったプレゼントすら奪い取った。

 

「待ってくれヒノカミ!」

 

「ミッキー……やはり貴様知っていたな?」

 

「隠していたことはすまないと思っている……だが彼らの、チーム『THE・蓮』の力も必要なんだ!」

 

「『ハオを倒すため』にか……くだらん」

 

2度の転生を果たした最強のシャーマン。

葉ですら巫力値は1万そこそこだというのに彼の値は破格の125万。

持ち霊は五大精霊の一つ『スピリット・オブ・ファイア』。

シャーマンファイト参加者の大半は、どうやって彼を倒すかを必死に考えている。

審判役のパッチ族の中にすら彼がシャーマンキングになると決めつけ、加担している者がいるくらいだ。それを。

 

「あの程度の木っ端、儂一人で十分じゃ」

 

「「「何!?」」」

 

事も無げに断言した。

出まかせではない。ヒノカミはハオの力量を正しく理解したうえで、自分一人でどうにかなる相手だと判断していた。

 

「姉ちゃ……ヒノカミ。オレたちにやらせてくれ」

 

「ルドセブ……セイラームもそれでよいのか?」

 

「……うん」

 

「あいわかった」

 

「っ!ホロホロ!手を貸せ!!」

 

説得は不可能だと察した蓮が結界の破壊に挑む。

一度死から蘇ったことで彼の巫力は大幅に増大していた。

ホロホロだけでなく、リゼルグやミッキーも協力し、あらん限りの力で一斉に攻撃するが。

 

「傷一つ……入らない!」

 

「これはシャーマンファイトとは無関係のこと。

 巻き添えとなる主らには悪いと思っておる。

 じゃがチョコラブはここで殺す。

 『THE・蓮』のシャーマンファイトはここで終わりじゃ」

 

「「チョコラブ!!」」

 

肝心のチョコラブは、項垂れていた。

始めは抵抗しようとしていたが、腕を下した。

ゴーレムから放たれる巫力がとんでもない大きさだったこともあるが、それ以上に彼は自分自身の罪悪感に押しつぶされてしまった。

 

「はは、『やったらやり返される』かぁ……。

 そうだよな……コイツらの笑顔を奪ったオレが、笑いで争いのない世界を作ろうなんざぁ……」

 

『ガルゥ……!』

 

「すまねぇな、ミック。

 だがコイツは当たり前の結果ってやつだ。

 ……いいぜ、やってくれ。

 それでオマエらの笑顔が戻るのなら」

 

「……!」

「言われなくても!」

 

「っ!待……」

「やれぇ!ゴーレム!!」

 

セイラームの声をかき消すルドセブの叫びに応え、ゴーレムの頭部から放たれたレーザーがチョコラブの心臓を貫いた。

 

「へへ……難しいモンだぜ……笑いってやつはよ」

 

『ガルゥーーーーーッ!!!』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。