『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

140 / 790
第12話

シャーマンファイト一次トーナメント、第2回戦が全て終了した。

残るは3回戦のみ。これで二次トーナメントに進む4チームが確定する。

『花組』の棄権により『星組』が一足先に勝ち抜け。

残るは『ふんばり温泉チーム』VS『THE・蓮』。

『X-Ⅰ』VS『天』。

『アルケミスト』VS『如来』。

 

しかし3回戦開始は暫くの間延期されることになった。

紅葉がトーナメント会場を吹っ飛ばしたからだ。

中央に大穴が空き、聖光気の余波を受け会場のいたるところがひび割れている。

パッチたちは今も泣きながら必死の復旧作業を続けている。

 

それまでの間に『ふんばり温泉チーム』と『THE・蓮』の地獄の特訓の2回目が行われた。

またも心が死んでしまった彼らは民宿の片隅でどんよりと沈んでおり、ルドセブとセイラームによる必死の介護を受けている。

しかしおかげでついに全員が巫力50万を超え、神クラスのシャーマンとなった。

ただ流石に成長が鈍化しており、これ以上同じ訓練を続けても劇的な効果は得られないだろうと判断。

紅葉にそう告げられたアンナは渋々、本当に渋々、これ以上この修行法を行わないことにした。

後は時間が彼らを癒してくれることに期待するしかない。

 

ハオ一派は大人しくしている。

このままでは紅葉にシャーマンキングの座を奪われてしまうが、葉たちが計画していた襲撃作戦にかけるつもりなのだろう。

今ここでシャーマンファイトを無視して行動し、二次トーナメント前に紅葉に消されるよりはマシと考えたようだ。

ハオが読心術者と知り暫くは配下たちとの関係はギクシャクしていたが、少しずつマシになっているらしい。

 

X-LAWSとの亀裂は決定的となった。

X-Ⅱの魂は仲間たちの元に戻っていったが、遺体が跡形もなく消し飛んではメイデンでも蘇生できない。

だがハオの血縁である葉と紅葉を一方的に敵視した彼らが仕掛けてきた結果だ。取り合うつもりはない。

申し訳なさそうなリゼルグの表情が葉たちの脳裏に焼き付いていた。

 

そしてガンダーラはというと。

 

「まさか単身尋ねてくるとは思わなかったぞ」

 

「会談に応じて頂き、感謝しています」

 

トップのサティがお供も連れずに紅葉たちのいる宿泊施設へとやってきて、面会を希望してきた。

仮にも仏に仕えるという彼らが悪質な手を使ってくることはないだろうと要請を受けた。

大広間にはサティとアルケミストの3人。幾らか持ち直した葉たち6人とアンナも同席している。

 

「腹の探り合いをするつもりはない。要件を聞こう」

 

「……率直にお願いしましょう。

 『アルケミスト』には、シャーマンファイトを辞退していただきたいのです」

 

「「「はぁ!?」」」

 

当事者のルドセブだけでなく、葉や蓮たちも声を上げて喰いかかる。

 

「ふざけんな!試合じゃオレたちに勝てないから負けてくれってことかよ!」

 

「いいえ、『如来』『天』も棄権します」

 

「「「はぁあ!!?」」」

 

3回戦を控えている6チームの内3チームが辞退すれば、必然的に残る3チームが先に進むことになる。

『ふんばり温泉チーム』『THE・蓮』『X-Ⅰ』の3チームがだ。

『X-Ⅰ』は『天』が辞退するだけで勝ち抜きとなるが『アルケミスト』と『如来』までとなると、それはつまり『ふんばり温泉チーム』『THE・蓮』を先に進めたいということ。

 

「わからんのー……そうまでして葉兄上たちと蓮たちを先に進めたい理由とはなんじゃ?」

 

『五人の戦士だ』

 

ここでチョコラブの持ち霊であるアバさんが割り込む。

 

「おいおい、それもうやめたんじゃなかったんか?

 だって紅葉がいんだから必要ねぇだろ?」

 

「いいえ。我々はこれが最良であるという考えに変わりはありません」

 

「どういうことじゃ?葉兄上」

 

彼らの話をまとめるとこうだ。

ガンダーラは麻倉家、道家、パスカル・アバフらと協力し、選ばれた5人のシャーマンと五大精霊によりハオを打倒するという計画を立てていた。

『土』は葉。

『雷』は蓮。

『水』はホロホロ。

『風』はチョコラブ。

 

「そして『炎』の戦士が『X-Ⅰ』のリゼルグ・ダイゼルです。

 なので彼らが所属するチームには、何としても二次トーナメントに進んでいただきたいのです」

 

「親父たちめ……そんな計略を立てていたのか」

 

「兄さんたちも強くなったけど、姉ちゃんほどじゃねぇだろ!?

 ハオを倒すんなら姉ちゃんに任せるのが一番じゃんか!」

 

「いや、読めたぞ。貴様らハオ兄上を倒すつもりがないな?」

 

「「「何!?」」」

 

「えぇ。我々はハオをも救いたいのです」

 

おかしいと思っていた。巫力の最大値こそ劣るが霊力も配下の質もガンダーラの方が圧倒的に上。

彼らがその気になればハオ一派を倒すことは可能だったはずだ。

 

「ここで敗れたとしてもハオはまた生まれ変わり、より強大な力を得て次のシャーマンファイトに参戦するでしょう。

 故に我々は彼を滅ぼすのではなく、改心させねばならない。

 そして我々のような達観した大人の言葉では彼の心を穿つことはできないでしょう」

 

「……ま、その理論で行くなら儂はアウトか」

 

紅葉が子供なのは肉体だけだ。魂が生きた年数で言えば数百歳。

地獄で千年生きたハオには負けるが、人生経験なら確実に上だ。

説教臭い性格も相まって反発されることは必至だろう。

 

「そしてもう一つ理由があります。

 ……アナタの素性と目的、我々も把握しております」

 

「……それで?」

 

「……シャーマンキングになれば、アナタの夢は永遠に叶わなくなります」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。